「ネムルトダーの冒険」

世界一周355日目(6/18)

 

この街を

抜け出すことに決めた。

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水場で頭を洗いバスターミナルへと向かった。

15分以上歩くとTシャツが汗で滲む。

まずはバスターミナル行きのローカルバスに乗り込む。

マップアプリを見ると「Otoger」ってのが
街から脱出するバスターミナルみたいだ。

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ローカルバスの停留所で運転手さんたちに
「オトガー行きってこれですか?」と訊いて
向かった大型バスターミナル。1リラ(48yen)。

ローカルバスと言っても、
もしかしたら日本のそれよりも綺麗かもしれない。
さすが治安のいい街だけあるな。
乗ったローカルバスも小綺麗だった。

 

 

ちゃんと朝ご飯も食べておこうっと。

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着いたのは巨大なバスターミナル。

大型のものからミニバスまで沢山のバスが停まっている。
トルコの人たちもスーツケースを転がしている姿が目立つ。

これから向かう街はキャフタという街だ。

こんどこ間違いなく「あの遺跡」を観に行く。

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間違えて一歩手前のアディヤマン行きの
ミニバスに乗ってしまったので、
追加3リラ払ってキャフタへと向かった。
ここまで通算18リラ(855yen)。

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隣り街へと抜け出すのにもこの値段だ。

バスキングで稼いだコインをほとんど消費してしまったので、
お財布のお札を使うようになった。

 

 

 

 

 

ミニバスが

キャフタに着くと、
ある程度町が整備されていることが分かった。

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僕の使っているマップアプリでは
この町には何もないことになっているけど、
暮らして行くのに最低限のものはあるみたいだ。

バスの窓からツーリストインフォメーションの看板も見えたな。

ミニバスを降りるとドライバーのおっちゃんに
このあとどうするのかと訊かれた。

「ネムルトダーに遺跡を観に行くつもりだよ」僕は応える。

おっちゃんは英語の喋れる「誰か」に電話して
僕にかわってくれた。
どうやらネムルトダーへ行くツアーのようなものを
案内してくれるらしい。

「誰か」は「2分後にそこにいくから待っててくれ」
と言って電話を切った。

間髪入れずに、てか電話中も関係なく
声をかけてくる子連れのお兄さん。

流量な英語だ。
たぶんトルコで会ったどのひとよりも流暢な英語だと思う。

 

 

「この遺跡を観に行くためには
どこどこに行かなくちゃ見れないよ。
それなら5リラで手前の村、

あ、ペンションがあるんですけどね、
そこまで行くことができます。
うちのペンションでしたらキャンプかルームかで
お選びいただけますよ?
朝食晩ご飯つき、サン・セットも見れて
50リラ(2375yen)。え?どうです?最高でしょう?
黙ってついて来いこの野郎!」

 

 

超一方的な会話。しかも高いし。

てか、ネムルトダーの遺跡って
ここに来れば簡単に見れるんじゃないの?
さすがにそこまでは情報調べてないや。

やー、久々にこんなにがっつり客引きされたわ。

しかも同業者同士の競争も激しいらしく
しまいには

「アイツはマフィアだからついていっちゃダメだ!
100リラとか普通にふっかけてくるんだぞ!」

とか半キレ気味で僕をそのロッジだか
ペンションだかに連れて行こうとする。

僕がターミナルのトイレこうとすると
別のヤツがターミナル内で客引きをかましてきた。

どちらも似た様な手口。アイツはボってくる。
うちの良心価格をごらんあれ!みたいなね。

 

 

はは、それにマフィアってね。

これと同じ手口で僕の弟(3男:トシ)が
タイのタクシードライバーに
こっぴどくやられたことを思い出した。

マフィアの名前を出せば怖がって
素直に従うとか思ってるんだろう。

こういう時にはツーリストインフォメーション
に訊くのがいい。
そもそも僕はここで泊まる気なんてないのだから。

「あー、はいはい。わかったよ。
僕は遺跡が見れればそれでいいんだ。日帰りだよ」

と言って彼らをあしらった。

 

 

 

 

僕はそのままインフォメーションへとは行かなかった。

もしかしたらヒッチハイクで行けるのではないか
と考えたからだ。

 

 

ネムルトダーへ続く道。

道路標識を確認してバックパックを背負って
歩きながら親指を立てた。なんか旅人っぽいな。

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まぁ、そんな簡単には捕まらないよ。

20分ほどで乗せてくれたのは小さな年期の入ったセダン。

途中までしか行かないよという申し出に対して、
僕は『少しでもいいかえら進みたい!』
と乗させてもらうことにした。

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僕を乗せてくれたベナイハンさん
病院へおじいちゃんを迎えに行き、
その後、売店に立ち寄って息子さんを乗せた。

僕とベナイハンさんとおじいちゃんと息子さんの4人で
車はネムルトダーへの道を走りだす。

途中、道がふたつに別れネムルトダー行きの看板が見えた。
42kmと書かれていた。

だが、車はそこで止まらない。
行き先の告げ方を間違えたのかもしれない。

降ろしてもらった場所にも
ネムルトダーと書かれた看板はあったのだが、
その距離53km。

あれ?離れた?

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「じゃあな」

ベナイハンさんたちは
もっと細い道へと車を走らせて行った。

取り残された僕。ここに車が来るのだろうか?

しかたがないので、ネムルトダー行きの道を
トボトボ歩き出す。吹き出す汗。

車だったら1~2kmなんてあっという間だけど、
バックパックを背負って歩く同じ距離はかなり長い…。

 

 

車が何台か僕を追い越して行った。

もちろん僕は親指を立てたけど、
車は止まってくれなかった。
ここが坂道の途中だってこともある。

 

 

なんだか自分が旅らしい旅をしている気分になった。

ここには僕一人。
取り囲むのはトルコの荒涼とした風景。

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坂道を昇り切った所で車が止まってくれた。

乗っていたのは若いカップル。

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ここで逃したら
どんだけ歩く羽目になるんだ!

ニコニコとフレンドリーな笑顔を作っておきながら
心の中では必死だ!

途中までということで僕は車に乗させてもらった。
今回はマップアプリを見せて
自分の降ろしてほしい場所を伝えておく。

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ネムルトダーは山だ。まわりは山道。交通量も少ない。
そんな中でヒッチハイクなんてアホとしか言いようが無い。

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日差しに照りつけられて
ペットボトルの水がどんどん減って行く。

ちょうど川の上に架かる橋を渡った時、
なんとかあの水が飲めないものかと思った。

だが、下へ続く道は見当たらない。

ふと目に留まったのは5リットルくらい入るペットボトル。
橋の手すりに捨てられるようにしてはさまっていた。

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こ、これは…!!!

 

 

 

僕は持っていた長めのビニールひもを
ペットボトルにしっかりと結びつけると川に投げ込んだ。

川の流れにペットボトルが
プカプカ浮いてしまって、なかなか水が入らない。

それでもなとかコップ2杯分くらいの川の水を
ペットボトルに集めることに成功した。

それを自分の手元まで引き上げて行く。

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もちろんこのまま飲むわけじゃない。

サブバッグから取り出しましたるは、
濾過器つきのストロー、Mizu-Qだ。

やー、マジでいらんもんばっか買ってきたけど、
今まさに使うタイミングだよ!

 

 

濾過器を通して吸い上げるので口の中には
ちょっとづつしか水が入って来ない。

それでも水分を摂れていることだけは実感できた。

後ろを通りかかった地元のおっちゃんが僕に言う。

 

 

「おい。水飲み場ならあっちだぜ?」

あ~!もう!台無しっっっ!!!

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そこからすぐに3台目のヒッチハイクに僕は成功する。

乗せてくれたのはミニバスでただで乗せてくれた。

目の前には「ネムルトダー/20km」の看板…。

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に、20キロ…。

歩きじゃ絶対に無理だ。

この前に1km逆方向に進んで引き返す
方向音痴っぷりを発揮したので、もうヘロヘロ。

 

 

「だ~!クソ暑ぃ!」

 

 

とわめいていると、
ここを通過する車の料金を徴収する
管理人棟みたいな場所で、
おっちゃんたちが僕を休ませてくれた。

「おい!ハングリーか?」と僕に
食べ物までごちそうしてくれた。

ざっす!水飲み場も近くにあったので持っている
ペットボトルに水を補給しておいた。

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まったりとした時間が流れた。

「ここにミニバスが通るからそれに乗せてもらうといいよ」

とおっちゃんは言っている。
時刻も15時。まぁ、ミニバス来るっしょ。

 

 

やって来たのは黒いダイヤのマークが描かれた車。

僕と中のお兄さんたちの目が合った。

 

「おーい、乗っけてってやるぞ」と手招きしている。

ってマジかぁああああああ!!!!

 

 

「ね、ネムルトダー行きます?!!」

「もちろんだよ」

 

 

車の後部座席に三人腰掛け。

体格のデカい兄さんたちは僕が乗り込むと
かなり窮屈に感じた。

トルコの車なんだからもう少しデカく作れなかったのかな?

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車は乾燥した山道を登っていった。

これは間違いなく徒歩じゃ無理だ。ほんとうに助かった。

お兄さんたちは陽気なヤツらで、
助手席に座ったお兄さんの一人はビールを僕に勧めてきた。
もちろん僕は丁重にお断りする。

お兄さんはビールを飲み終わると
車の窓を空けてギャグみたいにガラス瓶を外に放り投げた。
ビールの瓶は放物線を描いて地面にぶつかって割れた。

って…。よくないっしょー。

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20kmを車は走った。

僕はついにやって来たのだ。
間違えて同じ名前の別の山まで行ったからね!
いや~!あれはギャグだった!

山の頂上にあるネムルトダーには強い風が吹く。

髪の毛のモミアゲ部分がさっきから口の中に入ってくるので、
その度に耳に掛け直している。

遺跡の入り口にはお土産屋さんがあり、
小さくてずっしりとしたオブジェがいくつも置いてあった。
一体誰があんなの買うんだ?!

 

 

長い階段を上って行く。
乾燥地帯に住む昆虫たちが足下を横切る。

『ここはどこだ?』そう思わずにはいられなかった。

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一体どこまで登らされるんだ?

そのくらい長く感じた階段の先には
僕が見たかったものが待っていた。

 

 

なぜか頭部の部分だけある石像たち。

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『僕はあなたに会いにきたんですよ。
わざわざここまでね』

 

 

と心の中で髭を蓄えた一体に話しかけた。

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さてー、帰るとしますか!ミニバスはーっと、

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「えっと、キャフタまでいくらですか?」

「100リラだ。ぎゃっはっは!」

 

 

 

もういい!

さっきのお兄さんたちに
またお願いして乗せていってもらおう!

 

 

「帰りもお願いできますか?」

「悪いけど、キャフタとは逆方向なんだよね~♪」

 

 

 

 

僕がガイドブックに寄稿するとしたら、
このネムルトダーは絶対にオススメしない。

や、お金に余裕のある人ならいいんだよ。

「まぁ!美しい夕日に照らされた
頭部石像のロマンチックなこと!」

って言える人なら…ね。

悪いけど、ここは腐ってる。

っていうか観光ビジネスなんでしょーけど、
あからさま過ぎやしませんか?

たぶん日帰りで石像を見ることもできるのだろう。

でも、周りにいた客引きやドライバーたちのせいで、
どこかがっかりさせられた。

どうやってキャフタまで戻ればいいんだ…???

 

 

 

15分くらい階段に座って考える。

相変わらず風が吹き付け、長い髪の毛が口の中に入って来る。

車が通る道まで出れば、ヒッチハイクできるはず!

そう見込みをつけて僕は山道を下った。
言うまでもなくトータル30kg以上あるフル装備で。

テンションを上げるために
藍坊主の「ハナミドリ」の曲をシャウトした。

僕の声はむなしく風がさらっていった。
誰も聴いてない。誰もー。

 

 

 

30分ほど山を下って、
ようやく一台のバンが後ろからやってきた。
わずか望みをかけてトルコ風ヒッチハイクのポーズをする。

乗せてくれたのは作業員のおっちゃんたちだった。

英語は通じないけど、キャフタまで
100リラとかそんなことを言っていた。
マジでそんなお金かかるのかなぁ?

途中の村でバンは止まり、
作業員のおっちゃんたちとはそこで別れた。
僕は再び山道をくだっていく。

そこにあったのはのどかなトルコの田舎だった。

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山々に囲まれ、ポツンとモスクが建ち、
畑ではスカーフをかぶった女の人が草を刈っている。
僕の姿を見ると「フォト!フォト!」と言って
自己アピールをした。

そこがペンションの近くだった。

ここにそのくらいのお金を払ってもいいかもしれないな。

僕は節約旅だけど、ここで気持ちのいい
ひと時が過ごせるかもしれない。

何もないけど、そこには目には見えないものが沢山あった。

ここで生活をする人は
どんな毎日を過ごすのだろうか?

そんなことを考えた。

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この日最後にヒッチハイクさせてくれた車は
運良くキャフタへ向かう車だった。

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車はあっという間に
僕がさっきまでいた景色を後ろの方へ吹き飛ばして行った。
窓から手を出して風を感じた。

 

 

あ~、なんでトルコの人ってこんなに親切なんだろう?

他の国にもフレンドリーな人たちは沢山いた。

だけど、ここではその優しさに
『自分には何ができるだろうか?』
と考えてしまうものだった。

 

 

キャフタのバスターミナルまで送ってもらった。

お礼を言って、4ラリのミニバスで
隣町のアディヤマンへと戻った。

 

 

 

 

 

 

アディヤマン
に来たのは

こっちの方が整っている印象があったからだ。

ミニバスを降り、とりあえず公園を目指した。

 

 

向こうからいつものように
僕に手招きするおっちゃんがいる。

申し出を素直に受け、いつものようにチャイをいただいた。

「お腹はすいてないか?」とここでも
おっちゃんたちはおもてなしの精神全開だ。
ここはドアやタイルを販売する会社のようだった。

僕もお礼にギターで2曲、
「上を向いて歩こう」と「Let it be」を披露すると、
スマートフォンに録画してくれるくらい喜んでくれたみたいだ。

室内に声が気持ちよく反響した。

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「今夜はどこに泊まるんだ?」

「公園でキャンプっすかね?」

「そうか。まぁ、大丈夫だろう。
ここの人たちは君のことを傷つけたりはしないから」

 

その一言で僕は安心した。

 

 

今日のネムルトダーまでの冒険を
ねぎらうかのようにドンドルマを食べ、
水場で頭を洗って高台の上にある公園に僕はやって来た。

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大きな東屋があり、公園内には
そこから見える夜景を見に来た人たちが何人もいた。

僕はベンチによこになり、火照った体を冷やす。

公園の管理人が「私が管理人だから!」と
変なことはしないでくれよと釘を刺してきたが、
ここを出て行けとは言わなかった。

 

 

24時をまわって寝袋の中で
ウトウトしていると警察がやってきた。
僕のパスポートをチェックすると
「それでは、おやすみ♪」と言って去って行った。

 

 

 

 

てか誰だ???コイツ?

 

 

 

10代後半くらいの若造が
僕の隣りのベンチに座っている。

誰かと話をしていると思ったら、近くに仲間がいた。

パスポートがどうとかポリスがどうとか
そんな単語が聞き取れた。コイツらー…

軽く舌打ちをしたり、わざと足をベンチに叩き付けて
「さっさとどこかに行ってくれ」とアピールするも、
若造どもはそんなことを気にかける素振りを見せない。

ここで調子に乗らせてギターとかスケボーパクられたらやだな。

 

 

 

「おい!
お前らいつまで
くっちゃべってんだよ?
さっさとどっか行けよ!」

 

 

日本語で怒鳴る僕。

すぐ近くに座っていた一人は
小動物のように自分の自転車へ駆け寄った。

 

 

「Can you speak Turkeysh?」

「は?知らねえよ?
どこが問題なんだよ?
ポリスもいいっていったじゃねえか?
あっ?なにか問題あんのか?
言ってみろよ!」

 

 

若造どもはしばらくその場で
どうしたもんかとうろたえていたが、
僕がどこかへ行け!とジェスチャーを交えると

「ちっ、つまんねえな!あっちに行こうぜ!」
みたいに引き上げて行った。

この時間でも近くにはスカーフをかぶった女のコたち
が楽しそうにくっちゃべっていた。

ホームレスなめんじゃねえぞ!

 

 

 

他にあるとすれば
深夜2時に響くアザーンに共鳴して、
野良犬が高台からずっと吠えてたということだった。

うん。今日は色々あったよ。
数日前とは大違いだ。寝よ寝よ。

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ネムルトダーねー、まさかあんなに観光客にガメツいとは…。

もちろん日本人の方で他に行った人もいるんでしょうけど、
その人たちはどうだったんだろうね?高いお金払ったのかな?

汗まみれになって辿り着いたした分、
見応えもばっちしだったってことで、
最近ドラマの連続です。トルコ楽しいっす♪

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