「国境からの長い旅路」

世界一周575日目(1/24)

 

 

6時半

になると僕のまわりにいる人間たちは
それぞれ支度を始めた。

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僕が昨日寝られたのは冷え込んできて
ベッドバグの活動が収まった4時過ぎだったと思う。

ということは2時間くらいしか眠れてない…。

ベッドから体を起こして、
昨日虫に刺された箇所を見るとポツポツと赤い痕が残っていた。

特に昨日ベルトを緩めて半ケツ状態で寝ていた
ので腰がひどかった。

 

 

僕を刺したのが蚊なのか、南京虫なのか、
ただのダニだかシラミだかは分からない。

聞くところによると、
南京虫は刺された場合いつまでも痕が残り、
そして長い間痒みを伴うらしい。

だが今のところ僕はそのような症状にかかったことはなかった。

まぁ…、
フツーのダニとかなんだろうけどさ

それでもやっぱり痒い…。

 

 

 

ここはスーダン、国境の町ガラバート
もうエチオピアは目の前だ

 

 

 

 

僕は「外国人登録」をしなかった。

スーダンを訪れる外国人全てに適用される制度なのか、
それとも72時間以内にこの国を抜ければ
問題ないのかイマイチ分からなかった。

そもそも50ドルもするビザを買わせておきながら、
さらに40ドル分の登録料がかかることに納得ができなかった。

もしこれが義務づけられていて、
入国の際に書類でチェックさせられることがあるのであれば、
僕は外国人登録をしたであろう。

 

 

 

だが、この制度の曖昧さがどうも気になった。

エジプトのスーダン大使館で会った欧米人たちの
ほとんどはこのシステムを知らなかった。

律儀に40ドル分の登録料を支払っているのは
日本人と韓国人だけのように思えた。

日付的には本日が入国から4日目ということになるが、
入国してからという意味ではあと4時間くら僕に残されている。

さて、一体どうなることやら。

 

 

歯磨きしている時に気になったのは、
同じ宿に泊まっていた人たちが、クソ悪いレートにも関わらず
スーダン・ポンドをエチオピア・ブルに
両替していたということだった。

もしかしたらエチオピア側のもレートは
もっと悪いのかもしれない。

それでも、僕は手持ちのスーダン・ポンド4千円分を
両替せずに持っている。エチオピア側の方が
良いレートだった時のたえめだ。リスク分散とも言える。

近くで朝ご飯代わりの
揚げパンとミルクティーを食べて荷物をまとめた。

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イミグレーションの業務が開始されたのは8時からだった。

首にマフラーを巻いたエチオピア人の内股の男の子
が僕に付き添ってくれた。

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ずんぐりした体系で僕より大きいのに内股な姿は、
中学校の卓球部時代のひとつ下の後輩、コテラくん
を思い出させた。

そんなコテラくんの後について、
パスポートのチェック、出国審査へと進んで行った。

 

 

朝の時間帯ということもあったが、
スーダン側のイミグレーションは電気がついておらず、
薄暗かっく、床には紙類が散乱しており、
掃除のおばさんがそれを箒でかき集めていた。

朝一番ということもあり、
僕たちふたりの他にここに並んでいる人間はいなかった。

ここまで一緒のバスに乗って来た他の乗客たちは
どこへ行ってしまったのだろうか?

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これがスーダン側のイミグレ。

 

 

 

コテラくんはすぐに出国審査を終え、僕の順番が回ってきた。

僕はイミグレーションの職員に窓口からパスポートを渡した。

職員はパラパラとパスポートのページをめくった。

ビザをちらりと確認したが、表情は変わらなかった。

 

 

 

僕は職員のおじさんがそうやっている間、
ヘラヘラと笑みを浮かべていた。

そんなことしたてたってバレる時にはバレてしまうだろう。

むしろ胡散臭さを助長したかもしれない。

ただ僕はこういう嘘のようなものを突き通す時に
ヘラヘラと笑ってしまうのだ。

身の潔白を証明するかのように。

 

 

おじさんは顔写真の載ったパスポートの2ページ目をめくると、
チラリと実物を確認し、スタンプにインクを付けた。

日付の調整することのできるやつだ。

 

 

おじさんはグッ、グッと力を込めて
ビザのシールの上に出国スタンプを押した。

出国のスタンプを手に入れた僕はそのまま歩いて国境を渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実に

あっけない出国審査だった。

 

 

スーダンを砂漠とするなら、
エチオピアはどこか森かジャングルといった印象を受けた。

国境を越えただけで、砂っぽい国から、
草木が生えたような感じだ。

エチオピア側のイミグレーションで
バーコードリーダーのような機械を額に当てられ、
エボラ出血熱の検査が行われた。

今は大分落ち着いているはずだ。

検査もバーコードを読み取るくらいの時間しかかからなかった。

 

 

入国審査でパスポートを提出して、
両手の指紋を全て記憶された。

滞在期間や目的、行き先など簡単な質問をされ、
今度はパスポートに入国スタンプが押された。

 

 

 

世界一周41カ国目。
エチオピアに僕はやって来たわけだ。

 

 

 

いつの間にか、
コテラくんの知り合いのようなおっちゃんが
僕たちの先頭を道先案内人のように歩いていた。

そしてなぜか僕のギターを持ってくれていた。

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ひとまずその案内人を

“ミッチー(道先案内人)”

と呼ぼう。

 

 

ミッチーはそれなりに英語が喋れた。

「こっちだこっちだ!」と僕たちを
荷物検査の場所まで連れて行く。

荷物を検査を終えると僕たちは
国境の町、メテマへと入ってった。

 

 

「あのさ、僕両替したいんだけど」

「ならここだ」

 

 

ミッチーに連れていかれたのは
どこにでもある携帯電話や周辺部品を扱うお店だった。

そしてレートは泣きたくなるほど悪かった。

できることならもう一度スーダン側に戻って
両替したいと僕は後悔した。

 

 

ミッチーは
「ここはブラックマーケットだからしょうないんだ」
と言った。

一応僕は昨日両替した手持ちの
エチオピア・ブルは4千円くらいあった。

 

 

 

 

「で、どうするんだ?」

 

 

こういう時に世話を焼いているんだか、
あとからチップを請求することが目的なのか分からないけど、
つきまとってくる人間は煩わしい。

自分のペースで行動できなくなるのが僕は嫌だ。

 

 

「とりあえず、
バスでアディスアベバまで行くよ。
バスターミナルは?」

「そうか!それなら!トゥクトゥクだ!」

 

 

ミッチーはすぐに近くを流していた
トゥクトゥクを呼び止めた。

中からは運転手としては珍しい女性ドライバーが出て来た。
短髪でつばが平たいキャップを被っていた。

 

 

 

 

 

バスターミナルは2km先だった。

そして値段はブル50ブル(291yen)。

なんだか地味に高くないか?

 

 

町も見てみたかったので
「2kmくらいだったら歩いていくよ」と言うと、
ミッチーは「歩くのは遠いぞ!」と食い下がってきた。

 

 

なぜ僕のペースで行かせてくれないのだろう?

ミッチーになにか不都合があるに違いない。

だが僕の疑う気持とはよそに、
一緒にいたコテラくんは既にトゥクトゥクに乗っていた。

 

 

二人でシェアするならいいかと、
僕も諦めてトゥクトゥクに乗った。

そしてここでもなぜかミッチーも乗りこんできた。

ぎゅうぎゅう詰めのトゥクトゥクはメテマの町を走った。

 

 

 

 

バスターミナルについて分かったことは、
今日はアディスアベバ行きのバスはないということだった。

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明日の朝の便しかないと言うのだ。

そんなことよりも、
僕はこの腹に一物を抱えた世話焼きオヤジが
うざったくて仕方が無かった。

どうにかしてミッチーの呪縛から逃れたかった。

って言ってもまだ15分も一緒にいないけど。

 

 

ターミナル周辺にも闇両替をしている男たちがいた。

念のために彼らにも
スーダン・ポンドの両替のレートを訊いてみたのだが、
人によってレートが異なっていた。

どうせならさっきの場所で
ちゃんと聞いてまわったほうがよかったのだ。

それなのに、このオヤジが僕をせかすもんだから…。

 

 

 

僕はこのあとどうしようか考えた。

この町に滞在するのはあまり面白くなさそうだった。

首都までは行けなくてもいいから、少しでも前に進みたかった。

近くのバスのスタッフたちと話をしているうちに、
隣町までならミニバスがまもなく出発するということが分かった。

 

 

僕はクソ悪いレートで手持ちのスーダン・ポンドを
全てエチオピア・ブルに替えた。

これでトータル3500円くらいの損だった。

僕がレートのあまりの悪さに抗議すると、
「へへへへ。これはブラックマーケットだからな」
とやけに”ブラックマーケット”という単語を強調した。

くそう。足下見やがって!

 

 

アメリカ・ドルを両替した際に6000円の利益が出ていたから、
2500円は余分に持てたと考えよう。損はしてないんだ。

もともとそんなお金存在しなかったんだ。

僕はそう割り切ることでなんとか溜飲を下げた。

 

 

 

 

半ばコテラくんとミッチーの二人を振り切るようにして、
僕はミニバンに乗り込んだ。

シェディという名の隣り町まで30ブル(175yen)だったが、
荷物を預けるのに、運転手は余計に30ポンド請求してきた。

 

 

そんなバカな話があるもんか!

なんで荷物を車の上に乗せるのに、
乗車賃と同じ金を払わないといけないんだ?!

 

 

僕は「そんな馬鹿な話があるんですか?」と
乗客に身振り手振りで共感を求めたのだが、
ローカルの住人たちは「英語なんてわからんぞな」
と首をかしげただけだった。

集金係の方は「もうバスが出る!早くしろ!」と僕を急かし、
結局僕は10ブルしか値切ることができなかった。

 

 

 

 

 

「あ、これお前のだろ?」

 

 

バスがターミナルを出る直前に誰かから手渡されたのは
靴磨きのクリームだった。

僕が革靴を磨くのためにダハブで買ったものだ。

きっとミニバスの上にバックパックを乗せる際に
ボトルホルダーから落ちたのだろう。

 

 

 

「あ、ありがと」

 

 

僕はそれを受け取ったが、
すぐに別の男がミニバスの前方に立ちバスの行く手を遮った。

そして僕に向かってなにやらわめき始めた。

 

 

英語の話せる積み荷係がやって来て僕に言った一言は
それをコイツに返せ」ということだった。

 

 

「は?」

「それはコイツのだと言ってるぞ!
それがあんたのだという証拠はあるのか?」

 

 

僕はギャグのような一瞬の出来事に思わず笑ってしまった。

虚偽申告をして来た男の足下を一応確認してみたのだが、
彼が履いていたのはごく普通のスニーカーだった。

これは革靴を磨くためのクリームなんだぞと説明して
事態は収まった。

 

 

ミニバンが走りだす際、僕から靴磨きクリームを
くすねようとした男と野次馬たちがバスターミナルの外では
集まって揉めているのが見えた。

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これがこの先も続くかもしれないと思うとうんざりした気持になった。

馬鹿らしいにもほどがある。
ここは早急に切り抜けて正解だった。

心からそう思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

ミニバス

は30分くらいで隣町のシェディに到着した。

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シェディのバスターミナルに降りると、
バスの運転手たちが行き先を告げて僕を車に乗せようとした。

僕は今日はこのまま行けるところまで行ってみようと考えた。

車の中から見るエチオピアの景色が楽しかったからだ。

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エジプトでは一カ所に長くいるような旅を続けていたため、
何度か旅がつまらなく感じてしまう停滞感を味わったが、
移動をしていると旅をしていると感じる気持は強くなる。

最近そのことをまた思い出した。

 

 

「ゴンダールまでいくらかな?」

「200ブル(1,160yen)だ」

「ははは。じゃあ乗らないわ」

 

 

先ほど国境の町、
メテマのバスターミナルで訊いた値段によると、
メテマから首都のアディスアベバに行くには
350ブル(2,029yen)で行けると言うのだ。

その途中の町のゴンダールまで行くのに
そんな値段がかかるわけない。

そもそも、ここまで荷物代を入れなければ
30ブルで来られたのだから。

正規の地元価格を知りたい時には、
やはり地元の人間に訊くのが一番だと思う。

 

 

 

バスターミナルで待っていたおっちゃんに手の甲に
ボールペンで行き先と値段を書いて訊いてみた。

おっちゃんの行き先も僕と同じゴンダールだった。

案の定ミニバスの値段は65ブル(377yen)と安く、
おまけに荷物を預けるのにお金は
かからないということだった。

やはりさっきはボラれていたのだ。
まぁ20ブル(116yen)くらいだったら目を瞑ろう。

 

 

とりあえず、ボって来なさそうな
運転手のミニバンに僕とおっちゃんは乗り込んだ。

ミニバンの運転手はプルオーバーのパーカの下に
それよりも長いTシャツを来て、
スリムジーンズを履いている背の高い兄さんだった。

キャップを被っていたが、
それをはずすと後頭部にふたつ大きな円形のハゲが見えた。

そのハゲはあまりにも綺麗な円形で、
最初はお洒落か何かだと思ったくらいだ。

 

 

 

 

 

僕とおっちゃんは最前列に行儀よく詰めて座った。

車内は太陽に照りつけられた暑かった。
じっとしていると汗をかいた。

 

 

ミニバンはなかなか出発しなかった。

見ていて分かったのだが、
バスターミナル内で客の取り合いが行われていた。

ミニバスの運転手たちはどこか別の町から
ローカルバスがやってくるとそれに群がり、
次の目的地へ行く人間に声をかける。

そしてミニバンは店員に満たないと
出発しないということが分かった。

 

 

僕は車の中からそんなシェディの
バスターミナルの風景を眺めていた。

時々「チャイナ!」と声をかけられたが、
ここでの「チャイナ!」の呼びかけには
そこまで嘲りだとかからかいの印象は受けなかった。

ただ単に、アフリカにやって来たアジア人
(彼らは中国人だと思っている)が珍しがっている様子だ。

僕が「よっす!」と明るく声を返すと、ウケた。

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ミニバスの値段を教えてくれたおっちゃん。良い笑顔してるね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シェディ

のバスターミナルで待つこと40分だかそこら。

やっとミニバンはゴンダール方面に向かう人間で埋まり、
車はようやく重い腰を上げた。

 

 

町を出る時は爽快感さえ味わえた。

別の町から別の町へ。新しい景色に新しい人間。

町の外には緑豊かが自然だったり、
砂っぽい荒れ地があったり、ポツポツと人家があった。

 

 

途中の町のいくつかではマーケットが開催されていた。

町の空き地に多くのエチオピア人が集まり、
お金はなさそうでも、活気はあった。

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車が一時間ほど走ったところで検問があった。

こんなクソ暑いのに水色の長袖シャツに黒いパンツ、
帽子を被った警官が道路脇で「止まれ」と手を挙げた。

中にいる乗客をチェックするような仕草をし、
運転手の兄さんが呼ばれた。

僕は隣りにいたおっちゃんにどうしたのだと訊いた。

 

 

「ああ、定員オーバーだよ。罰金さ」

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その横を明らかに同じくらいの乗車率のミニバンが
どんどん通過していく。

こればかりは御愁傷様としか言えない。

僕も何度か似た様なことを経験してきたから分かるよ。

その貧乏くじを引いてしまった時のあの

『なんでおれが…?』

っていうがっかりした気持とかね。

 

 

運転手の兄さんは罰金を払い、
何か紙切れを持って車に戻って来た。

そして車はまたドライブを再会した。

 

 

 

 

突然兄さんから
「イヤホンを持っていたらくれ」
という要求があった。

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レックスくんも気持がよさそう!
やっぱ移動すると旅してるって気分になるよね!

 

 

 

そう言えばスーダンを移動してる時に
300円くらいで買ったサムソンのイヤホンがあったな。

失くしたと思っていた今まで使っていた
イヤホンが見つかったので、
僕は新しく買った方を兄さんにプレゼントしてあげた。

これあげるから機嫌直しなというメッセージを混めて。

イヤホンを受け取った兄さんはお礼の一言も言わなかった。
ただ黙ってそれをダッシュボードの中に入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひたすら

エチオピアの道路を走ること4時間。

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ミニバンはゴンダールの手前の町で止まった。

そのまま別のミニバンに乗り換えて
僕はゴンダールへと向かった。

 

 

ゴンダールの中心に近づくにつれ
「CAFE」だとか「HOTEL」の文字を見るようになった。

 

 

 

この町はどんな町なんだろう?

 

 

 

初めての町だと、どこかドキドキする。

 

 

『なんとかなる』

とそう自分に言い聞かせる。

 

 

 

ゴンダールに着くと客引きのガキんちょが
僕に声をかけてきたが、僕はそれを断って一人で宿を探した。

だが、ゴンダールの町に宿はあれども、
その半数以上は10ドル以上のものだった。

先ほどミニバスを降りた時に声をかけてきた
子供と再会したので、彼の言うホテルへと行ってみることにした。

 

 

 

 

キララ・ホテルはそこそこの規模のホテルだった。

値段も150ブル(870yen)と他の宿に比べたら安い方だった。

 

 

とりあえずシングルルームにチェックインした。

僕をここまで連れて来た彼の名前はヘノックと言った。

僕がアディスアベバ行きのバスチケットを
買いに行きたいのだと言うと案内役を買って出てくれた。

もしかしたらエチオピア人は優しいのかもしれないなぁ。

ただ、チップが欲しいのであれば、僕は払わないよ。
自分で行けるからね。と釘を刺しておいた。

まぁ、道なんて訊けば大概なんとかなるからね。

 

 

 

 

 

 

ヘノック

は16歳だと言う

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その割にはそこそこに英語が喋れた。

僕はバスターミナルまでの道すがら
写真を撮ってのんびりと歩いた。

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町の中心地から外れると、そこにはローカルな路地が沢山ある。

だんだんとエチオピアというものに僕は慣れていった。

 

 

バスターミナルはホテルから歩いて
20分の距離のところにあった。

翌日、朝イチのアディスアベバ行きのチケットで
240ブル(1,391yen)。まぁそんなもんだろう。

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ヘノックにはチップの代わりに
コカ・コーラをおごってあげた。

 

 

「それより、Wi-Fi使えるとこ知らない?」

そう僕が訊くとヘノックは待っていましたとばかりに、
僕をカフェに案内してくれた。

案内されたカフェはビールも飲める
カフェバーのような場所だった。

その日はWi-Fiの調子が悪くて使えないとのことだったので、
僕たちはヘノックが知っているという
別のカフェに行ってみることにした。

 

 

僕はカフェに入る前にヘノックに注意しておいた。

自分はこれから友達にメールを返したりするから
2時間はカフェにいるよ?

宿には自分で戻れるからついてくることはないよ?と。

だが、ヘノックは
僕が一人で帰って来れるか心配だったのだろう。

気を利かせてカフェまでついて来てくれた。

 

 

 

 

Wi-Fiのカフェは建物の二階にあった。

店内はちょっと大人のサロンと言った感じで、
大人たちがソファにもたれ、スマートフォンをいじっていた。

部屋の隅にバーカウンターのようなものがあり、
制服を着た女のコたちが三人ほどウェイトレスをやっていた。

僕はひとまずメニューをもらい、
7ブル(41yen)のコーヒーを注文してWi-Fiのパスワードを訊いた。

ヘノックは僕のすぐ近くのソファに座った。

 

 

「ヘノックはスマートフォン持ってないの?」

「もってない。それより、
僕お腹減っちゃった。何か注文していい?」

 

 

 

やれやれ。

やっぱり下心があったのか。

 

 

「さっきも言ったけど、
もうコーラをごちそうしたじゃないか?
これ以上は何もあげないよ」

「なぁ、頼むよ。友達だろ?」

「日本ではそういうのを友達とは言わないんだよ」

 

 

僕がきっぱり断ると、ヘノックは黙った。

僕はWi-Fiの遅さにやきもきしながら
Facebookで誕生日のお祝いをくれた人たちに
コメントを返したり、大好きなブログの終わりに
しんみりしたりして時間を過ごした。

「カエルダッシュ」終っちゃった…。

 

 

 

1時間くらい経った頃に、
だんだんとヘノックのことが不憫に思えて来た。

スマートフォンを持っているのなら、
何かしら暇つぶしができたかもしれないが、
彼はただだまってぼっと座っているだけだった。

隣りに座ったおじさんは話し相手にはならないということだろう。

 

 

「オーケー。飲み物だったらいいよ?」

「じゃあミルクコーヒー」

「てめ。おれより高いもん頼んでんじゃねえ!」

 

 

やって来たカフェオレをすすりながら、
もう30分へノックにはつき合ってもらった。

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最低限の作業を済ませてた僕は、
ヘノックと一緒に宿まで戻った。

途中に薬局があったので、
マラリアの薬をひとまず二ヶ月分購入しておいた。

テラドキシンという一日に二回飲む薬で、
450ブル、2,609円だった。
蚊よけの塗り薬で45ブル(261yen)。

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思ってたほど高くはないな。

 

 

 

 

 

宿に戻って、シャワーを浴びようと思った。

そして共同のシャワールームらしき部屋に入って驚いた。

 

 

中には薄く濁った水が張られており、
水が流れないように布で栓がしてあった。

部屋の片隅にはペットボトルが何本も置かれて、
片側には水の詰まったもの、
反対側には空になった物が沢山並べられていた。

ちなみに自分の部屋に洗面台はあるのだが、水が出て来ない。

 

 

「え…????これ、シャワー浴びれるの?」

思わず宿の人に訊いてしまう。

 

 

150ブルという金額が理解できた。

ここはそういう宿なのだ。

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「….(驚きで声が出ない)」

 

 

 

 

僕がシャワーを諦めると、
ヘノックが僕の部屋にまでついてきた。

 

 

「それギターかい?」

「ああそうだよ」

「弾いてよ!」

 

 

そうお願いされたら、
披露してやるのがエンターテイナーの使命だ。

練習がてらシャウトしたらヘノックは
「う~ん…ナチュラル・ギフト」
とよくわからないフレーズで僕を褒めてくれた。

きっと「生まれ持った才能だね」と言いたいのだろう。

 

 

ヘノックはなかなか部屋から出て行こうとしなかった。

ずっと僕の唄を聴いていた。

 

 

「ほらほら。もうフィニッシュ!もう満足だろ?」

「なぁ、これからシャワー浴びに行かない?
それからウチにご飯食べに来なよ?」

「え?シャワーあるの?ここからどれくらい?」

「15分くらいかな?」

「めんどくさいからいいわ」

「なぁ、今日、もう僕ご飯にありつけないんだよな。
だから晩ご飯おごってくれない?」

「帰れ:-)」

 

 

 

話の流れが分からない。

ただ、このガキは僕からご飯を
奢ってもらおうとしているということは理解できた。

ヘノックをおっぱらうと僕は近くのカフェで
ツナ?サンドイッチとコーヒーで簡単な夕食を取った。

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宿のトイレを使いたくなかったので、
カフェのトイレを使わせてもらったが、

エチオピアではトイレにあまり期待で
きなさそうだということが分かった。

 

 

 

 

宿に戻ると、寝ないで日記を書いていた。

明日乗るのは朝5時出発のバスだからだ。

 

 

 

 

そして僕は4時半に宿をチェックアウトした。

宿の外には前にサブバッグを
かけた旅行者のような男がいた。

アディスアベバに住んでいるらしい。

暗くて彼がどこの出身なのかは分からなかった。

 

 

「君もアディスアベバまで行くのか。
どれ、チケット見せてごらん」

「これです」

「ああ、これね。僕のと違うね。
僕のは今日中にあっちに着けるけど、
君のは二日かかるね

「え?ウソでしょ?
僕はここの宿の子にバスターミナルまで
連れて行ってもらったんですよ?」

「ああ、このバスターミナルね。
ここから遠いやつだ

 

 

「あのガキっっっ!!!」

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今日は”過去一番長い文章量”でした。

おつかれさまです。

実はこれ書くのに三日くらいかかりました。
(やる気出ない日も含む)

うひぃ〜〜〜〜…!!!

youtubeで
「Hedgehog Diaries」を聴きながら編集してます♪

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