「旅とは誰かに会うことなのかもしれない」

世界一周651日目(4/11)

 

 

リックさん

からもらったジャケットのおかげもあったが、

気温が高くなってきたおかげもあって
いつもより眠ることができた。

 

 

あくまでも「いつもより」だけど。

やはり3時、4時過ぎの冷え込みには起きてしまうし、
依然として足の先は冷たい。

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ここはカナダ、トロント
僕はモントリオールから700kmの道のりを
ヒッチハイクで戻って来たのだ。

 

 

 

テントを立てた公園もいい場所だった。

犬の散歩をする人たちが来る前に僕はテントを片付けた。

 

 

自分の姿はどこからどう見てもホームレスだった。ギターを持った。

ジャケットは確かに温かかったが、
もう僕には必要のないものにも思えた。

どこかで寄付するなくちゃなと思いながら、
朝ご飯を食べにサブウェイに入った。

 

 

 

 

中では頭の禿げたおじさんがTシャツ姿で僕に一瞥を投げかけた。

『こんな朝早くから来るんじゃねえよ』
とでも言っているようだった。

僕はそんなおじさんをなだめようと明るく
ブレークファストのセットを注文した。

 

 

「よう。どこから来たんだい?」

「ジャパン」

「おぉ!そうかい」

 

 

おじさんの硬い表情が少し崩れる。

僕がやっていることはホームレスに限りなく近いことだけど、
カナダにいる日本人の浮浪者なんて限りなくゼロに近いだろうし、
海外で暮らす、もしくは訪れる日本人の人たちはお金持ちだったり、
行儀がよかったりする。

やはり日本人というだけで評価は高まるのだ。
マイナスに振れることはほとんどないと思う。

僕が旅をしているのだと言うと、
おじさんはクッキーをおまけしてくれた。朝からありがたい。

話していると、おじさんの国境はイランだということが分かった。
カナダには25年暮らしているらしい。
そして息子さんと娘さんがいるようだった。

 

 

「イランはどこ行ったんだい?」

「マシュハドとかエスファハーンとかですかね。
イマーム広場のマーケットはかなり楽しかったです。」

「そうかい♪そうかい♪」

故郷から遠く離れた国で、
自分の国の話を聞くのは誰だって嬉しいのだと思う。

 

 

イラントークでおじさんと僕の距離はぐっと縮まった。

僕がこれからヒッチハイクでウォータールーという町へ
向かうことを告げると、おじさんは僕に
ファラフェルのサンドイッチを作ってもたせてくれた。

僕もお礼に似顔絵を描いておじさんにプレゼントした。

いやぁ、朝からいい感じだ♪

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今回はテイストを変えて。

 

 

気をよくした僕は店内に他に客もいないことだったので、
ギターを披露しようと、ケースを開けたその時だった。

 

 

 

ネックに何か違和感があるのが気がついた。

 

 

 

いつも張ってあるはずの弦が何本か

「だら…」

と外れているのだ。

僕はすぐにギターを取り出してチェックした。

二つのペグは変な方向に折れ曲がり、ネックに亀裂が入っている。

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っておい。

 

 

また壊れてんじゃん…。

 

 

 

というのも

荷物をまるっと盗まれてしまった後に
チェコで買ったギターは買って一ヶ月後には壊れていたのだ。
立てかけたギターが「コトン」と倒れたのが原因だった。

その反省もふまえて今回は取り扱いには
かなり慎重に扱ってきたつもりだった。

ペグの変形の仕方から、思い浮かんだのは
ヒッチハイクの際にギターをトランクに入れた時、
トランクによってギターが押しつぶされたということだった。

やーーー…、
『大丈夫かなぁ?』って気になってたんだよね。

 

 

全然ダメだったね。

 

 

 

 

僕のテンションは一気にガタ落ちした。

おじさんはペグはペンチで元に戻して、
ネックは接着剤で固定したらどうかとDYI的な提案をしてきた。

 

 

「う~~~…、どこか、修理できるお店しらないですか?」

僕はダメもとでおじさんに訊いてみた。

 

 

 

 

「あぁ、それなら
このすぐ近くに大きな楽器屋さんがあるよ」

 

 

なんということだろう。

あまりりも今日は物事がスムーズに展開していくではないか!

ネックは首の皮一枚で繋がっていることだし、
カナダを出るまでにあと3日はある。
これなら修理できるんじゃないか!

 

 

 

 

僕はかすかな望みに希望をけけて、
おじさんに教えてもらった楽器屋に足を運んだ。

楽器屋は確かに大きかった。それもビルをふたつ使っており、
修理専門のフロアもある大きな店だった。

さっそく僕は壊れたギターを見せて修理できないかと店員に訊ねた。

 

 

「あちゃ~~~~…これ、

修復不可能ですね。

別の場所だったら直せたけど。
修理するんだったら500ドル近くかかりますよ。
他のギター買った方がいいんじゃないですか?」

 

 

 

 

 

終った…。

 

 

 

ドイツのドルトムントで買ってから7ヶ月しか経っていない。

150ユーロのエピフォンのギター…。

 

 

 

僕は誰を責めることもできなかった。

『これは仕方のないことなのだ』と割り切るしかなかった。

店内にはアコースティックギターが山ほど置かれている。

どうする?新しいのを手に入れるべきなのか?

もうこの際、漫画一本に絞って
ギターのことなんて綺麗さっぱり忘れちまってもいいかもなと

思わなくもなかった。

 

 

 

だが、これから始まるのは

アメリカ横断の旅。

物価の高い国でチャンスがあるのであれば、
バスキングでメシ代くらいは稼いでおきたい。

それにいままでだって、
ギターを持って来たことで色んなヤツらと仲良くなれたじゃないか。

 

 

 

僕は揺れていた。

ひとまず店員に予算を伝えて予算内のギターを弾かせてもらった。

中には壊れたギターと同じメーカーの
エピフォンのギターも何本かあったのだが、
そのどれもがメインド・イン・チャイナ

 

 

ネックと本体の接合部分の見かけの悪さに、僕は購買を渋った。

 

 

 

そして手にしたのが

YAMAHA

のギターだった。

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おいおい。YAMAHAってピアノメーカーでしょ?

僕はYAMAHAのギターに対して偏見を持っていた。

だけど、店員はこれは

「かなり(ここを強調)
丈夫でして…」

と僕の背中を押す。

 

 

お値段169カナダ・ドル。

 

 

 

ええい!ままよ!とクレジットカードを抜いた僕だったが、
いざ購入の際に消費税が加わって、
お値段なんと

2万円ポッキリ♪

ぎゃふん!

 

 

もうー、おれー、うん…。

自分でもどうなるか分からないよ。

 

 

帰れるのかなぁ…、

 

 

日本に…。

 

 

 

壊れたギターはお店で処理してもらうことにした。

いままでありがとうな。ぐすん。

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一応、サブウェイのイランのおじさんに
新しくギターを購入したことを伝えた。

おじさんは
「壊れたギターを持って来てくれれば買ったのに」
とまで言ってくれた。自分で直して娘さんに
プレゼントしようと考えていたみたいだ。

僕は大枚を叩いた後の虚無感で
「ゴメンね」としか言うことができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

新しく

手に入れたギターを持って僕は
ヒッチハイクポイントへ向かうことにした。

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向かうはウォータールーという町だ

モロッコで会ったヴィシャルがそこに住んでいるという。

 

 

正直言うとこの時の僕は

トロントから出たくなかった。

おなじみのヒッチウィキで調べてみても、
ここまでの行き方は書いていない。

ハイウェイは続いているのだが、
ウォータールーの町はヒッチハイカーにとって
需要のない町のように思えた。

だから今回は今までの自分の経験を基に、
ヒッチハイクポイントを地図から割り出して、
そこまで行ってみることにしたのだ。

 

 

 

 

僕は地下鉄乗り場まで行き、
駅員にヒッチハイクポイントの最寄り駅までの切符が欲しいと伝えた。

するとどうだろう?

駅員は

「そこまでの行き方なんて
私の知ったことではない!

アイ・ドンッ・ノー!!」

と情けないセリフを吐くではないか。

 

 

“I don’t know”なんて中学生で習う例文だろ?

まさしくそれが本場のアイドンノー!だったのだ。
ここまで力強いアイドンノー!
今までに聞いたことがなかった。

分かったことは、
僕が行きたかったのはトロントの隣町のミシサガの駅
だったということだ。管轄外だってことね。

 

 

 

 

 

僕はIslington(イズリントン)駅でバスに乗り換えて
ミシサガの端にある駅に向かうことにした。

バスの運転手は頭にターバンを巻いた髭をたくわえたふとっちょだった。

乗車賃は3ドル。僕は5ドル札を券売機に入れた。

お釣りは出て来なかった

 

 

「あれ?すいません、お釣りはー?」

「あ?釣りはねえよ」

 

 

 

はぁ…。

あー、そうかい。そうかい。思い出したよ。
カナダのバスは釣りが出て来ない」って。

なんなの?バカなの?じゃあどうすんの?

だって駅にすらなかなか駅員がいないんだぜ?
どこで両替すんだっつーの!売店か!何か買えと??!!

こういう時にねぇ
『日本ってすげーなー』って思うわけですよ。
お釣りくらい渡してくれてもいいじゃんねぇ?

僕はイランのおじさんからもらったファラフェルを思い出して、
あれが戻って来ないお釣りと相殺されたのだと思うことによって
溜飲を下げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バスは

あっちこっち迂回して一時間かけて
ヒッチハイクポイントの近くに着いた。

だが、そこから僕はさらに歩かなければならなかった。

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地味に遠い3km。

着ていたジャケットが暑苦しくって、
とうとうバックパックにぶちこむことになった。
ジャケットはデカ過ぎてバックパックに収まらず、
テントと同じようにはみ出た。

 

 

僕はヒッチハイクポイントまでひたすらに歩いた。

郊外は人が住んではいるのだろうが、
こんな日中に外をフラフラで歩いているような人間は
僕くらいしかいなかった。

背中にじんわりと汗をかき、足が痛み始めた。

 

 

40分かけてヒッチハイクポイントまで辿り着き、
そこが自分の想像していた場所とは違った時は
膝から崩れ落ちそうになった。

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ヒッチハイクポイントの横には
SAMSUNGの大きなビルが建っており、
ハイウェイ前の道路には車の止まるスペースは
ごく限られた場所しかなかった。

せめてもの救いは車の量はそこそこにあったということだ。

 

 

僕は荷物を下ろして「Waterloo」と書かれたボードを掲げて、
反対の腕を伸ばして親指を立てた。

ドライバーが

「こんなところでヒッチハイクしてんの??!!」

みたいな驚きの表情をしているのがこちらからも分かる。
でもやるっきゃねーんだよ!くっそ!

 

 

 

 

 

 

 

「ブルォォォ..」

 

 

え?!ウソ!!!?

 

 

 

止まったのは黒いBMW

中からリッチな女の人が愛嬌たっぷりで僕を呼ぶ。

かかった時間はわずか15分。

 

 

 

アショーナさんはこれからウォータールーの手前の町である
キッチナーにある自分の家まで帰るとことだった。

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清水家と同じように三人の息子さんがいるようで、
彼らもあちこち旅をしているらしい。
だから僕を乗せてくれてみたいだった。

僕も自己紹介や今日のできごとを話すと
アショーナさんは楽しんでくれた。

 

 

「うちの三男もね、絵を描いているの。
壁に絵を描くんだけどね。二年前に警察に捕まっちゃったのよ」

「え?!逮捕ですか?」

「そう。でも執行猶予で刑務所に入ることは免れたんだけどね。
だから今はうちで働いてもらっていのよ♪」

 

 

トロントやモントリオールではあちこちにウォールペイントを見た。
そのどれもが巨大で完成度が高い作品だった。

僕はてっきりあれは建物の持ち主との任意の下に
描かれてものだと思っていたのだが、どうやらそうではないらしい。

 

 

「それより、あなたは今日
ウォータールーに住む友達に会うんだったわよね?
うちの寄ってく?Wi-Fi使わせてあげるわよ?」

「ほんとですか!それではお言葉に甘えて」

そのままアショーナさんのご自宅まで連れていってもらうことした。

 

 

 

 

 

ガレージには前の家の持ち主が描いたらしい
スプレーペイントが描かれていた。

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バットマンが好きらしく、
他にもバットマンでおなじみのキャラクターたちが描かれていた。

 

 

家に上がらせてもらうと、その広さに驚いた。

海外の家ってどうしてこんなに広いんだろうっていう。

大昔のイギリス人が日本人の家を見て
「ウサギ小屋」と言った時とは逆の衝撃が僕に伝わった。

 

 

家にはカワイイパグが二匹と
毛艶の綺麗な黒いラブラドールレトリバーがいた。

犬好きの僕は思わず顔をワシャワシャとしたくなる。

二匹のパグはとても人懐っこいヤツらで、
僕がしゃがむと、まるで体当たりするように僕にじゃれついてきた。

 

 

僕が家にあがると、そこにはアショーナさんのお母さんと
三男坊のナシィがいた。

僕が車に乗せてもらったお礼と自己紹介をすると、
どこからともなくコーラと寿司が出てくる。一体なんだこりゃ?

 

 

遠慮しながら、でも、ご厚意に甘えさせてもらいながら、僕は席についた。

ばあちゃんもなかなかにカワイイ方だった。

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ちょっとボケが始まっているのよとアショーナさんは言うのだが、
僕のことを「ディア♪ディア♪」なんて言ってかわいがってくれる。

ここでたぶん家の手伝いをさせられているであろう三男坊のナシィは
僕がノートに描いたマンガに興味を持ってくれた。

すぐに「タバコ吸うかい?」と一本差し出してくれて、
僕たちはテラスでタバコを吸うことにした。

この一瞬で仲良くなれてしまう彼らの寛容さに僕は驚き、
今こうして自分がここにいることがやっぱり信じられなかった。

あれ?おれ、今朝方ギター壊れて落ち込んでなかったっけ?

 

 

 

僕も10分だけもらって、
アショーナさんたちの似顔絵を描くことにした。

いつもは一枚の紙に大きく顔を描いているのだが、
今回はかなりコンパクトにまとめた。

太いサインペンを使っているので細かい描き込みはできなかったが、
絵で描く家族の集合写真もなかなかいいでしょ?

僕はそれをアショーナさんに渡した。

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アショーナさんは今日は、
旦那さんのお母さんの90歳の誕生日らしく、
これからバースデーパーティーがあるようだったが、
その前に僕をウォータールーまで送ってくれた。

車に乗り込んだ時にアショーナさんから
「いい旅をね♪」と言ってお金が渡された。

 

 

70ドル。

僕の絵が売れた。と考えていいのだろうか?

 

 

「いいのよ。お金のことは気にしないで。
私はトロントで歯科医をやってるし、
夫はプラスチック会社の社長なの。従業員が87人もいるのよ♪」

 

 

とアショーナさんはサラっと言った。
そこには何も嫌みったらしいものは感じられなかった。

ウォータールーに着くとアショーナさんと僕はハグをして別れた。

なんだか今日は現実感のないことばかりが起こる…。

 

 

 

 

 

 

 

 

ブータン人

のヴィシャルと待ち合わせ場所にしていた大学が近い、
キングストリートで見つけたスターバックスで
僕はWi-Fiを頂戴しようとした。

だが、Wi-Fiはネットに接続できないものだった。
外のテーブルの脇にバックパックを置いて一息ついていると、
スターバックスの中からヴィシャルが出て来た。

 

なにこの偶然?

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まさかモロッコでたかだか一時間話しただけの僕らが、
こうしてカナダで再会できるだなんて、
これもまた夢のような話だった。

旅をしていると友達ができる。旅という媒体を使って、
「ふっ」と色々な段階をすっ飛ばして仲良くなれてしまうのだ。

ヴィシャルにギターを持ってもらって、
彼の住んでいるシェアルームへと向かった。

 

 

 

 

ヴィシャルの住んでいる
このウォータールーという町は、大学生の町だった。

町には大学がいくつかあるようで、
ここにスティーヴ・ジョブスだかザッカーバーグだかが
講義をしに来たことがあるのだとヴィシャルは教えてくれた。

大学もかなりグローバルなようで、
日本人に限らず様々な国籍の学生がここで勉強しているらしい。

ヴィシャルがカナダで暮らし始めたのは2008年からだと言う。
カナダ暮し8年のヴィシャルの英語はもはやネイティヴだ。
何言ってるか半分くらいわからない。

 

 

キングストリートからバスに乗り、
5分ほどの距離の場所にヴィシャルのシェアハウスがあった。

ひとつの家になんと5人も暮らしているらしい。

玄関を開けると、ミミという名前の毛艶のいい猫が
僕たちのことを迎えてくれた。

何足もの靴が玄関には散乱している。
男共が暮らす部屋(家)というのはこうなってしまう
運命なのかもしれない。

 

 

リビングに荷物を置かせてもらったあと、
僕は買ったばかりのギターのサウンドをチェックした。

室内で響くアコースティックギターの音は、
たとえ弾き手が下手くそだっとしても
気持いいサウンフドに聞こえるから不思議だ。

大声を出してもいいとのことだったので、
オリジナルの曲を数曲弾かせてもらった。

ヴィシャルはそれをMacBookに録音した。
中には音楽の編集ソフトが入っていた。

※なんかSoundcloudにアップしてた。
コチラ

 

 

 

 

小一時間

ほど休むと、
僕はヴィシャルと一緒に彼の大学に行くことにした。

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彼は今年の六月からカンボジアに旅行にいくそうなのだ。

大学までは歩いて向かったのだが、
ヴィシャルは僕に一日にどれくらいお金がかかるのかだとか、
交通手段はどうだとか、英語は通用するのかなど、
様々な質問を僕にしてきた。

東南アジアを思い出すと、
ツーリストに開かれた場所であれば大抵の宿では英語が通じた。

それに、固有名詞だけでも
なんとかチケットを買えてしまったりするものだ。
バックパッカーには東南アジアは旅しやすいと思う。

 

 

 

僕はヴィシャルに漫画のスキャンを依頼していた。

学生はタダでスキャンがができるというのだ。

大学はどこからどこまでが大学の敷地内かはまるで検討がつかなかったが、
施設の一つに入ると、なんだか学生の気分に戻ったような気がした。

カフェテリア的な場所を通ってスキャンのできる場所まで向かったのだが、
テーブルについている学生のほとんどはパソコン(大抵Macだ)
を持っているように思えた。

それにアジア人顔の学生の割合も多く、
ここがいかに多国籍な場所なのかがよく分かった。

 

 

スキャンナーはかなり良いものだった。

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A4サイズのものだったが、はみ出したり、
絵の一部が切れるなんてことはなかった。もちろん解像度もいい♪

あれだけアフリカでトライしていたのが馬鹿らしくなってしまうほど、
カナダの大学で使うスキャナーは品質の優れたものだった。

スキャンしたデータをヴィシャルはトリミングまでしてくれた。
これであとはデータを転送するだけだ。

 

 

 

 

この日の最後に学食で晩飯を食べることにした。

驚いたのは、大学の中にバーのような学食があるということだった。

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なんとここにはウェイターまでいるのだ。

それにビールだって飲むことができる。日本の学食とは大違いだ。

僕の記憶に残る「大学の学食(食堂)」とは、
どこかカフェテリア的な清潔感のある場所か、
もしくは年季の入ったボロボロの建物にあるかのどちらかで、
大抵の場合はおばちゃんたちが黙々と作業をしているそんな場所だった。

 

 

僕たちはビールを注文し、ヴィシャルのオススメの料理を食べた。

フライドポテトにチーズ、それに何かのソースが絡められた料理で、
高カロリーなことは間違いなかったが、味は抜群に美味しかった。

どうやらこれは大学オリジナルの食事らしい。

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ここで食事をしながら、ヴィシャルは僕に色々と質問をした。

僕はビールの酔いも手伝ってか、かなりアツく語ったような気がするのだが、あいにく、僕は下戸なので、その会話は詳細に覚えていない。

 

 

 

「なぁ、シミは旅で何を得たんだ?
旅の魅力ってなんだと思う?」

 

 

 

ヴィシャルの問いは旅の本質を問うような質問だった。

そして僕は自分に問いかけた。

 

 

「うん。やっぱり

チャンスだと思う。

旅にはチャンスが満ちあふれているよ。
今まで知らなかったことがどんどん入ってくるし、
気づくことも多い。

 

 

何より、

旅には出会いが溢れている。

だって考えてみなよ?
モロッコでたかだか一時間しか話さなかったおれたちが、
またカナダで再会するだなんて想像できた?
旅に出なくちゃ出会うことはなかったし、
まさか「漫画家」に会うなんて思ってもみなかったろ」

 

 

そう自分で言って、僕がこの一年九ヶ月の旅の中で、
いかに沢山のひとたちと出会ってきたのかを思い出した。

その出会いも、ほんの一瞬でFacebookを教え合っただけの人もいれば、
日本に帰った後も関係は続いて行くような出会いもあった。

自分にとって素晴らしい出会いを得た時に僕は

「間違いなく旅に出ていなかったら会わなかっただろうな」

と思うのだ。

そうだ。旅には出会いが溢れている。

 

 

 

 

旅とはー、

 

 

誰かに会うことなのかもしれない。

 

 

 

 

シェアハウスに戻って、
さっき録音した僕の演奏を聴いてケタケタ笑ったり、
明日のバスを調べたり、もちろんシャワーも浴びて、
この日は満足して終った。

 

 

あぁ、カムパネルラ。

時々僕は自分が今こうしていることが信じられなくなるんだ。

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それが当たり前にならないように、立ち止まって、感謝する。

今日もありがとう。またどこかで。

そして、まだ見ぬ君に会いに。

 
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読んでくれたみんなにもありがとう。

だって、ね、これ、本当にただの日記ですから。
文章の上手い下手もないからね。
ただ、忘れないように書き留めているだけだもの。


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