3月6日/台湾、台北
台北に戻ってきてから今日で二日目。
今日の目覚めは松山国際空港のすぐ近くにある公園。
面白い話で、僕は相変わらずこうして野宿を繰り返しているのだけれど、未だに誰かに怒られるようなことはない。
もちろん台湾にもホームレスがいるのだが、数は他の国に比べてもあまり多くない印象だ。ホームレスがいる暮らしが台湾人にとってありふれたものではないだろうに。
突如として出現したテントに台湾のみなさんは心地よいスルースキルをもって接してくれている。
僕はテントを片付けるとそのまま松山国際空港へと戻っていった。もしかしたらシャワーが使えるかもしれないと思ったからだ。
だが空港の中にはシャワーなんてないじゃないか!もしかしたらゲートを抜けた向こう側にあるのかもしれないけれど、空港利用者以外がシャワーを使えるようにはなっていなかった。まぁそりゃ、シャワーを無料開放したら僕みたいなヤツが毎日来てしまうものな。
しばらく空港内をウロついた僕が見つけたのは両替所だった。
バスキングで稼いだお金が20万円近くある。ニュージーランドとオーストラリアのドルが10万円分づつといった感じだ。
このお金をどうしようかと僕は考えていた。
旅の最後のテーマであるバスキング。
稼いだお金は自分の日本での新しい生活での「準備」に当てようと考えていた。となると、今持っているキャッシュはどこかで日本円に両替しなければならない。
空港内の無料WiFiで両替について調べると、
一番やってはいけないことは「日本で外貨を両替すること」だった。
手数料を低く抑えるティップとしてオンライン外貨トレードを使うというのもあるらしいのだが、ちょっと難しいそうなのでパス。海外暮らしが長くて、現地で稼いだお金を日本に持ち込みたい人が使うようなことが書かれていた。
別の手段としてはレートのいい台湾の銀行で両替するというものだった。まぁ、これは現実味がある。ただし10万円以上を両替してくれるかは疑問だ。
『そうだ。空港だとどんな感じなんだろう?』
僕はレートアプリを開きながら両替所でレートを訊いてみることにした。
するとどうだろう。
そりゃもちろんいくらか損はするのだが、手数料の30台湾ドルと合わせてみてもたかだか1000円くらいしか変わらないではないか。
僕は手持ちのお金を全て台湾ドルに替えた。
アホか?
いや、アホじゃない。
僕は台湾に居心地のよさを感じていた。ここに住むのもありかもなと考えたくらいだ。
仮にこれが日本円にならなかったとしよう。その時はまた台湾にきて豪遊すればいいじゃないか。僕の豪遊なんてスターバックスでカフェモカ飲むくらいの可愛いものだけど笑。
それに、僕はここでパソコンを手にいれようと僕は考えていた。
盗難後、再発行したクレジットカードは実家にあるのでここでは使えない。金はつかうためにあるのだ。
手持ちを全て台湾ドルに両替すると57000台湾ドルになった。日本円に換算すると20万円ぴったしといったところ。今目をつけているMacBook Pro15インチ、レティーナモデルにギリギリ手が届くくらいだ。
1000台湾ドルでパンパンになった封筒をサブバッグの中に入れて、僕は西門まで戻ることにした。
台北は都会だ。
西門は
今日も人で溢れていた。ほんとうに原宿の竹下通りを思わせる。あまり通ったことないんだけどね。竹下通り。
今日もメインストリートでバックパックの上に座り漫画を描き始めるとすぐに似顔絵のオーダーが入った。
先陣を切ってくれたのは、このダンディーなおっちゃん。
ハーフパンツにレギンスの彼氏。お洒落やん。
一眼レフの威圧感。
お兄さん、目が可愛い。
4組ほど描いたところで警察にストップがかけられてしまった。西門でバスキングを初めて今日で二日目だっていうのに…。
僕が道具を片付けていると、そばで二組のお客さんが似顔絵を待っていてくれたので、僕は「プライベートでね♪」と言って彼らの似顔絵を描いた。
彼氏の方、スニーカーに白のハイソックスだったな。キャラ出しがグー。難易度高い着こなしだ。
一時間ほど時間をつぶして僕は再び西門でバスキングを始めることにした。きっとメインストリートはダメなのかもしれない。
西門のメインストリートから横に曲がった別の通りをで僕は再び路上漫画やを始めた。ちょうど後ろには電飾の入った看板があり、いい具合に絵を描くための明かりを僕に与えてくれた。
道をはずすれると、人通りはメインストリートほど多くはなくなったが、西門町というエリアに人が多いのは同じだった。
しばらく漫画を描いているとオーダーが入り、人垣ができる。そこからはほぼノンストップだ。台湾はバスキングのレスポンスが良くてほんとうに嬉しくなる。
こんな感じで漫画も売れちゃいます♪
手に持っているのはライトセーバー!ミッキーのキャップも可愛いな。
スポーティなカップル。右のコ可愛かったな。
なんとなく自転車が描きたかった。女のコとの二人乗りには憧れれるよね。
中でも驚いたのが
ケアンズで出会ったアユミさんと旦那さん、ご家族が僕を探しに西門までやって来てくれたことだった。
「『いるかな?』って探してみたけど、まさかほんとうにいるとはね♪」
人の行き交う西門で地面に近い距離で漫画を描いていると、意外に見つけるのは難しい。路上で目当てのバスカーを見つけることができるかどうかは運によるところもあるのだろう。
看板の電気が切れる23時までずっと絵を描いていた。
明かりが少なくなるとペンタッチもどこか鈍くなる。期待してもらったような絵がかけただろうか?
きゃ、キャップに「天才」って書いてある。イケメンだけあって、なんか惜しいな。
本日最後のお客さん。待っててくれてありがとう♪
今日のアガリは4500台湾ドル。約一万五千円。
僕にはささやかな野望がある。このお金は僕の次に活動する資金だ。
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