世界一周428日目(8/30)
ソファの上、
朝の6時半に目を覚ました。
パヴロじいちゃんは既に起きており、
僕に朝ご飯を作ってくれた。
窓の外を見ると、空が白く明るい、少し寒そうだ。
パヴロじいちゃんの家を出るとき、
じいちゃんは僕に十字架のついたネックレスと
マリア様の絵が描いたポストカードを
僕にくれた。
![IMG_4534](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
僕はキリスト教徒ではないけど、
きっとこれが僕を守ってくれる
そんな気がした。
ここはチェコ、ヤヴロニツ。
そして今日、僕はドイツへと向かう。
電車の時間は7時45分。
朝ご飯を食べると、
荷物をまとめて大家さんにお礼を言い、
パヴロじいちゃんと一緒に駅に向かった。
朝からパヴロじいちゃんはノリノリだった。
![IMG_4538](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
軽くハミングしていたかと思うと
「ポウッ!」とマイケル・ジャクソンみたいな
高い声を出して僕の笑を誘った。
胸一杯に行きを吸い込むと
フレッシュした気持ちになれた。良い旅立ちだ♪
駅まで歩いて行き、待合室で電車を待った。
10分前にやって来た電車。
![IMG_4541](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
プラットフォームとも言えないような場所で
じいちゃんとハグをする。
僕が電車に乗り込む前に、じいちゃんは
「別れが寂しい」とでもいうように
泣き真似をしてみせた。
![IMG_4542](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
最後の最後に良い出会いが待っていたな。
公園で野宿していてバックパックや
一眼レフ(それに眼鏡まで)盗まれて、
チェコが心底嫌いになりかけたけどー、
ここにまた帰ってこれる場所ができた。
元気でね。じいちゃん。
7時45分になって
電車は国境の町へ向けて
動き出す。
![IMG_4545](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
僕は電車の入り口から遠ざかって行く
じいちゃんに向けて手を振った。
じいちゃんの姿はあっという間に見えなくなり、
僕は自分の座席についた。
涙が出た。
涙なんてどれくらい流してなかっただろうか?
この旅の中で惜しげも無く
僕に優しさを注いでくれた人たちのことを思い出す。
僕はー、その優しさに
何かで応えることができたかなぁ?
なんでこんな僕なんかに
優しくしてくれるんだろう?
僕はー、あなたに会えてよかったです。
それは間違いなく言えます。
森の中を抜けるようにして電車は走った。
時折木々の合間から農場が見えた。
牧草をマシュマロみたいな形に
まとめたものがいくつも転がっていた。
もうこの景色ともお別れとなると、
自分目に今映っているものが
たまらなく愛しく思える。
![IMG_4543](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
でも、旅はその繰り返しだ。
ネパールでも、アルメニアでも、イタリアでも、
どんな国だって、通り過ぎていく景色は一回きりで、
自分の心のファインダーに残しておこうとしても、
いつの間にか、色あせてしまっている。
時々
『あの国のあの場所で見た景色は、
どんなんだったっけな?』
と、自分が訪れた国に思いを馳せるが、
カメラのように精密でない
僕の頭が再現できるのは、
なんとなくのイメージだけだ。
![IMG_4547](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
![IMG_4548](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
![IMG_4550](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
2時間ほどで僕は国境の町に着いた。
マップアプリでドイツへ続く線路を辿り、
今いる町から電車を乗り換えれば
ドイツに行けることが分かった。
大きな橋を渡り、3kmほどの距離を歩いた。
![IMG_4553](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
これが今まで背負っていたバックパックなら
大変だったなと思わなくもない。
再出発だ。失ったものはたくさんあるけど、
その分身軽になれた。前向きに行こう。
![IMG_4558](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
地元の人の訊いて、
ドイツ行きの電車が出ている駅へと向かった。
まず向かう先はドレスデンという町。
200コロナ(985yen)だった。
国境を越える電車だけど、そこまで高くない。
手持ち余ったコロナもユーロに両替しておいた。
ドレスデン行きの電車が出るまでの1時間半で、
僕は駅周辺をブラついた。
爪切りやタバコ、ちょっとした食糧を買って、
よいよチェコとのお別れの時間だ。
![IMG_4561](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
僕が乗り込んだのは車内に
トイレの着いているような綺麗な電車だった。
電車は国境を形成している川沿いを走り、
あっという間にドイツへと入国した。
マップアプリを見ていなかったら
自分が今ドイツにいることなんて
分からなかっただろう。
今までのような
チェコの田舎っぽさとは打って変わって
とたんに洗練された先進国の景色になった。
チケットを確認しに来た恰幅の良い車掌さんは、
僕にドレスデン行きの乗り換え電車を教えてくれた。
車内アナウンスもドイツ語へと変わり、
ドレスデンの駅へと降り立った時、
僕はドイツへとやって来たことがよく分かった。
もう日本のそれとほとんど
変わらないのではないだろうか?
![IMG_4564](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
駅の目の前には大きなショッピングモールがあり、
チェコののどかさなんて1ミリも感じられない。
![IMG_4577](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
![IMG_4579](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
バスキングによさそうな歩道も見つけた。
その先進国の空気に僕は興奮させられた。
ここならまたバスキングでお金が稼げるかもしれない!
しかも相手はドイツだからな!
イタリアよりはいいんじゃないか??!!
ニヤニヤしながらギターを構えた。
通行人は僕のことなんて
これっぽっちも気にしている様子は無い。
それでいい。僕なんてそんなもんさ。
肺に空気を吸い込み、唄いだす。
人通りは多い。
レスポンスはほとんどない。
人に寄っては露骨に顔をしかめる。
20分ほどのバスキングで
僕はすっかり萎縮してしまった。
『僕なんてー、こんなもんだ』
とは思いたくなかった。
だって今までどれだけ
バスキングやってきたと思ってるんだよ?
今まで培って来たものはなんだ?
ショッピングストリートのベンチに座って
持っていたプラムとパンをかじる。
軽くなったはずの荷物が
数日前の重さと同じように感じた。
僕はiPhoneを取り出し、フリーのWi-Fiを探す。
町にはWi-Fiが行き交っていたが、
どこにも僕が使うことのできるWi-Fiはなかった。
『なんかー…冷てぇな…』
先進国という括りの中に入るドイツ。
みんながそれぞれにプライベートの領域を持ち、
他人とはそこまで干渉しない。
インドやトルコの人なつっこさが欲しかった。
どうやらスターバックスでは
Wi-Fiが無料で使えるようだ。
お店の外でアンテナ一本分の
Wi-Fiを使ってするのはいつもと一緒だ。
パソコンでブログを書いている以上、
ブログの更新はできない。
なんか贅沢なブログだなぁ。
こんなん旅ブログじゃないのかもなぁ。
でも、iPhoneのフリッカーで文章書くと
なんだかノれないんだよ…
『もう一回チャレンジしてみようか?』
僕は諦めが悪い。
さっきは人通りの多い歩道だったが、
人との感覚が狭かった。
ある程度の広さがないと
バスキングはダメなんだよな。
とりあえず自分が納得できればそれでよしっ!
しゃーーーッ!やったらーな!
いかに「バカ」を演じられるかだ。
![IMG_4580](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
ただのカラオケマシーンにはなりたかない。
からだ全体を使ってシャウトする。
すると、さっきとは違い
パラパラとレスポンスが入った。
子供連れのお母さんなんかが
ニコニコしながら足を止めてくれたりする。
見回りの警官だかにストップをかけられて、
僕のバスキングは終わった。
この町でバスキングをするには
パーミット(許可証)がいるらしい。
まぁ、明日はもう別の町に行くから、大丈夫っすー。
パスポートの確認はされたけど、
そこまで怒っている様子はなかった。
僕には行かなくちゃいけない場所がある。
だからこの町の隅から隅まで見ている時間はない。
町の中心地だけ見れただけで十分だ。
最近パソコンもすっかりご機嫌ナナメだし
修理にも出したい。お金かかるけど….。
![IMG_4583](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
![IMG_4584](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
ファストフード店の二階で
充電をしながらキーボードを叩いた。
![IMG_4590](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
22時の閉店時間まで日記を書いた。
Wi-Fiが使えやしないか、
もう一度スターバックの前まで行ってみたが、
閉店後のスターバックスからは
Wi-Fiは流れてこなかった。
スイスだったら使えたのになぁ。
![IMG_4594](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
「Hitchwiki」には時々、
野宿の情報も載っている。
ドレスデンでは川沿いで気軽に野宿ができるそうだ。
地図を頼りに川まで向かい、
人気の少ない暗がりにテントを立てた。
テントの出入り口を川の正面にする。
朝起きて外を見ればそこが川っている
ゴキゲンなロケーションだ。
テントの中に荷物を入れ、
マット代わりの段ボールを敷いて、寝袋を広げた。
町の灯りが反射する川を眺めながら、
ぼうっとタバコをふかした。
お疲れ。おれ。
約束の場所はすぐ目の前だ。
![IMG_4596](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
——————————————–
★世界一周ブログランキングに参戦しております。
ツンデレの意味について考えます。
やっぱりー、旅はいいっす。
またチェコに戻ってきたいなと思わせてくれた
パヴロじいちゃんには感謝です。
でもね、次は宿とるわ笑
バナーをポチしてページの読み込みが完了すると
ポイントが入る仕組みです。
にほんブログ村
★Facebookページ「旅する漫画家」も
どうぞよろしくお願いします。
★Twitterもね!「Indianlion45」
シミ君チェコの「神様」は、君の重いバックバックを新しく、そして軽くしてくれて、古いギターを新しい良い音色のギターに変えてくれて様ですね。(笑)
そして君をチェコにまた来て見たいと思わせてくれる、愉快なお爺さんとの出遭いをくれました、シミ君チェコは忘れられない国に成りましたね。
>JOSANさん。
おっしゃる通り、こういうときに
物事をどういう風に
捉えるかが大事だと思います。
僕は大学生まで、
あまりパッとしない
人生を送ってきました。
だけど、
今こうして世界を旅している
ことを考えると、
あのパッとしない時代も
必要だったのだと思います。
次回チェコを訪れる機会があれば
宿は確実に抑えていきます笑!
シミさん、おはようございます。
チェコの事心底嫌いにならなくて良かったわ。
パブロさん達と過ごした時間が失ったものを幾らか補ってくれて
ホッとしました。
過去のブログは昨年の7月まで読み終わったところです。
リアルタイムは何処にいらっしゃるのか・・とにかくご無事で
旅を楽しんで下さいね(^^♪
>ミヤワキケイコさん
今回のような出会いがあると、
ほんとうに旅をしていて
よかったなぁと思います。
きっとこれからも
楽しいことばかり
じゃないとは思いますが、
ひとつひとつの出会いを
大切にしていきたいですね。
それより
僕の日記を最初から読んで
下さるだなんてー…
す、すごい!
読んでて疲れませんか笑?
コメントありがとうございます♪