世界一周737日目(7/6)
バスは
6時過ぎにグアナファトに到着した。辺りはまだ薄暗い。
僕はバスの待合室で仮眠を取ることにした。

待合室は必要以上に冷房が効いた。
僕はブランケットを取り出してそれを体に巻いた。
寝落ちして荷物を全部盗まれるヘマを犯している僕は
まともに寝ることができずに朝8時までの二時間を過ごした。
ここはメキシコ。グアナファト。
バスの値段は高いが旅をしてみると意外に快適です♪
8時を過ぎてもまだ少し肌寒かった。
幸いローカルバスがターミナルから出ていたので、
それに乗ってセントロまで行くことができた。値段は7ペソ(56yen)。
ここでも宿のある場所を調べておいたが、
町を少し歩いて見たかったので、僕は途中でバスを降りることにした。

山の斜面にチラホラとカラフルな建物が見え始めた。
降りた場所はとてもバスが止まれるような場所ではなかった。
乗客が降りるとバスはすぐに出発した。
車道も細いのだが、建物と建物の感覚が狭い。
そしてその間にはワクワクさせてくれる路地が続いている。
「オクソ」の看板もそこまで自己主張しすぎないように、
さりげなく建物に取込まれていた。
僕はそこでグランデのアメリカーノとクッキーを買って
ベンチに座って食べた。
すぐ近くにホステルの文字を見つけたので
いくらかと尋ねてみると150ペソ(1,170yen)だという。
観光地ということで宿はあるようだ。
だが、安い場所が見つかるかどうか?
ひとまず僕は辺りを歩いてみることにした。

狭い路地をどんどんと歩いてく。
山の斜面にあるような町なので急な坂道がいくつもあった。
歩くのが楽しかった。
どこを切り取っても絵になるのだ。
目に入ってくる景色におもわずゆだれがでる。
そうだよ!これこれ!

この坂の感じ!

玄関に繋がれた犬!

えっと…、なんだこれ?後ろの像がシュール。
僕が見たのは町の全貌のような写真だった。
実際に来てみるとワクワクさせてくれる路地が
沢山あるじゃないか!
やはり自ら足を運び、自分の目で見てみないことには
その場所がどういう場所なのか分からないと思う。
僕も含めて、ここを訪れた人々が
グアナファトがよかったと言うだろう。
その感想を100%真に受けないで欲しい。
自分の目で確かめてみないことには分からないのだから。
まぁ、来たばっかで何言ってんの?って感じだけど、
それだけ僕はワクワクしたのだ。
そんな調子で明らかにローカルな場所をウロウロしていた。
その間に見つけた宿にいくつか値段を訊いてみたのだが、
安宿とは言えなかった。
結局は事前に調べていた宿へと向かうことになったのだ。
「アロンソ通りの真ん中らへんにある
パン屋の二階のホステル」
というのが安宿の在処だった。
『まぁ、パン屋くらいどこにでもあるだろう』と
気楽に探してたのだが、意外とローカルなパン屋さんは多い。
アロンソ通りに三軒くらいはあるのではないだろうか?
しかもみんな同じような店構えをしているので、
最初はパン屋の二階が宿に見えるかを基準に探していた。
それらしき入り口から
前にサブバッグをかけたヨーロピアンの女のコが出てきて、
僕宿を見つけることができたのだ。
宿の名前は忘れてしまったが、
ドミトリーで130ペソ(1,030yen)だった。
まぁ予算内っちゃあ予算内だろう。

僕はここに三泊することに決めた。
特に部屋を見せてもらうでもなく、宿代を三日分支払い、
ドミトリーへと案内してもらった。
一階がレセプションになっており、二階に部屋があるのだ。
ネットで調べた際に、ここの宿の評価はそれほどよくなかったが、
僕にとってはかなり居心地のよい空間だった。
まず第一にドミトリーに他の宿泊客がいないのだ。
実質シングルルーム。

なぜかドアが取り外されており、
プライバシーもへったくれもないのだが、
それもあまり気にならなかった。
ドミトリーでまず優先すべきことは電源の確保だ。
どのベッドが寝ながらにしてパソコンなどを充電出来るか、
見定めて入り口付近の下の段のベッドを選んだ。
上は嫌いだ。登るのが面倒だから。
ベランダからは通りを見下ろすことができた。
映画のワンシーンに出てきそうな眺めだった。
気がついたのはどこの家も窓やベランダに緑があるということだ。
プランターや鉢植えに植物が植えられている。
日本人の僕から見ると、『なんてお洒落なんだ!』と思うのだが、
ここに住む人たちはそれがごく自然のように
緑を生活の中に取り入れているようだった。
ますますグアナファトの町が好きになる♪

荷物だけ
置くと僕は町を歩いてみることにした。
サブバッグとギターだけ持って宿を出た。
ドミトリー出る時に、
『荷物が盗られることもあるかもな..』
と思わなくもない。
バックパックの中には何が入っているか思い描く。
着古したパタゴニアの服とテント、寝袋、その他細々したもの。
盗まれた時はショックだろうが、それほど価値のあるものではない。
単に僕のお気に入りなだけだ。
被害に遭ったときは遭った時だと、割り切っている。
グアナファトの町の
観光エリアも十分僕を楽しませてくれた。

僕は路地が好きなのだ。それも狭い路地が。
車の走行が許されてる場所も狭い。
車はのろのろとそこを進み、歩道は多くの人々で賑わっていた。
一軒置きに土産物やカフェ、飲食店がある。

観光地のエリアはそこまで大きくなかった。
『三日も滞在する必要があったかな?』と思わなくもなかったが、
楽しいことはどこにだってあるだろう。気楽に行こうぜ。イージーに。


宿に戻る前に僕は路上でギターを弾いてみることにした。
今日は月曜日で平日だったが、
町の賑わいを見ていると唄いたくなったのだ。
いい感じの路地を見つけると僕はギターを構えた。
最近歌い方が変わった。
YouTubeなんかで三宅洋平の弾き語りを見たとき、
細美さんの弾き語りを見たとき、
弾き語りってこうやるんだなって感じた。
プロの歌い方にはパワーがこもっている。
そして見ている方を「ぐっと」惹きつけるのだ。
もちろん僕はプロでもミュージシャンでもない。
だけど彼らのように唄えたらきっと気持ちがいいだろうなと思うのだ。
メキシコのレスポンスはよかった。
みんながニコニコしてコインや20ペソを入れてくれる。
中には「ビューティフル!」なんて
言ってくれる人もいるんだから嬉しくなっちまう♪
隣りにいる物乞いのおじちゃんが
ぶすっとした顔で座っていた。
昨日のグアダラファラを越えるレスポンスのよさだったし、
僕も調子がよかった。


似顔絵も描いた。
スーツを来たビジネスマンのような青年たちが
僕に声をかけてきた。何人かは英語が喋れた。
立ち話をしていると、一緒にご飯を食べにいかないかと誘いを受けた。
僕はもう少しだけここで唄いたかった。
「30分だけ唄わせてくれない?」とお願いすると、
彼らは向こうに行ってしまった。
だが、すぐに引き返してきて
「やっぱり今いかない?」と言ってきた。
おいおい。
おれは何をやってるんだ?
こういう出会いを求めているんじゃないのか?
面白そうなことがあったらそれに飛び込むべきだろう!
「ちょっと待ってて!すぐに片付けるから!」
迎えに来た男の顔がニコっとなった。
他のメンバーも引き返してきて荷物そ運ぶのを手伝ってくれた。
一人は僕のギターを持って歩きながら唄った。
有名な曲らしく周りのメンバー全員で合唱する。陽気な音楽隊だ。

彼らは大学生だった。
教授の引率のもと、ここへ遊びに来たらしいのだ。
メルカドのフードコートで
彼らは僕にサンドイッチをごちそうしてくれた。
固めのパンにジューシーなチキン、それにサルサソースがよく合った。


「テキ〜〜〜ラ〜〜〜!!!」
軽食を済ませると今度は近くのバーに飲みにいくことになった。
まだ17時前でやっているバーが少なかった。
今朝方僕がバスを降りた近くに小さなバーがあった。
壁には前衛的なイラストが描かれていた。


前衛的..
僕はテカテを注文した。
あっさりとした飲みやすいビールだ。
日本にいた時はこれにライムを絞って飲んだ。
『そのまま瓶に入れられたライムはどうやって取り出すのだろうか?』
と僕はずっと気になっていたのだが、ここではライムは出て来なかった。
しばらくてして酔がまわってきた。
まだ4分の1ほどビール残っていた。
アルコールをこの前のんだのはいつだったっけな?と考えたが、
思い出せなかった。
あぁ、サンフランシスコでジェイの家に泊まらせてもらった時だったな。
下戸の僕は酔いがまわるとすぐに眠くなる。
周りのみんなから「寝るな!」と声がかかった。
いや、そんなこと言ったって眠いんだよ…。
冗談を言い合ったり、スペイン語の下ネタを言わされたり、
大勢で酒を飲むと楽しいこともある。
日本にいた頃、僕がまだ学生だった頃、
どうして飲み会で気を遣ったり、
どんなトークを振ろうかなど気をもんだりしたのだろうか?
と疑問に思う。
ここではそんなことを全く気にしない。

18時に大学生たちとバイバイした。
宿に戻り、そのまま21時過ぎまで寝た。
起きてテーブルで日記を書いて2時を過ぎてまたベッドに戻った。
いい一日だ。

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「『メ・メス』って言ってみ?」
「め、メ・メス」
「だ~~~ひゃっひゃぁ~~~!!!」
「え?どういう意味?!」
「『”Suck it(しゃぶれよ)”』って意味だよ」
うん。下ネタは万国共通ですね笑。ピース。
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