「お洒落なカフェにはデップがいる」

世界一周297日目(4/21)

 

8:30にセットした
アラームでもぞもぞと
ベッドから這い出した。

今日中に漫画を完成させるぞ!

 

 

別の部屋に泊まっている日本人の方から、
カリッとしたナンを
半分いただいたのでそれを朝食にした。

その方は昨日会った40代くらいの
眼鏡をかけた男性で、上下はモンベルだった。

「もしかしてモンベルの方ですか?」と僕が尋ねると

「まさか。
モンベルが好きなだけだよ。

このTシャツなんて
1時間もあれば乾いちゃうんだよ?」

と得意げに言っていた。

 

 

旅をしていく上で
「速乾性」は大事だ

タイのチェンマイのにある
日本人が経営している

「nanairo」

というお店で買った
ポリエステルの入ったTシャツは
速乾性があるので重宝している。

夜洗濯して室内干しにしても
朝方には乾いているのはマジで助かる。

お洒落なデザインで一枚300バーツ、
1,000円だったからなぁ。
3枚買っとけばよかった。

今持っているTシャツは
その「nanairo」で買った2枚と
日本で買った無印良品のVネック1枚。

ローテーションできるてるけど、
やっぱり綿素材は乾くのに時間がかかる。

 

 

モンベルさん(あだなをつけさせていただきました)
トルクメニスタンのビザ申請のために
ここに滞在しているそうだ。

僕がここに3日滞在していると言うと

「テヘランなんてやることあるの?」

とここが何もすることが
ないように言っていたが、

僕はあります!

モンベルさんにナンのお礼を言って
僕はカフェに向かった。

 

 

 

 

昨日と同じ
カフェにしようか…?

でもあそこ高いんだよなぁ~。
いい作業環境だからこそ、
その分お金がかかると考えることもできる。

それに

「また明日も来てくださいね♪」

なんて言われちゃったし…。
今日は一杯だけで粘らせてもらおうか。

 

 

深層心理に「お金を使いたくない」という
倹約家精神が作用したのか、
降りた駅は昨日の一つ手前。

も、もう一回メトロ乗るの…!??

 

やや、たかだか一駅に
5,000リエル(21yen)払うのはー、

こう、レートアプリで計算すると
20円なんですね。

だってさ、イランって小銭じゃなくて
ほとんどお札なんだよ?
「5,000」って桁高くないっすかぁああ!!??

何か見つかるかもしれないと、
駅ひとつ分を歩くことにした。

 

 

どうやら僕が降りた通りは
本屋さんが立ち並ぶ通りのようだ。

クオリティの高そうな文房具が
ウインドウ越しに見える。

文房具店に対して
ワクワクするのは僕だけだろうか?

アウトドア・ショップもそうだけど、
「ギア(道具)」を見ると
ついついほしくなっちゃうんだよね。

おっと、今はカフェだった。カフェ!

 

 

マップアプリでは駅一つ分の距離は
対したことのないように見えたが、
実際に歩いてみるとけっこう遠いように感じる。
それが初めて歩く場所だったらなおさらだ。

どこかに手頃なカフェがないだろうか?

昨日行ったカフェって駅から
またさらに歩くんだよ…。

ふと横をみるとー、

 

 

 

あった!

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なんかこういう発見って嬉しい!
セレンディピティだよぉ!

「Coffee」の看板を発見して
ビルの間に隠れたようにあるカフェを発見した。

電飾はぱっと見、バーのようにも思える。

店内は昨日行ったカフェよりも
さらに薄暗かった。

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なんかイメージとしては
「ダブリナーズ」
に出てきそうな感じ?

あぁ、アイルランド行ってみてえ。
いや、もっと酒場っぽいのかな実際は。

IMG_5813

すいません知ったかです。
途中まで読んで飽きました笑。

 

 

2階の席も見させてもらって、
僕は今日の製作現場にここに決めた。

メニューを見せてもらうと
昨日行ったカフェよりも100円近く安い。

もちろん表記は
「0」の一個少ないトマン表記。

僕は60,000リエル(241yen)の
ブラックコーヒーをオーダーして
2階の窓際のテーブルについた。

IMG_5804

 

 

建物の間に位置するので
外からの光はあまり入って来ない。

バーにはバーの、カフェにはカフェの
雰囲気作りがある。

こう少し薄暗い方が、周りのお客さんが
気にならないような配慮なのかもしれない。

店内はジャズやそれに近い音楽がかかっていてた。

ルイ・アームストロングが
世界の素晴らしさをしゃがれた声でっている。

「What A Wonderful World」

思い出すのはベトナムだ。

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運ばれてきたブラックコーヒーには
小さなチョコレートがついてきた。

どうやらイランのカフェでは
チョコレートがついてくるようだ。

一気に飲み干さず、少しずつ口にふくむ。

ここから長期戦だ。ぬふふふふ…。

 

 

やはり照明が暗いと眼鏡をかけないと
やっていけない。
ちょっと場所を間違えたかな?と思ったが、
カフェのお洒落さもあってか漫画製作を続けた。

IMG_5801小物も効いてる♪

 

 

 

 

 

 

ジョニー・デップが
やってきたのは、

背景も描き終わり、ベタを塗ろう!
としているそのときだった。

IMG_5810

あ、カフェの店員さんなんですけどね。
けっこうなイケメンですこと。

 

ジョニー・デップを
リスペクトしている彼。

欧米人のヒッピーなんかがやっている
一部の髪の毛を伸ばして結ぶヘアスタイルも
彼によく似合っていた。

歳も26歳と同い年くらい。

 

 

「へぇ~、すごいなぁ」

僕の原稿用紙を見て彼が賞賛してくれる。

「ありがと♪でも、プロじゃないよ。
アマチュアなんだ。だから無職。
“No Job, No Money, No Honey”さ 」

「はははは」

 

 

デップ
(彼の名前は「マヒィヤ」らしんすけど、言いにくいので)
小さなノキアのスマートフォンで
彼女らしき女性の写真を見せてくれた。

見せてもらった写真は街でみるような
イランの女性のように髪を隠してはいなかった。

けっこう美人だ。
彼女は彼氏に髪を晒していいのかぁ…。

 

 

「彼女はさー、ほら、写真のー、
えっとなんて言うのかな?」

「モデル?」

「いや、違うよ」

「フォトグラファー?」

「そうそう!それだ!」

 

「あまり英語が得意じゃないんだ」
という彼だったが、ゆっくとだが
よどみない英語で僕に話しかけてくれた。

 

 

「世界を旅するなんていいなぁ。
イランじゃそんなこと簡単にはできないよ」

「さっきも言ったけど、
こっちもリスキーなんだ。
だって今のところ仕事がないわけだし、
このままだと政府からのサポートだって
受けられないんだぜ?」

「ガバメントなんてどこもクソさ。
高い税金で僕たちを絞り上げるんだ」

 

デップは今の自分の置かれている状況が
あまり好きではないようだった。

 

「ここにいるヤツらだって
みんな実のない話し
ばかりしてるんだ。クソだよ」

 

まぁな。分からんこともない。

そもそもカフェで実のある話が
飛び交うのだろうか?
企業のミーティングとか?商談とか?

日本でだったらありそうだけど、
もっと静かで高そうなところでだろう。

こういうカフェには
こういうカフェの役割りがある。

周りには若い人たちが
仲間と楽しそうにお喋りしている。
雰囲気としてはバーのそれに近かった。

IMG_5814

 

 

「長いことテーブル
使っちゃってごめんね。
あと一時間で終わるからさ」

「いいよいいよ!気にしないで!
アーティストさんなら歓迎だから!」

 

とデップは手作りの缶バッチを
僕にプレゼントしてくれた。

ネイティヴアメリカンが描かれた
茶色の缶バッチだった。

僕もお返しにここでも名刺を描いた。

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結局ベタは一時間では終わらなかった。

縁取りをGペンですると
0.25ミリのペンでやるよりも早いことが分かった。

そんなことONE PIECEの
ファンブックに書いてあったっけ?

17時をまわると店内はさらに暗くなり、
ペン先が見えなくなってしまった。

僕はiPhoneのLEDライトで手元を照らして
ベタ塗りをフィニッシュした。

その光景を端から見たらウケただろうなぁ笑。
切迫感ハンパねえもん。

 

 

消しゴムも描け終え漫画を完成させた僕は、
道具を片付けて会計をしに一階のレジへと向かった。

レジには暇そうな別のスタッフが
どっしり椅子に尻を埋めていた。

 

「じゃあ、
thirteen thousand
(13,000)だな」

「えっ?
ブラックコーヒー6,000でしょ?」

「あんたは長いこといすぎた。
20%上乗せだ」

「はっ?なんでよ?
てか、そういうことは
あらかじめ言っておくべきじゃないか!」

「アイ・ドンノー・イングリッシュ」

 

「くっくっく」と笑う店員。

ちょっとモメていると
サロンをつけたデップがやって来た。

 

 

「シミはさ、
長くテーブル使い過ぎたんだよ」

と追加料金を払うことに対して
異論はないようだ。

まぁ、僕も6時間以上
同じテーブルで漫画を描いていたわけだし、
その分お客さんが入れなかったかもしれない。

だが見た限り、僕の他にも
長居していたグループはいた。
彼らにも追加の料金は発生したのだろうか?

 

 

「あいどんのぉ、いんぐりっしゅ」

 

 

「くっくっく」と笑うボケ店員。

ま、まぁいいさ。20%だろ?

てか13,000トマン(521yen)なわけねえだろ。

えっとパーセンテージの計算って
どうやるんだっけな?
0.8をかけるんだっけ?0.2だっけ?

iPhoneの電卓でポチポチしながら
12,000リエル?と算出した。
2,000なんて細かいのねえ。

60,000リエル(241yen)に追加して
15,000(60yen)払うと、ボケ店員は
めんどくさそうにそれを受け取った。

こうしてアプリで計算して
日記を書いてみると安く感じるけどね。

6時間で360円か。
でも、そうしたら注文した分だけ
損することになるぜ?

こう時、邪魔だった追い出すのが
お店の有効手段だったな。

まぁ、いずれにせよ
ありがとうごぜえます。

もう二度と行かねえ。

 

 

 

 

 

 

帰り道、
僕はカフェ代を稼ぐために
バスキングをすることにした。

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降りた駅周辺では
人の通りはそこそこにあれども、
車の交通量はあいかわらずだ。

それでも、シャッターが閉まった
お店の前で演奏を開始すると、
何人かは足を止めて聴いてくれていた。

こっちもいい感じにノる。

デカい一眼レフを構えたおっちゃんが
僕のことをパシャパシャと写真に撮った。

1時間も唄わないで、
「店を開けるからやめてくれ」と言われてしまい、
路上演奏終了となった。

聴いてくれていた人たちからは
「なんでだよ?隣りにずれて
やるくらいならいいんじゃないか?」
みたいにお店のおっちゃんに
言ってくれてことが嬉しくもあった。

 

 

「やあ、よかったよ」

「あっ、どもっす」

さっきからパシャパシャと
一眼で写真を撮っていた人が僕に言う。

 

 

「僕はマガジンの編集者なんだ。
よかったら今晩インタビューさせてくれないか?
今どこの駅でなんて名前の泊まっているんだい?」

「イマーム・コメイニ駅のマシュハド・ホテルです」

「それじゃあ今晩10時に
君の泊まっているホテルに行くよ」

 

 

ん…。これは…?

 

 

あまり現実感の伴わないまま、
22時に間に合うように
近くのレストランでご飯を食べ、
時間までホテルのレセプション前で
パソコンのキーボードを叩いた。

IMG_5818

 

 

あれはギャグだったのかな?

それに考えたら、
ここ「マシュハド・ホステル」だった。

もしかしたら違う方行っちゃったかもな…

ていうか
僕の存在自体ギャグだもんな。

 

 

 

 

 

 

22時ピッタしに

3人の記者が宿にやって来た。

IMG_5822

 

「こちらが僕の上司で
こちらが僕の妻。
今日はインタビューさせてもらうよ」

「どうも。どうも。
私たちは若者向けの雑誌を作っているんだ。
君のインタビューは今回のではなく、
来月の号に載せようと思っているんだ。
もし住んでいる場所の
住所とか教えてくれたら雑誌を送るよ?」

 

 

ほぉぉおおおおぉぉお…

 

 

インタビューされた内容は
イランにどうして来たのかとか、
自分についてだとか。

自分が漫画家であるということも
しっかり伝えて、出来上がったばかりの
原稿も見せておいたが、
それは写真にとられるようなことはなかった。

「路上で面白いことをやっている外国人」
的な取材だったのかも。
自分を知ってもらおうと
質問された以上のことを話した。

反対にこちらから質問さえした。

 

 

「そういえば町中で
若い人に「チーノ!」って
しょっちゅう言われるんですが、
イランの人たちは中国をどう見ているんですか?」

「正直に言うと、
我々は中国のことがあまり好きじゃないんだよ。
特に「メイドイン・チャイナ」に関しては。
イラン中には中国製品が溢れている。
安いんだけどね、品質が最悪なんだ。
だけど、君たち日本は大好きさ。
今使っているカメラだって日本製だよ!」

 

 

戦後の日本を思い出す。

SONYのトランジスタラジオを
アメリカで販売する時に、
「安かろう悪かろう」で日本製品に対して
ネガティヴなイメージを持たれていた時代。

海外でトランジスタラジオを販売するのに
えれえ苦労した話。

ようするに昔の日本も安くて品質の
あまりよくない製品を作っていた時期が
あったということだ。

 

 

イラン人の中国に対するイメージは
製品以外にも沢山あるのだろう。

だからといってイランを訪れた中国人を
そのイメージと結びつけるのは
なにか違う気がする。

植え付けられたイメージってのは
なかなか払拭されないもんだ。

 

 

「最後にイランの若者たちについて
何か聞かせてもらえないか?」

「そうですねー。
こうして漫画を描いていると、
よくイランの若者たちにFacebookの
IDを訊かれることがあります。

ですが、イランではFacebooの利用は
規制されていますよね?
だけど彼らはそれを
回避するやり方を知っています。

僕は思うんですけど、若い人たちには
やっぱりソーシャル・ネットワークが
必要じゃないかって。
そしてそこはイラン独自のじゃなくて、
グローバルなものが求められるんだと思うんです」

 

やべっ!
文字に起こすと
頭よさそうに見えるなおれ(笑)

 

 

でもFacebookがイランで
日常的に使われていることは確かだ。

宿のスタッフもソファに座って
ラップトップを開いてFacebookを
見ていたりなんかもする。

僕はVPNの設定の仕方とか
分からなかったってのに…。

 

最後に一曲、オリジナル曲を披露して
1時間のインタビューは終わった。
宿のスタッフが
迷惑そうな顔をしていたのはここだけの話。


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ほんとうにイランの雑誌にインタビューが載るのかは分かりませんが、
一応名刺交換をして連絡先を伝えておきましたーが、

あっちの名刺もらってねーや笑。

ま、そういうことで!あ~楽しかった♪

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