「国境の町リバス」

世界一周808日目(9/15)

 

 

心地よい宿

だと一日の始まりも気持ちがいい。

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8時に目を覚ますと部屋の外に出た。

宿のママに「ブエノス・ディアス」と朝の挨拶をする。
ママは「コーヒーはいるかしら?」と真っ先に訊いてくれた。
僕は「ム~チャス・グラシアス♪」とお礼を言った。

ここはニカラグア、マナグア。泊まっているのは「Hostel Xolotlan」
オフシーズンのせいもあってドミトリーには僕しかいない。
最高だ!

 

 

 

昨日宿のスタッフのルイスが言っていた
ニカラグアン・ブレークファストも満足のいくものだった。

豆の混ざった米(あれ何て言うんだ?)、目玉焼き、チーズ、
そして焼きたてのトルティーヤ。
しっかりと朝ご飯を摂るとエネルギーが補充されたような気にる♪

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美味し!

 

 

食べ終わると僕はiPhoneを手に取って
スカイスキャナーのアプリを起動した。

航空券の値段は昨日と同じで変化は見られない。
それじゃあこれで決まりだな。

 

 

 

ついに僕は南米から出るチケットを買うことにしたのだ

アルゼンチン、ブエノスアイレスから
ニュージーランドのオークランドまで。
値段は13万円。日付は12月8日。

ということは、南米に滞在できるのが90日もないということになる。

アルゼンチンまでは陸路で向かうが、
ひとつひとつの国に長居することはできない。
自分の行きたい国だけピックアップしてすっ飛ばして進むしかないだろう。
これは仕方ない。

僕が行きたい国はペルーとボリビアだ。
もうこれは旅に出る前から決まっている。
あそこは僕にとっての雑貨の楽園なのだ。
ONE PIECEのサンジが目指す「オールブルー」のように。

 

 

今までは航空券を買うということは僕にとっての一大イベントだった。

基本陸路で移動する僕は大陸渡ること以外に飛行機は使わなかった。
旅が新しいステージに入るような気がして期待と不安が入り交じった
なんとも言えない感情を味わったものだ。それに値段も高かったしね。

旅に見通しをつけたせいか、今回はすんなりと買うことができた。
eチケットがメールボックスに来ると僕の旅は
一気に終わりに近づいたような、そんな気がした。

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「おはよう!シミ!昨日はよく眠れたかい?」

車でやってきたルイスが元気よく挨拶をする。

「ところでシミにお願いがあるんだ。いいかい?」

「ん?どうしたの?」

「うちの宿のレビューを書いて欲しいだよ」

「え?ああ。いいよ」

 

 

『そうか。昨日のおもてなしっぷりはレビューのためだったのか..』
そんな考えが頭に浮かんだ。

もちろんルイスたちも商売でやっているわけだし、
宿泊客に気持ちのいい接客をするのは当たり前じゃないか。

いつも10ドル以上もする宿に泊まる時は
損をした気持ちになっていたが、ここは間違いなく15ドル分、
いやそれ以上の価値がある宿だと思ったことは間違いない。

Googleの宿のレビュー欄に新しく書き込みをすると
ルイスは嬉しそうにしてくれた。

 

 

ルイスは以前はアメリカで携帯電話の販売をしていたらしい。
今はその仕事を辞め、宿の経営を引き継ぐために戻ってきたと言った。

これからは内装に手を加えて行くらしい。
ハンモックを設置する他、

今朝は観賞用のヤシの木を
知り合いから手に入れようと動き回っていたようだ。
確かにここの宿はいささか物足りない気がした。
緑を取り入れるのはいいことだなと思った。

僕はもう少し安ければもう一泊してもいいかな?
と思わなくもなかった。

ここをすぐに出て行ってしまうことをもったいなく感じた僕は
一時間だけブログをアップをした。

 

 

 

「ところでシミ、
そのギターケースだけど僕に貸してくれないか?
あと一時間したら戻って来るから
それまでギターの練習でもしていてくれ!」

そう言うとルイスは僕のオンボロギターケースを持って
車でどこかに出かけて行った。

 

 

チェコで買ったメイド・イン・チャイナのギターケース
確か1500円くらいで買ったと思う。

アメリカを旅している辺りからジッパーが完全に壊れてしてしまい
ケースが閉じなくなった。
仕方がないので僕は洗濯バサミを使ってケースを閉じていた。
雨が降るとすぐにギターが濡れた。

 

 

僕が新しい曲の練習をしていると
ルイスはギターケースを持って帰ってきた。

「これ、ジッパーを付け替えておいたよ!
これで旅が終わるまでケースは使えるな!」

「うぉぉぉおおおお!!!!マジか!
これなら楽勝で日本まで使えるよ!ほんとうにありがとう!」

「レビュー書いてくれたしね♪」

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ナイス・スマイル!

 

あぁ、なんだか損得勘定だとかそういうの抜きに、
こういうことをしてくれるのってさ、本当に嬉しいよ。
『誰かの助けになりたい!』そういう気持ちがルイスから伝わってきた。

 

 

「シミ、もう出発するなら車で
バスの来る場所まで送って行ってあげるよ」

「ざっす!」

 

 

僕は車の荷台にバックパックを放り込むと
ギターとサブバッグを持って車に乗り込んだ。

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さよぉ〜〜〜なら〜〜〜..。

 

 

 

 

 

 

 

 

国境の町

はリバスという名前だ。
ここから二~三時間で行ける距離にある。

バス乗り場は普通の停留場だった。
ルイスの乗る車に大きく手を振って別れた。

 

 

すぐに「リバス!リバァ~~~スッ!」と
集金係が行き先を叫ぶバスがやって来た。荷物ごとそれに乗りこむ。

バスの中はそれほど込んでおらず、
席に荷物を置いても特に何も言われることはなかった。
リバスまでは50コルドバ。200円ちょっとだ。
宿はツーリスト向けで高かったが、ローカルならこんなにも安い。

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リバスまでの道のりは楽しいものだった。

というか最近は大手のバス会社を利用しての移動だったので、
そこまで移動そのものを楽しめていなかった気がする。

開け放たれた窓から風が吹き込んで来る。
道の両脇にはジャングルの一歩手前みたいな自然が広がっている。
僕は新しく作った歌を口ずさみながらバスに揺られていた。

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『ニカラグアは移動が楽しい国だな』

僕はそう思った。

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リバスに到着したのは15時を過ぎたところだった。
外に出ると湿度を含んだ熱気がむわっと僕を包んだ。

僕は自転車タクシーを利用して宿まで向かうことにした。
ここにはなんと4ドルの安宿があるらしいのだ。

宿の名前を告げると自転車タクシーの青年は
「あぁ、あそこね」とすぐに思い出してくれた。

 

 

ニカラグアくらいからだろうか?この自転車タクシーが現れたのは。

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自転車の前にリヤカーを改造したような
車輪のふたつついた台車が着いており、二人くらいが座れる座席がある。

地元の人間も利用するポピュラーなものなのだが、
いざ自分で乗ってみると少し恥ずかしいような気持ちになった。

宿までは20コルドバ(87yen)。
バスが50コルドバだったことを考えると高い気もしない。

 

 

 

「ホテル・ココ」というのが安宿の名前だった

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バスターミナルから自転車タクシーで5分くらいの距離だろうか?
これなら歩いて行けたかもしれない。

ただ、体力を消耗せずに迷うことなくダイレクトに来れたという意味では
利用価値があったと思う。それに楽しかったしね♪

 

 

この宿の存在は日本人の方が書いたブログで知ったのだが、
そういう時に僕は宿の人間に
「友達の紹介で来たんだよ」と言うようにしている。
こう言った方がそのボラれずに泊まれる気がしたからだ。
それに紹介って言った方が宿の人間もいい気持ちがするのではないだろうか?

 

 

 

「それで4ドルだって聞いてきたんですけど?」

「あぁ?寝ぼけたこと言ってんじゃないよ。
8ドルだよ。200コルドバ」

「…」

 

 

まぁ、考えてみれば4ドルなんて破格の値段で泊まれるわけがない。
インドか東南アジアかっつーの。僕は宿代を支払って部屋に案内された。

案内されたのはシングルルームだったが、ベッド一台と扇風機、
それに僅かなスペース。部屋にいる時は基本ベッドの上みたいな感じだ。
かろうじてコンセントはついていた。

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僕は荷物を置くと、近所のガソリンスタンドの脇の売店で
アメリカ・ドルを5ドル分だけ両替しておいた。
明日はここから国境まで移動するバス代がかかる。

 

 

両替を済ませると僕はリバスの町を歩いてみることにした。

夕方だと言ってもまだまだ蒸し暑かった。

中米を南下するに従い、日照時間も徐々に短くなってきたように感じる。
メキシコにいたころは8時で日没だったのに、
ここでは6時過ぎには夕方だ。

 

 

それに店の閉まる時間も早いのだ

周りの小さな商店はシャッターをおろしているところがほとんどだった。

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そこでたまたま見つけたのはハンモックだった

編み目上ではなく、大きな布が一枚。
ブラジリアン・ハンモックという型らしい。

この前ホンジュラスのコパンの宿でハンモックをいいなと思っていた僕は
店の前で立ち止まった。

店じまいをしている最中でみんなまったりしている。

ちょっと手に取ってみると、お店のおばちゃんが喰い気味に
「買うのかい??!!」と尋ねて来る。くっ、僕の心が読めるのか?

 

いや待てよ、ハンモックだろ?
この前雑貨を日本に送ったばかりでまた増やすのか?
それに重くないか?

 

 

「いやぁ~~~…、明日…(買うかも)

曖昧な返事をしてその場を通り過ぎた。

おばちゃんは眉をしかめた。

 

 

 

店を離れるごとにモヤモヤが大きくなっていく。

 

 

いや、あのハンモックそんな重くなかったぜ?ニカラグアのハンモックだなんてなんかよくなくなくない?よくなくない?それに明日になったらコスタリカ行っちゃうんだぜ?買うんなら今なんじゃない?

きびすを返して再び店の前へ☆

 

 

 

ハンモックは店の前に収納されていた。

 

 

「もう店を閉めるんだ。買わないんだろ?」

「いやいや!ちょっと気になってさ!」

 

 

ハンモックはかな~~~~りリーズナブルなお値段だった。
そのせいもあり紐はやや細め。

これって使っているうちに切れちまわないか、
その点が購買を踏み切らせないポイントだった。

僕は何度も「これって人が使っても大丈夫だよね?」と尋ねた。
もちろんジェスチャーで。

あまりにも僕がしつこいもんだから、
おばちゃんが「あんたが乗ってみれば?」と言う。

 

 

だが、ハンモックをかける場所は一カ所しかなかった。

何をし始めるかと思えば、
おばちゃんと旦那さんが二人がかりでもう反対を持つっていう。
これには僕も笑ってしまった。

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た、楽しそうだね。

 

 

もちろんこのハンモックは日本で他の人に届ける(売る)つもりだ。
Driftの商品として。
ただ、手直しは必要だろうな。丈夫な紐で補強すれば使えるだろう。

手持ちのニカラグア・コルドバがなかったので、ドルで払った。
おばちゃん一家も閉店間際にハンモックが売れて嬉しそうだった。
もちろん僕も大満足だった。

 

 

 

 

その後もリバスの町をブラブラと歩いた。

町には夕飯の匂いが漂っていた。
ほとんどは店を閉め、街全体が今日一日の活動を終えようとしていた。

日本の慌ただしい生活とは反対にあるようなマイペースな町。
ギターを持って歩いている僕を見ると地元の人がニコニコして見て来る。

おばちゃんがあまりにもいい笑顔をするもんだから思わず写真を摂った。
写真を撮らせてもらう代わりにギターでLet It Beを披露すると、
ちょっとした出し物みたいになった。

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いいキャラしてんね。

 

 

宿に戻る間での道で中央公園にさしかかった時、
そこに人が多くいることに気がついた。
それもみんな手にスマートフォンを持って画面を見ている。

っということはまさか..。

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iPhoneでWi-Fiを検索するとそこには
鍵のかかっていないフリーのWi-Fiが流れていた

警官が二人ほどいたが、
どう見たってここが治安のいいことは明らかだった。

近くの露店でバナナチップスと煙草を一本買い求め、
ベンチに座って僕もWi-Fiにありついた。

 

 

 

宿に戻ると、他のバックパッカーたちもチェックインしていた。

すぐ横に国際バスであるTIKA BUSのオフィスがある。
彼らはそれを利用するんだろう。
僕はローカルバスで国境を越えるつもりだ。

 

シャワーは水だけしかでなかったがさっぱりして気持ちがよかった。
水しか出ないだなんていつぶりだろうか?

東南アジアでは時々あったような気がするし、
インドの安宿でもそうだったな。
あぁ、12月のコルカタで浴びた水シャワーはなかなかにハードだったけ?

湿度と気温の高いムシムシした場所で浴びる水シャワーは気持ちがいい。

体のベトつきがさっぱりと洗い流される。

 

 

ハーフパンツに上半身裸、長い髪を乳首の上まで垂らした格好で、
部屋のドアを開けっ放しにして扇風機を回してギターを弾いていた。

これだけで話しかけずらい格好をしていることはお分かりいただけよう。
日本人にはあまりヒッピーっぽい人はいないように思える。

 

 

 

ベッドの上で壁にもたれていると体に異変を感じた

腰の数カ所に虫さされができている。
だが、虫の姿はどこにも見当たらない。

 

 

『ベッドバグか…』

 

 

急いでそこにあった荷物を全てどかし、
部屋の外に出ておばちゃんに抗議した。

おばちゃんは「虫なんてどこにもいないけど」と言うが、
違うんだよおばちゃん!コイツらは目には見えないんだ!

ベッドに潜むのはなにも南京虫だけじゃない。
目にはベ見えない極小の虫がいるのだ。
僕はコイツらも総じて「ベッドバグ」と呼んでいる。
後者は南京虫ほどひどい虫さされにはならないが厄介だ。

おばちゃんは渋々部屋を替えてくれた。
そこも同じようにベッドが一台と扇風機が一台。
ただ、こちらの方が扇風機の風力が強かった。

昨日は絵の練習をしていなかったので、
モレスキンのノートに落書きをした。

テーブルを使わないで絵を書いているとすぐに腰が痛くなった。

 

 

 

宿は部屋の中よりも外の方が涼しいという現象が起こっていたので、
僕は部屋の外で日記を書くことにした。

ボタンシャツだけ前のボタンを留めずに羽織った。
なだか海賊っぽいな。

しばらくすると目のすわったニカラグア人の男が声をかけてきた。
手には三本ほど缶ビールを持っている。そのうちの一本を僕にくれた。

僕たちはビールを飲みながら適当にお喋りをしていた。
向こうは完全に酔いが回っているので、ぶつ切れの会話のようだった。

僕はパソコンに入っている日本の画像を彼に見せながら
想い出に浸っていると、彼が唐突に言った。

 

 

 

 

 

「なぁ…セックスしようぜ?」

「…。

ノ~~~~。」

 

 

あ、うん。なんかね。そういう気配はあった。

ビールもけっこうしつこく勧めてきたし、
ちょいちょいボディタッチもあった。

それでもせっかくビールをくだすったので、
彼の気分を損ねないように
「悪ぃ。おれノヴィア(ガールフレンド)いるんだよ」
なんて笑いながら言ってその場をやり過ごした。

缶ビールごちそうさま♪

 

 

 

扇風機をつけっぱなしにして、腹を冷やさないように
ボタンシャツをかけると僕は大の字で横になった。

今度こそベッドバグはいなかった。

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