世界一周256日目(3/11)
あれから3年…
僕は決して日本の抱える様々な問題に
精通しているわけではない。
どちらかと言えば勉強不足だし、
自分の人生をどう生きればいいのか、
自分のことで精一杯。
ボランティアも行ってはみたものの、
一回で終わってしまった。
僕ってそんなヤツだ。
震災を気に、
自分の生き方、考え方、
ライフスタイルが変わったことは
間違いない。
以前よりも環境について
考えるようになったし、
そういう活動を支持したいとも
考えるようになった。
空想科学的な話になってしまうけど、
いつかは僕たちが暮らしている
この地球という惑星も
終焉を迎える時が来るんだろう。
永遠に続くものなんてない。
だけど、
終わること前提で、
資源を浪費していく生き方を
選んでいいわけではない。
受け渡されたバトンを
次の世代につなげなくてはならない。
持続可能なライフスタイルに
切り替えていかなくちゃいけないのにー…
なかなか改善されることのない
状況についつい悲観的になってしまう。
日本に戻った後、
漫画を描くこと意外に
やりたいことは山ほどある。
一度、自分の手で
ライフスタイルを作ってみたい。
サステナビリティとは
どういうことなのか。
自分たちで実践してみたい。
お金がなければ、何もできないだろう。
だけど、お金がなくたって
豊かになることは
可能なのではないだろうか?
4年ほど前、
僕がまだ環境対策NGOの
学生スタッフをしていた頃、
三宅洋平さんのトークを聴いたことがある。
まわりの学生スタッフに分かりやすく、
沢山のことを熱く語ってくれた。
そのほとんどは忘れてしまったのだけど、
僕がひとつだけ覚えている言葉がある。
環境に対する
自分の在り方を三宅さんはこう言った。
「それがアティチュード(attitude)なんだ」
と。
そうだ。
環境と結びつく自分たちの暮らしと
どう向き合っていくか。
その姿勢が大事なんだと。
劇的に自分のライフスタイルを
変えることはできないだろう。
だけど、少しずつなら変えていける。
そこには可能性があるのだ。
不可能なことじゃない。
僕はそう信じている。
昨日、
たまたまメシ屋で居合わせた
トレッキング・ガイドのおっちゃんたちが、
「もし、君が歩いているのを見つけたら
車に乗せていってあげるよ」
と言ってくれたので、
僕は朝早めに宿をチェックアウトした。
次の目的地は
タシリン。
おっちゃんたちの話では
歩いて一時間半もあれば着くらしい。
なんだ。けっこう近いじゃないか。
ここ数日歩きっぱなしで、
もういい加減車の移動でいいかなと
思っていたんだけど、
おっちゃんたちの話を聞いて
僕は歩いてタシリンへと向かうことにした。
長い下り坂をバックパックを背負って歩く。
反対方向から通学途中の
子供たちのグループをいくつも見かけた。
日本と同じ様な制服。
この坂道を毎朝登ってるんだなぁ。
足腰鍛えられるだろうな。
坂を下り切り、しばらく歩く。
時々道を尋ねて、
間違った方向に進まないようにチェックした。
そして、どうろ脇に現れた標識
「TASIDING 16km」
う~んと…。
ここまで30分かけて歩いてきたでしょ。
で、さっきいたヨクサムから
タシリンまで歩いて
一時間半で行けるんでしょ?
残り16キロってことは、
「時速16キロ」ってことだよね。
分速に換算すると
16000m÷60minだからー…
なんかこんな計算小学校の時にやったな。
えっと、
一分間に260メートルちょっとかな?
って、ムリ!!!
このバックパックを担いだ状態で、
かつアップダウンの連続。
おっちゃ~~~んっっっ!!!
話が違うって~~~~…
後ろから
おっちゃんたちの
ジープが来る様子はない。
てか彼らが出発する時間も訊いてなかった。
ここまで来てしまった以上、
選択肢はひとつしかない。
僕はその後コンクリートの道上を
ひたすら歩き続けた、
一時間半を過ぎる頃には汗がしたたり、
バックパックのメッシュが汗で濡れた。
大きな橋を渡り、そこに流れる滝を見た。
ロッククライミング
できそうな岩肌を見ては
「すげぇ…」と
思わず声を漏らした。
山々は雄大で、
遠くの方が霞がかっていた。
自転車に寝袋などをつけた
欧米人2人組とすれ違った。
僕が弱々しく
「ハロォォ…」
と声をかけると彼らは
僕に同情してくれるように
困った様な笑顔を浮かべた。
ハイキング開始3時間で
左足のマメが悲鳴を上げた。
昨日、足場の悪い山の中を彷徨ったため、
足にマメができていた。
ここまでの道のりで
何度もヒッチハイクを試みた。
無理に笑顔を作り
爽やかに親指を立てたが、
ドライバーたちは僕の方を見ないで
手をヒラヒラさせて、
砂煙をたてて去っていった。
「若いうちは苦労は買ってでもしろ」
そういうことなのかい…?はぁ…はぁ…。
足を引きずるようにして歩く。
さっきの欧米人2人組が
優雅に僕を追い越していく。
現在8キロ地点。
ダメだ…心が折れそうだ…。
後ろからきた一台の小型のジープ。
僕は笑顔を装い親指を立てる。
速度を落とすジープ。
えっ…マジっすか…!!!?
「き、Can I get in?」
「If you can」
「乗ります!乗ります!乗らせてくださいっっっ!」
「乗りたいんだったら乗ってもいいぞ」
そういうことなのか?
僕はソッコーでバックパックを荷台に乗せて、
僕も荷台に飛び乗った。
勢いよく走り出すジープ。
何かにつかまってないと振り落とされそうだ。
さっきのサイクリストを追い越し、
ちょっとした優越感に浸ることができた。
頑張ったおれ!よく頑張った!
タシリンに到着し、
300ルピーの宿にチェックインして、
僕は徒歩30分ほど離れたお寺に向かった。
シッキムの旅のプラニングを
してくれたコウジさんによると、
ここにお経が刻まれた石版を
いくつも見ることができるらしい。
山の上にあるお寺でチャイを
タダで飲むことができた。
お礼といっちゃなんだけど、
僕もギターを弾かせてもらった。
このお寺には人懐っこい犬たちが沢山いた。
そして石版を一通り見た後、僕は宿に引き返した。
宿に戻り、
風に飛ばされた僕のパンツの救出劇があり、
外国人に興味津々な近所の
ガキんちょたちに向かって
即興で4コードから成る
「Where is my under wear?」
(「僕のパンツはどこ?」)
という歌を作ったら
爆笑だった(笑)。
聞こえますか?
こちら旅する漫画家シミです。
応答ドーゾー。
シッキムは平和なところです。
日本にいるあなたの今日一日が
平穏であったことを願います。
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引き返せないところまでいかないと、
僕たちはライフスタイルを変えることは
できないのでしょうか?
そんなことないよね。
大事なのはアティチュード。でしょ?
僕は自分の道を突っ走ってる最中で、
人の力になることはまだできません。
むしろ迷惑かけてる。
だけど、遠くは離れたあなたの日常が
前よりもちょっとでも良くなることを
祈っています。
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