「ファッキューじゃない方の”Fuck”」

世界一周526日目(12/6)

 

 

今、僕が

どのような状況に置かれているか
書かなければいけないだろう。

 

 

というのも今僕がこの日記を書いているのは
「リアル・タイム」じゃない。

ちょっとしたトラブルがあって、
日記を書くモチベーションは
大暴落した。

 

 

 

旅をしている中で一番僕のテンションを
下げてくれるのは

 

「マネー・トラブル」だ。

 

 

旅人が旅を続けて行くのに資金は必要不可欠。

中にはワーキングホリデーで日本の外で資金を貯めたり、
路上パフォーマンスなどで現地で金を稼ぎながら
旅を続ける猛者もいるが、

僕はご存知の通り、大学卒業後、
1年4ヶ月串焼き屋でフリーターをやって
世界一周の資金を貯めた。

その資金が、

 

 

 

 

 

ATMからおろせなくなったのだ。

 

 

 

 

 

今はなんとか解決策を見つけた。

精神的にもだいぶ落ち着いた。

いやぁ、お金がおろせないことの
精神的プレッシャーといったらなかったよ!

そんなこんなで今、
4日くらい日記を書いていない
(もちろんブログもアップしていない)

iPhoneのメモを頼りに
今から日記を書いていこうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

ベッドで寝る
のは犯罪的に気持いい。

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ベッドから抜け出そうと思っても、
なかなか気が進まない。

iPhoneのアラームを
スヌーズに切り替え毛布に包まる。

30分くらい経ったかなぁと思って
時間を確認すると時刻は10時半。

やべっ…、寝坊した。

 

 

ここはイスラエル、エルサレム
イブラハムじいさんのピースハウス

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下の階からじいちゃんや
宿泊客の楽しそうな声が聞こえた。

僕が降りる頃には、一回のリビングは
急に静かになっていた。
みんな各々の活動を始めたのだろう。

パッキングを済ませて下の階に降りた時には
ロシア正教の二人とイブラハムじいちゃんが話をしていた。

ロシア正教の二人が持って来たクッキーと
紅茶を朝ご飯代わりにいただいた。

 

 

二人が帰った後に、じいちゃんは
しんどそうに日向に出て、
ひざにクリームを塗って椅子に腰掛けた。

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じいちゃんにお礼を言って
ピースハウスを後にした。

バスに乗り、ダマスカス門の前の
バスターミナルまで行って、

今度はテルアビブ行きのミニバスに乗り込んだ。
35シュケル(1,054yen)。

 

 

 

 

テルアビブは経済的に発展した街だという。

ビーチに面しており、バスキングで
お金が稼げるかもしれないと思ったからだ。

路上パフォーマンスをしながら
旅する人間も立ち寄るような街らしい。

今日あんなに寝たというのに、
ミニバスの中でもずっと寝ていた。
寝過ぎて眠いということがあるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2時間

もしないでテルアビブに到着した。

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マップアプリを広げて
街の中心地を目指してみることにした。

バスターミナルの近くは黒人地区らしく、
白人の姿はほとんど見られなかった。
その代わりにアジア人がそれに混じっていた。

地図を確認しても、これといって
バスキングができそうな
ショッピングストリートを見つからなかった。

 

 

大きなビルの建つ方向へなんとなく歩いて行った。

少し移動しただけで、日差しは夏のようだ。

バックパックを背負ったまま歩くと
Tシャツが汗で染みる。

 

 

途中に見つけた公園で休憩することにした。

人通りは少なく、僕のように公園のベンチに座って
まったりしている人が何人かいた。

 

 

僕はギターを取り出し、適当なコードを弾いた。

新しい曲を作る時にはコード進行から考える。
上手いこといい感じのコード進行ができあがると
それに歌詞を当てていくのが僕のスタイルだ。

遊びでやってる分、かなり自由に曲を作ることができる♪

 

 

 

「ヘイ!マイト!
How are you?」

 

 

 

サングラスをかけた
長身の男が僕に声をかけてきた。

「ほらよ!」と言うように
僕くに瓶ビールが差し出される。

エリアットだかラリットだか、
そんな名前の自称オーストラリア出身の
髪を後ろに結んだ男は僕の隣りに座った。

穴の空いたダウンベストにTシャツ、
マスタードカラーの細身のジーンズには
ほんとうにマスタードがついているようだった。

 

 

「こんなところで何してるんだ?」

「何って?旅だよ。
ペインターなんだ
(僕は自己紹介する時にわかりやすくこう言う)

「何!おれもさ!
それで音楽もやってる!」

「へぇ。ディジュリドゥとか?」

「そうさ!
それよりお前、
今日はどこに泊まるんだ?」

「キャンプさ!」

「おいおいおマイト!そ
んなこと言ってねーでウチに来いよ?」

「いやぁ…、わるいよ」

「安心しろ!
俺はゲイじゃないから!」

 

 

100%信頼するわけじゃないが、
コイツがどんなヤツなのか
見極めるように公園でビールを飲んだ。

横から彼の目を見ると、
そこまで悪いヤツじゃないのかもと思った。

 

 

「おれはさ、人を助けたいんだよ?
純粋にそれだけさ。

ここにはユダヤ人やら
黒人やら白人が沢山いるけど、
そんなこと考えたってまったく意味がない。
みんな同じ人間なんだから」

 

 

そう言うコイツのセリフには
どこかヒッピーめかした感じがあった。

この旅の中で何度かヒッピーに会ったことがある。
どこか同じにおいがした。

僕は一日くらいならコイツの家に泊まっても
いいんじゃないかと思うようになってきた。

音楽が好きなヤツには悪いヤツはいないよ。
まぁ命を奪うようなことはしまい。

 

 

「マジでいいの?
じゃあ一日だけ泊まらせて
もらってもいいかな?」

「おいおいお、マイト!
何日だっていてくれてかまわないぜ?」

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あ、右端のヤツね。

 

 

 

コイツの家は
公園からすぐの場所にあるようだ。

道の途中でごみ箱を漁っているホームレスに会った。
ホームレスと言うよりかは昼間っから
マリファナを吸っているようなヤツだ。

コイツは「マリファナくれよ!」と
そのホームレスに陽気に絡み、
残りわずかなマリファナを一服吸い、
吸い殻を地面に捨てた。

ヒッピーにはマリファナはつきものだ。
僕はさして驚きはしなかった。

 

 

 

「おい!マリファナ返せよ!」

突然ソイツがわめきだした。

 

 

「何言ってんだよ!
もう最後の一口だったぜ?マイト!」

「返せってんだろ!」

 

 

急に怒りだすジャンキー。

唇の裏側から取り出したのはカミソリの歯だった。

えっ??どこに隠してたんだ!やばくないか?

 

 

僕は荷物を持ったまま
成り行きを見ているほかなかった。

コイツは陽気に絡み、
10シュケルを渡してなんとか場は収まった。

 

 

 

 

そんなファニーなヤツらがいる
テルアビブのアパートにコイツの部屋はあった。

部屋に入ると誰もいない部屋に
なぜかテレビがつけっぱなしだった。

 

 

「ほら、ビールいるか?」と
ビールのふたを空けようとして
僕はストップをかけた。

お酒に強くない僕はそんな昼間っからは
沢山アルコールを摂取することができない。

笑顔でかわして荷物を置かせてもらった。

 

 

部屋にはさっきコイツが言っていた通り、
ディジュリドゥが置いてあった。

ベッドルームには何点か絵が飾ってあった。

「だからおれはゲイじゃないって言っただろ?」

そう言って、僕たちはまるで
中学二年生のそれのように
殴り合ってじゃれあった。

 

 

コイツの部屋を見るといくらか僕は安心した。

時々何言っているかわからないけど、
悪いヤツではなさそうだ。

部屋のキーを僕に渡した。
なかなかにオープンなヤツだ。

 

 

「16時からイタリアンレストランで
バイトがあるんだがー、
腹減ってるか?スシ喰いに行くか?」

「いやいや!
寿司だなんて高いものはいいよ!」

「まぁいいや、
とりあえずなんか喰いに行こうぜ!」

 

 

バックパックを置いて外に出た。

向かった先はアパートから
5分くらい行ったところにある

 

 

 
クラブだった。

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なんでこんな昼間っからクラブなんだ?
コイツこのあとバイトじゃないのか?

時刻は15時だったが、
クラブにはそれなりに人が入っているようだった。

受付で入場料を払おうとすると、
受付のスタッフが少し渋った。

陽気なノリでなんとか入った。

入場料を払おうとしたが、
彼は受け取ろうとしなかった。

 

 

 

「なぁ、さっき、受付の人は
なんて言ってたんだい?」

「ん?ああ。
今日はレズだけなんだとさ。
そんなこと関係ねーけどな」

 

 

よっぽど酒が好きなヤツなのだろうか?

たかだか1時間のために
クラブに酒を飲みにくるなんて、
ずいぶん物好きなヤツだ。

まぁ、僕としても一杯くらいだったらいいだろう。

 

 

僕がいらないと言うにもかかわらず
ヤツのおごりでビールとテキーラだか
ウォッカが出て来た。

お酒の味に疎い僕は
何を飲んだかは分からなかった。

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ショットグラスをくいっと煽ると
口の中に辛味が広がった。

チェイサー代わりに
ビールでそれを胃袋に流し込む。

 

 

「さっき16時からバイトだって言ってただろ?
こんなところで飲んでいていいのか?」

「仕事は17時からだ。だから大丈夫だ!」

 

 

ショットグラスにもう一杯強い酒がつがれる。

カンパーイと一気に飲み干し、すぐにビールで追う。

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15分くらいで酔いがまわってきた。

クラブに流れる無難なトランス音楽に乗って踊る僕とヤツ。

きっとここにいる子たちには僕たちが
ゲイにしか見えてないんだろうなと思いながら、
音楽に身を任せた。

ことあるごとにヤツは
僕の肩にパンチを打ち込んでくる。
僕も笑いながらデンプシーロールでパンチを返す。

まるで中学二年生のノリだ。

 

 

三杯目のショットが注がれて、
カウンターの向こうのお兄さんから
お金が請求された時、

ヤツがいいというのを振り払って、
僕は財布の中にあった70シュケルを無理矢理支払った。

これで財布の中の紙幣は全部なくなった。
コインしか残っていない。

 

 

突然ヤツが来いよというので、
僕は後について行った。
そこまで大きくないクラブだ。

今ここには沢山のかわいい女のコたちがいるけど、
その全てがレズだなんて、
僕は絶望的な気分を味わった。

 

 

「トイレ行こうぜ?」

「いや、僕はいいよ」

「I’m gay, I’m not gay!
(おれはゲイ、じゃなかった、
おれはゲイじゃねえから!)

 

 

「トイレには一人で行けよ」

「I fuck you」

 

 

 

 

一瞬にしてこの「fuck」が
使用頻度の少ない方の「fuck」
であるこはすぐに理解できた。

 

 

 

 

 

うん。
コイツやっぱり
ゲイだ。

 

 

 

 

 

頭の中が一気に冷静になる。

バックパックはヤツの家に置いてきた。

だが、僕は家の鍵を持っている。
コイツの家までの道も分かってる。

 

 

 

「うん!お前はいいヤツだ!
マジでいいヤツだぜ!!!メーーーン!」

 

 

コイツの気分を害さないように、
こっちも陽気に声をかけて、頭を揺さぶった。

ソファに腰を下ろしたヤツは
一気に酔いがまわったみたいに、くたっとなっている。

 

 

「じゃあな!」

と僕は一目散にクラブから撤退した。

スタスタとヤツの家まで歩いていって、
渡されたキーで中に入り、バックパックを背負って、
来た道とは違う道を通ってアパートから離れた。

ヤツに追われないためだ。

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アパートから

徒歩10分くらい離れた場所で見つけたベンチに
サブバッグを前にかかえて沈み込んだ。

さっき飲んだウォッカやビールが
一気に僕をグロッキーにさせた。

 

 

ひたすらに眠かった。

何度か意識は戻ったが、
目の前のベンチに座っている人間は
いなくなっていたり、違った人間に代わっていた。

歩けるほどにアルコールが抜けた時には
日はすっかり沈んでいた。

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どこに行くかもわからない。

こんな状態で寝床を探すなんてマジでしんどい。

野宿するのに、酒を飲んじゃだめだ…。

でも飲んでしまったからには仕方がない…。

 

 

 

 

お金を200シュケルおろして
マクドナルドに逃げ込んだ。

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6.7シュケル(204yen)のコーヒーを注文して、
二階席のソファに再び沈み込んだ。

目の前に置いたブラックコーヒーを
飲む気は一切起きなかった。

 

 

 

『グロッキーだ…』

 

 

 

1時間くらい休憩すると
コーヒーを飲めるほどに回復した。

これでマックが24時間空いていれば
文句はないんだけど…。

 

 

絵を描く気力もブログを書く気力も残っていない。

グダグダとネットサーフィンをして
24時の閉店時間までマクドナルドにいた。

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夜中のテルアビブはバーが人で賑わい、
交通量もそれなりにあった。

 

 

昼間っからほとんど何も食べていなかった僕は
スーパーマーケットでベトベトのピザパンを買った。

 

 

ビーチまで出た僕は、
積み上げられたの陰でピザパンを食べた。

波の音がとても近くに感じる。

月明かりのおかげであたりはほのかに明るい。

 

 

向こうの方からビーチで働いているという
黒人のお兄さんがやって来た。

ここでキャンプするつもりだと僕が言うと、
「ノープロブレムさ!」とお兄さんは言った。

 

 

お兄さんが去ったあと、
僕は積み上げられた椅子の陰にテントを立てた。

波音は途切れず、
時折人影がテントに写ったのが分かった。

 

 

マジで今日は色々あったなぁ…。

 

 

それなのに眠れないのはなんでだろう…???

IMG_2653

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ゲイ…ねぇ。

いや、個人の自由だと思いますよ。

だけど、僕は対象に含めないで欲しい。
切実にそう思います。

 

 

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