世界一周792日目(8/30)
インスピレーション
はどこから湧いてくるのか分からない。
日本でもアイディアに煮詰まった時があれば、
自然発生することもあった。
(まぁ、それらのほとんどは日の目を見ることはなかったのだけども..)
フルムーンパーティから帰ってきた僕は、
近くの売店で瓶のレモネードを部屋に持ち込み、
メキシコシティで買ったB4の紙に絵を描き始めた。
どういうわけだか打ち込みの「ターツクターツク..」という
あの音を聞きながら踊っている時、
僕の中の「和」が目覚めたような気がした。
そうだ!
和だよ!和!
今も頭の中にそれらの打ち込みの音がこだましている。
近くを走るトゥクトゥクのエンジン音でさえ
曲の続きに聞こえる始末だ。
この「和」という言葉が頭に浮かんだ時、
なぜ日本人が白と黒の漫画を現在に至るまで描き続けているのか?
という答えが掴めたような気した。
その答えは、
もしかしたら僕たちが日本人であるからこそなのかもしれない。
日本には「黒」という色が遺伝子的、
文化的、伝統的に取り込まれているような気がする。
そもそも僕たちの髪の毛の色は黒じゃないか。
生まれた時は黒髪でそして終わりに近づくにつれて髪は白へとなっていく。
つまり黒と白は表裏一体、生と死、
対立の関係にありそうでひとつに混ざったものだ。
「白」
は考え方によってはスタート地点とも考えられる。
まさに白紙の紙そのもの。空白であり、そこから絵はスタートする。
これがどこの世界でもあるクリエイティヴの出発点だ。
パソコンのテキストエディタですら何も書いていない状態は白い。
今僕が述べたいのは日本人と「白/黒」の関係性だ。
人類社会学みたいなたいそうな知識は持ち合わせていなので、
どちらかと言えば少ない知識と感覚から出た見解に過ぎないだろう。
また「黒」と言えば、
日本で言うと「墨」のカラーである。
大昔から日本人は中国や挑戦とやり取りがあり、
紙に黒で文字を書(描)く文化もあった。
これが突き詰めた絵となると
「水墨画」というジャンルになるのだろう。
使う道具はというと、言うまでもなく
「筆」だろう。
ここが重要なポイントだ。
筆こそ筆圧により線の強弱をつけられる道具はない。
漫画を描くにあたり、同じような効用を得られる「Gペン」が
漫画を描く際に使われるのもうなずける。
日本の絵や文字には線の強弱(太い/細い)にメリハリをつける手法が
受け継がれてきたのだ。
漫画のルーツ、白と黒の関係性はここから来るのではいか?
と突拍子もない発想を僕は得たのだ。
そして、今僕がピンと来ているのは
「擦(かす)れ」
だった。
擦れとは筆の毛先に含んだ墨の量が減っている時に起こる現象だ。
適度な「擦れ感」、
これを自由自在に引き出せたら
ものっそい
カッコイイんじゃ
ないだろうか?
黒髪、筆の強弱、毛束感、擦れ…。
漫画とは日本の文化の刀だ。
それを持って世界と勝負している漫画家たちは
言ってみれば
「侍」
なんじゃないだろうか?
発行部数で世界一となったONE PIECEの作者である尾田栄一郎は、
ある意味日本を代表する侍だ。
こじつけのような妄想がいつも以上にヒートアップしている。
自分の新しい引き出しが増えたような気がした。
今はまだそれを具現化させる道具もなければ、技能もない。
この感覚を忘れずにいるためには描くしかないだろう。
どういうわけだかこの時の僕は「ノって」いた。
下描きもせずに自分のイメージした線が引くことができた。
一枚を埋めると、更に一枚。
これと言って明確な描きたいものがあったわけではなく、
終わりが見えなかった。
似顔絵用に使っていたサクラ社のサインペンのインクが減ってきたのか、
擦れるようになったが、またそれもいい味を出していた。
どうせこれも後で見たら今描いている絵が
色あせて見えてしまうのは分かっているが、
今は描くしかないだろう!
あーーー、なんか頭クラクラしてきた..。
ふと手元を見る。
今使っているペンのうち一本は新しくかったばかりのサインペンで、
シンナーが含まれていたのだろう。
紙に顔を近づけて筆(っていうかペン)を動かしている僕は
いくらか頭がクラクラしてきた。
気づいた時には4時間が経っていた。
寝ていなかったのを思い出してベッドに倒れるように横になった。
昼寝と言うには長く、起きた時には日は沈んでいた。
財布をポケットに突っ込み、フラフラと夕食を取りに外に出た。
近所の売店から持って来たレモネードの入った瓶も返しておいた。
まだ小学生くらいの時、絵を描くのに熱中した時が何度もあった。
勉強よりもノートに落書きする方が好きだったかもしれない。
おかげで中学生の時には通っていた塾で
「お前は漫画家になるつもりか?!」と叱られたこともあった。
高校に入った時点では部活が忙しくその熱はいくらか消え失せていた。
大学に入った時には「漫画家」なんて選択肢を選びたいとさえ思わなかった。
そして今、世界を旅しながら僕は絵を描き続けている。
21歳の時に決めて、もう5年か。
僕が日本に戻った後、描き続けて行くのであれば、
そのジャンルは「エッセイ」系の漫画だと思う。
「旅」という題材は人気によってストーリーが
左右される週刊誌向けじゃない。
それをどう売るのかを考えると話はもっと別の方向に行くのだが、
今言えるのは僕の描く漫画は自分がどのように生きたかによって出来上がる。
そう考えている。
前々から思ってきた。
「色んなことがやりたい」と。
雑貨を仕入れる企画もそう。
シンプルに暮らすライフスタイルの模索もそう。
パタゴニアやnudie jeansから始まった
衣類に対する考え方や、食事、移住etc。
これらの種を巻いたのは「ごみゼロナビゲーション」で
勉強する機会を与えてくれた相棒のまおだろう。
だから僕はアイツに対する感謝を忘れない。
これらの素材をひとつの漫画にまとめる必要はない。
旅以外にも描きたい題材は自分のまわりにゴロゴロと転がっている。
それをひとつづつ作品にしていけばいいのだ。
なんか今日の日記はアツいな。
まだまだ無名でヘッポコの僕はやるしかねえし、続けるしかねえ。
保守に向かうとクリアしなくてはいけないことが山積みだ。
だがいくつかのことを諦めて前に進めることもあるはずだ。
ここはグアテマラ、サンペドロ・ラ・ラグーナ。滞在7日目。
得たことはちっぽけなことかもしれない。
だが、確かな「何か」であることは間違いないだろう。
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☆旅する雑貨屋”Drift”
こんにちは。
今日初めてシミさんとこちらのブログを知りました。とてもとても面白いです。
イラストも漫画もとても好みで、もし本屋に並んでいたら買いたいくらいです。
残りの記事を読むのが楽しみです。
素敵な日々をお過ごしください。
>みくさん
どもっす!
どうでもいいことが長々と書いてあるだけのブログですが
「超面白い!!!」
だなんて言っていただけて嬉しい限りです!
僕の旅も佳境でこのまま行けば春前には帰国になりそうです。
またお暇な時に読んでいただけたら幸いです。
っていうか、
漫画を褒めてもらえるのが一番嬉しいっす♪