「そろそろ帰らないと」

2月3日/オーストラリア、エアリービーチ〜タウンズビル

 

 

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オフシーズンで稼げないビーチにいても意味はない。

それならば人が比較的いる都市部へ移動してしまうおうというのがホーボー的な僕の旅のプランだった。

ホーボー」というのは19世紀〜20世紀の頃のアメリカにいた、働きながら各地を転々とする人たちのことを指すのだが、こういうワードにワクワクするのは僕だけだろうか?ほら、バスカーとかヒッピーとかさ、そういう肩書きや固有名詞が好きなんだよ。ガキっぽいけどね笑。

 

 

 

テントをたたみ、朝シャワーを済ませると、僕はヒッチハイクでケアンズを目指すことにした。

街からはバスも出ているのだが、果たして観光地からヒッチハイクで抜け出すことができるのか試してみたかったいうのもある。昨日車に乗せてくれたベスが言うには、エアリービーチでも時折ヒッチハイカーを見かけることがあるという。彼女が言うには「ここからのヒッチハイクはそんなに難しくないわよ」ということだった。

まぁ、ダメだったらバスに乗ればいいじゃない。ひとまず僕はヒッチハイクのやれそうな場所まで歩いてみることにした。

 

 

ヒッチハイクのしやすそうな場所はすぐに見つかった。メインストリートから坂道をほんの10分くらい登った場所に車の止まりやすそうなスペースを発見したのだ。僕はそこでヒッチハイクを始めることにした。

 

 

車の通りは申し分なかったのだが、車はなかなかとまってくれなかった。

道はそこまで複雑に枝分けれしているわけじゃない。せめてパースパインまで乗せていってもらえればケアンズまでの車もつかまりやすいと思うのだが…。

どんなにヒッチハイクがやりやすい場所であったとしても、車が止まってくれるかは運みたいなものだ。

 

 

それでも1時間ちょっとで車が止まってくれた。

車に乗っていたはベンとアネット。そしてスージーとピップという名前の可愛い小型犬二匹だった。どちらがスージーでどちらがピップかはわからなかったが、片方の犬は16歳と老犬だった。先日天に召された清水家の愛犬らぶよりも歳がいっている。なんでもベジタリアンの犬だからこんなに長生きなんだとか。冗談なのかもしれないどね。

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ベンとアネットの目的地はBowen(ボーウェン)という、エアリービーチから数十キロ離れた街だった。

「ここならヒッチハイクしやすいわよ」と次なるヒッチハイクポイントで僕は車を降ろしてもらった。「ケアンズまでの車が捕まるといいわね」そう言って二人は僕に水と10ドルをくれた。ありがとうございます。

 

 

 

 

下された場所はハイウェイの真ん中だったが、町の手前にあったため、車は速度を落としていた。

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ただ、ボーウェンという町がそこまで大きくはないということもあり、車の量は少なかった。日中の日差しは強く、辺りには日陰はない。これで車が捕まらなかったら体力を消耗しそうだ。僕はそう思った。

 

 

そんな心配をするまもなく車は止まってくれる。

交通量の少ないところで車に止まってもらえると救われた気分になる。

中に乗っていたのは白髪のアフロヘアが可愛いマニドウと黒髪ストレートヘアの
マシェイだった。島国に起源がある二人だ。どこの出身かは聞かなかったけどね。二人の目的地はエアリービーチとケアンズの中間くらいにある”Townsville (タウンズビル)“という町だった。

 

 

今日中にケアンズに着くのは夜なってしまうだろう。

それならば今日は適当にタウンズビルで一泊して、明日ケアンズを目指したほうが良さそうだ。僕は今日の目的地をタウンズビルに決めた。

 

 

車に乗り込むと「あんな暑い場所で大変だったでしょう?」とペットボトルの水をもらうことができた。なんだか今日はずいぶんと気にかけてもらえる日だ。車内でのトークも快調だった。二人は日本に興味を持っていたので、話したのは日本の車だとか気温とかそんのような内容だった。(途中寝落ちする事態もあったのだけれども)

 

 

 

 

 

 

 

僕がタウンズビルに到着したのは16時頃だった。

マシェイがよかったらジャパニーズレストランで夕飯を一緒に食べないかと誘ってくれたので、facebookの連絡先を交換して待ち合わせ場所を決めて別れた。

 

マシェイは夕飯までは友達と会う約束があるからと去っていった。一人になった僕は町の中心地らしき場所へと行ってみることにした。

タウンズビルを歩いていて気になったのは人通りの少なさだった。町そのものもアパレル店やカフェが多いわけでもない。この町もまたオフシーズンの影響を受けた町のひとつだった。話に聞くところによるとスクールホリデーも終わってしまったらしい。だからビーチには人がいなかったのだ。

 

町に何もなさすぎると時間を潰すのがツラい。

せめてカフェかテーブルがあれば日記を書いたりすることもできるのだが、そのような店も少ない。

僕はスーパーでフルーツとスナック菓子を買ってエアコンの効いた店内にあるベンチに座ってモソモソと食べた。この湿気と暑さから逃れる場所も少ない気がする。

 

 

たまたま見つけたカフェで僕は作業をすることにした。

町にはフリーのWi-Fiを利用することができたのだが、1日当たりの利用制限が設けられていた。こういう制限があるとブログを更新する気分にはなれない。

気になっていたアニメ「おそ松さん」を見始めたら、グダグダと時間を過ごしてしまった。六子の中で三人しか区別が付かない。え?「一松」が長男だっけ?暗い奴だっけ?あれ?

僕のいたそのカフェはなんと17時には店を閉めた。

退店を余儀なくされた僕はどこかのモールにあるテーブルで先ほどと同じように時間を潰した。ほとんど人のいない町ではバスキングだってできやしない。

 

 

救いはマシェイとご飯を食べる約束があったことだった。

ちょっと早めに待ち合わせ場所のジャパニーズレストランの前に行き、そこでiPadをWi-Fiに繋いでいた。

店の前のベンチに座っていると、店の女の子が声をかけてきたので、僕は客でもないのになそこにいるのが気まずい感じになって店に入ることにした。外のテーブル席でASAHIの瓶ビールを注文すると、一人で手酌をしながらマシェイを待った。

 

 

19時になるとマシェイがやって来た。

てっきりこの店で食べるのかと思ったのだが、マシェイは他の店に行くと言う。

まぁ、日本食だったらどこでもいいやと思い彼女についていったのだが、マシェイもまた短期的にこの町に来ているだけだった。ジャパニーズレストランは他になく、店を探している間に先ほど僕がビールを飲んでいた店も閉まってしまった。人のいない町では店じまいの時間も早いのだ。

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マシェイは町のホテルに泊まっていた。

似顔絵と引き換えにシャワーと夕飯、そして空港まで車で送ってもらうことになった。ざっす♪

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夕飯はごちそうしてもらえたのだが、マクドナルドだったのはちょっと残念だったけどね。でもけっこうリッチなマクドナルドだったな。なんだかオフィスとしても使える感じでさ。それなら最初っからマクドナルドで作業してればよかった。

 

 

 

 

マシェイの車は別のビルの地下の駐車場に停まっていた。

「これが私のテーマソングよ!」と言って何やらカッチョいい洋楽を流す。スピーカーの音質もよく、ちょっとリッチな気分になる。もらったタバコを吹かしながら僕は夜風を感じた。

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またこうして今日も1日が終わる。

今日は何があったっけ?

そう考えると、今自分がこうして今日初めて会った人の車の助手席に座っていることが不思議に感じた。

 

僕は前に進むごとに日本に近づいていく。

会いたい人たちがいる。そろそろ帰らないと。

 

 

 

お礼を言ってマシェイとは空港の前で別れた。

空港内はエアコンが効いており、Wi-Fiも快調だった。

 

 

ただし問題があるとすれば、タウンズビルの空港は23時で閉まり、僕は追い出されて寝床を新しく探すハメになったことだった。

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