世界一周489日目(10/30)
その木が
思っていたよりも
ずっと大きいことが分かった。
太い根は地面から盛り上がり、
幹は空にむかて力強く伸びている。
八方に伸びた枝は昨日一晩中降り続いた
小雨からテントを守ってくれていた。
テントを張るとき、
木の下を選ぶことがある。
どこか自然の力から
守られている気がするのだ。
テントをたたむと
「ありがとうね」と言って公園をあとにした。
何事も無く夜を明かすことのできた感謝に気持ちと、
ちょっとした願掛けみたいなものだ。
ここはベルギー。
そして向かう先は首都のブリュッセルだ。
昨日ここへやって来た時と同じ駅で切符を買った。
7.3ユーロ(1,035yen)。
1ユーロが100円感覚だったらそこまで高くないな。
ってもう物価の高さはもう完全麻痺だね。
iPhone(4S)で撮る平面の写真も好き。
(てかカメラ盗まれたんだけどね笑)
いやぁ〜…、いい仕事してますねぇ。
ブルーのライトがいいね!
誰??!
電車は
すぐにブリュッセルへと着いた。
僕は駅を出てソッコーで
本日一発目のワッフルを1.9ユーロで買う。
ここが観光地のある街の駅で
ということもあるかもしれないが、
ベルギーの駅ではワッフルが買えるのが
当たりまえだと勘違いしてしまいそうだ。
駅は中心地にあった。
すぐに観光客向けの
インフォメーションセンターが目についた。
一応、ここに来たからには、
「例の物」を見ておかなくては
いけない気がする。
って!うわっ!
ワッフル
1ユーロだと!!??
安さにやられて
チョコとシナモンを注文すると
3.6ユーロ(510yen)。
1ユーロなのはトッピングのない
シンプルなやつだけらしい。
くっそいい商売してやがるぜ…。
い、いいんだよ!
いつも野宿してるから!
こうなったら今日は
「自己嫌悪になるくらい」
ワッフル喰ってやるだからっっっ!
インフォメーションで訊いたので、
「例の物」はすぐにどこにあるかすぐにわかった。
もったいつけて書いているけど
小便小僧だね。
あ、カメラ横にしてもらえます。
あ、はい。そう。それで。
何も考えずに舌だしたけど、
おしっこ飲んでるみてーだな…
よく「ガッカリ名所」みたいに
言われるかもしれないけど、
僕はそこまでガッカリすることはなかった。
今ちょっと調べてみたんだけど、
今ここに飾られているのってレプリカなんだってね。
本物は1960年代に盗まれちゃったらしいんだけど、
この像が作られたは1600年代。17世紀。
そんな昔にこんなファニーなデザインの
像が作られるなんて、考えてみたらすごくない?
回りはゴージャスな神話や
英雄や偉人を題材にした像だらけで、
周りのブルジョワジーたちから(あれ?年代あってる?)
「コイツそういう趣味があったのか..」とか
変な目で見られたかもしれない。
僕はそんな像を作る
ユーモアのセンスを僕は賞賛したい!
…
え?これが勝利に導く小便だったり、
街を危機から救う小便だったりするの?
まぁ、いずれにせよ、
こういうユーモアが好き♪
さーて、今日の機嫌はぁ〜っと…。
こんなんなっちゃったら…
もうこの子グレちゃうんじゃないかな?
ファスナーぜってー閉まんないよな。
町歩きの最中に
漫画のギャラリーなんかも見つけた。
個展小説の「白鯨」をモチーフにした漫画。
なかなかに迫力があった。
最後の写真は違うやつ。
適当に街を
歩いてみて、僕は
バスキングをしてみることにした。
朝ここに来た時にはいなかったが、
駅から出てすぐのところでジャズのトリオが
演奏をして人々の足を止めていた。
いい通りもある。
時間もちょっと早いけど、
軽くアップする気持ちでやるとしよう。
ジャズトリオの音が届かず、
周りのお店が自分の正面にこないように
シャッターの降りた建物の前でギターを構えた。
僕はすぐに汗をかく。
10月も終わりだというのに
Tシャツ一枚になってパフォーマンスを始めた。
ここは観光客がほとんどだというのに
今日もレスポンスがいい。
アップのつもりが1時間以上やってしまい、
向かいのお店のおじちゃんから
「うるさくて仕事の邪魔だ。
それに一時間以上はここでやらないでくれ」
と注意されてバスキングは終わった。
町歩きを再会すると、
大きな緑色のディジュリドゥを持った
バスカーを見つけた。
黒いニット帽に黒いジャケット、
ジーンズにスニーカー、足首のあたりに鈴の輪。
キックペダルのついたカホンに座っている。
目の前には木琴が置かれていた。
一目でその人が日本人であることが分かった。
こういう時にはレスポンスがしたい。
日本人と分かっていても通り過ぎるだけじゃ寂しいだろ?
50セントコインを入れると
「まだ始まってないんだよね。
ありがとう。君もバスカー?」
と声をかけられた。
ケヤキさんと言うこの方は
1年以上ここでバスキングをしているらしい。
「す、すいません、
シマ勝手に荒らしました!」
なんて冗談めかしてケヤキさんに謝った。
お兄さんの周りには
子供を二人つれた
日本人の若いご夫婦の姿もあった。
沖縄出身のマサトさんと
奥さんのガチャコさん(なんでそんなあだ名なんだ??!!)。
長女のはなちゃん(3歳)と
妹のえんちゃん(1歳)の4人家族だ。
こちらもギターとカホン、
他にもいくつか楽器を持っている。
なんと家族4人でバスキングを
やっているというのだ!
家族4人で!!??
ガチャコさんは三味線も持ってきたらしい。
一体どんなパフォーマンスなんだ??!!
「今、場所取りに行って来たけど、
ダメだ。別の人が待ってる。
あの人たち絶対許可証持ってないよ?」
マサトさんは
目をつけていたバスキングの場所から
戻って来て言った。
ブリュッセルの街で
バスキングをやるのには許可証が必要で、
演奏時間も定められているらしい。
ということはさっきここで
バスキングできたのはラッキーだったってことか。
マサトさんご一家は一ヶ月の予定で、
現在2週間家族旅行をしているらしい。
スペインからベルギー、
そして次に向かうのはドイツのケルンらしい。
「ケルンではバスキングやった?」
「あぁ、やりましたよ!
あそこはマジで稼げませんでした。
罰金くらいましたからね!
あ、それはタバコのポイ捨てしたんですけど…」
「え?もしかしてーーー…、
“漫画家の人”?
私たちそのブログ読んだかも!」
ははは…、
お恥ずかしい。
今はちゃんと携帯灰皿持っているんで。はい。
マサトさんが日本から持って来た
アメリカンスピリットと
僕がバスキングで差し入れてもらった
キャメルを交換した。
日本のタバコの味はやっぱり違った。
ケヤキさんのパフォーマンスは
完成されたものだった。
ディジュリドゥの太い音に、
木琴のクリアな音が石畳に反響する。
リズムを取る足元の鈴と
カホンもいい味を出している。
もうケヤキさんだけの世界観ができあがっている。
すぎにたくさんの人が足をとめた。
演奏中にどんどんレスポンスが入っていく。
演奏が半分終わると、
「みなさんご清聴ありがとうございます!
こちらに僕の名刺と10曲入りの
僕のCDがあります!よかったらどうぞ!」
と英語でアピールする。
CDもパラパラと売れて行く。
すげえ…。これがバスカーか…。
てか後ろのおっちゃんたち。
場所取りに命描け過ぎでしょ!
「え?シミくん、どこ泊まってるの?」
「公園です!(超爽やかに)」
「え~?!公園?
よかったらウチきなよ」
「え?!!いいんですか!!!??」
「ちょうど昨日一人
出てったヤツがいるからさ!」
「ま、マジですか!
よろしくお願いします!!!」
「風呂ないけど!」
「マジですかぁ~~~…」
マサトさんたちは
先ほど一時間バスキングもしたこともあり、
次のバスキングは場所取りが
上手くできなかったのでやめることにしたそうだ。
「なんかあのジャズのヤツら、
評判悪いよ?他のバスカーも
「アイツらはジプシーだ」
って言ってたもん」
「なんか感じ悪そうよねぇ…」
ガチャコさんが困ったように言った。
なんだかバスカーの会話を
こうして近くで聞いていると
なんだか自分のそのうちの一員に
なれたような気持ちになれた。
僕たちは一度荷物を置くために
ケヤキさんの住む家へバスで向かうことにした。
ケヤキさんの住む家はお風呂、
つまりシャワーがないのではなく、
今現在、湯船を張れるお風呂にするための
工事をしているのということだった。
「3日で終わるはずの工事が
一週間かかってるからね。
下手したらもっとかかるかも…」
と、ケヤキさんは言っていたが、
ベルギーってそんなに仕事が遅いのだろうか?
マサトさんご家族も、
ケヤキさんの家に
泊まっているようだった。
話に聞くと、
ケヤキさんとマサトさんは日本に唯一ある
「ジャンベ(打楽器)のアジア校」の同期
らしいのだ。
なにそれ??!!そんなの日本にあるの??!!
鹿児島の硫黄島というところで
半年間ジャンベを共に習った仲らしい。
ちなみに日本には
「硫黄島」という名前の島は
二つあるらしい。
あの激戦が繰り広げられ、
映画化された場所はまた別の場所なんだとか。
僕はバスのチケットを持っていなかったので、
お金を払おうとすると、マサトさんが
「これあと二階使えるよ」と回数券を僕にくれた。
「その分お金払いますよ!」と僕が言うと、
受け取ってもらえなかったので、
それならと僕はマサトさんの娘のはなちゃんに
2ユーロをあげた。
「おじちゃんからお小遣いだよ」
と言って(笑)。
「はなはよくもらうはね♪」
とガチャコさんが言った。
バスキングをしている時も
お菓子をもらうことがあるそうだ。
さっきケヤキさんのバスキングを見ている時も、
どこからかおっちゃんがやってきて
クッキーを差しお入れていた。
まさかブリュッセルで
こんな出会いがあるとは思わなかった。
同じ日本人のバスカー(っていっても僕は”にわか”だけど)に
コインをレスポンスしただけなのに。
それがまさか今日一晩
泊めてもらえることになるだなんて。
旅ってほんとうに何があるかわからない。
ケヤキさんの家は
建物の2階から3階に立てに伸びていた。
大人一人が通れるくらいの階段が上に伸び、
2階部分がトイレ(絶賛工事中のやつだ)、
3階がリビング。
そしてケヤキさんの作業場となっている
屋根裏に別れていた。
「これ、今日出てったヤツの
バックパックだから、触らないようにね」
僕が今日寝かせてもらうのは屋根裏部屋。
と言っても天窓もついているし、
いつも外で寝ている僕にとっては快適な空間だった。
荷物を置いて一息つくと、
僕らはケヤキさんの知り合いの家に
シャワーを借りにいくことになった。
「実はベルギーで
フライドポテトが有名だって知ってた?
こっちの人は”フリッツ”って呼んでいて
ベルギーが発祥の地って主張してるんだよ笑?
毎年どこのフリッツ屋さんが
一番美味しいか大会があってね。
これから毎年一番に選ばれている
フリッツ屋さんに寄って行こう。
ちょっとつまみながら、ね?」
ベルギーはワッフルと
チョコレートだけじゃなかったみたいだ。
僕は下調べなんてほとんどしないから、
そういう情報は全く入って来ない。
お店はなんと混雑時にお客さんを捌けるように、
レジが3つもついていた。
通常サイズかラージだけなんだけど、
それに加えて何種類ものソースを
選べるようになっている。
ケヤキさんのオススメだという
サムライソースのラージサイズを僕は注文した。
どんなものかと一口食べてみると、
おいおいこりゃぁ!
笑っちゃうくらい
美味ぇぞっっっ!!!
あれ?そうでもない?
美味しさの秘訣は二度揚げしていること。
そのカリカリ、ホクホク感と言ったら
マクドナルドの比じゃない。
フリッツでお腹を膨らませて、
僕たちはケヤキさんの友達の家に
シャワーを浴びに行った。
道の途中で娘のはなちゃんが
だっこをせがんでくる姿が可愛かった。
「じゃあ次の信号まで行ったらだっこな」と
マサトさんとケヤキさんが交代交代で
はなちゃんをだっこする。
マサトさんは
アフリカン・バンドを組んでいるらいし。
それに加えて大学の非常勤講師なんだとか。
福祉を教えているそうだ。
「でも、学生って
けっこうやる気なかったりしません?」
僕は大学時代に味わった
あの無気力感が今でも変わらないものなのか、
マサトさんに訊いてみた。
「僕はグループワークさせるようにしているよ。
それで発表させる。
グループワークやってる時は
僕はタバコ吸いにいけるからね」
「この人ね、いっつも
休憩することしか考えていないのよ」
やー、でも、こんな人に教わったら、
勉強も楽しいだろうな♪
ケヤキさんのお友達は仕事に出ていたので、
ほんとうに銭湯気分で体を洗うことができた。
やー、4日ぶりかな?
オランダのトイレで体拭いたな。
「ほら!ブログネタ!」
「え?なんです?これ?」
「EUの本部」
「へぇ〜〜〜…(棒読み)」
帰りは
バスに乗って
ケヤキさんの家まで戻った。
ちょうど奥さんのノリコさんが
仕事を終えられたばかりで一緒のバスだった。
いきなり転がり込んだ僕を
笑顔で迎えてくれたのが嬉しかった♪
奥さんはパキスタン人が経営する
日本人向けの美容室で働かれているそうだ。
ケヤキさんの家に戻ると、
お風呂の工事をしていた職人さんたちは帰った後だった。
「それじゃあこれから掃除するから」と言って、
部屋の掃除機かけから始まり、
クイックルワイパーみたいな
簡易モップで床を拭く徹底ぶりだった。
「いやぁ~、ここまできちっとしていると、
『やっぱり日本人だな』って思いますね」
ブランケットについた埃を外で払う時に僕は言った。
「うちは子供もいるからね。
それにノリちゃんは今妊娠してるからさ。
気管支炎とかなったら大変だし、
入院となったらものすごくお金がかかるからね」
こういう細かいところまで気が遣えるのは、
やっぱり日本人だからだよなぁ。
ってか僕一人だったら
『うへっ!なんか粉っぽい!』とか言って
ほったらかしてたえだろう。
あれ?僕日本人だっけ?
部屋の掃除が終わると、
シェフ・ケヤキの料理が始まった。
手際よく料理を作るケヤキさん。
何年も飲食店で働かれていたことがあり、
自分のお店も持ったことがあるそうだ。
たべさせていただいたのは
パスタとグリルで野菜をーーーって、
自分ではそういうこと全然やらないから
なんて言ったらいいかわかんねぇけど
うまっっっっ!!!!
栄養が体に染み渡る。
最近食べた食事の中で一番かもしれない!
その横でははなちゃんが
「なっとう!なっとう!」とか言って
納豆とパスタを食べている。
3歳で納豆に目覚めるなんて…。
そんな冷たい目でお兄さんのことみないでよ。
食事の後に色々お話を訊いたり、
話させてもらったが、
その中で印象的だったのは
海外においての日本人の在り方だった。
「マサトは覚えていないかもしれないけど、
この前バスから降りる時に
『打刻しわすれたから』って、
わざわざみんな降りてから打刻しに行ったろ?
あれ、運転手『信じられない!』って顔で見てたぜ?」
オーストラリアでバスキングでお金を貯め、
海外を旅していたケヤキさん。
外国人の友達に自分が日本人だからという理由で
よくしてもらった経験がたくさんあると言う。
だからその輪を自分も
続けて行かなくちゃいけないのだと
ケヤキさんはおっしゃっていた。
「うっ….」
「ははは!
シミくんドイツで無賃乗車とか
タバコのポイ捨てで罰金もらっているから、
気まずいんだ?」
「そうか、それはよくないね。
そんなシミはー、
一刻も早く
ベルギーから
出て行ってもらいたい!」
「はうっ…」
ケヤキさん、マサトさんご夫婦と
過ごす時間が楽し過ぎた。
それに加えて今日は野宿じゃない。
寒さに眠れないこともなければ、
そして物音に怯えることもない。
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あー!書き忘れた!
マサトさんはスペインのバルセロナでスリにあったそうです。
エレベーターでおばちゃんが胸を押当てて来て
「うッ!」と体を引いたらその隙に前にかけていたポーチから
財布が盗まれていたのだとか。
現金はあまり入れていなかったものの、
クレジットカードも入っており、すぐに停止させたそうです。
マサトさんはこれを「パイズリ」と呼んでいました(笑)
今日も読んでくれてありがとさん!
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誰もいない場所なんよ。
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