世界一周631日目(3/22)
朝食つき
の宿だったので、
クレープにシナモン・シュガーをかけて食べた。
朝のコーヒーってなんでこんなに美味しいんだろう?
朝食を済ませると僕はチケットを買いに街に出た。
日曜日ということでオフィスも閉まっていたが、
ここではスーパーでバスのチケットが買えることを思い出した。
ここはナミビア、ウィントフック。
すり抜けるよう次の国へ。
目指すは南アフリカ、ケープタウン。
ショップライトというスーパーは日曜日ということもあり、
午前中だけ営業していた。
店内にあるバスチケットを扱うブースでケープタウン行きの
バスチケットを購入した。
値段は760ナミビア・ドル(7,618yen)。
アフリカ旅始まって以来の一番お金がかかる移動だ。
オンラインではなく店頭でチケットを購入したのは、
手持ちのナミビア・ドルを使い切ってしまいたかったから。
朝になっても誰もいない街。
選んだ会社はIntercape(インターケープ)とうバス会社だ。
こんなスーパーにブースがある。
これより安いと言われる
Bairey’s Reo Linersという会社のチケットは、
どこで手に入るか分からなかった。
バス会社のオフィスも宿から離れた場所にあり、
昨日は祭日でオフィスも早い時間帯に閉まってた。
一応ネットで調べてみたのだが、
安いチケットどころかインターケープよりも値段の高いチケットしか
売らていなかった。
バス会社はいくつかあるようだが、値段は年々上がっているみたいだ。
また、インターケープも毎日ケープタウンへとバスを
走らせているわけではない。
週に三日バスが出るのだ。日曜日は必ず走っているらしい。
だから僕としては日曜日の今日がウィントフックを出発する
タイミングだったのだ。
バスの出発
する時間は17時だった。
それまで時間は宿でブログのアップをしながら時間を過ごした。
宿で唯一充電できる共有スペースはレセプション前のテーブルだ。
そこではダイキさんがパソコンに向かっていた。
その姿はまるでここで働いているスタッフのように見えた。
実際に他の宿泊客から何か訊かれたらしい。
うん。働いているって感じ(笑)
「よく来たね〜!お茶でも飲んでってよ」的な(笑)
デスクのすぐ近くの窓から差し込む日差しは強く、
ブラインダーは壊れて閉まらなかった。
僕はブランケットを洗濯バサミで留めて即席のカーテンを作った。
こういう創意工夫がうまくいくと、ワクワクする。
その空間が自分のものになったような気がするからだ。
現にこの場所は日本人ブロガー二人の作業場と化していた。
他の宿泊客たちは「そこで充電してもいい?」と
僕たちに断ってからスマートフォンを置いていった。
荷物の見張り番の役割も果たしていたわけだ。
ダイキさんとは時々喋るくらいで、お互いの作業に集中した。
僕としてもここはいい作業環境だった。
そうしているうちにあっという間に出発の時間が迫って来た。
僕は急いでキッチンに向かい。
そこでパスタだけを茹でた。
具材はなし。「素パスタ」だ。
味付けはキッチンに置いてある塩、胡椒。
なんせ16時に調理を始めてかなり焦っていたもんだから、
味付けを濃くしてしまった。
朝から食べたのはクレープとコーヒーだけだったので、
とりあえずは炭水化物は摂取できた。
お金もほとんど残っていなかった。
20ナミビアドルちょっと。
途中休憩のパーキングエリアでお菓子とかを買うくらいだろう。
パッキングは既に済ませておいたので、
パスタをかっ込むとそのまま宿を出て早歩きで
インターケープのバス乗り場までむかった。
静か…。
バス乗り場は宿から歩いて10分足らずの場所にあるので、
出発の30分前には着くことができた。
インターケープのバスは今まで乗ってきたアフリカのどのバスよりも
グレードが高かった。
後ろには乗客たちの荷物を入れる車輪の二つついた車があり、
チェックインを済ませてタグをもらうと、
そこに預けるようになっていた。
バスのスタッフはまるまると太ったトドのようなヤツらで、
がさつというか、フランクなヤツらだった。
僕は極力バスの中にギターを持ち込もうと心がけているのだが、
彼らは「ほらこっちに乗せな!」と僕からギターをかっさらって
バスの荷室に入れた。
僕は思わず
「ミュージシャンに対するリスペクトってあるよな?
楽器大事に扱ってくれよ!」と情けない顔をして懇願したが、
彼らの耳には届いていないだろう。
こういう場合はギターが壊れないことをひたすらに祈るだけだ。
車内は二階立てになっていた。
清掃も行き届いており、なかなかに居心地がいい。
一階にはトイレがついている。
コーヒーメイカーがあることから、
ここで飲み物を注文することができるらしい。
お気に入りの窓際の席が僕の座席だった。
バスは時間通りに出発した。
その点も他のアフリカ諸国とは違う点だった。
他の国のバスは30分~1時間はくらいは平気で遅れるのが普通だからだ。
道路も滑るように走り、まったく揺れなかった。
あの忌々しい速度を落とすために設けられた”隆起”も
どこにもなかった。
僕の隣りにはナミビア人の女のコが座った。
これからケープタウンにある大学で卒業証書をもらいに行くらしい。
相槌の変わりに「オーケー!」と言う女のコだった。
お菓子を大量に持ち込んでおり、ポテトチップスを何枚か分けてくれた。
僕はお腹が減っていたので、モリモリ食べたかったところだが、
ここは日本人特有の礼節を発揮して、って単に遠慮しただけです。
ご飯の変わりにここではコーヒーが
10ナミビア・ドル(100yen)で飲めることが嬉しかった。
添乗員のお姉さんはわざわざ砂糖の数まで
訊いてくれるくらいのサービスだった♪
バスの中ではiPhoneにダウンロードした
“On the Road”を観ていた。
一度に通して観ることはしない。
音が少し小さいので、雑音の少ない場所を選んで再生している。
今回は後半の一時間を観た。
最後にサル・パラダイスがディーンとの想い出を
タイプライターにぶつけるシーンにぐっとくる。
この話がなんでここまで僕を惹き付けるのかと言えば、
主人公が駆け出しの若手作家というところだろう。
それでいてアメリカ中を旅するところも、
今こういして世界を旅している自分に重なるところがあって
テンションを上げてくれる。
タイプライターの持ち運びなんてできない時代。
旅をすることと机に向かって作品を「書く」という行為は
一見矛盾しているように思えて、
サルにとっては書かせないものとなっている。
どちらがかけてもストーリーは生まれないのだ。
彼は映画の中でどんな場所でも
手帳に文章を書いている。車の中でさえも。
僕も真似して走行中の車の中で文字を書こうと試みてみたけど、
微妙な振動でも全然書けやしない。あれは映画の世界だからね。
「think of Deen Moriarty」
とタイプライターに三回繰り返して打ち込む場面が最後にある。
そこにサルのディーンを思う気持が現れていると思う。
その場面にもまたぐっとくるのだ。
僕は誰に向けてストーリーを描こう?
深夜3時前にバスは国境に着いた。
日本のパスポートを持っているというだけで、
すんなりと出国/入国のスタンプが押された。
トドのように太ったバスのスタッフたちが、
チェックの終った大量のパスポートを乗客たちに返す。
各々の名前が呼ばれるのだが、僕の番だけ
「チン、チョン、チャン!」
と呼ばれた。
何人かが声を出して「ハハッ」と笑う。
僕は苦笑する他ない。
他人をネタに笑いをとっただけなんだけど、
この脳みそからっぽのスタッフに同情さえした。
「なぁ、それどういう意味か分かってるの?
頼むから中国人には言うなよ」
プリンみたいな脳みそのスタッフたちに
僕はそう助言しておいた。
バスの中ではイエス・キリストを題材にした
昔の映画が流れていたのを思い出した。
「パッション」もそうだったけど、
あれらを観るたびに『人間って愚かだよなぁ』と思うのだ。
デマゴーゴスには流されずに、
自分の頭で考えて動けるようになりたいものだ。
そういう風にして、
僕は48カ国目の南アフリカへとやって来たわけだ。
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★Twitter”Indianlion45″
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