世界一周485日目(10/26)
周りがフェンス
で囲われ、
それでいてちょっとアクセスしにくい
小山の上にある遊具の脇。
それが昨日僕が選んだ
テントの設営場所だった。
人が来ないという意味では
ベストなチョイスだったが、
地面が少し斜めになっておいり、
あぁ!もうッ!
なんで寝れねえんだ畜生!
それでも昨日みたいに
警官に起こされるのはもうこりごりなので、
8時前には撤収した。
ここはオランダ、アムステルダム。
向かうはハーグ。
僕はハーグまで
ヒッチハイクで向かおうとした。
だけど、朝8時の郊外を歩いていて
その静まった感じに先行きが不安になった。
オランダの人たちは
ヒッチハイカーには優しいようだが、
肝心の車が走ってなけりゃあ…、
どうなのだろうか?
ヒッチハイクのポイントまで
30分以上かけて歩いて向かった。
そして辿り着いた場所は
只今絶賛工事中。
はぁーーーーー…、
もう、うんこしたいから電車で行こっと。
ハーグまでは11ユーロだった。
電車は30分ほどでハーグに到着した。
これだったらヒッチハイク
しなくてもよかったかもな。
それにオランダって
そこまで電車の料金が高い気がしない。
ドイツやイタリアに比べたらだけど。
朝の目覚めのコーヒーが飲めないものかと、
駅構内で一番最初に見つけたキヨスクみたいな場所で
2.1ユーロ(287yen)のコーヒーを買った。
値段の割にはそこまで容量もなくて、
紙コップに入ったシロモノだった。
そしてふと後ろを振り返るとスターバックス。
1.9ユーロでもっと美味しくて
たっぷり入ったコーヒーが飲めたのに…。
この20セントの差は
何から生まれるんだろうと考えてしまう。
お店のお姉さんが言っていた
「have a good day」の分だろう。
そう思うことにしよう。
駅構内にそのようにある
ライバル店のベンチに座って
僕はさっき買ったコーヒーをすすった。
ここへ来たのは
“会いたい娘”
がいるからだ。
僕はずっと彼女を知ってるけど、
彼女は僕のことを知らない。
わざわざ日本から会いに来るなんてさぁ?
一途だなぁ、おれ。
マップアプリを頼りに進んで行った。
彼女は美術館にいる。
僕は昔っから彼女のことを知っていて、
彼女が出ている映画を弟のトシと一緒に観た。
マウリッツハウス美術館のチケットは
14ユーロ(1,916yen)。
バックパックとギター、サブバッグも
預けなければ中に入ることができない。
受付のスーツを来たオランダ兄さんの表情からは
『オイオイマジかよ。
なんで美術館にバックパックで来るんだよ??!!』
というのが表情から読み取れた。
「ゴメン、このあとすぐに
電車に乗らなくちゃいけないくてさ、
チェックアウトしちゃったんだよね」
どーでもいい嘘をつくが、
オランダ兄さんの耳には届いていない。
午前中の来館だったので、
美術館はそこまで混み合ってはいなかった。
それでも僕の他には観光客の姿があったし、
絵を見るためには並ばなくてはいけなかった。
浪人時代に世界史を選択したおかげで、
美術史なんかも勉強してきた。
そこで幾度となく世界中の名作の名前と
作者の名前を頭に詰め込んだ。
今ではもうすっかり忘れてしまったけどさ。
大学の一般教養の授業でも
美術史を一度だけ選択したことがある。
教養レベルになると、
複雑過ぎてもう誰が何を描いているんだか
さっぱりだ。
それでも、あの暗い講堂で
プロジェクターに映し出された絵画を
今自分が見ることになるだなんて思わなかった。
「真珠の首飾りの少女」
は見たかった絵の一つだ。
フェルメールが描いた作品。
映画はどこかの病気みたいに
色の白い女優さんが(まぁ、きっとメイクだろう)
フェルメールの家で働く下女を演じていた。
一体どれくらいの人が
彼女の前に立って写真を撮っていったんだろう?
館内で写真撮影をしているのは
日本人か中国人くらい。
欧米人はここではほ
とんど写真を撮っていなかった。
それは作品に対する
リスペクトの形なのかもしれない。
だけど、この絵の前では違う。
どうせここで写真を撮ったところで、
ネットや資料集の方が綺麗な画像で
絵を見ることができるってのに、
なんで人はこの子の絵を写真に撮るのだろうか?
暗闇に浮かぶ、ハッとさせるような女性の絵。
世界中の人から愛されるいい女。
僕は彼女に会いに来たのだ。
絵の正面にあるソファに座って、
入れ替わる人の背中越しに
彼女のことをずっと見ていた。
さてと、そろそろ僕も行くか。
バイバイ。また、どこかでね。
ハーグの街で
バスキングをしてみようと思った。
アムステルダムはかなり厳しいのは、
あの街が自由を謳っているからだろう。
決められたルール内での自由。
だから、勝手にバスキングなんてやると
罰金をくらうのだと思う。
だがここはハーグだ。
あそこほど厳しくはないに違いない!
しゃーーーーっっっ!!!やったらーーな!
街はバスキングしやすい路地があるだけでなく、
僕の他にはバスカーの姿はなかった。
もはや敵なし!
だけど、初めてバスキングする国では
どこか緊張する。
この国の人たちのレスポンスは
どんなものなんだろうか?
よさそうな場所を見つけると、
反応を確かめるようにバスキングをしていった。
「うるさいからここでやってくれるな」と
ストップがかけられたり、
自分からどこでやっていいのか訊いてみたり。
そんな感じで移動を繰り返し、
ショッピングストリートを一本抜け、
誰からも注意されない場所に行くと、
久々に感じる手応え。
そして僕は新しい技を身につけた。
カズーという声帯を震わせて
ファニーな音を出すおもちゃみたいな楽器を
持っていたのだが(お値段なんと3ユーロ)、
演奏のさなかに口にくわえると、
曲がぎこちなくなってしまうのだ。
だが!
僕の編み出した技は
ピックを持つ右手の指の間に挟み、
アップストロークとともに口にくわえるとうもの!
ガキンチョのウケはいい!
それに自分のパフォーマンスにも幅が出た。
やべぇ…!!!これは来たよ!
ハーモニカとかは吹けない代わりに、
カズーで出す音を増やす。
ハーグの街のみんなが
ニコニコしてコインを入れてくれた。
合計5カ所くらいで
バスキングをやっただろうか?
夕方になってパフォーマンスを終了し、
コインをかき集めると、久々に
「ずしっ…」という感じがした。
うへへへへ…。
さっき、小腹を満たすために
入ったケバブ屋で
アガリを集計したのだが、
44ユーロ手元にあった。
食費に加え、毎日コーヒーを飲み、
カフェに行く僕にとってはありがたい収入だ♪
いつものように寝るまでの時間は
マクドナルドで過ごした。
20時になり、少し早めの
二階のフロアが閉まる時間になった。
とりあえず僕は荷物とともに外に出た。
今日、バスキングができなかった
ショッピングストリートを歩いていると、
夜のアーケードで二人のバスカーが
ギターを弾いていた。
僕は20セントほどコインを入れ、
演奏を聴かせてもらった。
静かなアーケードに唄が気持ちよく響いた。
「このあと21から近くのバーで
セッションがあるんだけど、見てくかい?」
「うわッ!なにそれ!
超面白そうじゃん!
行くよ!行く行く!」
ははは。
まったく一日の最後の最後まで
何があるかなんてわからないもんだぜ。
それに自分も路上で
ギター弾いているからこそのつながりだな。
ハットをかぶった一緒に
スタンバイミーを熱唱すると、
どこからともなくアジア人の
ちっちゃい子供がやって来て、
二人の演奏にノり始めた。
こんな小さな子供でも音楽にノれるってー、
うんうん。君はわかってるよ!
だが、いつまでも二人の
パフォーマンスは続かなかった。
「うるせぇぞ!
さっさとやめねえか!」
近くのバーのマスターが
鼻息を荒くして苦情を申し立ててきたのだ。
二人の曲は全くうるさい選曲じゃない。
どこか心に沁みるのびやかなものばかりだ。
「そんな!いつもここでやってるけど、
うるさいだなんて一度も言われたことないですよ?」
「うるせえったらうるせえんだ!
次やったら警察呼ぶぞ!
ファックオ~~~フッッ!」
「あぁ!てめえだよ
ファックオフなのは!」
どちらの会話も英語だった。
「残念だったね。
全然うるさくないのに…」
「あぁ、全く分からないよ」
「今日はもう行くよ。
これ、いい演奏だったぜ!」
僕はそう言って1ユーロと
小銭をギターケースに入れた。
「オイオイ!いらないって!
むしろこっちが2ユーロ渡すよ!」
「いや意味わかんねーって!」
なんだこのお金の譲り合いは…???
「実は今日のお昼に
この近くでバスキングやらせてもらったんだ。
だから、僕は君らからコインを
もらうことはできないよ」
「そうか。
だけど、この1ペンスはもらってくれ。
君の幸運を願って!」
「サンキュー!」
真夜中の粋なバスカーとハグをして別れた。
そして余った時間は
ケンタッキーでコーヒーをすすりながら日記を書いた。
今日の寝床は静かな公園。
つい先日まであんなに寒かったのに、
今日は意外なほどに温かかった。
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★世界一周ブログランキングに参戦しております。
絵も見れた。バスキングもできた。
素敵な出会いもあった。
もうこれ意外に何を臨もうか?
求める物はシンプルでいい。
心の豊かさは自分次第。
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カエルダッシュさん用に絵も描いたことだし。
満足満足。
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