世界一周780日目(8/18)
清々しい天気だ。
ようやく雨も上がった。

ゲーム中毒だった小学生時代。
「いい天気なんだから外で遊びなさい!」
そうお母さんに怒られたのを思い出した。
メキシコ、サンクリストバドルにある
日本人宿「カサカサ」の滞在も
今日で6日目。
ここでの滞在は4日くらいだと思っていた。
だが、曖昧な予定は計画通りにはいかないものだ。
「思うように行きませんね」そう僕が言うと、
シュンさんは「旅なんてそんなもんだよ♪」と言った。

ギターもパソコンも持たずに僕は外に出た。
向かった先はメルカドだ。
メキシコの大抵の町にあるおなじみの大市場。

ここも規模が大きかった。
まるで迷路のようで入る前にはワクワクしてしまう。
食べ歩きをしながら僕はプラプラとメルカドを見てまわった。

ここには「カサカサ」で使われている
素焼きもののマグカップが売られているらしい。
僕はそれを探して何度も往復したのだが、
マグを見つけることはできなかった。
見つけた物と言えば。。。
需要があるとは思えない
山積みされたピコピコハンマー。

テレビの前に釘付けになる地元の子供たち。

どこの会社が作っているのか得体の知れないゲームハード。

得体のしれないピンクの飲み物。

ロシアンルーレットに挑む思いで試し飲み。
ブレーカーの束。

精肉店や飲食店がひしめきあう
屋根付きの倉庫のような建物の中。

僕が目にしたのはそういう物だった。
同じだけどいつも違う。
メルカドはそういう場所だ。
暇な時にプラプラと散歩するくらいが丁度いい♪

メルカドの外で
父親と娘二人の三人組のバスカーを見つけた。

恥ずかしいのか三人とも内を向いて向かい合っている。
音程や歌詞が正しいのかは分からないが、
次女らしき女のコが地声で唄っている。
5ペソ(40円)を入れて写真を撮らせてもらった。
辺りをぶらついて戻って来ると彼らはその場にはいなかった。
ようやく
日本人バスカーたちの演奏が見られたのも今日だった。

夕方になるにつれ空は曇が覆うようになってはいたが、
雨は降らずにいた。
グアダルーペという通りでには既に人だかりができていた。
ベーカリーの前には店の欧米人が腰を下ろしていた。
中にはビールを片手に持ったおっちゃんまでいる。

赤い敷物の上に素足。アンプにマイク。
もう見た目からして作り込みがしっかりとなされていた。
モヒカンのアキオさんは
香港で譲り受けたという先端にひょうたんのついた縦笛を拭き、
真ん中に立つシュンさんはパチカの音をマイクで拾い
アンプで大きくしている。
そして彩りを与えているのはジュンさんのシタールだろう。
通常のものより小ぶりだが、音は最高!
こちらもマイクとアンプの組み合わせ。
やはりアンプがあるとバスキングは違う!
ただでさえパーカッショニストがいるのに、
電子音でリズムを鳴らしていた。

演奏の合間に小さい欧米人の男の子が
マイクの前までやってきて、ダンスと歌を披露した。
オーディエンスから温かな声援や拍手が起こる。
場の雰囲気が一気に和んだのはこの瞬間だったと
アキオさんは後で言っていた。
『これこそまさに
バスキングのあるべき姿だな』
と僕は思った。
ハイクオリティな演奏なのにレスポンスはそこまでない。
だけど、三人ともが演奏を楽しんでいる。
それは見ている人間にも伝わり、
三人も人を楽しませようという心が伝わってくる。
そうだよな。まずはそこだよな。
僕がこの町でバスキングをしたことは一度きりしかなかった。
その時はめんどくさい絡みをされて
気持ちのいい演奏ができなかったのだが、
またこれで仕切り直しができそうな気がした。
手持ちが少なかったので5ペソのレスポンスをさせてもらった。
でもめっちゃよかったです!勉強になりました!
帰り道の途中で布を売る
インディヘナのおばちゃんに目を奪われた。
先ほど三人の足下に敷いてあった布を羨ましく思ったばかりだった。

ナイススマイル!
今日の夕飯はジャークチキン。
新しく宿に来た同い年くらいの男の子はすごい気の利くヤツで
カオリさんの料理を手伝ったり、火をおこしたりしていた。
あぁ、そういう風に手伝うのか。
僕は手持ち無沙汰なこの時間帯をどうつぶそうか考えてたよ。

どこか彼の顔に見覚えがあった。
どこかで会ったのだろうか?
う~~~~ん。どっかで見た気がするんだよな。
人間は正確な記憶でなくとも、
人の顔だけなら覚えているものらしい。
だとしたらブログで見たのかなぁ?
「もしかしてブログやってます?」
そう僕は質問してみた。
「いや、僕は書いてないですけど。もしかしてマサトさん知ってます?」
「え?マサトさんとどこで会ったんですか?」
「モロッコですけど」
「あ!女子アナの人だ!」
マサトさんが電子書籍執筆のため、
モロッコのエッサウィラで
日本人宿「かもめ号」の管理人をしていた時の記事
を僕は覚えている。
そこに出てきた
人気女子アナをランキング付けして
熱弁を振るったヤツのことも(笑)
タケくんは
「あれ、けっこう盛ってますけどねぇ」と言ったが
顔はまんざらそうでもなさそうだった。
今度マサトさんに会う時のために
地方局に絞った女子アナランキングを作ってるらしい。
今現在20人まで絞り、そこからさらに10人に絞るのだとか。
「あ~~~~、明日何しよっかなぁ?
女子アナのランキングの続きしようかなぁ」
とか言ってるのがウケた。
そんなタケくんは1年10ヶ月も世界を旅していた。
大学時代からバックパッカーだったようで、
少し旅に飽きているようにも見えた。
日本での仕事は保険会社で働いていたらしく、
「仕事はしっかりやってましたよ」と言った。
最近カンクンで10万円相当の現金と一眼レフを
紛失してしまったらしい。
そんな悲劇に見舞われた男の顔ではなかった。
彼のビールの勧めっぷりから器のデカさが伺えた。
気が利かない代わりにチキンを焼いた金網を
これでもかと言うくらいに磨き上げて
洗い物をこなす僕であった。
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