世界一周356日目(6/19)
キャンプ生活最高の
寝床と言ってもいいだろう。
宿に寝ている並によく眠ることができた。
警察は寛容だし、夜中に響くアザーンに対して
ここまで野良犬が登って来て吠えるのを除けば
言うことは何も無い!
あっ、トイレがない!
てかどうしよう!?僕のしたいのは
ビッグの方なんだけど!!
ちょ、やば!!!そ、そこまで来てる!
ここはトルコ、
アディヤマンという街の高台にある公園。
冷や汗をかきながらトイレを探し、
常に水漏れ状態のトイレに駆け込んだ。
インドと比べればなんてことない!
覚悟を決めて便座に腰を下ろす。
スッキリしジーンズをおろしたまま水を流すと、
トイレは反旗を翻した。
は、配水管のどこかが漏れている。
みるみる床が汚水で浸水していった。
僕は個室の中で軽いパニックに陥った。
ど、どうしよう??!!!
つま先立ちになり、とりあえずジーンズを腰まであげて、
ベルトもフロントボタンも締めないままトイレの外に逃げ出す。
僕の朝はこんなふうにして始まった。
管理人さんの姿は見当たらない。
いやぁ~…、アディヤマンの町は
比較的このホームレスに対してよくしてくれたのに、
ひじょ~~~に申し訳ない気分だ。
うん。
だが、仕方ない!
こういう時はとっととずらかろう!
どんどん先へ進みたい気分だった。
この次の目的地はあの有名なカッパドキアのある街だ。
周囲に観光地が密集しているようだ。
まずは陶器で有名なAvanos(アヴァノス)を目指す。
アディヤマンからアヴァノスまでも
ヒッチハイクで行こうと考えた。
ヒッチハイクで先に進むには、
まずはアディヤマンの街から出なくてはならない。
この「街から出る」というのが意外に大変だったりする。
特に大きな街の場合なんかは。
どのローカルバスに乗ればいいのか分からないし、
タクシーでだなんて論外だ。
なんのためにヒッチハイクするんだっての!
今のところ僕は街の終わりまで歩いていた。
トータル30kg以上の荷物で
毎回街の外まで行くのに地味に体力を消耗する。
今回はローカルバスで隣り街くらいまでは行ってみようと、
地元の人に聞き込みをし、停留所でバスを待った。
念のため、バス停で待っていた人たちにも
隣り街まで行くバスがここに来るのか訊いておいた。
「来るわよ♪」
「君、チケット持ってる?」
「ここには来ないんじゃないかしら?」
錯綜する情報。
一体誰が正しいんだ?
バス停で待っている人のあいだで意見が別れるなんて!
推測するに街から抜け出すためには
長距離バスターミナルに行かなくてはいけないということだ。
大型バスもやっては来たものの、
チケットがないと乗れないシロモノだった。
な、なんだよ…。
結局はまた歩いて街を抜け出さなくちゃ行けないのか…。
マップアプリを頼りに街の外を目指す。
途中の売店で朝のチャイを飲んだり、
ドンドルマを食べてテンションを上げる。
あ~、街の終わりまであと1kmもあるよ…。
バックパックを背負ったまま
左手を伸ばし、親指を立てる。
車は止まってくれそうにない。
そんな僕の目の前にちょうど停まっていた車があった。
外に出ていたお兄さんと目が合う。
「あの~、隣町のギョルベシまで行きます?」
「あ、ああ。行くよ。乗ってく?」
頑張って町外れまで歩いた分、
いいヒッチハイクができる。
そんな法則があるのだろうか?
停まっていた車にヒッチハイクさせてもらうなんて。
僕を乗せてくれたのは
ビキルさんという獣医の方だった。
「あんまし英語が得意じゃないんだけどね」
とすまなそうに言うベキルさん。
単語をぶつ切りにした会話でドライブをした。
「2年前に君と同じように
ヒッチハイクしている女のコを乗せたことがあるんだよ。
そのコは一人で旅をしていたんだよ。一人で。
女のコが一人で旅するなんてちょっと心配になっちゃうよ。
僕は一人で旅することが好きだけどね。
女のコの場合は危険な場合もあるからね」
ベキルさんはそう僕に言った。
ヒッチハイクで次の街に行こうだなんて思えるのは、
僕が男だからってのもある。
やっぱりトルコの人も女のコの一人旅には
そういう風に考えていたんだな。
最初の分岐点、ギョルベシまでは
40分程度のドライブだった。
途中、ベキルさんは僕にチャイと
お菓子をごちそうしてくれた。
僕もお返しに車の中で名刺を描いた。
そんな風にして本日一発目のヒッチハイクは幕を開けた。
時間はまだまだある。
今日中にカッパドキアまでの
道の半分くらいまでは進みたい。
次の街へはカフラマンマラシュという町だ。
地元の人に「カフマランマラシュ?」と
チェックしておく。
「ああ、マラシュね」地元の人は名前を略していた。
そうだよね。カフマランマラシュだなんて
ながったらしくて言いにくいもんね。
本日二台目のヒッチハイクは陽気なトラックの二人組、
ワカッシュとファルークだった。
ヒッチハイクで車に乗り込む時には
開いたウインドウ越しにティシュケレデリム!
とお礼を言って行き先を確認する。
行き先が自分の進む方向と合致していれば
そのまま乗させてもらう。
席について言うことは二度目のお礼と自分の名前だ。
「マイ ネーム イズ シミ!」
このシンプルで発音しやすいニックネームがあることで
どんな国の人でも自分の名前をすぐに覚えてもらえる。
反対に、向こうが複数名だとすると
僕は名前なんかあっという間に忘れてしまう。
今回も「ちょっと待って!えっと名前メモするわ」
と言ってヒッチハイクさせてくれた二人の名前を
iPhoneのメモに車の特徴などを添えて書き残した。
「や~!マジ、ドンドルマ最高っす!」
「はっはっは!ウケるなお前!いえぇ~い!」
まぁ、会話はこんな感じのノリだ。ノリ(笑)。
ドライバーのワカッシュは走行中に振り返ってきて
なぜかハイタッチをかましてきた。
まぁ、こういうよく分からないフレンドリーさも、
気持ちのいいヒッチハイクには不可欠だ。
トラックはマラシュの途中にある町までしか行かなかった。
お礼を行って分岐点で降ろしてもらう。
もう一回ドンドルマ喰っておこう。
あと、それから何?「キョフテジ」って?
新しい食べ物を見つけるとついつい食べてしまう。
バックパックを背負って動く時間も増えたので、
エネルギーが必要なのだ。
ヒッチハイクで浮かせたお金を食べ物に当てるって…。
節約してんのかわからなくなるけど、
キャンプもしてることだし、よしとしよう!
さてと、お腹もいっぱいになったことだし、
ヒッチハイク再開しますか。
バックパックのハンドル部分と右肩部分を握り、
足で蹴り上げて反動をつけ、そのまま腰に乗せる。
あとは母親が背中におんぶした子供の
ポジションを元に戻すように体をはねつけ
バックパックを背中の中心まで持って来る。
20kg以上あるバックパックを
背負うまでここまで3アクション。
慣れれば狭い所でもバックパックを背負うことができる。
蹴り上げる→腰に乗せる→はねつけて背中まで。
これをやると周囲の人から小さな驚きの声が聞こえる。
僕としては慣れたものだけどね。
このバックの背負い方を身につけたのは
最初の1ヶ月くらいだったかな?ははーん♪
三台目のヒッチハイクは
ちょっとリッチそうな二人組だった。
オランとバリッシュ。
えっと、どっちがどっちだっけ(笑)。
「(止まってくれて)ありがとう。
マラシュまで行く?」
「ああ。乗りな」
だが、二人の車は途中で標識をはずれて
別の方へと走って行く。
「え?マラシュってあっちじゃない?」
「ああ。ちょっと仕事場に寄らせてくれ」
二人の職場は農業用のマシンを売る会社だった。
事務所のようなところに案内され、
二人は雑務役のじいちゃんに言って
チャイとメロンを持って来させた。
まさかヒッチハイクでメロンをごちそうになるなんてな。
僕もずうずうしくギターで唄を披露させてもらう。
アジア人の唄うStand by meなんて珍しいだろうな。
二人はiPhoneで僕の様子を動画を撮った。
事務所はいい感じで声が反響する。
二人とお喋りをしながら、僕は心の底で疑問に思った。
『あれ?いつ、
マラシュに行くのだろう?』
と。
そのことをさりげなくオランに告げると、
「あぁ、5時にマラシュ行きのオート
(たぶんミニバスのことだろう)が来るから」と言った。
ついに話すこともなくなり、
ウトウトしていると。オランが言った。
「よし!お開きにしよう!」
えっ???
「ほら、じいや!
シミのバックパックを取って来てくれ!」
言われたままにじいやと協力して
車のトランクからバックパックを取り出す。
「それじゃあな。
おれたちはこれからやることがあるから」
と言ってさらっと別れを告げられる僕。
えっ???
「マラシュならこの道をまっすぐだから」
…。
う、うん。きっと僕はここに
メロンとチャイをもらいに来たんだ。
そうだそうに違いない…。
マラシュまでの幹線道路に出るまで4km。
投げ出されたハイウェイの途中…。
ああ!やってやんよ!
コラァ!止まりやがれぇぇええ!!!
てかトラック多い!
止まらねぇぇええ…止まれぇっ!止まれ!
とま、止まってください…。
ハイウェイを駆け抜けて行く大型トラックたち。
成功の見込みのないヒッチハイクに思われたが、
そのうちの一台がウインカーを左に切って僕の前で止まった。
なかなか止まらなかった時の
ヒッチハイクによる車のゲットはアホみたいに嬉しい!
今度こそはカフマランマラシュ行きのトラック。
本日4台目。ホビさんという方だった。
ホビさんの話によると
これから向かうマラシュこそがトルコアイス、
ドンドルマの本場らしい。
そういえばさっきからちょくちょく
「DONDRUMA」のカンバンを見るな。
どうする?今日はここに滞在しようか?
だが、僕は先に進むことを決めた。
まだ行ける!まだ大丈夫だ!
ホビさんにはマラシュでお別れを言い、
そこから街を抜けるのに一台、
1km先まで1台(どちらも距離が短過ぎた)
ヒッチハイクで乗せてもらった。
陽気な2人組に町外れまで乗せてもらい、
おっちゃんに2km先まで乗せてもらいー…
時刻は16時。ハイウェイの途中。
後戻りはできない。
次の目的地になりそうな町は
ギョクサルところだった。
親指を立てている間に、何台か止まっては
僕を奇声を発して車に駆け寄った。
だが行き先はどれもギョクサムへは行かなかった。
途中まで乗せて行ってもらってもよかったかもしれないが、
僕の意図が伝わらず、みんな「よくわからん」
みたいな顔をして車を発車させた。
僕は車が止まってくれる度に駆け寄り、
行き先が違うのでまたその場所から
ヒッチハイクというのを三回ほど繰り返した。
ちょっとづつ前に進んでいる…。くそ…。
今日で一番長いヒッチハイク。40分を過ぎた。
西日が僕を照らす。誰か止まってくれないか…???
汗が目に滲みる。手の甲で額の汗を手で拭った。
本日7本目のヒッチハイク。
大型トラックの運転手キャナンさんだった。
肉体労働者の代表みたいなマッチョなからだつき。
無口な人だった。
僕は出来る限りフレンドリーに努めようと、
今までのバイト時代で培った演技力を駆使して
「ドンドルマって最高っすね~!」
「うわぁ~~!景色綺麗っすね~!」
「ドンドルマってなんであんなに伸びるんすかね~?」
と会話をふったが、むなしくも独り言のように
車内に浮かび、すぐに消えて行った。
時折キャナンさんはノキアの携帯電話と
車内のマイクを利用して、
他の仕事仲間とお喋りをした。
時々「ジャポン」というワードが聞こえると、
僕は照れ笑いを浮かべて
「いやぁ、お世話になっちゃってます♪」とでも言うように
キャナンさんに笑いかけた。
トラックは上り坂で速度を落としてゆっくりと走った。
積み荷が崩れないようにしているんだろう。
時速30kmで走るトラック。僕はウトウトして、
ついには何度か眠ってしまうことがあった。
たぶんキャナンさんは僕が寝ていたことに気づいていただろう。
「そろそろ休憩するか」
ギョクサムまで半分以上の距離を走り、
無人島のようなレストランで僕たちは軽めの食事を取った。
ここでも僕はごちそうしてもらった。
木々の向こう側に太陽が沈かけ、間から漏れる陽光が綺麗だった。
なんでこんなにトルコのみんなは
僕に優しくしてくれるんだろう?
そう思わずにはいられなかった。
日本で僕がトルコの人に会ったとしたら何ができるんだろう?
受けた優しさをどうやって返すことができるんだろうと
キャナンさんとスイカを食べながら考えていた。
今日の目的地
だったギョクサムで
キャナンさんに降ろしてもらった。
さて、今日はここで野宿かな?
行き先とそこまでの距離が書かれた標識の前に立った。
明日はこの道からヒッチハイクを始めよう。
そんな僕にヨボヨボのおじいさんが声をかけてくる。
トルコ語だからなんて言っているのか分からない。
僕は「トゥモロウ、カエサレ!」と
ジェスチャーを交えておじいさんに説明した。
おじいさんは
「そうか!そうか!カエサレならあっちじゃぞい!」
と僕にカエサレまでの道を教えてくれた。
標識の文字が分からないと思ったのだろう。
大丈夫だよおじいちゃん笑。
視界の外にベンツが止まるのが分かった。
さっき僕とおじいさんの横を速度を落として通過していった。
ってことは?
「乗せて上げるよ」
とでも言うように優しくテールランプが点滅する。
まさかと思いベンツに駆け寄る僕。
開く助手席のウインドウ。
「あのー…、カエサレまで行きます」
「ああ。乗ってくかい?」
本日8本目、最後のヒッチハイク。
少し浅黒い身なりのきちんとしたおじさん、
ハチャディクマンさんだ。
さりげない音量でポップ・ミュージックがかかっている。
車内の温度は快適に保たれ、車は道路を滑るように走った。
ハチャディクマンさんとの会話はまったくなかった。
僕はこんな何日もシャワーを浴びてないような旅人が
ベンツに乗るのがおこがましくって、
行儀よく静かにしてようと妙な気遣いをしたせいもある。
分かったことはハチャディクマンさんは
アディヤマンに住んでいて、仕事でカエサレに行く。
そのくらいのことだった。
相変わらず車内にはポップ・ミュージックが流れている。
夕日が山の向こうに沈んで行く。
そらが藍色へと変わっていくこの時間が好きだ。
僕は車の中からiPhoneのカメラを向けた。
ハチャディクマンさんとの会話は弾んみもしなかった。
トルコ語で何か質問される。
単語の意味やジェスチャーからなんて言っているか
想像して適当に相づちを打ったり、言葉を返したり。
それでも気まずさはどこにもなかった。
「オトガーでいいかい?」
「はい。オトガーでお願いします」
オトガーというのは長距離バスターミナルのことだ。
僕が向かう先はアヴァノスという町。
今日はその手前のカエサレという町までということになる。
カエサレの街はとても広かった。
辺りはすっかり暗闇で覆われていて
街がどのようなものかは分からなかったが、
ネオンがどこまでも広がっていることから、
この街がかなり大きな街であることが分かった。
「うわぁ~!すげえ…」自分の驚きを
ハチャディクマンさんに伝えるために
ちょっとオーバーに驚いてみせた。
カエサレの街の長距離バスターミナルで
僕は降ろしてもらった。トルコ語のお礼を行って、
ここまで僕を乗せてくれたドライバーさんには
両手を体の脇にやり、足をそろえて斜め45°で頭を下げる。
「ここまで乗せてくれてありがとうございます」
ジェスチャーを踏まえた感謝の意思表明。
僕にはこれしかできない。それが少しでも伝わればいい。
さてと、今日はここで過ごすことになるな。
その前にバスターミナルで寝てもいいのかな?
とりあえず、カフェで「電場」をつくった。
(パソコンやiPhoneに電気を供給するコンセントのある場所を
確保して充電できるようにすること。
自分のテリトリーを作ると言ってもいい)
どうやら長距離バスターミナルは
遅い時間まで開いているようだ。
カエサレのバスターミナルには
フリーのWi-Fiが飛んでいたのにも驚きだ。
その分食事やトイレの使用量はそこそこの料金だった。
僕は1リラを払ってトイレで髪を洗ったり、
歯を磨いたりして、その日を終える準備をする。
今日のベッドはターミナルのベンチの上。
ここまで連れて来てくれたみんなにありがとう。
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ヒッチハイクをすると色んなことを学びます。
ひとつの場所からひとつの場所へ連れて行ってもらうだけだけど、
そこには運転手さんの優しさがあり、コミュニケーションがあり、別れがあり。
カイセリはトルコの「コ」の背中の部分にある街です。
ピンクのピンがヒッチハイクの分岐ポイントです。
一日一日を長く感じるようになりました。
その分日記が大変なんですけど。
今日も読んでくれてありがとうございます。
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