「アイツの目は擦れているか?」

世界一周509日目【ロケハン編】(11/19)

 

 

8時半にアラームが鳴った。

部屋の窓から差し込んでくる灯りは
ほんのわずかだ。

部屋が暗いと時間の経過も分からない。

何より眠い!

 

寝よ寝よ。

 

 

 

 

 

起きたのは10時過ぎだった。

シャワーを浴び、
洗濯物を済ませて
そのまま朝ご飯を買いに宿を出る。

 

 

ここはモロッコ、フェズ

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12時を過ぎないと
営業が開始されないお店がいくつかあった。

僕は10ディルハム(133yen)の
豆を挟んだサンドイッチをほおばり、コーヒーを飲んだ。

 

 

てかコーヒー飲まない日が
ないんじゃないかってくらい
毎日毎日コーヒーを飲んでいる。

味の善し悪しなんて分からない。

カフェインが入っていれば万事オーケー。

脳みその作業効率が
10%くらいアップする(ような気がする)

きっと僕の体を構成している成分にの
5%くらいはカフェインなんだと思う。

あれ?これって体に悪いってやつでしょうか?

 

 

 

血糖値を上げると、
テラスで本日二杯目のコーヒーを注文して
iPhoneをいじくった。

泊まっている宿の名前は「Hotel Cascade」。
一泊60ディルハム(801yen)。
まぁ安い方なんじゃないかな?

 

 

Wi-Fiはあることにはあるのだが
そこまで早くない。

利用者が増えると速度が落ちる。
だから航空券を買っちまうなら朝のうちがいい。

スカイスキャナーでカサブランカからヨルダン、
アンマン行きのチケットを買った。2万7千円。

 

 

モロッコには長くいたかったけど、
こういうタイミングみたいなのがある。

だって12月以降には4万円越えるんだもん
(って今確認したら12月の頭が値下がりしてた。クソッ…)

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「おはよ~~~ っす」

 

旅する水墨画家のシンペイ兄さんの
準備が整ったようだ。

僕たちはライブパフォーマンスができる場所を探す、
ロケハンへと繰り出した。

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相変わらずシンペイ兄さんのベシャリは面白い。

師事する水墨画の巨匠、
土屋秋恆先生の側でアシスタントを
3年間(無給!!!)していたというシンペイ兄さん。

天才と尊敬する師匠から学んだことのひとつは
喋りが上手くなくてはいけない
ということらしい。

 

 

アーティストとして生きるならば
自分のプロヂュースもできて当然。

自分を売り込むのにはトーク、
コミュニケーション能力に長けていなければならない。

メモメモ!

 

 

シンペイ兄さんと昨日話した内容も、
思い出せる限り旅ノートにメモしておいた。

話していると、時度、岡本太郎の著書の
引用とかが出てくる。

読んだ本を自分の中に落とし込み、
それを再現できる能力。フムフム。

 

 

 

 

話していると勉強になることばかりだ。

トークはその場限りの一回こっきり。

そして残念なことに僕の脳みそでは
その全てを思い出すことはできないし、
次から次へとトピックが出てくるのだ。

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適当にフェズの町をぶらついた
シンペイ兄さんと僕は町の広場に出た。

正面にカフェがあり、
欧米人ツーリストの姿もあった。

僕たちがパフォーマンスをしていれば
きっと彼らの目にも留まるはずだ。

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僕たちがロケハンをしていると
人なつっこく話しかけてくる男の子がいた。
9~10歳ってところだろうか?

この歳にしてみれば英語が話せている。
インドの胡散臭いボってくるヤツ顔負けのトーク術。

しきりに僕たちを
なめし革の工場へ連れて行きたがっていた。

そうだ。フェズの町には
皮を染める職場があるんだっけ?

 

 

「かなり臭いらしいですよ?
行ってみます?」

「いや、いい」

 

 

さっきから
「レザー!レザー!ファミリー!ファクトリー!」
とか一生懸命話しかけているガキんちょを無視して
スタスタと歩きだすシンペイ兄さん。

 

 

「おれ、擦れたガキって嫌いなんだよな。
アイツの目はダメだ。
人柄ってのは顔に出るんだよ」

「は、はぁ」

 

 

僕が振り返るとガキんちょが
何か捨て台詞を残した。

なんて言ったか分かていたけど、
「今なんつったの?」と
もう一度訊いてみた。

 

 

 

 

 

「ファック!
ファックオフ!」

 

「….」

 

 

 

 

 

なんで僕がガキんちょから
罵られなくてはならないんだろう?

ってか二回も言われたんだけど。

まぁ、大使かにアイツの顔、擦れてたしなぁ…。

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ロケハンを終え、

引き上げる途中の
ジュース屋さんで他の方の世界一周ブログに
登場した「ザーザー」というジュースを
探してみたのだが、
この町でザーザーを飲むことはできないようだった。

「ザーザーください!」って言ってもお店の人は
「はっ???」って顔するもん(笑)

あんまメジャーじゃねぇんじゃねえか?

 

 

僕とシンペイ兄さんは
アボガドジュースで手を打つことにした。

ほんのり甘いスッキリした味だ。
なんか整腸作用がありそうだ。IMG_1337

 

 

 

「この前さ、
『シンペイさん、旅楽しいですか?』
って質問してくる大学生にあったんだよ。

一日ソイツと一緒に行動してみたけど、
英語が喋れるばっかしに
いちいち客引きの話を聞いちゃっててさ。

以前にもボラれたことがあるみたいだったな」

「僕は”楽しい”っていうか、
“何を楽しいと思うか”だと思いますね。
ここに住んでいる人たちからしてみたら
とても当たり前のことでも、
僕たちからしてみたら新鮮ですからね。

ほら、このジュース屋さんのタイルの模様だって、
日本でだったら見かけないじゃないですか?
こういうの見ると
僕は楽しいって思えるんですよね」

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宿までの途中の道でタバコを売っている男の子に
挨拶をするシンペイ兄さん。

「アイツにだったらボラれても
全然構わないかなぁ~♪
だってあの子いい顔してるもん」と口にした。

 

 

どこかシンペイ兄さんは直感的だ

自分の思ったこと感じたことを

ストレートに表現する。

 

 

昨日宿で見せてもらった作品に、
雨に打たせたものがあった。

先生とお弟子さんたちで
被災地にボランティアに行った帰り道、
降り出した雨を見て

「もうこの場所に同じ雨は降らないのかな?」

と考えたシンペイ兄さんは
すぐに製作にとりかかった。

墨汁が乾き切る前に
紙を雨に打たせた作品だった。

墨汁をはじく白い塗料が散布されており、
それが天の川のようにも見えた。

 

 

シンペイ兄さんは給料をもらことなく、
昼間は師匠のアシスタントをし、
その傍ら夜は日本酒のバーで働いているそうだ。

そしてもともとはケーキ屋さんで
バイトしてたっていう。
見えね~~~~…。

ただでさえ、こんなお兄さんが
水墨画を描いていると言われたら驚きなのに、
前職がケーキ屋て…。

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所属するする水墨画の団体も
見た目に気を使うグループだ。

師匠の写真を見せてもらったが、
ハットにシャツに蝶ネクタイ。

まさに、現代のアーティストと言った感じ。

師匠は20歳で水墨画の師範代になり、
そこから自分の流派を立ち上げたらしい。
時代に合った水墨画を描くというのが
師匠の考えだそうだ。

 

 

若い人にも買えるようにと企画された
3万円で買える鳥の絵を見せてもらった。

着色の入った色鮮やかな各国の渡り鳥。
背景にはその鳥が生息する地図。
そしてその国の切手なんかが描かれている。

今まで自分の抱いて来た
水墨画のイメージとはかけ離れていた。

 

 

 

「なんで水墨画家になろうと思ったんですか?」

「ある日師匠のインタビューが
乗った雑誌を見て『これだ!』って思ったんだよ。
そこから調べて何回も電話をかけたんだよな。
「どうやったら水墨画家になれますか?」
っていう質問に対して、まずは一般の人でも参加できる
教室から来るように言われたんだ」

 

 

自分のインスピレーションに従って
行動を起こせるその熱意に僕は痺れた。

 

 

 

誰しもリスクのことを考える。

『もし失敗したら?』『お金が稼げなかったら?』

もちろん僕だって少しくらいは考える。

シンペイ兄さんが凄いと思ったのは、
これが単なる思いつきじゃなくて、
自分の将来のヴィジョンも持っており、
それに向かって戦略が立てられているということだった。

 

 

 

考えたことが行動に移され、
目標に向かって進めている。

僕なんかよりもずっと夢に近い印象を受けた。

おれも漫画描いてるだけじゃダメだな。

まぁ、シンペイ兄さんとの会話の
25%くらいは下ネタ。

っていうか一方的にツイートしてくる(笑)
それはあえてここには書かないけど。

 

 

度々下ネタを口にするシンペイ兄さんなのだが、
日本で奥さんが待っているというのも
すげーなと思った。
この人に自分の人生懸けられる奥さんも素敵な方だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宿に戻ると
僕たちは明日のライブパフォーマンスの
打ち合わせを始めた。

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昨日一緒に遊んだアナとフアンは
今日も昨日の子たちと飲みに行くらしい。
昨日みたいなスナックじゃないみたいだけどね。

 

 

「いやぁ~…、今回は楽でいいわ。
どっちかっていうと漫画メインだからね」

「って、こっちはけっこうプレッシャーですよ!
あんな水墨画に漫画描くんですから」

 

 

 

宿のすぐ側のレストランでタジン鍋を食べていると、
日本人のお兄さん、
タカユキさんに声をかけられた。

なにやらファッションブランドを立ち上げ目前らしく、
モロッコで何か材料を探しているようだった。

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シンペイ兄さんが水墨画をやっていると知ると、
すぐに「コラボしたいっすね~♪」
みたいな話になってしまう。

このフットワークの軽さはなんだ???

タカユキさんとその仲間が手がけるブランドは
“MaNueVer(マヌーヴァー)”という名前で、
ちょっとダークなイメージ。
逆さ十字がトレードマークだ。

ちょっと、僕にはコラボできそうにないな。

 

 

レストランのテーブルクロス代わりの紙に
ずっと落書きをしていた。

くそう。
おれもコラボできるくらいに上手くなりてぇ!

 

 

 

 

 

ご飯を食べ終わると再び打ち合わせをした。

旅ノートに案を出し合って、
決めたのがセリフのない4コマ漫画。

シンペイ兄さんの口から
「いいね~!シミいいね~!」という
お褒めの言葉がムズかゆかった。

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よし!明日やったる!

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あー、マジで旅最高(この言い方チャラいな)。

日本にいたらまず出会わなかったと思います。
お互い旅をしていたからこそ出会えた。

そして、僕はすごく勉強をさせてもらいました。

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