世界一周513日目(11/23)
東の空が
ぼんやり明るくなったころに
僕はベルベルテントの裏手にある砂丘を登った。
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上の方から人の声がしたので、
傾斜30°の砂丘をガシガシ登って行ったのだが、
彼らは別のもっと傾斜がゆるやかな場所から
登って行ったらしい。
僕が一人で砂丘を登っている姿を見て、
昨日会ったスペイン人のカップルが
「ジャポ~~~~ン!」と叫んだ。
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砂丘の中腹で僕は腰を下ろした。
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じわりじわりと空が明るくなり、
朝日がサハラ砂漠を照らす。
朝、一番最初に目の前を照らす太陽の光。
一日のはじまり。
いっつもこれを見るたびに、
どこか心が現れた気持になる。
![IMG_1547](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
ベルベルテントでパンと数種類のジャム、
コーヒー、ミントティーの朝食をいただいて、
僕たちはホテルに戻ることにした。
![IMG_1559](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
「それじゃラクダは勝手にホテルに帰るから」
と手綱を話すハミット。
えっ?マジかよ?
そんなにラクダって賢いの?
![IMG_1560](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
キャンプから5分は他のツアー客の
足跡を辿っていた僕の白ラクダは、
すぐに道草を食べ始めた。
おいおい道草喰ってんじゃねーよ!
頭にターバンを巻いたハミットが戻って来て、
ようやくラクダは言うことを聞いた。
![IMG_1565](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
天気は快晴。
それでいて地面はほどよく湿気を含んでいる。
行きと帰りで違う砂漠を
見れるなんて贅沢じゃないか。
ラクダに乗りながらずっと砂漠を見ていた。
世界にはこんな景色もあるんだなって。
来るまでは乗り気じゃなかったけど、
ここへは来てよかったと思う。
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![IMG_1567](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
ラクダを停めるとハミットは
僕をホテルの裏に呼んだ。
物置みたいな所から取り出して来たのは
ガラクタとも呼べそうな雑貨たちだった。
卵の形をした置物なんて、
誰が買うんだろうと考えてしまう。
「さて!どっちが本物のゆで卵でしょう?」
なんてやるのかな?
「ごめん、ちょっといらないかな?」
「フレンド!安いよ!
この灰皿に浮かんでる貝殻は本物なんだぜ!」
「ゴメン、いらないよ」
何度かこのやり取りが続くと、
ハミットは諦めてくれた。
ラクダ引きの仕事はそこまで儲からないらしい。
これが彼の臨時収入になるんだろうな。
何か良いものがあれば買ってもよかったんだけど、
卵の置物や重たい灰皿は、申し訳ないけどいらなかった。
その代わり、
ハミットに名刺を描いてプレゼントした。
「もし、僕が有名になったら売れるかもね!」
「何言ってんだよ?ここじゃ価値ないよ」
「ははは。そうかも(笑)」
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![IMG_1590](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
昨日別のラクダ引き(彼もまたハミット)に
払ってしまった100ディルハムも返してもらえた。
次の街まで向かうバスが出る町まで
タクシーで送ってもらえた。
これもツアー代に含まれている。
![IMG_1593](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
なんだかんだ、80ユーロ分のツアーだったな。
「サハラ砂漠独り占めツアー」なんてね♪
![IMG_1597](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
雨の影響で一部の道路が
通れなくなってしまっているらしい。
バスターミナルへの道の途中で見た町で
大きな水たまりを見ることがあった。
![IMG_1604](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
ひとまず200ディルハム(2,665yen)の
マラケシュ行きのチケットを買った。
周りには欧米人のツアー客の姿もあった。
きっとみんなサハラ砂漠の
ツアーを終えてきたのだろう。
ギターを
貸してくれと言ってきた男の子ちは
まさかパキスタンとブータンの出身だった。
![IMG_1610](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
驚いた。
ってきりみんなアジア人の顔だと思っていたから。
ブータンのIDを持つ彼はフランスに
留学しているヤツで、
ルーツはネパールにあるとか言っていた。
ふーーん。
時間までは近くのカフェで
コーヒーをすすりながら作業をした。
こんなちっぽけな町のカフェでも
Wi-Fiが使えるなんて驚きだった。
後からさっきのブータンの彼らも
ここで昼ご飯を食べに来ていたのだが、
両替所を探しに行っているうちに
マラケシュ行きのチケットが
売り切れてしまったと言うのだ。
彼らはひとまず別の町へ行き、
そこからマラケシュに向かうらしい。
握手をして別れた。
もしかしたら路上でギター弾いているヤツが
いるかもしれないから、ソイツがおれだよ。
と僕は言った(だけど、結局彼らと再会することはなかった)
ギターを持っていると、どこでも人気者だ。
貸してくれと言ってきたおっちゃんは
タバコを加えてギターを構える姿が
なかなか様になっていた。
![IMG_1627](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
小さな息子二人が興味津々でお父さんの姿を見る。
なんだかいい瞬間に立ち会わせてもらったな♪
そろそろバスの時間だ。またね!
バスターミナルの前にちっぽけな
売店とも言えないようなシロモノのスペースがある。
そこで1ディルハムのクッキーが
買えたので大量に仕入れておいた。
近くから頭のクリンクリンの子供たちが寄って来て
僕に「お菓子をくれ!」とジェスチャーしてくる。
よしよし。1ディルハムくらいなら安いもんだ。ほら。
2人くらいにクッキーをあげた。
そのうちの一人が僕に何かを言った。
え?聞き取れたけど、
うん、もっかい言ってもらっていい?
「ファック・オフ!
ファック・オフ!」
「刹那の見切り」で
メタナイトをぶった切るくらいのスピードで
そのクソガキからあげたお菓子をひったくった。
もちろん笑顔でね♪
一瞬の出来事にクソガキは
何が起こったか理解するのに時間がかかっていた。
いやいや。なんでお菓子上げたのに、
ファックとか言われなアカンねん。
ビビって僕から距離を置くガキんちょを見ていると、
まぁ、菓子ぐらいいかなと思い直した。
笑顔で手招きしたのだが、
ガキんちょは小動物並みの
警戒心を抱いて寄って来なかった。
ハッ!そうかい。ならいいわ。
愛すべき人たちは今目の前にいる人たちだ。
![IMG_1635](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
僕は怒らない(ように勤めている)
笑顔は忘れない。
だけど、悪口を言われたら
お菓子をひったくるくらいはするさ。
頭をひっぱたくよりかはマシだろ?
荷物代を払いバスに乗り込んだ。
![IMG_1637](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
バスはなかなか走り出さなかった。
駆け込みの客が乗りそこなったのか、
バスターミナルを出る直前で何かわめいていた。
雨水のたまった道路をバスはゆっくり走った。
バスが前に進むと、
ディズニーランドのアトラクションみたいに水が波打った。
ヘッドライトが前方のバスを赤く照らした。
僕は久しぶりにiPodで椎名林檎を聴いて、
『セカンドアルバムいいな♪』と思った。
隣りのおっちゃんが親切だった。
斜め前に座っていた目の大きなモロッコ人の
女のコに変顔を披露すると、
「キャッキャ」と笑ってくれた。
深夜2時にバスは途中休憩を挟んだ。
窓から煙が見えたので最初は
バスが故障したのかと思っていたのだが、
煙の正体はケバブを焼く煙だった。
![IMG_1649](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
今回は寒さで眠れないなんてことはない。
相棒が持って来てくれたブランケットが
ちゃんと役に立っているからだ。
![IMG_1618](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
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些細なことも楽しめるようになったなーと思います。
世界を見るには1年や2年じゃ足りないと思うし、
全てを見る必要もないと思います。
自分の目に移る一瞬一瞬を愛おしく思えれば、
ハッピーじゃん?
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