大阪。街歩きとやましの宿。

 
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6時半に大阪、梅田に着いた

 

 

 

座席で他の乗客たちが降りるのを待っていたのだけれども、隣の席のおっちゃんはずっと座ったままだった。

あぁ、そうか。このバスは鳥取まで行くんだっけ。

バスのおっちゃんにすいませんと謝って、僕もバスを降りた。

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さて、、、

ここから宿まで行かなくちゃいけないんだよな。

初日は宿をとっている。ごみゼロナビゲーションの時の先輩であるやましが運営するゲストハウス

 

Hostel Lodging and Kin

 

に泊まるのだ。

 

 

 

梅田駅から大国町駅まで地下鉄でいけるようだが、どうしよう?

早く着きすぎても宿は開いてないに違い無い。

それに大阪の街だってなかなか来る機会なんてないんだし。

 

 

そうだ。

 

 

 

歩こう。

 

 

 

 

 

 

 

最初は駅を1駅ぶんくらいぶらぶら散歩でもできればいいと思ってた。

iPadはオフラインではGPS昨日が極端に弱くなるため、Googleマップで必死に現在地を把握し、宿のある方向に僕は歩き出した。

 

 

 

 

ビルが立ち並ぶ街をバックパックを背負って歩いていると、なんだか旅をしているような気分になった。

そうだ。僕は今旅をしてるんじゃないか。

 

 

大阪の街は住んでいる神奈川とも、東京の街とも違う雰囲気を持っていた。

どこかの商店街を通り過ぎた時、スーツを着た背の高いお兄さんたちが、何やら強い口調でしゃべっていた。見るからに先輩ホストが後輩ホストを叱りつけている、そんなかんじだったな。

 

 

 

 

歩き出してから30分ほどでぼくはだいぶ汗をかいていた。

ベトベトするのが気持ち悪い。旅中でこんな気分を味わうことってあっただろうか?

やっぱりこの湿気を含んだ気候はアジア特有のものなのだろうか?インドはもっとからっとしていたような気もする。

 

荷物は減らしてきたつもりだけど、今回は画材だって持っている。そうだよ。似顔絵用の額とか地味にかさばるし、重いんだよな。

ローソンやセブンイレブンを見つけると、フリーWi-Fiにありつこうとするのだけれど、なぜだか大阪のWi-Fiはつながりにくかった。

僕はなんどもマップを確認して先に進んで行った。

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一人で黙々と歩き続けるうちに僕はようやく、かの有名な道頓堀川を通過し、難波駅までたどり着いた。

方向音痴のさがでついつい横道に逸れてしまった。迷いこむように商店街に入っていき、そこで朝から営業しているそば屋を見つけた。

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中ではおっちゃんたちがそれぞれにそばだかうどんを一心にすすっていた。店員さんには愛嬌がなくぶすっとしていた。なんか朝の男のメシ屋って感じだ。

僕は中に入ってバックパックを下ろすと梅わかめそばを注文した。

大阪はご飯の値段が安い。そば一杯290円。ここは違う国みたいな気さえする。

そばを食べ終わると、僕は自分が道を間違っていることに気づき、商店街を引き返した。

 

 

 

途中、マルハンの前でパチンコの台を確保するために早朝から並んで待つ人たちの姿が目についた。

開店直前の店の前では店員が大きな声を出して客たちを誘導している。これも僕のふだんの生活ではめったに目にしない光景だ。

彼らはパチンコに何を見出しているんだろう?楽しさ?それとも金を稼ぐこと?ギャンブル性?僕にはイマイチわからないな。だってあれ、統計的に誰が勝つか決まっているんでしょ?別に技能的なことはないんだし、台のストーリー性も希薄じゃないか。まぁ、楽しさはひとそれぞれだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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宿に着く頃には1時間半以上が経過していた。

 

 

数駅分を徒歩で歩くだなんて愚かなことをしているのは十分承知だ。たかだか200円ちょっとを浮かすために歩いていたんじゃない。僕は大阪の街を歩きたかったのだ。

 

 

宿は一見すると宿のようには見えなかった。むしろ小洒落たカフェのように見えた。

ガラス越しに中を観察すると、そこにはオーナーのやましが見えた。

 

果たして彼は僕のことを覚えているだろうか?

お互い名前は知っていても、実際にごみゼロナビゲーションでスタッフとして活動していた期間はほとんどかぶっていないのだ。

ただ、Facebookがあるおかげで僕は彼がこの宿をひらくまでの経緯をしているし、彼も僕が世界一周をしていたことは知っているはずだ。

この微妙なかんじは現代特有なのかなぁと思ってみたり。

 

 

 

おそるおそる中へ入る。

中はDIY感を出した木の素材を活かした内装になっていた。

どうやらここはカフェやバーとしても営業しているらしく、人が寝る場所はまた別にの部屋になるのだ。このラウンジはそんな宿泊客の共有スペースになっている。

店内に入ると木のいい匂いがすぐにした。空調もきいているため、ここがオアシスのように思えた。

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特に「ひさしぶり」だとか「よく帰ってきたな」だとかそんな感動的なやりとりをするでもなく、行きつけの喫茶店のお気に入りの席に着くように僕はカウンターの一席に座った。

 

 

「コーヒー飲む?一杯くらいならサービスするけど?」

とやましが尋ねてくれた。

やましは丁寧にコーヒーを淹れてくれた。

 

なんだか淡々としたやりとりだった。

 

 

 

 

「なんか、すごくいい雰囲気だね」

「プロの仕事ですよ。こっちは生活感ださないように必死だから」

 

 

 

 

やましはここに暮らしながら一人で宿を切り盛りしている。

宿はできてまだ半年。検索サイトの評価は星4つ以上。いい感じなんじゃないかなと思う。

 

他にも宿泊客はいるようだが、店(というか宿)は静かだ。

ハンバートハンバートの曲が吊るされたスピーカーから心地よく流れる。

この場所で、ライブなんてあったらいいんじゃないかなと思う。

やましのひそかな野望はハンバートハンバートやエゴラッピンをここに呼ぶことらしい。

 

 

しばらくカウンターに座りながら談笑し、少し落書きをした後、ドミトリーに荷物を置き、シャワーを浴びて外に出た。

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