「ヒッチハイカーの吹き溜まり」

世界一周705日目(6/4)

 

 

テントの外

には誰も自然が広がっていた。

僕の他に誰一人としてここにはいない。

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カリフォルニア初日が夢のような出来事で始まるとは思わなかった。

頭のボヤボヤはいくらかマシになっただろうか?

ゆっくりと撤収して車道へと出た。

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一時間ほどの距離を歩きハイウェイへの入り口へと戻った。

“red wood highway(レッド・ウッド・ハイウェイ)”
という名前だった。

見つけたカフェはとても味のある素敵なカフェだったが、
残念なことにオーナーは人当たりの悪い人物だった。

僕がうまく注文できずにまごまごしていると眉をしかめた。
釣り銭をごまかされそうになったので、
僕もMサイズでコーヒーを飲ませてもらった。これでイーブンな。

こんな人が来なさそうな場所でカフェをやるってのも大変だと思うよ?
彼の立場を想像すると、いくらか気持ちも楽になった。

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コーヒーを飲んでも頭はボヤボヤしたままだ。
治っているのかも分からない。
本当にこれって病気じゃないか?と思う。

バイト時代に店長に「お前頭おかしいんじゃないか?」
と叱られることがあったが、本当かもしれない。
僕の頭は今おかしなことになっている。

ちょいちょい自分の姿をカメラに撮ってみたが、
外から見る分には特に以上はなかった。

 

 

 

ウダウダしながらヒッチハイクの場所に立った。

車の通りは少なく、やって来る車はスピードを出している。
でもやるしかねえだろう。

ハイウェイを走る車と、ハイウェイへ入ってくる車、
両方を狙えるポジションに立った。

予想していた通り、やって来る車からのレスポンスはほとんどないし、
確認もできない。

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『これは長丁場になりそうだな..』

そう思い始めた30分後に車が止まった。
”中には昨日僕をここまで連れてきてくれたシェンと
彼氏のトニーが乗っていた。

年季の入ったワゴン車。中には毛艶のいい二匹の犬。
人懐っこい犬は好きだ♪

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「patagoniaのジャケット着てる!
それ何年くらい着てるんですか?」

「ん~、4年くらい?」

「良い…♪」

「いや、君がパタゴニアが好きって
シェンから聞いてたから着てきたんだよ」

「ははは。そうでしたか」

 

 

シェンとトニーには
Gerberville(ガーバー・ヴィレ)という
小さな町で降ろしてもらった。

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ありがとーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここなら

ヒッチハイクにオススメよ!」

と教えてくれた場所には既にヒッチハイカーの姿が見えた。

 

 

ヒッチハイクポイントへ向かう前に
ひとまず僕はスーパーで食糧を買っておいた。
もしかしたら今日もキャンプになるかもしれない。

普段なら買わないような4ドルもする
総菜のトマトサラダも今回は買った。
頭のボヤボヤが栄養不足が原因ならやっぱり食べておくべきだろう。

支払いは12ドルもしたが、こういう出費は仕方がない。
手持ちのお金は5ドルもなかったので
クレジットカードで支払っておいた。

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アメリカで何度もヒッチハイクをしてきたが、
こんなに一度に他のヒッチハイカーを見たのは今回が始めただった。

一番始めに並んでいるらしい三人組。
そして2人組のバックパッカー。

ヒッチハイクにも順番というものがある。

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急ぐ旅でもない。

三番目らしいポジションでさっき買った
トマトサラダを食べながら順番を待った。

 

 

 

 

一時間ほどして、
先に2人組のバックパッカーの元へ車が止まった。

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やはり三人でヒッチハイクするのは難しそうだ。

ドレッドヘアのお兄さんが出て来て、
悪いんだけど荷物が一杯でトランクには入れられないんだと言うと、
二人は荷物を膝に抱えるようにして車に乗り込んだ。

 

 

 

彼らがいなくなって僕は同じポジションでヒッチハイクを始めた。

フレンドリーなレスポンスはあるのだが、
みんなハンドサインで「ちょっとしか進まないんだ!」と言い、
ハイウェイに入っていった。

町の小さなの割には交通量はある。

だが、どうだろう?こんな小さな町だ。
それにみんなここでヒッチハイクをしているから、
町の人たちはヒッチハイカーにうんざりしているのではないだろうか?

そう考えた僕はギターを構えながらヒッチハイクをした。

レスポンスは少しだけよくなったが、
車はなかなか止まらなかった。

 

 

しばらくすると三人組が食事休憩に町へと戻って行った。

そしてそれと同時に新しいヒッチハイカーがやって来た。

熾烈な争いだ。

 

 

新しくやって来たヒッチハイカーは犬連れだった

チャンスは24歳で僕と同じように
レストランでウェイターをやって金を貯めたらしい。
今はヨセミテ国立公園を目指しているらしい。

茶系の服装に帽子と電子機器。
旅が始まったばかりの初々しい格好に見えた。
チャンスは友達とここで合流するらしく、
荷物を置くと1歳半の愛犬と遊んでいた。

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僕はそんな彼を横目にヒッチハイクを続けた。

そして僕が車をつかまえるよりも先に
ここでヒッチハイクをしていた三人組も帰ってきた。

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ここで車が捕まるのだろうか?

みんなヒッチハイカー乗せるのに
飽きちゃったんじゃないの!!??

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「止まって…くれ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ようやく

車が止まってくれたのは
僕がここに来てから2時間を過ぎた頃だった。

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「あなた幸せそうな顔してたから」
というエリザベス。

自分ではひきつった顔をしていたと思っていたのだが、
彼女の目にはそう見えたらしい。不思議なものだ。

エリザベスの行き先は4km先だった。
これなら一時時間あれば進めてしまう距離だ。
あそこで一時間待った意味はあるのだろうか?と考えてしまう。

 

 

 

降ろしてもらった場所はかなり寂しい場所だった。

近くには木の板に「SOUTH」と書かれた
ヒッチハイクボードが置いてあった。
きっとここでも誰かがヒッチハイクしたのだろう?

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僕は半ば諦めて親指を立てた。

こんな場所で車なんてとまりっこーーー…

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20分ほどでワゴン車が止まった。

 

 

 

 

「さ、サンクス!!!
あれーー…、

さっき会ったよね?」

 

 

 

中には先ほどいたガーバー・ヴィレにいた
ヒッチハイク三人組の姿が。
間近で見ると彼らはかなり若いということが分かった。
大学生くらいだろう。

バックパックを荷物を置くスペースがなかったので、
サブバッグを前の男の子の足下に置いてもらい、
ギターは隣りの二人。そしてバックパックは
膝に抱えるようにして乗り込んだ。

ドライバーはバックパッカーにかなり理解があるように思えた。
きっと彼も昔はこうしてヒッチハイクをして
旅をしていたということが分かった。

ふつうだったら一度に何組ものヒッチハイカーを
車に乗せることはしなだろう。

 

 

 

「隣り町までだけどいいか?」

そうお兄さんがいった。短い距離しかいかないのだろう。

 

 

しばらく走ると、
良い匂いのするタバコがまわってきた。あ、どもっす♪

 

 

そこからはもう、うん。

超ご機嫌な
ドライブだったよね。

 

 

 

まずドライバーの細身の兄さんがかけてる音楽がヤヴァイのだ。

アコースティックギターの呑気な伴奏に合わせて、
ボブ・マーリーの劣化板みたいな地声とも
判別がつかないヤツが唄う曲だ。

現代のアメリカでヒッピーやっているヤツがいたら
かけてるであろう音楽はこんな感じだろう。

ドライバーの兄さんはかかっている音楽をえらく気に入ってるらしく、
助手席に座った大学生(たぶん彼がリーダーだ)に
「だろ~~!コイツ、めっちゃ最高なんだよっっ!
お前あれ知ってるか?ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ~~~…」
とまくしたてる。
隣りの男の子は分かっている素振りで頷いているが、
たぶん分かっちゃいないだろう。

よーく、音楽を聴いていると
ボーカルとアコースティックが微妙に合っていないことが分かった。
ジャンベだかの低い音のする打楽器がボーカルと
リズムを合わせてるらしいのだが、アコギの音がズレているのだ。
合ってるようで合っていない。
それに不思議な「ボワボワ」した音が入っている。

おいおい。これどんなアーティストだよ。マジで教えて欲しい!

 

 

後ろから運転手の兄さんの話に耳を傾けていたが、
断片的にしか聞き取れなかった。
どうやら今かけている音楽はお兄さんのミックスらしい。

 

 

「隣り町までしか行かない」

といったはずが、
車はかなりの距離を走っていることが分かった。

まどの景色に輪をかけて、外の景色はどんどん移り変わって行く。
もうこうなりゃ流れに身を任せるしかないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二時間

経った頃に車はどこかの町で止まった。

「そろそろお前らを車から降ろすぜ」と言う。

えっと、ここはどこだ?
平静を装おうとするが、頭は全然回らない。

そして隣りを見ると、
大学生二人はトロ~~ンとした顔をしていた。
瞼が半分降りている。

あ、おれも
そう見えるのか(笑)

 

 

ガソリンスタンドに止まった時、
ドライバーのお兄さんがまくしたてた。

「いいか。もうこの町からヒッチハイクなんてしない方がいいぜ?ここからサンフランシスコやサン・ホセに行くんだったら、〇〇までバスで行ってそこからヒッチハイクすることだな!まぁチケットも10ドルそこあらだろ高くねーだろ?それが嫌だったら、グレイハウンドで一番安いチケットを買って、そのまま寝過ごしたフリして終点まで行けばいい!「あ、すいません寝てました」って言えば完璧だろ!わかったな。じゃあ、せいぜい旅を楽しめよ!」

 

 

 

 

きっと彼は
貧乏旅の覇者だ。

とろけた頭では彼が言っていることのほとんどを
理解できなかったが、最後にまくしたてたのは
旅のティップ(技)だったことは間違いない。

何が「隣町までしか」だよ?全然進んでんじゃねえか。
粋な兄さんだぜ。
あ、あの音源どこで手に入るか知りたかったな…。

 

 

「で、君たちどうすんの?」

「んあっ?おれたち、ヒッチハイクを続けるよ」

「あ、そ。おれはもう無理そうだ。
今日はここに泊まることにするよ。グッドラック!」

「グッド・ラック」

 

 

意気揚々と彼らとは別れた。

「ハイ」と「ロー」があるのなら、
今の僕は完全にLOWだろう。

頭も完全に回らないし、
ここがどこだか分からない。

暑いのか寒いのか、疲れているのか、動けるのか?

 

 

頼れるヤツはどこにもいない。
自分のことは自分で面倒をみなければならない。

うはーーーー…、マジでキツい。

 

 

 

1分前の記憶に確信が持てない。
iPhoneのメモに時刻と一緒に頭に浮かんだことを書いていった。
自分の意識が保てているのか。

おれは生きているのか…??

 

 

 

 

ひとまずトイレに行こうと考えた。

近くにあったスーパーに立ち寄ったがそこにはトイレはなかった。

近くにあったサブウェイもダメ。
アーケードの下で弾き語りをしているおっちゃんの音楽が
やけに印象に残る。あんたプロじゃないの?

 

 

近くにあったガソリンスタンドへ逃げ込んだ。
トイレを借り、ジュースを買った。
店員は俳優のように洒落たヤツだった。
端数の2セントが払えずにまごついていると、
レジカウンターにはチップ用の灰皿からさっと2セントを取り出し、
「ほら!ここに2セントあった♪」とサービスしてくれた。

 

 

僕は日陰に荷物を下ろすとへたり込んだ。

きっと暑いに違いない。

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目の前を通り過ぎる女のコたちの露出度が高いことから分かった。
日差しにさらされると皮膚がジリジリするのが分かったが
実感は薄かった。

あ、あのおっさん、車の窓から顔だしてるけど、
犬みてえ..。ウケる。

 

 

通り過ぎる人の目が気になってしょうがなかった。
不審者扱いされて警察呼ばれたらどうしよう?
目のやり場にこまる。

あ、なるほど。
だからサングラスかけるのか。

サングランスの別の用途は
視線を悟られなくするためだな。

 

 

 

マジでパラレルワールドに紛れ込んでしまったのかもしれない。
いくつも「分岐点」のようなものがあった。

 

 

いや、こうして自分の生に疑いがあるということは、
自分に自殺願望があるってことか?!!
鬱の時の坂口恭平みたいに?!
こんな人生を楽しんでるのに自殺したいのか?!おれ?

いやいやいやいや!それはない!

 

 

記憶を残そうとメモをする傍ら、マップアプリを起動すると、
わずか100メートル先にマクドナルドがあることが分かった。

た、助かった!

 

 

決死の覚悟で道路を横断しマクドナルドへ逃げ込むと、
コーヒーを注文してテーブル席でiPhoneをいじった。
外からみたらただのバックパッカーだろうが、
頭の中はえらく混乱している。

テーブル席は僕の安全地帯だった。

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ようく耳を澄ませるとかかっている音楽が
やけに古い音楽だということが分かった。

店員も高齢でレジではおばあちゃんが
ゆっくりとした動作で客対応をしている。
きっとここの店は積極的にリタイアした人を雇う店なんだな。
いいですね♪

 

 

 

 

 

徐々に、徐々に頭はまともになっていった。

閉店時間までいさせてもらい、僕は寝床を探すことになった。

 

 

見つけた空き地はまさに野宿にうってつけの場所だった。

いやぁ~~~…マジで大変だったよ。

 

 

おれ、生きてるよ☆

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2 件のコメント

  • カリフォルニアには私の友人が住んで居ます、日本生まれで大学まで日本で暮らして居た、2m近い大男のアメリカ人のボブと言う男です。
    彼は後2年したら定年でアメリカの年金が出るので、大好きなチェンマイに移住すると嬉しそうに話して居ます。
    ボブはもう既に3回タイに遊びに来て居て、ウドンタニの私の家にも私の家族に会いに遊びに来ました。
    ボブはカリフォルニアは最高に天気が良くて、いい所だと自慢して居ましたよ。

    • >JOSANさん

      身長が2メートルもあって、名前が「ボブ」??!!
      ボブの下に「サップ」がつくなんじゃないんですか?
      (いや、彼はまだ若いか?!)

      確かにカリフォルニアはとても面白い地区です。
      広大で町や地区によってカラーが違う。
      いればるほど色々なことが見えてくる場所だと思います。
      僕の中ではポートランドといい勝負です!

      ウドンタニは…
      どうだろう?
      あそこを訪れた時は、
      スーパーのDQでアイス食べながら
      漫画描いてただけだからだなぁ。スイマセン。

      やっぱり人がその土地に住み続けるのには
      魅力を知っているからってのもあるんでしょうね。

      (ボブ…。
      どこか漫画に出てきそうだ…)

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