「クリスチャニアのフリーでスローな空気」

世界一周435日目(9/6)

 

 

深夜2時に
僕たちを乗せたバスは

そのままフェリーに乗った。

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乗客は一度バスを降りて
コーヒーを飲んだり、食事をとったりしていた。

通過単位がユーロからクローナへと変わった。

外は潮風が強く吹き付け、
とてもじゃないけど、外のベンチで
ジュースを飲む気にはなれなかった。

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そして僕と相棒のまおが

デンマークの首都、
コペンハーゲンへと
着いたのは早朝6時半だった。

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ~~~、
なんかハリッポッターじゃん!」

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コペンハーゲンの駅を見て
まおはそう言った。

朝のしんとした静けさと、
ヨーロッパ的な大きな駅は
何かの映画に出てきそうだった。

とりあえず僕たち二人は
駅構内に入ってみた。

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このポーズ、ウケる…

 

 

 

中にはセブンイレブンやマクドナルド、
スターバックスが入っていた。

値段も日本円に換算すると、
コーラが400円以上もするという
ぼったくりっぷりで、
これから貧乏旅が始まるなと僕は思った。

Wi-Fiが手に入るスターバックス前で
まおが日本から持って来てくれた物資を受け取った。

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ハーフパンツやカットソー、ブランケットに、
日本の仲間と作ったステッカー、
日本で買った方が断然に安い文房具、

そうそう、
母親に頼んでおいた
携帯ウォシュレットもばっちし持って来てくれたね。
ありがとう♪

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これでまた旅が続けられそうだよ。

なぜか日本から来たばかりのまおは、
僕が見ても旅人に見えた。

その小汚さというかー、

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ね笑?

似た者同士ということで。

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さーて、どっちがレックスくんでしょうか?
分かるか笑。

 

 

 

 

 

僕たちがコペンハーゲンに来た理由は

「ある場所」にあった。

“クリスチャニア”

というのがその場所の名前だ。

 

 

日本中の野外音楽イベントで、
NGOの学生スタッフとして活動して来たまおは
ヒッピー・カルチャーにかなり興味を抱いていた。

1970年代初頭にできたという
このクリスチャニアは

ヒッピーたちが
軍の払い下げの土地に勝手にコミュニティーを作って、
それが現在まで続いているというものだった。

話によるとかなりフリーダムな場所らしい。

 

 

 

 

だんだん辺りが明るくなってきた。

8時になると僕らはコペンハーゲンへと繰り出した。

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まだまだ街には人の姿は見えなかった。

日本とはまるっきり違う
ヨーロッパの街並に興奮しながら、
クリスチャニアまでの道のりを歩いた。
DSC_0060ハンプティー・ダンプティーみたいな二人だ笑。

 

 

 

 

YouTubeでクリスチャニアが
どんなところか予習もばっちししてきた。

「CHRISTIANIA」と書かれた入り口を
見つけた時には二人のテンションは上がった。

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クリスチャニア内での
写真撮影は禁止されている。

中に入ると、どこか親しみを感じた。

僕たちが活動していた、代々木公園の
フリーな空気とどこか似ていたからだ。

 

 

朝のクリスチャニアには人はほとんどいなかった。

10クローナ(188yen)のコーヒーを二杯買って、
ベンチに座ってそれを飲んだ。

 

 

「まさか自分が
ここに来るとは思わなかったなぁ~」

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断っておくけど、これは外の建物だからね!

 

 

 

まおがそう言った。
今自分がここにいることは僕も信じられない。

まさか、日本から遠く離れた
デンマークにヒッピーが作った村に
自分がいるなんてね。

そして気づいたことは、
テレビやYouTubeで見て伝わってきたイメージと、
こうして自分の目で見るものは
全く違うということだった。

 

 

コーヒーを飲んで落ち着くと、
僕たちはさっそくクリスチャニアの探索を始めた。

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これは外の写真だよ。

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外の方から徐々に攻めていくことに。

そんな中で見つけた、
味のある家に僕たちは引き寄せられた。

 

 

中ではでっかいおっちゃんが
一人で作業していた。

自己紹介をすると、
おっちゃんは突然の来訪者を温かく迎えてくれた。

築100年以上もするらしい家とその庭は、
きっちりと整理されているわけでもないのに、
僕たちには完成されているように思えた。

 

 

「何かひとつひとつに
意味があるように感じる。
そこに適当に置いてある鉢植えとか、
あそこにぶら下がった洗濯紐にまで。
ってかここで夜はたき火して
みんなで話たりするのかー…」

 

 

たぶん、それは日本人の僕らが
見たからなんだろうけど、
デニーさん(おっちゃんの名前だ)の家と
お隣さんのおうちの庭は素敵すぎた。

デニーさんは彫刻をやっているらしい。
近々個展をひらくのだとか。
その準備をしている最中だった。

 

 

「うちの中を見せてあげよう!」
と僕たちを家の中に案内してくれた。

中には作りかけの作品が置いてある。

そしてデニーさんは自分の作った版画を
僕たちに二枚プレゼントしてくれた。

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Driftのステッカープレゼントです!いぇあ!

 

 

 

まったく、朝からなんていい出会いなんだ!

いい気分で僕たちはクリスチャニアの
真ん中に流れる川沿いを歩いた。

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これくらいならセーフかな?

 

 

 

川沿いにはここに住む人たちが
自分たちの手で作ったという、
オリジナリティ溢れる家々が並んでいた。

この家を見てまわるだけでも
十分に面白いだろう。

 

 

クリスチャニアには
マリファナの売買が行われているとか
ネガティヴなイメージもあるけど、
それはほんの一場面にしか過ぎない。

デンマーク人もここに散歩しにくるくらい
オープンでのびのびした場所だ。

 

 

一通りクリスチャニアの探索を終えた頃、
クリスチャニアには活気が生まれていた。

観光客だと分かる人の姿もあれば、
クリスチャニア・バイクと呼ばれる、
自転車の前に子供が乗れる台車付きの籠がついた
自転車に乗った地元の人の姿も見れた。

なんだか代々木公園のイベントみたいな雰囲気だ♪

そんなお祭りムードのクリスチャニアを後にして、
僕たちは一旦コペンハーゲンの街も見てみることにした。

 

 

 

 

コペンハーゲンのメイン通りも、
クリスチャニアに負けないくらい
多くの人たちでにぎわっていた。

 

 

「よし、じゃあここで
バスキングするわ!」

 

 

こういう人でにぎわっているところを見ると、
唄わずにはいられない。

まおにはカメラマンを引き受けてもらい、
僕はコペンハーゲンのショッピング通りで
シャウトをかました。

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だが、人が多ければ
いいってもんじゃない。

逆に人が多過ぎて、
声を張らなくちゃ届かないし、
常に多くの人が流れているので、
足を止める人もいない。

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「あ、あざっす!」

 

 

 

場所を代えてみたが、
今度は逆に人通りが少なかった。

まぁ、こういう可愛い
リスナーさんもいたけどね。
僕が唄ってる間ずっと
「クルクル」回ってたもん笑。

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パラパラと入る小銭。

一体いくらになったんだろう?

と小銭を数えてみると156クローナあった。
日本円に換算すると2,856円分。

もちろん物価は高いから、
すぐに使ってしまう金額であることは
間違いないんだけど、
日本との物価の違いを認識させられたよ。

だって収入の半分くらいが住民税やら
国民保険とかで持ってかれるんだもんね。
消費税だって20%もするらしい。

デンマークは高水準の福祉国家なのだ。

 

 

 

 

にぎやかな街を後にして、
僕たちは観光名所の船着き場へと向かった。

景観がいいとされるその場所は
バーと観光客でにぎわっていた。

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まぁ、綺麗だけど、
ポストカードに書かれている
あの静かな感じは今はないなぁ。

熱心にカメラのシャッターを切るまお。

僕は一眼レフを盗まれちゃったから、
iPhoneでパシャっと撮っておしまい。

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そんな中、僕たちに声をかけてきた
デンマーク人のお兄さんがいた。

途中から彼女(?)さんもやって来て、
仲良く話して、みんなでスタンバイミー唄って、

気づいたら、
ソーセージとビールをおごってもらうー…

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ってなんだ??!!
この流れはぁっっっ!!!

 

 

僕たちはデンマーク旅初日にして、
いきなし歓迎を受けた。

何やらこのお兄さん、
ツーリストを見かけると話しかけて
しまう性分らしい。

英語はそこまで喋れなかったけど、
その分、彼女さんはペラペラだった。

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お兄さんはしきりに
「時間があればうちに来い!」
と誘ってくれたけど、

ごめん、時間がないんだ。

 

 

 

まおとの旅は
たったの二週間という期限付き。

まおは次の就職先が決って、
それまでの空いた時間で僕に会いに来てくれた。

ここからいろんな街をまわって
ベルリンまで帰らなきゃならない。

 

 

 

楽しいひと時を過ごして、
再び僕たちはクリスチャニアへと戻った。

デンマークのことが
一気に好きになる様な出会いだったな♪

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夜のクリスチャニアは
さらに楽しかった。

僕は代々木公園の
フリーな感じを知ってるからだけど、
世界にはそれのベースになるような場所が
あるんだなぁと思った。

フリーライブ
が行われているところなんて
まさにそうだ。

僕とまおはワインを飲みながら
さっき買った食糧を食べた。

 

 

 

そしていい気分になってー…
ウトウトしてー…

 

 

 

ウトウト、コックリして僕は相棒に尋ねた。

 

 

「あれ?おれ、
さっきごみ捨てに言ったっけ?」

「え?」

『コイツ何言ってんだ?』と
キョトンとした顔のまお。

「あー、そっか、おれ、
捨てに言ったー、よな?」

 

 

現実と夢がよく分からない。

1分前を自分が生きたのか?
これは思考の続きなのか?
夢を見ているのか?

あれ?おれ、どこまで行動したっけ?

 

 

自分を現実につなぎ止めておこうと、
何回もiPhoneで時刻を確認した。

だけど、自分の今いる時間軸の感覚は
薄れていった。

不甲斐ない姿をさらしつつ、
ロボットのように川沿いにテントを
立てたことは覚えている。

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クリスチャニア!なんか地元の人には観光地扱いらしいっす。

「デンマーク人は全てを受けれるの!」
と街であった彼女さんも言っていたから。
なんかお兄さんとは愛人関係にあるらしいっすー。
ってよくわからん。

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