「34円にキレるおれは…」

世界一周569日目(1/18)

 

 

深夜三時

にアラームが鳴った。

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隣りのベッドのタカヒロくんが
モソモソと動き始めたのがわかった。

 

 

「じゃあ起きますか…」

 

 

僕はタカヒロくんに
気を遣わせないようにそう言った。

タカヒロくんは軽装になり、
ツアーの準備をしている横で、
僕は首にブランケットを巻いてサブバッグを持った。

そのまま部屋の鍵をしめてレセプションに移動する。

 

 

 

 

ここはエジプト、アスワン

昨日たまたまルームシェアをすることになった
タカヒロくんはこれからツアーに出発する。

 

 

 

僕も誰もいない深夜の時間の方が
作業もはかどるだろうと、
タカヒロくんと一日分だけ生活リズムを合わせた。

それにしても、
タカヒロくんはこれからアブシンベルという遺跡へ
ツアーで参加するんだけど、
その集合時間が深夜3時半ってのは
どういう意味なんだろう?

片道三時間かかるとしても早過ぎっしょ。

朝日見に行くくらいの気合いの入れ様だ…。

 

 

タカヒロくんの他に、
カイロ大学でアラビア語の語学留学をしているという
京都大学生と中国人のカップルが他のツアー参加者だった。

僕は彼らを見送った後、
レセプション前のソファに座って
パソコンのキーボードを叩いた。

tua- ni

「行ってきま〜〜〜す」

 

 

 

 

 

7時半になると僕は宿を出た。

アスワンに来た目的はスーダンビザを取ることだ

ったく、
イスラムの休日で大使館が休みだか
なんだか知らねーけど、
おかげでかなりグダグダしちまったよ。

ウダウダしてたのは自分の責任でもあるんだけどさ。

 

 

 

ちょっと、スーダンビザの話をしたいんだけど、

パスポート番付で世界第五位くらいに便利、
ノービザで行ける日本のパスポートだけど、
やっぱりビザスを取らなくちゃ入国できない国がある。
スーダンがその国のひとつだ。

スーダンビザはカイロで取ると100ドルなんだけど、
ここアスワンで取ると50ドル。

だから僕はここに来たってわけ。

昨日は土曜日だから前乗りしたんだよね。

 

 

だけど、
注意しておかなきゃいけないのが、
ここの大使館がイスラエルの入国に厳しいってこと。

スーダンはイスラム教を信奉する国。

イスラム教のイザコザでパスポートに
イスラエルのスタンプがあったり、

イスラエルとエジプトの国境の町、
エイラットからの入国スタンプがあっても、
ビザの申請が受け付けてもらえない場合もあるそうだ。

 

 

そう。

こういう事態に備えて、
僕はヨルダンのキングフセイン橋っていう
非公式の国境からイスラエルに入国したんだね。

はてさて、
それもバレたらおしまいなんだけどさ、
とりあえず行ってみようじゃないの!スーダンビザ!

 

 

 

 

 

親切

な方のブログを頼りに、
スクリーンショットで行き先が書かれたメモ調を
ナイル川沿いで待機している
ミニバス乗り場の運転手に見せると

「ああ、ここか!」という風に
僕の乗るべきバスを一発で教えてくれた。

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バスの運転手に行き先を確認して、
なんなら他の乗客にも行き先を確認するという
徹底っぷり。

乗客のおっちゃんは
「ここなら途中まで行くから分かるよ」
と僕を安心させてくれた。

値段は1ポンド(17yen)。

 

 

 

 

スーダン大使館があるラドンモスク前までは
10分ちょっとの距離だった。

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こういう時に情報系ブログには助けられる。

目印となるモスクの向こうに
スーダンの国旗と思われる旗が
風にそよいでいるのが見えた。

時刻は8時前。

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入り口を確認して、
そこに張ってあるビザ申請者向けの英語の表記を読んだ。

 

 

 

 

 

「毎週水曜日は休業日です」

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って、
おめぇぇぇええええええ!!!!

 

 

誰だチキショーーーー!!!!

「金曜、土曜はイスラムの休日で大使館が休みです」

って言ったヤツはよぉぉぉおおお???

4日間も無駄にルクソールで沈没したおれが
馬鹿みてぇじゃねえかっっっ!!!

 

 

 

僕はこの情報を流してきた
名前も顔も知らない誰かを罵った。

ちゃんと情報収集しておけば…。

て言っても後の祭りか…。

 

 

ビザの申請の受付が開始されるのは8時から。
時刻は7時45分。

外で寒さに震えていると、
大使館の職員が「中で待っていてもいいよ」と
僕をオフィスで待たせてくれた。

話に聞いていた通り、
スーダン人は優しいのかもしれない。

 

 

部屋の中にはプラスチックの椅子が8台ほど並べられており、
小さなストーブが部屋を暖めていた。
既に僕以外に一人、受付を待ってる。

しばらくすると、もう何人かやって来て、
待っている僕らに紅茶が振る舞われた。

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8時

を過ぎても受付は開始されなかった。

そこから30分過ぎて僕は近くにいたスタッフに
「いつビザの申請ができるのか?」と尋ねた。

「あぁ、ボスが10時に来るからね。それからだよ」

 

 

 

って、
スーダン!

 

 

張り紙に「8時」って
書いてあんじゃねえかっ??!!

バカにしてんのか??!!

 

 

僕は腕組をしながらストーブに
一番近い席に座って暖をりながらウトウトしていた。

 

 

 

そして時間が過ぎ、9時半になった。

カイロやルクソールで何度か会った
日本人の三人組がやって来たタイミングで
僕たちは二階の部屋に呼ばれた。

 

 

「じゃあ、おれ、先に並んでたからさ!」

 

 

といの一番に二階に駆け上がっていった僕だったが、
二階にも同じ様な待ち合いスペースがあり、
もうなんのために一番下の部屋で待たされたのか分からない!

っていうかビザの申請用紙はいつもらえるんだ?

さっきからそれを訊いているんだけど、
スタッフは適当なことしか言わない!

 

 

どうやら奥の部屋にボスとやらがいるみたいだった。

呼ばれる前に自分でその部屋まで行き、
中学学校の優等生が職員室に入るみたいに
行儀正しくボスとやらに謁見した。

申請用紙をもらう前に直球ドストレートで質問されたのが。

 

 

「イスラエルに行ったか?」

という質問だった。

 

 

僕はポーカーフェイスが苦手だから、
ちょっと顔に出てしまったかもしれないが、
「いいえ」と言うと、
ボスはパラパラとパスポートを確認して
僕に申請用紙をよこした。

それに記入して、再度申請用紙を提出した。

ビザの受け取り日は粘っても二日後だった。

中には「もう時間がない!」と言い訳して
翌日発給してもらう旅人もいるみたいだが、
僕たち全員が翌々日の受け渡しだった。

そのまま、僕は同じくビザの申請に来ていた
韓国人のチョヌンというお兄さんと
バスに乗って宿のある場所まで帰った。

もうこんな場所、とっととおさらばしたかった。

 

 

バスの中ではどこをまわってきただの、
アスワンではどこに泊まっているだの話した。

お兄さんは
「アブシンベルのツアー参加で一泊40ポンド」
という条件付きで他のホテルに泊まっているらしい。

僕がルームシェアで25ポンド、
Wi-Fiつきの宿に泊まっていると言うと、
かなり落ち込んでいた。

ドンマイ。そういう時もあるさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チョヌン

と別れると、
僕はレセプションのスタッフに
「タカヒロくんは戻ってきているか?」と尋ねた。

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僕は鍵をレセプションに返さずに
ビザの申請に行ってしまったため、
タカヒロくんがツアーから戻って来たら
部屋に入れないことになってしまっていた。

だが幸い、まだ彼はツアーから戻ってきてなかった。

 

 

これがまた変なツアーなのだ。

朝三時半にアブシンベルに行き、
一旦宿まで戻って再びアスワンハイダムへと出発するという。
そのまま直接行けばいいのに…。

鍵をレセプションに返すと、僕は近くのカフェにでかけた。

テーブルの高さを確認してシーシャを頼んだ。

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カフェのオーナーと思わしきエジプト人は
僕と同じテーブルに着くと色々と質問をしてきた。

日本のどこに住んでいるかだの、仕事は何をしているだの。

その質問に僕は適当に応えておいた。

 

 

彼はカフェの向かいにあるお土産屋さんも
経営しているらしかった。

お土産屋さんの前を欧米人のツーリストが通過すると、
席を立ち、かなり腰を低くして
「マダム、これはいかがです?」と訊く。

僕たち日本人に対する対応とはまるで大違いだ。

日本的な敬語じゃなくても、
欧米人相手にはへりくだっていることが
端から見ていてよく分かった。

 

 

僕は彼に、そんなエジプトの観光地だったら
どこででも手に入るようなお土産ではなくて、
オリジナル商品を作ったほうが売れると思うぜ?
とアドバイスをやったが、
彼は特に僕の意見には耳を傾けてはいないようだった。

 

 

「そろそろテーブルを一人で使いたいんだけど」
と言ってオーナーには退席してもらった。

テーブルにノートを広げていつものように漫画を描いた。

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2時間くらい絵を描いていると、
店員でもなんでもないただのおせっかい親父がやって来て
「ここはそんなことをする場所じゃない」と注意してきた。

 

 

「追加注文するか、さもなくば去れ!」

 

 

カフェはさっきよりかは客が入ってきたとは言え、
まだまだ空いている席がある。

まぁ、僕がいてもお店の利益にはならないけど、
こういうのを止めさせてしまうのはどういうことなんだろう?

僕は自分本位でしか考えないので、
『あぁ、こうやって変に利益を上げることしか考えないから
この国はウザイだのバカだの言われてしまうんだろうな』
と考えた。

 

 

 

 

作業をする上で、
発展途上国ではカフェに行かなければならない。

ヨーロッパでマクドナルドみたいに作業できる場所はない。

先進国の全集合には含まれない国を訪れた時に
いつも思うのが

「勉強をする机がない」

ということだ。

 

 

一般レベルでは勉強なんてしなくていいですよ
ということなのかもしれない。
その方が国にとって都合のいい場合もある。

カフェを追い出されてそんなことを思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宿に

戻るとタカヒロくんが戻って来ていた。

 

 

「どうだった?アブシンベル?」

「いや~~…、
アブシンベルはよかったっすけど、
アスワンハイダムの方は微妙でした。
ぶっちゃけ行かなくてもよかったかもしれません」

 

 

ツアーの料金には入場料が含まれていないばかりか、
アスワンハイダムに至っては
ほとんど見る時間が設けられていなかったという。

そこまで行く時間だけが長くかかった。
これくらいのツアーなら2500円も
しなくてよかったかもしれない。

タカヒロくんは疲れたそうにそう言っていた。

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アスワンにもお土産屋さんはあります。

 

 

 

 

しばらくして

僕は夕食にでかけた。

宿を出て右に曲がり、
目の前メインストリートに出てすぐのところで
サンドイッチが売られていた。

前回ここでセットメニューの値段を
タカヒロくんと一緒に訊いた時は
二倍の値段でふっかけてきたことを思い出した。

屋台ファラフェルが揚げられ、
手際よく店員のおっちゃんがサンドイッチを作っている。

地元の人間も7人くらい並んでいた。

 

 

僕は近くにいたスカーフを
被った女のコたちに値段を確認してみた。

女のコたちは英語がほとんど分からなかったが、
サンドイッチがひとつ1.5ポンドということは分かった。

意思疎通に不安があった僕は何度も
回りにいる地元の人たちに値段を確認した。

間違いない。サンドイッチひとつで1.5ポンドだ。

 

 

10分以上待ってようやく自分の番がまわってきた。

値段を確認して2個注文した。

そのタイミングで作業をする店員が変わった。

昨日ふっかけてきたヤツだ。

 

 

僕は何度も値段を確認した。

そして僕は5ポンド札を支払った。

渡されたサンドイッチはひとつ。

 

 

 

「ほら5ポンドだ」

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上のクソ親父に変わって打楽器の達人が
この雰囲気をマイルドなもの変えてくれるでしょう。

 

 

 

目の前のクソオヤジがヘラヘラしながら言った。

 

「おいおい。ちょっと待ってよ。
何回も確認したんだ。
一個1.5ポンドだろう?あとひとつくれよ」

「ほらよ」

 

 

包み紙にファラフェル二個をそえるオヤジ。

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(プチッ!)

 

 

 

 

 

 

「ふざけんなよ!ワン・アンド・ハーフだろぉぉぉぉがよぉぉぉおおおおお!!!!!あとひとつよこせつってんだろおがぁあああああああ!!!」

 

 

「は?」

「ああ、いいよ!
じゃあこのファラフェルもらってくぞ!」

 

 

僕は目の前に積まれたファラフェルを素手で掴んだ。

オヤジは汚れた手で僕の腕を掴みそれを阻止する。

 

 

「あぁ???じゃあサンドイッチもうひとつよこせや!」

オヤジは僕の手からサンドイッチをひったくり、
5ポンドを投げ返してきた。

ざけてんじゃねえぞ!テメェ!

 

 

 

外の席で食事をしていたエジプト人たちに
自分の正当性を主張したが、
アイツら、ニヤニヤしてるばっかで何もしやしない!

そんな風に揉めていると、
話の分かりそうな店のじいさんが出て来た。

僕もいくらか頭に血が上っていたので、
じいさんの服を軽く掴んでしまった。

英語の喋れるじいさんは
「ドントタッチ・ミー!」と言って僕の手を払いのけた。

僕が自分の良い分を主張すると、
じいさんはその場を収めるために、
サンドイッチを二つとファラフェル二つをよこして
「もうこれでいいだろ?さっさと行きな」と促した。

 

 

 

 

 

僕は溜飲が下げられないまま、
渡された食べ物を2分で胃袋に押し込んだ。
ちっとも美味しく感じなかった。

近くを一周し、行きつけのカフェでシーシャを注文した。

こいう時に限ってシーシャはなかなか出て来なかった。

 

 

このお店にはこれで三度目か四度目の来店なので、
スタッフが僕に声をかけてきた。

僕はそこら辺で売られている
サンドイッチの値段を確認したが、
せいぜい1~2ポンドとのことだった。
トッピングで値段も上下するけどね。と言っていたが、
いくらなんでもあれが5ポンドするわけない。

 

 

自分を肯定化する一方で、

 

 

『たかだか差額の2ポンド、
34円にキレた僕ってどうなの?』

 

 

と思った。

 

 

 

 

いや、僕は34円という金額にキレたんじゃない。

 

 

アイツの態度が許せなかったのだ。

 

 

もし仮に、僕がこの町に来たばかりで、
サンドイッチの値段も知らずに
5ポンド払ったならよしとしよう。
その値段で自分が了承したということだから。

だけど、僕は何度も値段を確認したのにも関わらず、
直前でヤツはあからさまに僕にふっかけてきた。

いやいや、知っているよ?ほんとうの値段を。
という僕の言い分を一切無視して。

 

 

それでも、いつも「心の豊かさ」だとか
言っている自分からしてみると、

あの場は「ああ、そうかいじゃあ買わねえよ」
とすんなり5ポンド返してもらって、
あの場を後にするのがベターだったのだ。

アイツは僕に正規の値段で売りたくなかったのだから。

 

 

 

 

宿に戻ると、シーシャを吸ったせいもあり、
体がホワホワしていたので、
そのまま電気も消さずにベッドに倒れ込んだ。

何度か目を覚まし、
横目でタカヒロくんがベットの上で
「沈まぬ太陽」を熟読しているのを見たが、
すぐにまた目を閉じた。

 

 

 

 

そりゃ僕だって、怒りをぶちまけたい時だってあるさ。

 

 

今回はちょっとばかし、
つまらないことに対してだったけれども…。

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まーーーー、旅をしていると、こういうこともありますよね。

いつもは違いますよ。
ユーモアの精神を持って、その場をしなやかにかわします…。

なんでだろうね?

自分でもなんであんなに怒ったのか分からないよ。
獅子座流星群が流れたり、皆既日食が起こるように、
僕も怒る時があるんだよ。

 

 

その頻度はいくらか高いけどさ。

 

 

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「34円にキレるおれは…」” への2件のコメント

  1. お金の問題じゃないんですよね( ⊙‿⊙)
    ((o(‾◡◝*)ハートですよね(* ◜◡‾)o))

    • >あっきーさん

      ハートですか…。

      ハートがあったら、僕もキレなかったことでしょう(笑)

      最近禁煙始めたので
      きっとそのせいもあると思います。

      あれ?時系列がおかしい?

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