「旅人の楽園と黒歴史」

世界一周532日目(12/12)

 

 

回りの

エジプト人が
こぞって出口に並び始めた。

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アイマスクをして寝ていたので、
いつフェリーがエジプトに着いた分からない。

 

 

めちゃくちゃ遅れることで悪名高いヨルダン、
アカバを出発したフェリーは4:00AMに
エジプト、ヌエバに到着した。

 

 

 

 

乗る時は外国人が優先されたのに、
降りる時は一番最後だ。

フェリー内の席が埋まることはなかったし、
どちらかと言えば船から降りるのを
優先してほしかったよ…。

 

 

フェリーの出口で引換券をスタッフに渡し、
スタッフがフェリーターミナル内にある
イミグレーションまで案内してくれた。

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エジプト入国にはビザが要る。

緊急用に常備していた
アメリカドルから25ドル分支払った。

イミグレーションのスタッフは
どうにもケチくさいヤツで
100ドルで支払ったマサトさんが
お釣りのドルを手に入れるのには骨が折れた。

その後、スタッフの手直々に
パスポートにさっき取得したビザが張られる。

晴れてエジプト入国となったわけだ。
ここまでは難しくない。

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問題はここからだ。

僕たちの目的地はダハブ。
ここから車を使わなければ行けない距離だ。

もちろん外でタクシーを捕まえることはできるが、
忘れてはいけないのはここがエジプトだということだ。

 

 

詰めの甘い情報収集ばかりしている僕だが
(ほんの数日前までエジプトビザが必要なことを知らなかった)

タクシーの運転手たちが
相当ふっかけてくることは分かっていた。

親切なフェリーターミナルのスタッフが僕たちに
「6時半のバスでダハブまで行けるよ」
と情報を与えてくた。なんだ楽勝ではないか。

 

 

 

だが、僕はまだ気を緩めることができなかった。

僕はエジプトポンドを1ポンドももっていない

ヨルダンでATMからお金がおろせなかったため、
エジプトに賭けてきたのだ。

エジプトに賭けてきたのだ!

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僕はダッシュでATMへと向かった。

時刻は6時ジャスト。
あと30分でバスが来てしまう。

分かったことはどうやら
近くに3つもATMがあるということだった。

まさか国が変わっても
おろせないということはあるまい。

 

 

手に汗を握りながらATMにカードを差し込んだ。

暗証番号を入力してクレジット機能を選択する。

画面に表示された「2000」の文字をタップした。

 

 

 

 

 

沈黙。

 

 

 

 

 

「プーーーーッ…
引き出し限度額です」

 

 

おいおいマジかよ??!!

と、とりあえず次は金額を低くしてー…、

 

 

 

 

 

「プーーーーっっ…

引き出し限度額です」

 

 

 

 

うっそ~~~~っっっ??!!!

 

 

心なしかお腹が痛い。いやマジで痛い。

何度も同じATMでトライすると、
不正防止のため、カードがATMに
喰われてしまうことは

実体験から分かっていた。

 

 

金額をかえて三回トライして、
諦めるとまた別のATMへ。

だが、どこのATMも僕に
吐き捨ててくる文面は同じだった。

 

 

「Exceed(超過)」

 

 

この文字がずっしり僕にのしかかる。

と、とりあえず…
バスに乗らないと…!!!

 

 

 

 

 

こういう時に二人いるのはマジで助かる。

ひとまずダハブまでは
マサトさんにお金を借りる
ということでバスを探した。

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僕一人だったら、
またフェリーターミナルへ戻り、
なけなしのドルを換金して、
ここに戻ってこなければならなかっただろう。

たまたま通りかかったフェリーターミナルの
スタッフにバス乗り場を訊いて、
そこへ向かったのだが、バス乗り場は死んでいた。

停車した三台のバスはもぬけの殻。

薄暗い車内が何かの死を連想された。

近くの建物から眠そうなエジプト人が二人出て来て、
僕たちにジェスチャーを交えて発した言葉は

 

 

「バスはない」

ということだった。

 

 

なにっ??!!
テメェふざけんじゃねえぞ!

フェリーのスタッフは
こっからバスが出るって
言っとったんじゃぁぁあああ~~~!

当然のように騙してくるだなんて
太ぇ野郎だ!!!

 

 

僕一人なら、ここで
しばらくバスを待っていただろう。

だが、二人いることで正常な判断ができた。

本当にここへはバスは来ない。

どういうわけだか知らないけど。

 

 

 

 

仕方がないので、
タクシー乗り場付近に止まっている
乗り合いのバンに片っ端から声をかけてまわった。

隣りのトトロに出てくる
メイちゃんちのお引っ越しのように、
車の天井に荷物をてんこ盛りにしたバンが
ブルルンとエンジンをふかす。

 

「ダハブ?」
「いや、行かないね!」

「ダハブ?」
「カイロまで行くんだなぁ」

 

 

タクシーの運転手たちは
ニヤニヤしながら僕たちのことを見てくる。

試しに金額だけ訊くと、
「200」というのだ。

おいおい。200ポンドだって?
3千円以上するじゃねえか!!!

物価の低いエジプトに来たのに、
この値段はあんまりだ。

 

 

現にここから乗り合いバンに乗って
ダハブまで行った旅人もいる。
僕はそのことをブログで読んだ。

そして、タクシーの運転手と戦い過ぎた挙げ句、
回りに誰もいなくなり、
やむなくヒッチハイクに切り替え、結局失敗。
高い金を払ってダハブまで辿り着いた
旅人たちがいることも知っていた。

 

 

ここはタクシーに乗る以外に手はなさそうだ…。

 

 

 

 

ここから値段交渉に入る。

タクシーの運転手たちは、談合している。

言い値は200ポンド(3,211yen)。

ここからどこまで下げられるかが勝負だ。

帰るフリなどを駆使して
僕らが下げられた金額の限界は
130ポンド(2,169yen)だった。
一人千円ちょいか…。やむおえん!

 

 

 

 

軽トラの荷台にバックパックとギターを置いて、
真ん中に乗り来こんだ。

真ん中に座った僕の足に
走行中のマニュアル車のギアが
ガシガシぶつかった。狭い…!!!

 

 

運転手はダハという
28歳のエジプト人だった。

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頭にイスラム教徒の男性がするように、
スカーフを被り、巨大な黒いゴムの輪っか
みたいなのを乗せていた。

最初は適当なことを喋っていたダハだったが、

突然会話が止んだ。

 

 

朝方のハイウェイには
僕たち以外に車の姿はなかった。

車はスピードを出し、
車線なんて無視して車は走っている。

僕はマサトさんとの会話を中断し、

ふと横を見た。

 

 

ダハは目を閉じ、
頷くようにコクンと頭が前に動いた。

 

 

『こ、コイツ寝てる…!!!!』

 

 

 

「オイ!テメェ!
寝るな!殺す気か!」

「…ん??!!はは!
寝てない寝てない!」

「ウソつけ!
ぜってー寝てただろ!
高い金とってんだから
しっかり運転しろよ!」

「寝てないヨ~!
寝たフリ寝たフリ♪」

「ぜってー寝かせねえ…!!!」

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ダハを寝かせないようにするのが
僕の急務になった。

ダハは英語がそれなりに喋れたので、
ひたっすらに話しかける。
なんだか漫画かドラマに出てきそうな車内だった。

陽気な三人組が荒野を突っ走る。
そんなシーンだ。

そしてこの道は海へと通じている。

 

 

「なんだか
“ビーチ・ボーイズ”
みたいですよね?」

「はは!わかる~!
シミくんってどっちかっていうと、
反町がやってたキャラだよね」

「『だからさ、青春ってのはさ~!』
(反町隆史のマネ)

「what?」

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道路の脇に今しがた
交通事故を起こしたと思われる車両二台と、
運転手たちがいた。

怪我はしていなかったが、
フロントガラスがぺちゃんこになっていた。

危なかった…。
おれが気づかなかったら
今頃同じ目に遭ってたかもしれん…。

てかシートベルトないから前にぶっとんでたな…。

 

 

僕のエジプト人に対する印象はこうだ。

 

 

 

「お調子者」

 

まさにこの言葉に
体現されるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

海は

突然に現れた。

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まさかこんな荒野に
ビーチがあるなんて想像もしなかった。

ダハブ全体は
こじんまりとしたビーチの町のようだ。

 

 

 

とりあえず日本人に定評のある
Seven Heven」まで送ってもらった。

宿のスタッフが出迎えてくれ、
レセプションまで連れていってくれた。

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ちょ、みんなスマイル〜〜〜?

 

 

 

一気に空気がまどろんだ。

ここは旅人のパラダイスかもしれないと本気で思った。

宿のスタッフはここでの生活に染まっており、
先ほど港で会ったエジプト人たちとも
違った雰囲気をまとっていた。

 

 

宿のオーナーは僕のATMの
トラブルに対する対処法も教えてくれた。

エジプト銀行にクレジットカードと
パスポートを持って行けば、
ATMを使わずにお金がおろせるとこのこと。

そしてセブン・ヘヴンでは
クレジットカードの支払いができるとのことだった。

不安が大分軽くなった。

宿のスタッフに出されたコーヒーをすすりながら、
呑気にギターを弾いて時間を過ごした。

 

 

 

 

10時前になると、
ここでスキューバ・ダイビングのライセンスを
取るために授業を受けている楽しそうな旅人たちが
増え始めた。

スタッフに言われて、
ここに泊まっている日本人に挨拶をした。
そういう礼儀的なものも分かっているのに感心した。

 

 

 

ひとまずドミトリーに荷物を置き、
ダハブの町を探索することにした。

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ここには日本人宿と言っても差し支えない
日本人御用達の宿がふたつある。

ひとつは僕たちのいる「セブン・ヘヴン」。

もうひとつは橋を渡った所にある
ディープ・ブルー」だ。

 

 

面白いのは橋を渡った途端に
町が寂れるということだ。

朝だからお店が開いていないのだろうが、
あまりにも人がいなさすぎた。

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マサトさんと僕と、
トシさんというイケメン兄さんの三人で
“Friends”というカフェ・レストランに入った。

有名な飲み物らしい
マンゴージュースにマンゴー味のアイスが入った
「マンゴーマンゴー」を飲んだ。
15ポンド(250yen)。

そこそこするが、
宿代は20ポンド(337yen)なのだ。

ここの宿泊費は世界最安値だと思う。
インドより安いのではないだろうか?

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波の音を聞きながら、
不安をぬぐい去るようにマンゴーマンゴーを瞬殺した。

お金がおろせないことは死活問題だ。

ギャグのように
「僕の旅もここで終わりかぁ~」
と言ってマサトさんを笑わせた。

 

 

いや、一年五ヶ月も旅してきたのだ。
ここで終ってもいいのかもしれない。

いや、まだまだ行ってないところは沢山あるな。
やっぱまだ旅したいよ…。

 

 

店内には僕たちを除いて一人しか客がいなかった。

時間がとてもゆっくり流れる。
いつまで経ってもiPhoneの時刻は進まなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

昼寝

を挟んでカフェをあとにした。

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一人でダハブの町をプラプラと歩く。

オフシーズンのダハブは
町全体が眠ったようだ。

中学校の昼食の時間に教室以外が静まり返る。
あんな感じだ。

 

 

一部ではフリーマーケット
みたいなことが行われていたが、
あとはどこもそんな感じだった。

一通り、観光客が歩いて行くような
場所を回り切ってしまうと、
僕は何もすることがなくなってしまった。

 

 

 

というか

この町、なんもなくねぇ?

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ダイビングする以外に
どうやって24時間を使えばいいのだ?

お金のおろせない僕は
身動きが取れない。最悪だ。

 

 

いや、不幸中の幸いか。
ダハブでだったら一日千円以下で
暮らしてくことも可能だ。

もしかしてここに
沈没するようになっていたのかもしれない…。

 

 

 

 

レッスンを受けてフレッシュさを
振りまいている旅人たちを横目に
浦沢直樹の「ビリー・ザ・キッド」を読んだ。

 

 

なんだかー、ああいうの、苦手だな…。

 

 

大学一年の時に山形へ自動車の免許合宿に行き、
一週間は高校の同級生がいたが、
先に彼が卒業してしまうと、
残りの一週間は誰とも喋らずにひったすらに
本を読んでいたのを思い出した。

いわば”黒歴史”だ。

 

 

既存のグループに入るのは難しい。

まぁ、今のおれなら無理する必要も
無いことは分かっている。
合わない人とは合わないのだ。

ただ、僕と同じように感じている人が
この宿にはいるらしい。

 

 

既にライセンスを持っており、
大人なマサトさんと
ここに泊まっているヒサヨさん
僕をごはんに誘ってくれた。

25ポンド(417yen)で食べたディナーで
出て来た白身魚のフライはとろけるように美味しかった。

声かけてくれてありがとうございます。

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みんなが各々の部屋に引き上げた後、
僕は外でギターを弾いた。

昼間はあんなに賑やかだったのに、
他の人はどこへ行ってしまったのだろう?

 

 

「そんなところでギター
なんて弾いてないで上に来ませんか?」

 

 

そう誘ってくれたのは
ここに泊まっている
元美容師のアグリさんという方だった。

いやはやこうい誘いは本当にありがたい。

 

 

 

『これで突破口が見つかったぞ!』

と、他の宿泊客が集まる
屋上のテラスで開催されていたのは

 

 

怪談。

 

 

 

アベマリアのバックミュージックに
スピリチュアルな話と怖い話が飛び交う。

 

 

あれ?

なんかさっきからゾクゾクするんだけど…。

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中でも坂本九が事故死した御巣鷹山の話はマジで怖かったです。
アグリさん曰く、「あんなのジャブ♪」と言ってらっしゃいましたが…、

でもねぇ~、なんでだろ?
なんで怪談って聞きたくなるんだろ?

誰かゾワゾワさせてください(笑)

 
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