世界一周528日目(12/8)
目の前に
ヘンテコなオブジェ。
そこが僕の寝床だった。
明るくなってから分かったことは、
ここが意外と目立つ場所にあったということだ。
工事現場を囲ったブルーシートの隙間から
中の様子は簡単に見ることがでる。
ここはイスラエル、テルアビブ。
まさか二日前にゲイに会って、
その次の日に
盗難(未遂)に遭うだなんて思わなかった。
ここは早急に立ち去るのがいいだろう。
7時過ぎには撤収を終えた。
僕は歩いて二日前にここへやって来た
ミニバス乗り場へと戻ることにした。
一度エルサレムに戻ろうと思う。
どうしてかと言うと、
イスラエルの物価の高さは意外だったからだ。
こんなに高いなんて思わなかった。
ほんの数日滞在しただけなのに
気づいたら一万円以上を使ってしまっている。
もう満足かな?
バンクシーの絵も見れたしね。
イスラエルから抜けてヨルダンに戻ろう。
歩いてミニバス乗り場へ戻る途中に
バスキングによさそうな通りも見かけたが、
僕はそのまま通り過ぎた。
これで盗難とかに遭ったらそれこそ帰国だ。
途中売店でお菓子やジュースや
バラ売りのタバコを買い込み
(僕は吸いすぎないようにバラ売りでタバコを買っているのだ。
物価の高いところではね)、
8時にエルサレム行きのミニバスに乗り込んだ。
どういうわけだか、
来る時は35シュケルだったのが、
帰りは24シュケル(712yen)だった。
ミニバスはハイウェイを駆け抜け、
僕はあっという間にエルサレムへと戻って来た。
話に
聞いたところによると、
ヨルダンへ戻るためのキング・フセイン橋は
午前10時までしか開いていないという。
そんなおかしな話があるもんか。
ユダヤ教の祝日かなにかの日だけであろう。
きっと戻れるに違いない。
だけど、忘れてはならないのが
出国税の存在だ。
なんとイスラエルから出国するだけで
176シュケル(5,218yen)も
かかってしまうというのだ!
これは1~2年前のデータだ。
いくらか値上がりしていたから
180シュケルくらいだろう。
ここで僕に名案がある。
バスキングで出国税を
稼いじまおう
という作戦だ。
いやはや捕らぬ狸の皮算用とは
まさにこのこと。
まぁ、半分くらい稼げたら嬉しいなぁ~♪という気持で
僕は街の中心地へと向かった。
何より唄うことは楽しい♪
自分の演奏をジャイアニズムに任せて
通行人に聴かせて
それでいて、お金がいただけるなんて、
なんて有り難いことなんだろう。常々思う。
バスキングに大事なのは時間と場所だと思う。
偉そうなことを言っておいてなんだが、
ヘッポコバスカーなりに僕は
色んな国で路上演奏をしてきた。
まぁ、この国なら早くても14時くらいだと思う。
マクドナルドで時間をつぶして、
14時ぴったしに路上に出た。
まだ回りに他のバスカーの姿はなかった。
前回やった時も、オープンテラスで
コーヒーをすすっている人から苦情はこない。
エルサレムの新市街は
バスカーに寛容だとういことは分かっている。
そこから一時間半、
楽しくバスキングをすることができた。
最初のバスキングの終了は
僕にご飯をおごってくれたカリムさんという名の
おっちゃんの到来によるものだった。
演奏中何度か僕の前を横切り、
「腹が減っているか?ケバブをおごってやろう!」
と半ば強引に僕にケバブとスプライトをおごってくれた。
「君、今どこに泊まってるんだ?」
「キャンプです!(超爽やかに!)」
「なに??!!それはよくないな!
ペトラ・ホテルに来ないか?
日本人が沢山泊まっているぞ!」
自分以外の日本人宿泊客という言葉で
思い浮かんだのはブロガーのマサトさんだった。
マサトさんはまだここに泊まっているのかもしれない。
「もしかしてその人はマサトっていう名前じゃないでしょうか?」
「ん?ああ、そうだ!マサヤだ!」
『あれ?』
「なぁ、君、ペトラに来ないか?
宿泊代は私が出すぞ?」
いくら厚顔無恥な僕でも、
バスキングのレスポンスをもらったばかりか、
ケバブもおごってもらい、されにその上
宿まで提供してもらうことはできない。
っていうかこの人もしかしてーーーーー….
いやいや、そんなことはないか!
カリムさんの申し出を丁重にお断りして、
僕は再びバスキングへと戻った。
エルサレムは思っていた以上に
レスポンスがよかった。
中には僕にジュースやケーキを差し入れてくれる人や、
日本語を学んでいる学生さんなんかもいて、
日本に興味を持っていてくれることを嬉しく思った。
時間があったりすると僕もお返しに名刺を描いた。
時間があったらちゃんと
Facebookページにアップしないとな。
地元のアコーディオン弾きのバスカーが
僕の5m隣りで当然に演奏を開始したので、
僕は一時間もやらずにその場から引き上げることにした。
ギターケースの中にはコインがたっぷり入っている。
1シュケルコインというのは
日本の一円玉よりも少し小さくて、
やや重いくらいの硬貨だ。
そのくせ価値は日本円にして約30円もある。
まだ唄い切っていないと感じた僕は
もう一回バスキングをやって
今日を終えようと新市街を彷徨った。
なかなか場所を見つけられず一休みしていると、
ジャンベを持った黒人のおっちゃんに声をかけられた。
「よう?お前さんもバスカーか?
今からマーケットでバスキングをやるんだが、
おれとセッションしないか?」
「いや~、
僕はセッションできるほど上手くはないんだよ。
でもマーケットには興味があるな。
僕もついていっていいかな?」
「もちろんさ」
ラスタマンが被るおなじみの
ベレー帽のように膨らんだカラフルで
色あせたニット帽を被っている。
おっちゃんの口ひげは白かった。
今、僕の目の前を歩いているジャンベのおっちゃんも
世界中をバスキングで旅してきたらしい。
「もう世界を旅するほど若くはないんだよ」
とおっちゃんは言ってた。
今はエルサレムに住んでいるらしい。
バスキングで暮らしていける街でも
あるのだなぁと僕は思った。
マーケットは新市街の中心地から
10分ほど歩いた場所にあった。
どちらかと言えばローカルな
マーケットだったが、人で賑わっている。
「ここのどこで
バスキングができるの?」
「どこでもさ♪」
そう言っておっちゃんと僕は
それぞれ別れてバスキングを開始することにした。
最近そこまで長い時間バスキングを
やっていないせいもあって、喉が疲れて、
高いキーが出なくなっていた。
それにマーケットがにぎわっているせいもあって、
大きな声を出さなければいけない。
肝心のレスポンスだが、
1シュケルがほどよく投げ込まれる。
演奏をしていてお会いしたのは
エルサレムの大学院で天文学を学んでいる
日本人の方だった。
「こんなところに日本人なんて珍しいね」
そう言って天文学のお兄さんは
レスポンスをくれたばかりか、
僕にイチゴの差し入れまでしてくれた。
ほんとうにありがとうございます。
イチゴはあのあとマクドナルドで美味しくいただきました♪
ジャンベのおっちゃんとも最後に
セッションまがいのことをした。
おっちゃんも長年ジャンベを叩いているだけあって、
僕の演奏に合わせてくれる。
ギターで適当なコードを繰り返したり、
おなじみのカズーでファニーな音を合わせたり。
マーケットにいた観光客も
ニコニコしながらレスポンスをくれた。
そのレスポンス3分の1だけ頂戴して、
僕は引き上げることにした。
だいたい3時間くらいかな?
なかなかに楽しいバスキングだったね♪
いつものように
マクドナルドでコーヒーを注文し、
Wi-Fiにありつきながら作業ししていると、
先ほど僕にケバブをおごってくれた
カリムさんからFacebookの友達申請がきていた。
「今どこにいるんだい?早く連絡をおくれ!」
という粘着質なメッセージと共に、
ゲイのFacebookページへの
招待が届いていた。
うん。
やっぱ
あのおっちゃん
ゲイだったんか。
てかイスラエル、ゲイ多くね?
上がりは190シュケル(5,634yen)あった。
ありがたい。これで出国税は賄えた。
余談だが、イブラハムじいさんの
ピースハウスにあった情報ノートに
某有名ブロガーさんの書き込みがあり、
そこに日本人の宿泊客で
バスキングをしている男の子が出て来た。
彼は数時間で100ドルをかせぐらしい。
まぁ、実力があったら
もっと稼げるっつーことですね。
24時前にマクドナルドを閉め出され、
寝床に向かう途中、先日も見かけた
バイオリンとエレアコの2人組のバスカーの姿を見た。
ケースの中には僕なんかと比べ物にならないくらい
コインや紙幣が入っていた。
きっと彼らはこれで暮らしていけるだろう。
イスラエルでバスキングするヤツの気持が分かるよ。
ユダヤ教やイスラム教では
「貧しい物に施しを与えると、徳が積まれる」
という教えがあるらしい。
僕もバスキングをしていて時々、
無表情でコインを入れてくれる人を見た。
お国柄ということだろうな。
今日の寝床は前回と一緒の
オールド・シティーの東側にある公園のような場所だ。
連日ゲイや盗人に遭遇しているので、
同じ場所でも人が簡単には来れないような場所に
テントを立てた。
最近斜面にテントを立てることが多い。
寝にくいなぁと思いながらも、
いつの間にか眠りに落ちていた。
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この日記を書き始めるまでに4日かかりました。
はい。そうです沈没です。
っていうかATMからお金がおろせるようになるまで
なかなか大変でした…。
今日も読んでくれてありがとね。
どうだい?最近何か楽しいことあった?
あったら聞かせておくれ。
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