世界一周633日目(3/24)
南アフリカ、
ケープタウンにあるアパートの一室。
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朝の光がほのかに室内を照らしだし、
僕は8時前に自然に目が冷めた。
僕より5日ほど早くマユさんのお宅に居候のマサトさんは、
ここの居心地の良さにイチコロなのか、
窓際にある別のソファで気持良さそうに眠っていた。
8時をちょっと過ぎた頃にエリオットが起きてきて、
それに続いてみんなが来てくる。
マユさんが淹れてくれたコーヒーを飲めば、一日が始まった気分になる。
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僕とマサトさんは「世界一周」という旅の括りのなかで
頻繁にブログを書いているが、
マユさんもとある旅ブログに
記事を月に一本くらいのペースで寄稿しているようだった。
(このブログにはタイムラグがあるが、
今はご自身の自転車旅のブログを不定期で書かれている)
ブロガー三人は各々にパソコンの画面に向かい、
気づけば時刻は10時半をまわっていた。
朝から口にしたのはコーヒーだけ。
僕は常時減量中なので、別に食べなくったって平気だけど、
一人旅と他の人と一緒の時間を過ごすのでは、
色々な生活リズムが違ってくる。
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オススメ
のベーグル屋さんがあるからと、
僕たちは外に出ることにした。
家の近くのチェッカーズというスーパーで
バナナなんかフルーツで軽く軽食を取り、
小さなショッピングモールにあるお洒落な雑貨屋さんを見てまわった。
南アフリカの雑貨はなかなかにレベルが高かった。
買う場所にもよるんだろうけど、
オリジナリティがあって作りもしっかりとしている。
そして値段も高い。
日本で同じ様な雑貨を買うのと同じくらいではないだろうか?
ここは自分へのお土産用に買うのが一番かもしれない。
安かったら買ったけど、ひとまずは保留にしておこう。
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あーーー、欲しい…。
ベーグル屋さんはマユさんの家から歩いて
15分くらいの通りにあった。
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紛らわしくてごめん。ここの通りじゃないな。
マユさんが近くのオフィスで働いていた時に
たまたま発見したらしいが、地元の人たちからしてみたら有名のようだ。
お店自体はテイクアウトのカウンターしかない小さなものだったが、
混雑時にはお店の前に行列ができるのだとか。
僕たちが行った時には今日は5人ほどの客がベーグルを買いに並んでいた。
ベーグルに挟む具材の種類はかなり豊富だった。
味のないものであればわずか5ランド(50yen)だったが、
それにトッピングを加えると一気に300円以上になってしまう。
僕ひとりだったらこんな場所で決して
ベーグルなんて買わないだろうなぁと思いながら、
美味しい炒めた野菜がたっぷりはさまったベーグルにかじりついた。
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一重のマサトさん、なんかいつもと違う..。
昼食代わりのベーグルを食べた後に向かった先は、
こらまたマユさんのオススメのカフェだった。
“Office Filed“というこちらもお洒落なカフェだ。
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![IMG_8553](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
カフェで作業をするのが好きな僕にはたまらない。
店内は木目調で、気にならない程度に
スムースジャズみたいなのがかかっている。
窓際の自然光が入るいい席には既にシャツを着た
ビジネスマンらしいおじさんと、
ストリート系のお兄さんがどちらもMacBookを開いていた。
コーヒーの価格はそこまで高くはなかった。
普通ヨーロッパでこのような場所に来れば
平気で200~300円はいってしまうのに、
フィルターコーヒーであれば150円。
だってドトールの一番安いコーヒーが120円くらいでしょ?
今はもっと高い?
しかもしっかりと挽いた香りのいいコーヒーだからね。
毎日来たくなるようなカフェだ♪Wi-Fiだってもちろんある♪
マユさんとマサトさんは引き続きパソコンで作業をしていたが、
僕は漫画の続きを描くことにした。
「世界新聞」に寄稿する漫画の続きだ。
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漫画描く前のストレッチ的落書き。
3ページの予定が2ページという短さになってしまったが、
話としてはすっきりまとまったのではないかと思う。
旅先で蘇る、匂いや味、空気感のお話。
あとはスキャナーを探してスキャンして、松崎さんに送って、
あとがきをかけば終了だ。
こういう小綺麗な国じゃスキャナーって
なかなか見つからないんだけどね。
日本のコンビニに行けばスキャンできることって、
すげえんだなって思う。
16時半頃に僕たちはカフェを出た。
時間の感覚としては三時間ちょっとはあっという間だった。
できることなら集中力が途切れてもう何も思い浮かばなくなるまで
作業していたいんだけど、それはまた次回だ。
今はみんなで過ごす時間を楽しもう♪
エリオットは仕事が終って帰ってくる
17時半には家に戻ることにした。
来た道とは違う道を通って、マユさんの家まで戻る。
途中、大きな公園があった。
裕福そうな人たちが大型犬を放して談笑している。
のびのびとした雰囲気で僕は
『ここなら野宿ができるのでは?!』と思ってしまう。
「でも、夜にはホームレスがいるから、
やめておいたほうがいいよ~」
「いや、冗談ですって!」
僕が抱いていた南アフリカのイメージは
どんどんアップデートされていった。
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のんびりした公園だった。
夕飯は
食べずに、ライオンズ・ヘッドと呼ばれる山に登ることになった。
マユさんとマサトさんの共通の知り合いだという
韓国人カップルの二人もやってきて、
僕たちはセンセットを見に山に登った。
家から出た途端、エリオットとマユさんの歩調は
一気にスピードアップした。
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僕は遅れを取るまいと二人にペースを会わせた。
後ろでぺちゃくちゃお喋りしているマサトさんたち
はどんどん後ろの方へ遠ざかっていく。
「夕日が沈むのに間に合わないかも!」
その気持は分かるのだが、
家からライオンズ・ヘッドまではずっと坂道なのだ。
二人が本格的なトレッキングをすることを思い出した。
足の長いエリオットの歩幅は広い。
普通に歩いているように見えて、かなりの距離を進む。
マユさんはそれに合わせて軽快に足を運んで行く。
すぐに背中が汗で湿った。
「ふうふう」呼吸もと多く酸素を求めるようになり、
水を持ってきていなかったことが悔やまれた。
僕は財布とアウターしか持って来ていなかった。
後ろの三人が見えなくなってしまうと、
立ち止まり彼らが来るのを待った。それが僕の休憩だった。
山道の始まりは砂利道だった。
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少し歩いたところにあるベンチに座って、休憩を挟む。
そこからテーブルマウンテンが見えるのだが、
山頂にかかった雲が水のようにずっと流れている。
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先頭を歩いていたエリオットは
僕に水とドライフルーツをわけてくれた。
お礼を言って甘酸っぱいドライフルーツを口に含んだ。
素昆布みたいに薄っぺらい、砂糖をまぶした乾燥させたフルーツが
どうして染み渡るのだろう?
最近思うのは
「食べる」時の自分の状態が美味しさを左右する
ということだ。
砂利道が終ると、今度は岩の上を歩くような形になった。
先頭は相変わらずエリオット。
そして5mくらいの間をとってマユさんが続く。
僕はマユさんの足下を見ながら、
自分がどこに足を運んでいいのか考えながら歩いた。
デコボコする場所で、足下に集中してしまい、
周りの景色を眺めている余裕なんてない。
意識的に頭を上げ、
自分の周りにどんな景色が広がっているのか確認する。
海が夕日を反射してきらめく。
ここにあるのは海と山。
南アフリカがアウトドア系のアクティヴィティに
富んでいることが分かる。
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一番キツかったのは山頂直前の急な岩場だ。
ジーンズとブーツという格好だったので、
ストレッチの入っていないジーンズを穿いた足を
高い場所に持ち上げるのは大変だった。
動きやすさ重視の山ガールはポンポンと進んで行く。
マユさんについていくと僕はすぐに息切れした。
「アウトドアが好きな人には
南アフリカはたまらないだろうね」
そうエリオットに言うと、「日本も最高だよ」と返してくれた。
僕は知らない魅力をイギリス人の彼は沢山知っているように思えた。
山頂に着いた時には残念ながら
夕日はすでに水平線の向こうへと沈んでしまっていた。
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空がなんとも言えないグラデーションに染まり、
街の灯りがゆらゆらと揺れているのが分かった。
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僕たちは汗でTシャツの背中を濡らし、そここら辺に腰をかけた。
エリオットはバックパックの中から取り出したのはヒマワリの種だった。
中国でよく見かけたけど、こちらで売られているのは殻のないもの。
「種をつぶさないように外の殻をかじって割る」という
面倒くさい作業せずに、そのまま食べることができる。
僕は中国で食べたヒマワリの種入りのアイスクリームを思い出した。
空が暗くなると、街の灯りはより一層綺麗に見えた。
帰りは息切れすることはなかったが、
変わりに足場の悪い山道を安全にゆっくりしたペースで歩いた。
一緒に山を登り始めた韓国人カップルは
最初の方のベンチで僕たちのことを待っていた。
暗くなり始めて、危ないと判断した彼らは
山頂まで登ることを断念したみたいだ。
サンダルとスニーカーの二人にはキツかったよね。
家まで戻る頃には、足がプルプルと震えていた。
「セブンイレブン」という名前のスーパーでスプライトを飲んだ。
そのまま、向かいにあるピザ屋で夕食をとった。。
一番安いもので一枚600円。
二人でシェアするしてもお腹にたまる大きさだ。
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そしてこの日の極めつけは、何と言っても映画鑑賞だろう。
なんとこの家にはプロジェクターがあるのだ。
白い壁に映し出されたのは
「シュガー・マン」
たぶん前もリンク貼ったけど、またはっとくね。
まさかここでこの映画を観られるとは思わなかった。
この映画を知ったのはモロッコ、フェズで出会った
水墨画家のシンペイ兄さんが教えてくれたからだ。
何かの賞を受賞したというこのドキュメンタリーは、
信じられない様な奇跡的なストーリーに加えて、
「これから先の人間の豊かさ」
みたいなのを観ている者に訴えかけるし、
散りばめられたロドリゲスの曲の良さがじわりじわりと伝わって来た。
それはエリオットお手製のスピーカーがあってこそだろう。
そんなに素晴らしい映画だってのに、
僕の隣りで
マサトさんは寝ていた。
うん。寝ていたんだよ。
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ってこれがアップされた頃には僕はもう別の所にいるんだろうけどね。
そんなツイート的な独り言でした。
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