世界一周765日目(8/3)
バスは
適度に遅れてくれたようだ。

メキシコシティに着く頃には日が登り、
宿の人を叩き起こさずに済んだ。
バスの停まった場所も革命広場のすぐ近くだったので助かった。
そうして僕はまた
「ぺんしょん・あみ~ご」
へとやって来たのだ。

宿代を4日分支払うと、朝食をいただけた。
チェックアウトには厳しいこの宿だが、
到着したその日に朝食は食べてもいいらしい。
ここに長期滞在しているコミヤさんと
共有スペースで顔を合わせたのだが、彼は何度も咳をしていた。
「おだいじに」と僕は声をかけておいた。
なんかあの人は苦手だ。
向こうがこちらに好意を抱いていないことは
向こうの声のトーンからもよく分かる。ま、別にいいけどねー。
僕が入ることになったドミトリーには誰もいなかった。
シングルルームと同じようなものだ。
ただしここには作業に使える机がない。
12時まで昼寝をすると
僕はサブバッグだけを持って宿を出た。
ここに戻ってきた理由はMacBook Proの修理のためだ。
Wi-Fiが起動せず「ハードウェアなし」と表示されるのは
旅に出てからこれで三度目のこと。
原因はケーブルだ。
修理費の目安もなんとなく分かっている。
ただし前回行ったポランコ地区の「iShop」には行かないことを決めた。
一瞬「三顧の礼」という言葉が頭に浮かんだが、
これでまた「壊れてないですねぇ」なんて言われたら無駄足だ。
それに「MacStore」なら
ラテンアメリカ・タワーの近くにあることが分かったからだ。
Googleマップで場所を調べておいた。
宿から歩いてラテンアメリカ・タワーまで歩いた。
「MacStore」のあるらしい場所周辺には
沢山の電化製品点がならんでいた。
見た感じ「ジャンク屋」通りといったところだろう。
そこには小さな小売店が同じ建物でひしめきあっていた。

僕はMacStoreを求めて何度も通りを往復したが、
そこに店の名前はなかった。
検索した時に一緒に表示された周辺画像のある場所に
看板は出ていない。
いくつかの小売店に店のある場所を尋ねてみたが、
分かったのはマデロ通りにショップがあるということだった。
言われた通りにマデロ通りに向かうと、
そこにあったのは「iShop」。なんだよ。結局ここじゃねえか。

アップルストアとほとんど変わりませんね。
先日お食事させていただいたMaoriさんやシオザワさん曰く、
「MacStore」は安いイメージだそう。
でも、ここはしっかりお金を払って直してもらうことにしよう。
iShopはアップルストアとなんら代わりのない店だった。
ラップトップやタブレット、スマートフォンや
アクセサリーが綺麗に並べられている。
受付で自分の名前を登録してもらい、
店の奥にある「Service」と書かれた場所で順番を待った。
僕以外にも何人かの客がアップル製品を持ち込んでいた。
液晶画面がちゃんと作動しないとかそんなんだ。
自分の順番がきて、僕も自分のMacBook ProのWi-Fiが
作動しないのだということをスタッフに伝えた。
スタッフは髪の短い目つきの悪い若い男性で、
目が大きい分だけ瞬きする度に白目を剥いているように見えた。
僕はその度に笑いをこらえなければならなかった。
本当に世の中には会話中に白目になる人間がいるのだ。
トーク番組で木村カエラが言っていたことは嘘じゃなかった。
(「オトナの!」ってトーク番組ね)

その白目のスタッフは色々Wi-Fiが作動しないか試してくれたのだが、
今度こそ間違いなくWi-Fiはぶっ壊れていた。
なんならマラウィで修理したときの写真も見せて
「ケーブルが原因です!」と伝えた。
英語のできる別のスタッフがやって来てくれたおかげで
やりとりはスムーズに行うことが出来た。
修理にかかる料金は1400ペソ。1万円700円。
修理費がかさんだのはケーブル以外に壊れている箇所が見つかったからだ。
直してもらえればいいっす。
クレジットカードで支払いを済ませ、
連絡先のメールアドレスを教えて店を後にした。
2~3日したら連絡が来るらしい。
ちなみに土日を挟むと受け取りが長引くそうです。
パソコン
を修理に出すと、一気に肩の荷が降りた気がした。

1.3kgもあるパソコンが手元を離れたという物質的な効果もある。
日記もブログもやらなくていい。
普段は「やらなくちゃいけない」と半ば義務的に考えていてたが、
「やらなくてもいい」と考えることによって
気分がスッキリした。ギターも持っていないのがよかった。
ちょうどマデロ通りでギターを持った四人組の親子がいた。
演奏もコードも合っているのが分からなかったけど、
見た目の作り込みはよくできていたと思う。
15ペソをチャリンと入れて写真を撮らせてもらった。

手ぶらになった僕は入ったこのない教会に入ってみた。
何度も近くを通ったのに、行ったことのない場所だ。

ソカロにある教会は巨大で内部はひんやりとしていた。
何百年と昔にキリスト教が海を渡り、スペインに植民地化され、
その結果こんな大きな教会が建てられるだんなんて面白いよな。
それもメキシコシティ中に大きな教会があるのだから。
ヨーロッパの教会は宗教画が多いが、メキシコでは人形が多い。
だから装飾も立体的に見える。
長椅子に腰をかけるとサブバッグを隣りに置いて目を閉じた。
教会に来ると僕はよく昼寝をする。
この静かな感じが昼寝にはぴったりなのだ。
30分ほど昼寝をすると首の骨がバキバキと鳴った。
ソカロ周辺の行ったことのない通りも歩いてみた。

かたっぱしからタコスやトルタスを食べ歩いた。
今回はサルサソースを事前に味見してかけた。
「ピカデ(辛いの)、ノー!」
と言ってケサディージャを注文すると、
中には本当にチーズしか入っていないでガッカリした。
ソカロから離れた場所にある小さな食堂なんかでも
僕はタコスを注文した。
同じメキシコシティ内でもタコスが微妙に違う。
乗せる具は大体同じだが、
生地をその場で焼いてくれるところもあれば、
作り置きのものを温めるだけの店もある。
大きさも異なる。
かけるサルサソースの味は店によって違うのだ。
日本で「暴君ハバネロ」という激辛のスナック菓子があるが、
こちらの緑のハバネロのソースはそこまで辛くない印象だ。
もちろん店によるんだけど。

17時に宿に戻ると、外のテーブルで落書きをした。
Facebookで面白いUFCの格闘家を見つけてスケッチしていた。
また久しぶりに
「tbtst」
という文章の上手い方のブログを読んだ。
ジャズのアーティストを書いた回の文章はとても面白く、
一緒に貼られているYouTubeを再生して
未知のアーティストに出会っていった。
アート・ペッパーとかカッコよかったな。
Twitterでイケダハヤトが気になるリツイートをしていたので
それに飛んでみると、見つけたのは
「ソーヤー海(かい)」
(この人のサイトのURL貼っておきますね)
というアフロの面白い人が
「アーバン・パーマカルチャー」という面白いことをやっていた。
まずこの人の経歴が面白かった。大学はアメリカに進み、
9.11をきっけに社会運動に関わるようになり、
そこから派生してニカラグアやキューバに移り住み、
そこでパーマカルチャーに出会ったのだという。
時々こういう人を知ることができる。
まだまだ自分が求めているものを
ダイレクトに見つけるスキルは低いけど、
アンテナを張り続けて行けばもっとひっかかってくるだろう。
自分の生き方は自分でデザインしなくちゃな。

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