「アメリカ」

世界一周655日目(4/15)

 

 

入国拒否

になったらどうなるのであろう?

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入国できずにカナダに還されるということは分かる。

そうなったら僕はどうしよう?

きっと旅を続ける気力は枯渇してしまうに違いない。

 

 

即行マクドナルドだかに直行し、
ほんでもって日本行きのチケットを購入し、
余った時間は散財するに決まっている。

もうこの際、もう一度東南アジアへ行って遊びまくって、
それから帰国するのも悪くないな。

 

 

あ~~~…、

インドもありだなぁ♪

 

 

 

 

あとは太平洋を渡ってさえしまえば、
僕の「世界一周」は達成されたことになる

この言葉に縛られるのは好きじゃないけど、
旅に出るからにはゴールがあった方がいいし、
前に進んでいるちょっとしたゲーム感覚のようなものを味わえた。

「放浪」というスタイルはどこか憧れるけど、
いつ帰るのだか分からないし、
僕は日本に帰ってからやりたいことが沢山ある。

だからこそ、進めば進んだだけ、日本に近づいて行く
「世界一周」という枠組みの中で旅をしてきた。

あと少し、あと少しで日本だ。
だけど、その”少し”はかなり密度の濃いものになるはずだ。

 

 

 

 

 

アメリカには日本にいる時から行きたいと思っていた。

特に僕が見たいのはアメリカ西海岸だった。

ファッションはもちろんのこと、
音楽やスケートボード/サーフィン、ハリウッドだって西海岸にある。

特筆したいのは僕と相棒が大好きなアウトドア・メーカー
“patagonia”の本社もロサンゼルスのベンチュラの町にあることだ。
これは絶対に外せない。

 

 

やはり日本にいる以上、
アメリカからのカルチャーの流入は大きいと思う。

確かに英語圏以外のカルチャーに触れることもあるのだが、
アメリカからのものと比べるとその比率は小さいように思える。

チェコ雑貨が日本でメジャーなんて聞かないでしょう?
あんなに可愛いのにね。
数が少ないからこそ希少性があるとも言えるけどね。

 

 

 

昨日、旅の残金が残りいくらあるのかを確認したら

50万円を切っていた。

この前ギターを新調したのも痛いなぁと思いながら、
雑貨の仕入れには現在で30万円使っている。
いくらかは相棒たちに出資してもらう予定だ。
そしてそれは南米雑貨を買う分にまわすつもりでいる。
っていうか出資してもらえなかったら仕入れられねえ。

 

 

いずれにせよ旅の資金の底は
見えてしまっている状況には変わりない。

にも関わらずこれからアメリカを横断し、
その上で南米を旅し、

可能であればオーストラリア、
ニュージーランドに行きたいと思っている
おれは阿呆なんだろうか?

 

 

うん。そうだ。

寒い中で野宿してもなかなか体調を崩さない僕は阿呆に違いない。
あ、バカか。

 

 

そんな僕は果たして無事に日本に帰ることができるのだろうか?

ゴールには近づいているけど
「日本に帰る」ということはまだイメージできていない。

でもやりたいことは山ほどあるから絶対に死ねない。
死なない。

Let’s servive!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トロント

のバスターミナルでNY行きのバスを待っている。時刻は5時半。

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回りには僕と同じようにバスを待つ人の姿があった。

寝ている人間は警備員に起こされていた。

僕は先ほどセブンイレブンで買ったバナナを頬張り、
電子板を確認して停留所の8番へと向かった。

「30分前にはターミナルにいるようにしてください」
と言う割には、バスはまだ到着していなかった。

客たちは縮こまってバスを待った。
僕はいつものようにiPhoneのリーディングリストに残した
2006年の坂口恭平さんの日記を読んで時間をつぶした。

 

 

 

6時を5分過ぎてバスはやって来た。

Greyhound(グレイハウンド)社のバスは
実際以上に年季の入った車体に見えた。

そう見えさせているのはバスの色のせいだった。
車体は深い紺色で銀色の犬の絵が描かれている。

歴史あるグレイハウンド社だからこそのデザインなのかもしれない。

ジャックケルアック”On the Road”にもこのバス会社が出てくる。
後から調べてみたのだが、なんと100年以上も歴史のある会社だそうだ。

 

 

 

バスのスタッフが一人一人のチケットを確認した。

僕はギターを持ち込むつもりでいたので
何か言われるかなと構えていたのだが、
これと言って課金される様なことはなかった。
ギターくらいであれば手荷物として見なされるらしい。

席は自由席で特に決まっておらず、
荷棚の上にギターケースを置くと、適当な場所に座った。

各座席にはコンセントがついている。
車体にはWi-Fiマークがついていたので、
iPhoneで探してみると確かに車内でWi-Fiが使えるようだった。
ただし利用できるのは走行中のみのようだ。

 

 

そうしてバスはトロントのターミナルを出発した。

僕はすぐに眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気づいたら
国境に到着していた。

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心の準備など全くしていなかった。

しつこく質問された場合の受け答えの練習すらしていない。

 

 

全く回転しない頭で、他の乗客の後に続いた。

今僕がいる場所がカナダ側のイミグレーションなのか、
それともここからあの厳しいとされている
アメリカの入国審査が始まるのか、僕は検討が着かなかった。

とりあえず分かるのは入国審査官が屈強そうな体つきをしており、
眉をしかめているということだった。

肌の色の浅黒い女のコがスケジュールみたいなのを
突っ込まれているのが見えた。

あ~~…ついに来ちまったか。

 

 

 

「ネクストッッ!」

 

 

そう呼ばれて僕の番がやってきた。

不思議とドキドキすることはなかった。
起きたばかりで緊張するほど頭がまわっていなかったのもある。

 

 

入国審査官はまず先にESTAのことを僕に尋ねた

ESTAとはオンライン上で登録する、
即時発行される電子ビザのことなのだが、
これが必要とされるのは空路からの入国の時だと聞いていた。

「日本大使館は陸路で入国する場合には
必要ないって言っていたので…」
と言うと審査官はそれ以上質問してこなかった。

 

 

「滞在期間は?」

「一ヶ月です。出国のチケットー…」

「で、ニューヨークの滞在先は?」

「え?(英語が早くて分からないのだ)

あ、ああ。こちらのホテルを予約してます
(iPhoneのスクリーンショットと予約確定のメールを見せる)

「ふーん。ジャパンか…。バシッ!」

「あ…、ど、どもっす」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実にあっけない入国審査だった。

 

 

え?なんなの?これでおしまい?
てっきりこれから第二関門が待ち受けているのか??!!
とかと妄想したのだが、イミグレーションでは出国/入国が
一括で管理されているようだった。

せっかく1万5千円で買った
グアテマラ行きのチケットもまるで意味がなかった。

いや、意味がないなんてことはないのだろう。
買わなければ買わなかったでツッコまれてしどろもどろさせられるのだ。
僕の人生経験上そんな感じだ。
これはコンゴ並みに高いビザ代だったってことだろう。

 

 

 

再びグレイ・ハウンドのバスの中に入り、シートに体を埋めた。

街並は特別アメリカ的には感じなかった。

昨日買った林檎を入国祝いにかじって、
無事アメリカに入れたことをLINEで相棒に伝えた。

途中休憩で立ち寄った売店にあるATMで100ドルをおろして、
コーヒーとクッキーを買った。

しばらくすると僕は足りない分の睡眠を補った。

 

 

17時過ぎにバスはニューヨーク州に入っていた。
交通量が増え、バスの進む速度が一気に遅くなった。

遠くには高層ビルが立ち並ぶ一角が見える。
映画の中で何度も見てきたシーンだ。
あれがニューヨークなのだなぁと僕は思ったが、
そこまで気持ちが高揚することはなかった。

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のろのろと

バスは市街を進み、
18時に地下にあるバスターミナルに到着した。

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バックパックを背負い地上に出ると、
そこはカナダ以上に人ごみで溢れていた。

見渡す限りに人・人・人。

欧米人を見ても、彼らの国籍の違いはよく分からないが、
中国人がその中にまぎれているのを見るとここが

「人種のるつぼ」

と呼ばれるあのアメリカなのだということが理解できた。

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宿は予約してあったので、僕は歩いてそこまで向かおうとした。

これまで数々の都市を歩きまわってきたが、
ニューヨークほど大きな都市はないように思えた。

 

 

どこもかしこも似た様な高層ビルが立並び、
マップアプリで確認してもちっとも進んでいない。

一時間歩き回ると、足が痛くなってきたので、
僕はスターバックスの外でWi-Fiを失敬した。

Googleマップで宿までのルートを調べ、
最寄りの地下鉄駅から宿のあるブルックリンまで向かうことにした。

 

 

「グリーン・ヴィレッジ」とマップに描かれた公園に言ってみると、
そこでは炊き出しのようなものが行われていた。

それは路上生活者のための支援の一環であることは理解できたのだが、
配布される食事にありつけはしないかと、
ダメもとで食事を配布しているスタッフに声をかけてみた。

 

 

「あの~、これって、もらえるんですか?」

「は?あんたあっちで名前を紙に書いた?」

「あ、なんですか?それ?あの、ハウマッチ?」

 

 

スタッフは短髪の白髪にジャンパーを着た化粧の濃い中年の女性で
「ドラッグを断って社会復帰を果たした」ような感じの
サバサバした雰囲気を持っていた。

僕がホームレスではないことは分かっていたのだろう。

 

 

まぁ、そうですよね、と引き下がろうかと思ったのだが、
彼女は僕を追い払うように

「get out of here!!!」

そう吐き捨てて食べ物が入ったトレイを僕に押し付けた。

 

 

どうやら食べ物の入ったトレイが配布されるのは
列の最後ということが分かった。

それより前では他のスタッフたちがスナック菓子やら
保存のきく食糧をビニール袋に詰め込んで
路上生活者と思われる人たちに渡していた。

あぁ、僕は列に横入りするかたちになっていたわけだ。

 

 

 

食べ物を手に入れた僕はどこか後ろめたい気持ちになっていた。

あそこで「よそ者はお断りだよ!」と断られていた方が
マシなような気がして来た。

公園にはホームレスたちがベンチでトレイを手に、
ぺちゃくちゃとお喋りをしながら食事をとっていた。

 

 

公園内には二種類の人間がいた

それは発泡スチロールの白いトレイを
持っているかどうかで簡単に区別がついた。

僕は端の方のベンチに座って手に入れた物を食べた。
サーモンと骨のついた柔らかいチキン、
スートコーンにざく切りのフライドポテト。

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空腹を満たすことはできたが、
後ろめたい気持ちはますます膨らんでいた。

あぁそうだよな。
これはもらっちゃ行けなかったんだよな。

もしかしたらおれのせいで、
他のヤツが喰えなくなっちゃったかもしれないもんなぁ。

 

 

もし、あれだけの食事をここでとることになれば
5ドルは越えるだろう。

その分ホームレスの紙コップに入れることを決めて、
僕は地下鉄に乗った。

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駅のホームの反対側ではパイプ椅子に座ったバスカーが、
電車の騒音にもめげずに唄っていた。

まわりの人間は全く感心を示さなかったが、
一曲が終ると僕と同じホームにいた女性が拍手を送った。
バスカーは照れくさそうにペコンと軽く頭を下げた。

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4th

アベニュー駅で降り、
僕はそのまま予約していた宿に向かった。

「202 Hostel」というなんのひねりもない安宿だったが、
ニューヨークの宿は安くても30ドルもする。

ニューヨークには有名な日本人宿があるらしかった。
僕はそれを予約しようとネットであれこれ検索をかけたのだが、
目を引いたのは評価の低さだった。

それもただ一人じゃない。
沢山の人が似たような感想を述べていた。

僕は低い料金で嫌な思いをするのであれば、
200~300円高く払ってその分居心地の良い宿に泊まった方が
いいと思ったのだ。

これはレビューを読んだ人間(あくまでの個人的な僕の)心理だ。

 

 

 

202 Hostelは宿の看板も表札も何も掲げられてはいなかった。
Googleマップで正確な宿の住所を調べておかなければ
見つからなかっただろう。

インターホンを押したが、何の応答もない。

僕は嫌な気持ちに駆られた。
もしかして宿なんて存在しないんじゃないか?

 

 

ニューヨークで野宿だなんてさすがに勘弁なので、
僕は何度も何度もしつこくインターホンを鳴らし、
入り口をバシバシ叩いた。

そうしてようやくスタッフの女性が出て来て僕を中に入れてくれた。

 

 

「メール来なかったの?
入り口の電子ロックのナンバーが
一緒に書かれていたはずだけど?」

「いや、僕が予約したのはBooking.comなんで
そういうメールは来なかったです」

 

 

 

宿は四階からなる建物だった。

一階のリビングには僕とそのスタッフを除いて誰もいなかった。

支払いをクレジットカードでお願いすると、
彼女はカードリーダーをスマートホンに装着し、
あっとい言う間に手続きを済ませた。

タッチパネルで署名をするだなんて初めての経験だった。
なんだかすげーな。

 

 

支払いを済ませてしまうと、
スタッフは途端に愛想がよくなった気がする。
テキパキと宿の説明をしてくれた。
僕は割り当てられた自分の部屋にシーツや枕カバーを持って向かった。

部屋には四台ベッドがあり、
そこには他の客の荷物はあったが誰もいなかった。
割り当てられたベッドは二段ベッドの上段だった。

僕はベッドにシートをかけ、
粗相のないように枕や布団にもカバーをかけた。

 

 

それを済ませてしまった後で、
ようやく久しぶりのシャワーを浴びると
さっきまで抱えていた後ろめたい気持ちもようやくスッキリした。
明日その分誰かに回すことにしよう。

 

 

 

 

今日は夜遅くまで作業をしていた。

その間に宿泊客たちは戻って来ていた。客のほとんどは欧米人だった。

 

 

 

深夜三時になり、僕はようやくこの日をしめくくることにした。

なるべく物音をたてないように部屋に入り、
自分のベッドに登ると

そこには先客がいた。

ベッドが間違っていないことを確認した。

 

 

先客も起きて来てレシートを僕に見せてくれたのだが、
そこには僕のベッドの番号と同じ番号が書かれていた。

 

『いやいや、
なんで既にベッドメイク
されていとこに寝るんだよ?
そこに僕の洗濯物もかけてあったじゃねえか?
馬鹿かコイツ?』

 

 

と僕は思ったが、
こういう時にプラマイをゼロに戻そうとするのが
僕という人間だ。

 

 

 

「うんうん。夜中にごめんね」

と相手の非を責めずに、
この日は一階のリビングで寝袋とブランケットで寝た。

屋内だったら床でも寝れるさ。

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そんなわけでアメリカに入国してしまいました。
やっぱり入国審査が厳しいのは空路なんじゃないですかね?
イギリスだってスコットランドから入国する時はザルでしたもん。

炊き出しはやっぱりもらっちゃダメですね。
その分は他の方にドーネートで回したんで今回はこれでチャラにしてくだせえ。

 
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2 件のコメント

  • シミ君、今日金丸君から連絡が来て7月3日に、世田谷区民会館でコンサートを遣るとお誘いを受けましたが、残念な事に私の次回のー時帰国が、9月ですので参加出来ません。(涙)

    この7月のコンサートは彼の「世界ー周の旅(仮名)」の本の発売記念コンサートだと言う事です、彼も元気に日本で活躍して居ます、今は「金丸文武、3年で出来る事。」と言うタイトルで日本各地に行き、旅ブログを書いて頑張って居ますよ。

    • >JOSANさん

      返信遅れました。すいません。只今連日ヒッチハイクでアメリカ縦断中です!

      金丸さんのライブは僕もいつかは行きたいと思っています。
      YouTubeで音源のいくつかは聴いたことがあるのですが、
      やはり生で聴かないことには、伝わってこないと思います。

      また、金丸さんは文才もある方ですから、書籍も楽しみであります。
      もしかしたら、今後の旅小説のバイブル的な存在になるかもしれませんね!

      よし…、おれも…

      そんなわけで明日もヒッチハイクです(笑)
      もうそろそろ西海岸が見えるので、しっかり更新できる気がします!

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