世界一周360日目(6/23)
「今日は何をする
予定なんだ?」
スタッフのリーダー的存在のユノスが僕に尋ねた。
「えーっと、
とりあえずキリムが見てみようかな?
その後、モザイクランプ買って、
日本に郵送しようと思ってる」
「キリムを買うんだったら、
おれが安くてしっかりした品質の友達のお店に
連れて行ってやるぞ?」
「そう?お願いしようかな?」
ここは観光地として有名なカッパドキア、ギョレメの町。
泊まっている宿はごきげんな宿
「HAPPYDOCIA(ハッピドキア)」。
ハッピドキアの名前の前に
「ホテル/ペンション」と書かれているが
イマイチ違いが分からない。
ここの宿はオープンしてまだ一ヶ月も経っていないらしい。
僕が初めての日本人のお客さんなんだと。
今のところ泊まっている宿泊客は僕の他に、
パキスタンから来た4人家族はがいる。
今日も豪勢な朝食を食べてお腹を満たした。
これなら朝食はいらないな。
ほんとにそのくらいの量なんだよ。
めちゃくちゃいい笑顔の映像担当、フィケット!
キリムというのは、
遊牧民が起源のカーペットのような厚手の布だ。
ウールで編み方が絨毯とは異なるらしい。
トルコやイランで手に入れることができる。
トルコだったら、どの家庭にも置いてあるポピュラーなものだ。
日本で買うとなると何万円以上もするのが当たり前。
品質の良いものは100年もつらしい。
せっかくトルコに来たのだから僕は
このキリムとやらを仕入れておきたかった。
だけど、どこのお店で買えばいいのか?
どれくらいが相場なのかは分からない。
こういう時にスタッフのアドバイスは本当に助けになる。
ユノスの案内で向かった先は友達のキリム・ショップ。
僕が入ると、中国人の観光客相手に
ユノスの友達がキリムを広げて、
英語でプロモーションをしていた。
「隣りお土産屋さんで待っているよ。
別にここで買う必要はないんだよ?
他にもキリム・ショップはあるからね」
と言ってユノスはキリムショップから出て行った。
中国人の観光客はさらっとお店から出て行ってしまった。
残されたのは僕一人。
果たしていいキリムを仕入れることがー…、
目の前にあったキリムに僕は心を奪われた。
なんかこのキリムが僕を呼んでいる気がする…。
ざっくりとしたシンプルなカラーリング。
ちょっとポップに見える散りばめられたデザイン。
自分の家の床に敷いておくだけでも、
なんか雰囲気変わるだろうな…。
一応お店にあった他のデザインも見せてもらった。
長さは180cm×150cm。大きすぎず小さすぎず。
そしてこれは「一生もの」になるんだろうな。
もしかしたらその人が自分の子供に渡すかもしれない。
そんなことを考えると無性にワクワクした。
「どうする?あ、アップルティー飲むかい?」
「あ、はい。お願いします…。」
アップルティーを飲みながら、
僕はお店の床に広げられたキリムをじっと眺めていた。
興奮して指切った。
今まで仕入れてきた雑貨の中で
もちろんダントツで値段が高い。
でも僕がどうするかは決まっていた。
「これ、買います!」
クレジットカードだと18%も
追加でかかってしまうので論外。
今まで大事に残しておいたアメリカ・ドルで潔く支払った。
お店の人はキリムをバッグにしまい、
証明書も中に入れてくれた。
これを手に取った人が
どこで買ったものなのか分かるように、
もらった名刺の一枚をバッグの中に同じように入れておいた。
「で、どうだった?キリム買ったのかい?」
ユノスと隣りのお土産屋さんにあるソファに腰をかけて、
コーヒーを飲みながら僕は満足感に浸っていた。
「ほんとうに!ありがとう!
やー、自分のものじゃないけど、今すげー嬉しいよ!」
「それは良かった♪
シミもハッピーでキリムを手に取った人もハッピー。
もちろんおれも嬉しい。
そしてそれがハッピドキアなのさ♪」
相棒のまおと企画している「旅する雑貨屋”Drift”」
何回も書いてるけど、これはビジネスじゃない。
世界一周に出発する前に僕が相棒に
「2万5千円づつ出し合って、5万を10万円にしようぜ?」
ともちかけた企画だった。
それが僕が旅先で雑貨を仕入れ、
何回も雑貨に対するやりとりを相棒としていくうちに
だんだんと僕たちの雑貨屋が形になってきた。
ストーリーが人から人へ渡っていく。
そんな意味も込めてつけた「Drift」。
このキリムを手にする「誰か」は一体どんな想いで
このキリムを買ってくれるんだろう?
そしてどんなストーリーを
このキリムに詰めこんでくれるんだろう?
僕たちがいつの日か出会う「誰か」のことを想うと
嬉しくてたまらない。きっと喜んでくれるんだろうな。
仕入れは
キリムだけじゃない。
次に仕入れるのはモザイクランプだ。
まぁ、モザイクランプはイスタンブールでも
手に入るんだけどね。
仕入れ先はユノスの友達のお店。
僕がギョレメに来た時にギターを弾いた場所だ。
この「友達のお店」という響きに、
若干の胡散臭さを感じなくもない。字面だけ見たらね。
もしかしてマージンとか取られちゃうんじゃないか?
知らないだけで、別の場所だったらもっと安く
売っているんじゃないか?
東南アジアを通って来た僕は本来の値段よりも
高くふっかけてくるお店だったり、
値切って買ったのに別の場所だったら
もっと安く売っていたりするシチュエーションを
たくさん経験してきた。
だけどここで大切なのは信頼関係だと思う。
もちろん自分の知識があれば
それに越したことはないんだけども。
お店の天井には様々なモザイクランプが
つり下げられていた。
電球に被せるだけで幻想的な灯りを漏らすモザイクランプ。
スタッフのお兄さんに言って
ひとつひとつをチェックさせてもらう。
「あ!じゃああのブルーのやつ、
ん~、カラフルなのも捨てがたいなぁ~。
ピンクってのもありかなぁ~」
ここにある全てのモザイクランプを
仕入れることはできない。
別に本職じゃないし、僕のお金にだって限りがある。
だけど、その制限の中で買えるものを
チョイスしていくことも面白いのだ。
仕入れたのは一番小さなタイプをカラー別に5色。
もちろんハンドメイド。
モザイクランプには何種類か形があるけど、
同じのに絞ったのは相棒との相談したから。
右二つはカラフルなモザイクが散りばめられております。
お兄さんはモザイクランプが
割れないようにバブルシートで包み、
さっき仕入れたキリムも一緒に入る
大きめの段ボールまで用意してくれた。
昨日「ここでランプ買うからね」と言った
別のお店で、小物入れとマルチバンドも仕入れた。
へっへっへ♪一体誰が買ってくれるんだろうな?
顔を始終緩めっぱなしで段ボールを抱えて
ハッピドキアまで戻った。
少し休んだ後は、
ついに郵送!
何やら
「PTT(なんの略だろ?)」って場所で
安く日本に遅れるらしい。
スタッフのユノスとエリカンと宿泊客の
アリーと一緒に郵便局へ向かった。
このパキスタン人のアリーなんだけど、
イギリスに留学してたこともあって英語がペラペラ。
そんで15歳ってんだから驚きだ。
僕より10コ下なんだぜ?まいっちゃうよ。
てかスタッフの二人がデカくて写真に写ってないや笑。
日本への郵送の際はいっつも緊張する。
どんどん物価が高くなっていくからだ。
今回は一体いくらかかるのだろう?
グルジアで仕入れた雑貨も含め、
段ボールはけっこうな重さになっていた。
渡された紙に相棒の家の住所を書き込んでいく。
中身のチェックはユノスの顔パスだった。
実質ノーチェック。
ギョレメは大きな町じゃない。
ここで暮らす人たちはほとんどお互いのことを
知っているんだろうなぁ。
ガムテープで巻かれた段ボールが計量器の上に乗せられる。
「10.645kg」
そして気になるお値段は~
153リラ!!!
80ドルぅぅぅぅぅ!!!
だ~~~!!!やっぱ高ぇよぉぉおお!!!
はい!赤字決定!
えっ???安い???
1kgあたりー、そかそか800円だもんね。
値段を下げられたのは僕が船便を選んだからだ。
船便で日本に送る場合、
雑貨が届くまでけっこう時間がかかる。
飛行機ならあっという間だが、
船便の二倍ちかくの料金だった。
また料金設定だが、重ければどんどん割安になっていく
システムのようだった。
だから今回10kg以上でここで送ったのはベストな選択♪
まぁ、まおくん、気長に待ってください。
その後、エリカンとアリーで近くを散歩した。
ちょっ!ナンパて!!!(ウソです笑)
足場の悪い所をズンズン進んでいくエリカン。
さすが地元の人間。
きっとこの道に慣れ親しんでいるんだろう。
「ここに住んでる人間はタダで気球に乗れるんだよ」
エリカンがそう言った。
さっきも友達に
「よぉ!バルーン乗らねえのか?」みたいに訊かれてたな。
「だけどおれは乗らない。
高いところがダメなんだ。
ここに住んでいるのに一度も気球に
乗ったことがないんだよ。
だからみんなおれに
「バルーン乗らないか」って訊くのさ」
ははは。高いところがダメだなんてね。
もったいない。僕は気球に乗らない分、
雑貨にまわしたけどね笑。
カッパドキアと言えども、
ギョレメの町の中心部から離れると
観光地という感じが全くしなくなった。
道の奥の方で
『こんなところにお客さんが来るのだろうか?』
と思ってしまうような簡素な売店があった。
おじいちゃんがパラソルの下でチャイを売っている。
周りには砂をかぶったお土産や乾燥したフルーツが売っていた。
ちょっ!耳に綿棒ぶっ刺さったまま!
エリカンとおじいちゃんは顔なじみのようだった。
僕とアリーとで日陰に腰掛け、チャイをごちそうしてもらう。
なんだかこんな時間の止まったような場所があるんだなぁ。
なんだか映画のワンシーンみたいに見えた。
チャイを飲み終えた後、もと来た道を引き返す。
エリカンが乾燥した枝豆のようなものを掴んだ。
おじいちゃんが後ろの方で何かわめいている。
そりゃお金払わないで持ってくんだもん。
「あのじーさんが何て言ってたか分かるか?
「もっと持ってけ」って言ったんだよ。
でもおれ、これあんま好きじゃないんだよな」
そう言って僕とアリーに
その枝豆みたいなものを分けてくれた。
かじってみるとほんのり甘かった。
「これがバイアグラになるんだぜ!」
と冗談混じりに言うエリカン。
そのままハッピドキアへ戻った。
そんなぶすっとしてスイカ喰ってんじゃねえよ笑
「クロスカウンター!」
夕方になると
「夕日を見に行くぞ!」とユノスに誘われた。
パキスタン一家と一緒にユノスの車に乗り込む。
アリーは疲れて眠っているため、
アリーの両親と姉と僕の4人で夕日を見に行った。
ユノスの車はとてもレトロな車だった。
「この車がどこの国の車か知ってるか?
「いや、どこ?」
「アメリカだよ」
アリーのお父さんが教えてくれた。
「この車を買うのがおれの小さい頃からの夢だったんだ」
ユノスがそう言った。
なんか、そういう子供の時からの
夢を叶えるっていいなと思った。
夕日の見えるポジションには他にも多くの観光客がいた。
端の方でいい感じのムードになっているカップルがいたり、
ウエディングドレスを着た花嫁がやって来たり、
さっきからずっとムードもクソもない
弾き語りをやってるヤツがいたり。
くそう!僕だって唄いたいぜ!
とりあえず彼らのギターケースにコインを入れ、
「一曲だけいい?」とStand by meを熱唱してやった。
風がビュービュー吹いて、
顔にかかる髪に気が散ってしまった。
日が沈んでしまうと、
観光客たちはどんどん町へと戻っていった。
僕も歩いてハッピドキアへと戻った。
カッパドキアかぁー。
ここでの日々がこんなに楽しいものになるとは
想像できなかったな。
気球に乗らなくたって、ツアーに参加しなくたって、
僕はここでの日々が愛おしい。
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ちなみに写真はiPhone4Sでエフェクトに「クローム」使ってます。
なんかフランス映画っぽい感じで撮れるから好き♪
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