たいちの話。

 
[ad#ad-1] ブログが書けなくなってしまったのには

わけがある。

 

 

いや、僕だって、本当はフジロックの話をしこたま書きたいのだけれど、

どうにもそういうわけにはいかないのだ。

というか、僕はやっぱり頭がいい人間でもなければ、効率的に動ける人間でもないし、ひとつのことにはまってしまうと他のことができなくなってしまう人間なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

フジロックに行く直前にたいちからlineに連絡があった。

突然のことなので、僕はそれが彼の名を語った偽物のアカウントかなにかだと勘ぐってしまったくらいだ。

たいちからの連絡はそれくらい突然のことだったし、

世界一周から帰ってきてからというもの、たいちたちとはここ数年まったく連絡をとっていなかった。

 

 

 

 

 

 

僕たちは小学校のよくある「仲良しグループ」だった。確か小学4年生くらいから、そのグループはできたような気がする。

それは僕を含めるたいち、ささ、なっちょ、はるき、あつしから成る6人のグループだった。特定の誰かが仲がいいというわけではなく、みんな同じような付き合い方をしていた。

 

どうしてこういう構成になったのか、そのきっかけはまったく覚えていない。

ごく自然にこのグループが形成されたのだ。

みんなそれなりに趣味が合うという共通点は持っていたものの、そこまで共通点が強くシンクロすることはなかった。

遊びの内容と言えば、各々の家に集まってスーファミだとかプレステだとかNintendo64だとかを何時間もプレイしたこともあれば、外で駆け回ることだってあった。少人数の野球をやったりだとかだ。

いやぁ、なんせ人数が足りなくて五人とかで野球やってたもんな。ベース(代わりの電灯の柱)に人がいないから、走者をアウトにするためには投げたボールがソイツの前を横切ればおっけーなんていう特殊なルールもあったくらいだ。あのルール作ったやつ、マジでクリエイティヴだと思う。

 

6人が全員揃って遊ぶようなことはなかったけれど、
3〜4人の組み合わせで遊ぶことはしょっちゅうだった。

 

 

 

 

 

 

たいちはそんな中で頭のいいヤツだった。

いや、実際に頭のいいヤツだったんだよ。ずっと学童保育で勉強してたし、中学もけっこういいところ行ったしね。どこだったかは覚えていないんだけどさ。

それにたいちは野球も得意だった。

 

 

そんな彼は近所の住宅地の12階だか14階だかに住んでいた。

どれくらい近所かって言うと、家から5分以内に小学校に行けるくらいの近さだった。うまいことエレベーターが捕まれば、3分で行けたかもしれない。

そんなたいちの家に僕たちはちょくちょく集まったものだ。

たいちと遊んだ中でも僕が今でも覚えている思い出にこんなものがある。

 

 

 

 

その時、僕はひとの家のものを勝手に触るどうしようもない癖があった

それはたいちの家でも同じだった。

ちょうどその日は「モンスターファーム」というゲームで遊んでいたのだが、このゲームは友達と一緒になって楽しく遊ぶようなものではない。どちらかと言えば個人で楽しむようなゲームで、CDのデータからモンスターを生成できるという内容のものだった。各々が持って要るCDからモンスターを作り、育て、そして友達とバトルさせるようなゲームだ。やり込み要素が強く、協力プレイなんて要素は一切含まれていない。

 

たいちがモンファー(「モンスターファーム」の略)をプレイしている間、僕が何をしていたかというと、ただ、そのプレイ画面をじっと見ているだけだった。

今でこそ、他人のゲームの実況プレイ動画なんてものがあるけれど、当時の僕(それも小学生の)にとっては、他人がプレイしている状況をただ見ているだけだなんて拷問でしかない。時々、僕に操作させてくれることがあっても、自分のゲームではないので勝手がわからない。楽しいことと言えば、モンスターがCDから生成される時くらいだ。

 

 

この時、僕は自分の家から何枚かCDを持ってきていた。

手持ち無沙汰になった僕があれこれたいちの家の備品をいじっていると、急にたいちが怒り始めた。

「おい!陽介!いい加減にしろよ!
ひとんちの物を勝手に触るなよ!」

たいちは当時の年齢からしてみれば精神年齢が高めのヤツだったのだ。適度にマセた優等生でもあった。

 

 

 

そこで僕は冗談半分にある賭けを持ちかけた。

というのも、

「これから生成するモンスターがさくらじいや(10%の割合くらいでしか出現しないレアなモンスター)が次の生成で生まれたら、多めに見てくれ。さもなければ、家の物をあれこれ触るのはやめにする」

というわけのわからない内容。たいちの方が勝つ確率は高い。

さくらじいや

 

 

そんな馬鹿げた賭けにのせられたたいちだが(きっと勝算があったのだろう)

なんと生成されたのは、賭けの対象になったさくらじいやだったってわけ。

あの時のたいちの唖然としたツラが忘れられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな”たいち”からLINEがきたのだ。

どんなたいちだよ笑。

 

 

 

 

 

書かれていた内容は、いやに他人行儀のものだった。

 

 

 

「似顔絵依頼について。

お久しぶりです。

◯◯です。覚えていますか?」

 

 

 

 

というもの。

送られてきた文章を読む限り、彼は今年結婚するらしい。

 

最初、僕はそれを読んで、何か冗談のつもりでこんな他人行儀の文章を送ってきたのだと思った。

だが、彼の性格を考えて見ても、この年齢で身を固める彼の決断を考慮に入れても、音信不通だった友達に接するのにはある意味彼らしい連絡の取り方だなと、僕は思った。

 

だが、これがギャグということもありうる。僕は思いつくだけの裏を考えるのだ。

僕もかなり真面目な対応でイラストの見積もりを彼に送った。

 

文面の最後に

「今のは冗談だよ。お前のことを忘れるわけないじゃないか」

と付け加えて。

 

 

 

 

 

なんだか不思議なもので、SNSさえあれば、

そして僕たちが連絡を取り合おうとさえすれば、

今までそこに生じてきたであろう壁を一気に乗り越えることが可能だ。

LINE場でのやり取りに、時間さえも飛び越えた

そんな気がした。

 

 

 

フジロックに出発する前に下書きをして、

苗場から帰ってきたあとはペン入れと着色にかかりっきりだった。

一番最初にも書いたけれど、

僕はひとつのことをやりだすと、他のことができなくなってしまう性だ。

優先順位的にはブログは高いわけじゃない。

実を言うと、締め切りを逆算してその間二回ほど飲みにいったけど..。いや、さらに言うなら昨日も飲んでた。ごめん..。

 

 

 

 

それでもブログは更新しないと雑草が生えっぱなしになってしまう。

完成した似顔絵は納期がせまっていたので、今日、地元の郵便局から郵送した。

台風がこっちに近づいてきている。

絵が無事に届けばいいのだけれど。
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