「コンソという町」

世界一周588日目(2/6)

 

 

朝6時に

宿をチェックアウトした。

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外はまだ太陽が昇っていなかった。

バスターミナルまで続く一本道をそのまま下って行った。

月明かりのおかげで辺りがやけに明るかった。

 

 

 

ここはエチオピア、ジンカ
自分の中ではこの国での旅は一区切りがついた気がした。

 

 

 

 

だからこれからケニアに向かおうと思う。
まずは国境の町のモヤレを目指す。

ジンカはかなり小さな町なので、
バスターミナルの利用者が他の町ほど多くない。

だから、大きな荷物を持って
移動するような人たちがそれほど多くはない。

いつもは4時半に起きて5時前には
バスターミナルにいなればならなかったが、今日は一時間送らせた。

 

 

僕の睨んだ通り、ターミナル内では
バスやミニバンが僕のことを待っていてくれた。

僕がモヤレに行きたいのだと集金係に言うと、直通のバスはなく、
まずはコンソという町まで行かなければならないことが分かった。

 

 

コンソ行きならこっちだよ、と言われた通りにミニバンに乗り込んだ。

車の中におじさんが一人行儀よく待っていた。

まぁ、待っていれば他の客ですぐに席が埋まって、出発するだろう。

 

 

ミニバンの発進を待っているうちに日が昇り、
辺りはどんどん明るくなって来た。

時刻は8時をまわったが、ミニバンは発進する気配を見せなかった。

 

 

なぜなら乗客が未だに僕とおじさんしかいないのだ。

やっと三人ほど来たかと思いきや、別の車に移ってしまう。

 

 

「え?なんで行っちゃうんですか?」

僕はおじさんに尋ねた。

 

 

「アルバミンチ行きのバスの方が
早く出発するからだよ」

 

 

そのバスに乗って途中で降ろしてもらうのも手らしかったが、
おじさんも僕も完璧に車を移るタイミングを逃していた。

僕は既にミニバンの上にバックパックと
ギターを括り付けてもらっており、
一人でそれを外すのはめんどうだった。

おじさんは時々他のバスの方へフラフラ近寄っていったかと思うと、
また戻って来た。

 

 

僕たちの二人の間では、

最初からこの車で待っていたのだから、
出発から到着まで最後まで乗っていなければならない

という使命感に似た何かを持っていた。

 

「乗りかかった船だから」という言葉もあるように、

乗りかけたミニバン

だからだ。

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「まだ出発しない…」

 

 

 

朝の涼しい時間だったので僕はが気になった。

実際には僕の周りには蚊なんていなかったのだが、
マラリアの薬である「テトラドキシン」をサブバッグから取り出し
一錠口に放って、それを水で流し込んだ。

思い出したのは、
腹に何も入れていない時にこの薬を飲むと気持悪くなる
ということだった。

 

 

僕はこれをジャンキーっぽく

「ロー(Low)になる」

と言っている。

 

 

 

何も食べずに薬を飲んだので、案の定気持が悪くなり始めた。
何も食べていないのに吐き気を感じた。

幸い車の中にはおじさん意外に誰もいなかったので、
一番後ろの横一列に寝そべった。

もう、好きな時に車が出ればいいさ。
今日中にモヤレなんて行けないだろうな。

 

 

 

 

 

そこからどれくらい時間が経ったのかは分からない。

車がようやく発進したころには、もう真っ昼間だった。

思い出したのは、ここからコンソまで
3時間以上かかるということだった。

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やっと出発です。

 

 

 

 

随分長いことミニバンは山道を走っていた。

僕はあいかわらず窓際の席で外の景色を眺めた。

どう考えても暮らしていくのに不便だろうという寂れた土地に
家がポツリポツリと建っている。

その横を心もとない電線が走る。

時々道路をヤギや牛の群れが横切り、ミニバンはクラクションを鳴らす。

日本の昔話に出てきそうな山盛りの枝を背負った人たち。

彼らは通り過ぎる車(僕が乗っているやつだ)を頭を動かして見送る。

車が止まると、何か得体の知れないものを
売りつけようとしてくる物売りたち。

乗客が窓から捨てたペットを子供たちは嬉しそうに拾っている。

 

 

 

彼らはどうしてここに住むのだろうか?

何を考え、何を感じ、どういう風にして一生を終えるのだろうか?

きっと何十年、ひょっといしたら何百年と
彼らはここで暮らしているのかもしれない。

2015年にありながらエチオピアでは、
まだまだプリミティヴな暮らしが営まれていた。

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ようやく町だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼過ぎに

コンソのバスターミナルに到着した。

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バスターミナルのやつらは相変わらずに
チップ目当ての親切心を押し付けようとしたので、
僕はうんざりさせられた。

ギターを勝手に持ち、ちょっとしたポーター気取りのヤツさえいた。

僕としてはそんな軽々しくギターに触れられたくはない。

「おい!」と大きな声を出すことも時には大切だ。

キレてない。
怒っているという意思表示が大切なんだ!

 

 

僕としてはすぐにでもモヤレに行ってしまいたかったのだが、
ここでも朝イチの始発のバスしかないと言われてしまい、
ここで足止めをくらいことになった。

宿を探そうとしていたら、
フレンドリーなお兄さんが僕にと手頃な安宿を教えてくれた。

 

 

ここでは親切なのか、友好的なのか、
それとも単にお金が欲しいだけなのかがはっきりしない。

だからこそ身構え、ヘラヘラした笑顔を作らずに
ムスっとしているのだが、純粋にいいヤツだっと分かった時は、
そんな自分にもうんざりする。

彼は他にも日本人をここに連れてきたことがあるらしく、
この前ここに泊まった日本人が昨日モヤレに行ったよと教えてくれた。

 

 

宿はバスターミナルのすぐ裏手にある小さなフラットで、
個室にはシャワーがついており、トイレは別だったが、
120ブル(712yen)と値段も手頃だった。

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泊まったのはここじゃないけどね。
ニューヨークだって。完全名前負けしてるっしょ。

 

 

 

 

僕は荷物を置いて近くのレストランに行った。

レストランのいたる所では
いい大人たちがビールを飲んでいる。

日差しを避けるために店内のテーブル席に着いたが、
水色の制服を着た警察だか警備員だかのおっちゃんたち
のテーブルの上には空き瓶が何本も乗っていた。

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僕は6ブル(37yen)のコーヒーを注文して
ノートに漫画を描かいて過ごした。

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はーい。ちょっと先に公開。
アーカイブはFacebookページまで!

 

 

 

 

 

1時間半くらい作業をすると、
僕は近くを散策してみることにした。

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トコトコ歩いていると、売店の外のベンチに腰掛けた
青い服を着たおじさんから声をかけられた。

おじさんは僕に紅茶を一杯ごちそうしてくれた。

 

 

おじさんはここでツーリスト向けのオフィスを構えているらしい。

「ちゃんと大学でツーリズムを勉強してんだよ」
というおじさんの英語はかなり流暢で、
それでいて礼儀ただしさのようなものを感じられた。

 

 

おじさんと話しているうちに、
そのオフィスに見学に来ないかと誘いを受けた。

彼はどこか観光客と話したがっているように思えた。

紅茶もごちそうしてもらったことだし、
僕はおじさんのおとについてオフィスを案内してもらうことした。

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オフィス自体はエチオピアの伝統的な
藁葺き屋根の建物だったが、壁はコンクリートで
トリップあアドバイザー的なステッカーがいくつも貼ってあった。

中に入ると、ここのスタッフらしい女のコが
デスクに突っ伏して眠っていた。

僕たちがオフィスに入ってきたことが分かると、
恥ずかしそうに笑った。

見た感じ暇そうだ…。

 

 

 

おじさんはコンソでどのようなツアーに行けるのかを
僕に詳しく説明してくれた。

別の部屋にある木彫りの人形を見せてくれるサービス精神で、
僕は「はぁ~~、面白いですね!興味深いですね!」
なんて適当に写真を撮ったりしていた。

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内心はジンカから帰ってきたばかりだったので、
どこか物足りなさを感じなくもなかった。

ツーリスト・オフィスのおじさんは、
コンソをジンカのように観光業によって
町に活気を与えたいとい考えているようだった。

 

 

旅行者の僕からしてみたら、コンソはただ通過するか、
もしくはやむなく一泊するような町だった。

町自体もほんとうにちっぽけなもので、
回線が届いていないのでインターネットを
この町で使うことはできない。

旅行者向けのオフィスがなかったら、
コンソの魅力などツーリストの耳には届かないだろう。

おじさんの使命感みたいなものを感じた。

今日はなかなかに使命感に
溢れる男たちに会う日だなぁと僕は思った。

 

 

 

帰り際におじさんは僕に名刺を渡してくれた。

コピー用紙を切った手作り感が溢れる名刺には
おじさんのメールアドレスが書かれていた。

 

 

「あれ?ここってネット使えないんですよね?」

「あー、うん。アルバミンチに行った時にね、
チェックするんだよ」

 

 

ツーリストはWi-Fiに飢えてますからね。

ここでネット環境を整えることも大事かもしれませんよ?
と一応助言らしき発言を残して僕は宿に引き上げた。

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重そう..。

 

 

 

 

 

 

夕方の

まだ寒くならないうちにシャワーを済ませた。

 

 

シャワーの水量はかなり弱かったので、
長い髪の毛を洗うのに時間がかかった。

こういうシチュエーションにいたら、
女のコはマジで一体全体どうするんだろうか?

桶かなんか、水が貯められるものに頭をつっこんで
じゃぶじゃぶ洗うのであろうか?

おれだったらそうするけど、
そんなことやってる子がいたら、ちょっと嫌だなぁ…。

(実際のとことどうしているのですか?特にアフリカで)

 

 

時間をかけて頭を洗った。

髪が乾くまで間は部屋で軽くギターを弾いた。

 

 

 

 

 

夜になると突然町全体が停電に見舞われた。

 

 

部屋にはマッチとロウソクが
備え付けてあったので、それに火を灯した。

チリチリと小さな音を立てながらロウソクの芯は燃え、
三秒くらいマッチの火を近づけて離した。

ロウソクの火は暗い部屋の中でゆらゆらとゆれていた。

 

 

腹が減ったので、僕は外に出た。

停電のおかげもあって、星空がいつも以上に綺麗に見えた。

他のお店の前でも地元の人たちが火を囲んで
ぺちゃくちゃと喋っている。

ある限られた意味では停電も地元の人立ちの
コミュニケーションの役に立っているのかもしれない。

 

 

iPhoneのライトを頼りに近くのレストランは
停電の中でもロウソクの灯りを頼りに営業していた。

店内では男たちがハニー・ワインを飲んでいた。

僕はジンカでも食べた”カイワ(と発音するのだ)”という
肉入りのインジェラを注文した。

あれなら完食できると思ったからだ。

 

 

今回の肉はチキンではなくヤギの肉だった。

固く、時々固い骨が混ざり、そして完食する前に飽きがきた。

基本僕は出された食べ物については、
極力完食しようと心がけているが、
インジェラだけは胃袋がギブアップだった。

あれはやはり二人以上でつまむのがいいのかもしれない。

そう言えば何度かテーブルで
インジェラをつついている男たちを見た。

 

 

 

 

 

インジェラを食べているうちに町は停電から復活した。

僕は「サンキュー」と言ってお礼を行って店を出た。

お店のおばさんの耳には僕の発した言葉なんて
一語たりとも届いていないようだった。

 

 

 

食後のコーヒーを飲むために、
レストランの横にある店に足を運んだが、どういうわけか、
その店だけはまだ停電のままだった。

お店の主人は「ソーリー」と言って僕にコーヒーを注いでくれた。

 

 

 

 

宿に戻るとトイレに行きたくなった。

携帯ウォシュレットに水を補充しようと蛇口をひねったが、
シャワーヘッドから出てくる水の量はさっきよりも弱っていた。
そろそろ死んでしまいそうだった。

ここにシャワーヘッド意外の水の補給場所がないのも問題だった。

僕は手を伸ばし、背伸びするような形でペットボトルに水を補充した。

その間ずっと奥田民生が気楽な歌声を響かせていた。

そして10分以上かけ、やっと外のトイレに向うことができた。

 

 

トイレには電気がつていいなかったので、
僕はiPhoneのライトで照らさなければならなかった。

トイレの扉を開けると、そこには大きなゴキブリが数匹いた
巨大とも言っていいくらいの大きさだった。

エイリアンのように体をキシキシさせ、
ライトに照らされたことに腹を立てているように見えた。

 

 

僕は一瞬固まって、すぐに扉を閉めて、
もうひとつある別のトイレに移った。

そこにも2匹ほどゴキブリがいたが、
貴重なを消費して水で追い払い、そこに用を足した。

 

 

 

コンソは僕にとってそんな町だ。

まだまだ活気ある観光地にはなりそうもない。

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唯一この宿のいい点を挙げるならシングルルームに蚊帳がついていて、
ベッドバグがいないところでしょう。

それ以外はエチオピア・スタンダードでした。

 
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