▷12月15日/ニュージーランド、オークランド
✴︎業務連絡:インスタントやってます。路上で出会った人たちと似顔絵を随時アップ中!アカウントは「indianlion45」です。

都市型キャンプ生活には色々とテクニックがある。
君は一体どうやって僕が体を洗っているのか気になると思うけど、それはね、タオルと石鹸、それにトイレ(えきれば個室で中から鍵が閉められる望ましい)があれば、そこそこに体を清潔に保つことができるんだ。
まずタオルを濡らし、その上で軽く石鹸を泡だ立てる。このとき注意しなきゃいけないのは、石鹸を泡立たせすぎないということだ。
石鹸水を含んだタオルを準備したら、あとはTシャツを脱いで上半身裸になり、ジーンズも下着も足元まで下げれば準備か完了‼︎思う存分体を拭けばいい。時々トイレのドアをガチャガチャする奴がいるけど、そんなん無視だ!早い者勝ちだよ。だけど、あまりに長く良すぎると怪しまれるから、なるべく早く済ませることを心がけよう。
ちなみに足は足首までしか洗わない。別にずっと風呂なしで過ごすわけじゃないだろう?今度プールにシャワー浴びに行ったときにでも洗うよ。
それで体がサッパリしたら次は髪の毛だ。もしシンクに頭が突っ込めるならそのままガシャガシャ頭を洗っちゃってもいいんだけどね。個室トイレの洗面台ってかなりちっちゃいんだよ。子供の頭が入るか入らないかくらい。
そこでどうするかというとだね、ここでもタオルが役に立つのさ。っていうか最近タオルで髪の毛を綺麗にする方法を編み出したんだ。
ほら、介護の必要なおじいちゃんとかって頭を自分で洗うことができないだろう?「泡の出ないでないシャンプー」ってどこかで見たことがあるんだよ。
それとかシャワーのない場所なんかにキャンプに行った時用に髪の毛を拭くシートなんかをどこかで見たたことがあるような気がする。僕はそこから着想を得たんだよ。
髪を洗うときはだね、体を拭いたタオルをそのまま使ってもいいんだけど、一度ゆすいで再び石鹸水を含んだタオルを作ってもいいかもね。
それで、その濡らしたタオルを髪を拭くみたいにして拭くんだよ。髪はいくらか湿った状態になるけど、そんなんすぐに乾いてしまうよ。タオルを使った髪の洗い方はこれでおしまい。
僕はこんなことをやって日々の都市型キャンプ生活を凌いでいる。
それでバスキングまではいつのものように図書館脇のカフェで一時間の時間制限付きの中でWi-Fiを使ってブログを投稿したり、本を読んだりして過ごしているってわけさ。
カフェの店員さんも僕のことなんてすっかり覚えてくれたみたいで、アメリカーノのレギュラーサイズにちゃんとミルクまで出してテーブルまで持ってきてくれる。僕がお金をたっぷり持っていたら彼女にチップを上げたかもね。
それで15時になると僕はいつもの場所に似顔絵を書きに行くことにしたんだ。ぱっと見目立たないような場所にあるんだけど、それでも誰かしら面白いヤツに会うことができるんだから、路上ってほんと不思議だよね。
この日のバスキングの始まりは、オシャレなアンディっていう名前のおじさんから始まった。

このおじさんの面白いところはね、僕が描いた絵のディティールに注文をつけてくるところなんだよ。普通似顔絵に注文をつけてくる人ってのはあまりいないんだ。何より漫画のキャラクターに落とし込んだ似顔絵だからね。
でもアンディはバッグのディテールに注文をつけてきたんだ。「君、私の持ってるバッグはもっとドットが多いぞ!」なんて具合にね。けっこうそのバッグがお気に入りだったのかもしれないね。
次に会ったのは電子ジャーの内側部分に入った炊き込み御飯を食べている変なヤツだった。
名前はよくわからない。僕も人のこと言えないんだけど、彼も見るからにホームレスみたいな格好だったな。

それで僕に20ドルを渡すと「5分でインスピレーションで描いてくれ」って僕に注文をしてきた。いやぁ、これには驚いたね。
僕はグアテマラのフルムーン・パーティでハイになった時を思い出して描き殴った。それでも頭の片隅では配置とか形とか考えてたな。シラフの状態で描く幾何学模様ってなんかあざといけどね。
それで僕が出来上がった絵を渡したんだけど、やっぱり20ドルももらうもは気が引けたから「僕もそうだけど、あなたもお金たくさんあるわけじゃないでしょう?」って言ったんだ。
そしたら彼は自分がアーティストだって言うんだよ。その時何かボードを持ってたんだけど、よくよく見たらそれはアーティスティックな旗がダンボールに貼られ、その上から透明なビニールが貼ってあるものだったんだ。
僕が完成した絵をカバーに入れようとすると、ソイツは「ビニールは好きじゃないんだ」って言って、その旗とダンボールの間に絵を挟むとペタペタと去っていったんだ。見るからにアーティストって感じの面白いヤツだったな。
それにいつも同じ場所で絵を描いていると、食べ物の差し入れるしてくれる人がちょいちょいいるんだ。ほんとうにこういうのって助かるよ。
物価も高い場所に来ると僕は一気に食欲を抑えることができるんだ。朝のコーヒーと夜にスーパーでバナナとリンゴを買えばおしまいかな?
だけど、この差し入れのおかげで僕は食事を抑えることができたと思うよ。いずれにニュージーランドの人の温かさを僕はすごく感じたね。
似顔絵のオーダーが入らない時はいつものように画用紙に漫画を描いていた。
内容はその場で考えるんだけど、この日は唐突にイラストが描きたくなったんだ。目の前を行き交う人々を見ていたらさ、彼らを絵に描きたくなったんだんだよ。
オークランドには実に色んな人種の人たちがいるんだ。
前に中国人や韓国人が多い話はしたと思うんだけど、頭にターバンを巻いた人たちもいるんだよ。時にサリーみたいな伝統衣装を着ている女の人なんてみたらグッときちゃうね。いや、僕はインドが好きなんだよ。自国の伝統を大切にするってなんだか素敵じゃないか?
僕がイラストを描いていると、誰かがいきなり「It’s so good!!! それ私が買うわ!」っていう女の人が現れたんだ。その女性はビジネスウーマンといった格好でスコットランドから来たって言ってた。エイミーって名前だった。まさか絵が完成する前から予約が入るなんてね。こっちの人はすげーレスポンスが良くて嬉しくなるよ。
僕が「完成までしばらく時間がかかりますがいいですか?」って尋ねると「大丈夫!待てるから、その絵を他の誰かに売っちゃわないでね」って言うんだ。その間に別の人から似顔絵のオーダーが入ってその人は全然気にしている様子が見られなかった。結局その絵は20NZドルで売れたんだ。


いやぁ今日も楽しかったな。
アガリは125NZドル(¥10,202)。平日なのにね。
路上に座って絵を描いているだけで色んな人に出会えるんだ。

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