「列車の中、日付が変わる」

世界一周207日目(1/21)

 

インドに来て
初めての雨。

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人々は傘もささずに
小雨の中を早足で歩いている。

建物の5階にある
Delihgt guest houseから見えるムンバイの街並み。
雨のせいでもやがかかっている。

ここのチェックアウトの時間は12時。
だいぶ余裕はあるけど、昨日カフェで
たまたまゲットできた臨時のチケットを
プリントアウトしに行かなきゃな。

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次の目的地ジョードプルまで18時間の移動。
530ルピー(891yen)。

通常のスリーパークラスとは違い
120ルピー(202yen)加算された金額だったけど、

立ち乗り、席の奪い合いの
ジェネラルチケットよりマシだ。
ラッキー♪ラッキー♪

 

 

 

朝のムンバイは雨のせいもあって涼しかった。

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宿の近くのゲストハウスで10ルピー(17yen)の
ポテトサンドやチャイで朝食を済ませる。

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9時前のでは、プリントアウトしてくれそうなお店は
どこもシャッターを閉めたままだった。

二日前に足を運んだ旅行代理店が
たまたま開いていたのでプリントアウトできるかと尋ねた。

若いスタッフは「ハウマッチ」
という質問にもろくに答えずに、
「お店にはプリンタがないんだ」と
eチケットのデータが入ったUSBを持って
どこかへ行ってしまった。

しばらくしてプリントアウトしたeチケットを
手に戻ってきた彼が言った一言は

「ワン・
トゥウェンティ
(120/202yen)

 

 

あははは!ばぁか言っちゃいけないよぉ~!
あからさまなボりすぎで
逆に笑えるわ!
何、ギャグなのそれ?随分とハイセンスだ。

 

いいかい。

僕はいろんなところで自分で取ったeチケットを
プリントアウトしてきたんだ。
東はコルカタから南はコチなんかでね。

そのどれもが10ルピー(6yen)で
プリントアウトできたのに、
12倍の金額でふっかけてくるなんて
なめてるとしか思えないな!
ふははは!片腹痛いわ!

 

 

「うん。
ふつうは10ルピーだよな?」

 

僕は財布から
とびっきりボロボロ
10ルピー札を机に置いて
スタスタと旅行代理店を後にした。

朝晩の若いスタッフは情けない顔をして
何も言い返して来なかった。

 

 

 

 

 

ただ今日は、
けっこう離れたバンドラ・ターミナル駅という
ジョードプル行きの列車の出発する駅まで
行かなくちゃならない。

宿のスタッフにバスで
安く行けないものかと尋ねたが、
時間がかかるし乗り継ぎを
しなくちゃいけないとのことだったので

バスで近くのCTMS駅まで行って、
そこからローカル線に乗ってバンドラ駅まで行き、
隣接するバンドラ・ターミナル駅まで
歩くという移動内容だ。

ローカル線なんて初めて乗るよ。うまく乗れかるな?

 

時間にビビリの僕は
とりあえず10時にチェックアウトした。

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ちなみにジョードプル行きの
列車の時刻は14:35。

いかに僕が時間に
ビビリなのかお分かりだろう。

 

 

 

CSTM駅は大きな駅だから
大体のバスはそこへ行くだろう。

バス停で待つ人に「CSTM?」と尋ねて
バス停を教えてもらう。

隣りで待つ人にも「これ、CSTM行くよね?」と
二重チェックして自分の乗るバスを教えてもらった。

 

お金を集めに来た集金係に
「はい」っと10ルピー札を差し出すと
少し頭の禿げた集金係は
「20ルピー(12yen)だと言う。

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「ええぇ~!なんでよ?
昨日も乗ったけど
10ルピーだったよ?!」

「お前のバックパックも含めて2人分だ」

「いやいや!
だって席まだ空いてんじゃん?
満員になったら払うよ」

 

日本語で書くとゲロ安だが、
バックパックが一人分?
まだ座れる席のあるこの状況でか?

そう思うと払いたくない。

 

いやいや、そんなドケチのきり丸を
(「忍たま乱太郎」って知ってる?)
見る様な目で僕を見ないでくださいよ。

 

余談だけど、
『「きり丸」の名前ってカタカナだったけぇ?』って調べたら、
きり丸って…すげえ逞しいヤツなんだな。

「戦で家を焼かれて天涯孤独」って…、
「入学金もバイトで支払った」って…。

ごめん、きり丸、バカにして。
おれが「忍たま」で一番好きだったのも
きり丸だったからなぁ…。

 

 

 

だって10ルピーって
お札よ?お札。

6~7ルピーのチャイを
飲むのに使うのも10ルピー札だし、
バスキングでギターケースに入るのも
だいたいがこの10ルピー札。

使用頻度高め。
たぶん一番インドで受け渡しされるお金じゃないかな?

そんな10ルピー札を
一枚でも渡してたまるかぁああああ!!!

 

そこは外国人の
「ワタシ、ニホンジンヨー!
ワカラナイヨー!」の精神で

払わずに乗り切りました(笑)

旅人には演技力も求められるのです。

 

 

 

 

そして到着したCSTM駅で
10ルピー(これも安いよな)で
バンダル駅までの切符を購入し、

発着予定の列車が表示される
電子版のヒンドゥー語が読めないので、

周りの人や売店のあんちゃんに尋ね、
どのホームにバンダル駅行きの
ローカル列車がくるのかを調べた。

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乗り込んだ
ローカル列車で少しして異変に気づく。

 

 

『あれ…?
男がいない…?』

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もちろん
僕にそんな趣味はない。

でも、普段インドを歩いていたら
嫌でもぶちあたる男どもが
僕の乗った車両に誰一人として
乗り込んでこなかったのだ。

 

 

これはー…もしやー…

 

 

女性専用車両!!!???

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やべーよ!
ウハウハハーレムじゃんかよー!

 

じゃないぞ!

気まずい!なんかおばちゃんとか

『なんでここに
ふぁ◯きんジャパーニーが
乗ってるんだ?』

って白い目で見てくるよー!

 

うっ…移るか他の車両に?
でも、停車時間の短い中、
バックパック背負って移動するのは骨だ。

しかたない。

気づかないフリしよう!
か、髪も長いし、もしかしたら
女のコに見られてるかも!!??

そんなことないな。はは…。

 

一眼を片手に開閉扉のない車両から
外の風景を見て
「私は人畜無害な日本人です!」的な雰囲気を
毛穴という毛穴から全放出した。

だからおばちゃん!こっち見んなって!

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45分の
ローカル列車での移動。

外には様々なスラムが見えた。

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線路の脇にテントのようなボロボロの家が
いくつも建っていたり、
塗装もはがれたオンボロビルが何棟も建っていた。

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そこで人々は生活しているのだ。

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男たちは道端で寝ている犬と同じ様に
ヒマそうに一日を過ごし、

サリーを着た女性はけだるそうに歩き、

子供たちは列車なんて気にせずに凧を飛ばしたり、
クリケットをしたりして遊んでいる。

 

ムンバイにこんな一面もあったなんて。

たった2日の滞在だったけど、
3日目の移動日でムンバイのひとつの顔を
また目にすることになった。

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トラブルもなく
バンダル駅に到着し、
隣りのバンダル・ターミナル駅に徒歩で向かう。

駅同士を繋げるスカイウォークを歩くと、

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ここでもスラムを見ることとなった。

 

なぜか大型のスピーカーがあり、
爆音でヒンドゥー・ミュージックを
かけていたかと思えば、

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何を育てているのだろう?畑もあった。

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メイン通りに立ち並ぶ存在感のある建物からは
人々の生活を感じた。

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ジョードプル行きの列車がくるまで
電光掲示板のすぐ近くのベンチで
読書をして時間をつぶした。

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にしてもー…
掲示板に僕の乗る列車の名前が
出て来ないな。遅れているのか?

 

 

30分前になっても列車の名前は表示されない。

これまで何度もインドの列車を利用してきたが、
ほとんど時刻通りにやって来ていた。

 

不安になり、駅員に訊きに行くと、
弁当をほおばりながら女性駅員はさらっと
「時刻通りにくるわよ」と言った。

 

 

あっぶね~~~~…!!!
危うく乗り過ごすところだった!

 

 

発着するプラットフォームを訊き
早歩きでサブウェイ(地下道)を抜けると、
15分前にはちゃんと列車はホームに待機していた。

車両の外に貼られた名簿に
自分の名前を確認して席に着いた。

ふう。あとは18時間ここにいればいい。
何事もなくてよかった。

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10分くらいして
ライダーベルトのようにマグネットで
装飾がクルクルまわるベルトをした胡散臭い男
がやって来て僕に言った。

「そこはおれの席だから。
チケット見せて」

 

 

やれやれ。

 

 

「はぁ!!?なんでさ?
外の名簿には自分の名前が
ちゃんと書いてあったから!

それよりあんたチケット持ってるの?
まずはそれを見せるのが
筋ってもんじゃないの!

こっちから先にチケット見せるなんて
フェアじゃないね!」

 

マグネット(ソイツ)は
なぜかチケットを見せようとしない。

おかまいなしに僕の目の前に座り、
列車のわけのわからないシステムを説明し始める。

 

「いやいや!
そんなこと言われても分からないから!
てかチケット見せてよ!
それか車掌を呼んでくればいいじゃないか!」

 

まぁ、すぐに喧嘩腰になるのはよくないけど
ちゃんと自分の名前確認したからね。

「ああそうなんですか。
じゃあ僕の席はどこなんでしょう?」ってなるのは
マグネットが自分のチケットを見せてからだ!

コイツは僕から
席を奪おうとしているに違いない!!!

 

 

 

「あ~、君ね、B2の18番。AC車両。
席がグレードアップしたんだよ。
もちろんお金はいらないよ。
ほら、さっさと移動して」

 

 

 

はっ???

 

 

 

「だろう?だから言ったじゃないか。
ここは僕の席だって。
荷物の移動手伝おうか?」

ニヤニヤしながらマグネットが言う。

 

「いい!」

 

せっかく置いたバックパックを座席の下から起こし、
背負ったままだと狭い通路を通れないので、
足で蹴り上げる様にして
3両先のB2の車両までバックパックを運んだ。

 

 

 

初めてのAC車両。

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綺麗で席を仕切るカーテンまでついていて、
温度も低めに(いや、寒いから!)設定されている。

だが、いつも乗ってきたスリーパークラスの
自由気ままな感じは感じられない。
窓にはガラスがはめられている。

 

グレードアップして割り当てられた
自分の席には7人家族がいた。

1~2歳くらいの赤ちゃんが
「パパー!パパー!」と大きな声でわめていている。

 

きっとこの人たちは
AC車両のチケットを買えるお金を
持った人たちなんだろうな。

 

バックパックは三段の寝台席の
一番下に収まらなかったので、
サイド席の荷物を移動してもらい、
そこにバックパックを置いた。
盗難の心配はなさそうだ。

 

だが、車両は薄暗く読書もできない。

新しい僕の席は三段ある寝台の真ん中の席。

ここって寝台にすると
一番下の座席に座れなくなっちゃうから、
みんなが寝るまで待たなくちゃいけないんだよね。

 

僕は音楽を訊きながら
行儀よく座っていることしかできなかった。

何がグレードアップだよ。
ちっとも嬉しくない。

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あぁ…
あとちょっとで24歳が終わる。

ようやく座席は寝台の形になり、
冷房が効き過ぎて寒すぎる車内で
僕は毛布をかけCARAVANを聴きいていた。

 

1月22日に僕は25歳になるのだ。

 

旅に出てそろそろ7ヶ月か。

そう考えると僕は
24歳という年の半分を旅してきたんだな。

 

日付が変わる30分前に寝台から降り、
連結部でぼんやりと外を眺めていた。

名前も知らない街の灯りが
びゅんびゅん後ろへと通り過ぎていく。

ガラスに反射するトイレに向かう人たちは
そんな僕の姿を見て訝しそうな表情をしていた。

通りがかった車掌は何をしているんだ?
チケットは持っているのか?と尋ねる。

 

「あと15分もすれば、
僕は誕生日を迎えるんです」

「そうか!おめでとう!」

 

そう言うと車掌さんは
ニコニコして握手して去っていった。

 

 

 

0時00分8秒前に
CARAVANの「Feed Back」が終了した。

電車の揺れる落としか聞こえなくなった。

窓ガラスに移った自分の顔。

25歳。

 

僕は今、世界を旅している。

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そしてジョードプルへ。

日本にいる時からずっと行きたいと思っていた街。

沢山のブログから世界を旅するワクワクする気持ちをもらった。
僕も、誰かに同じ様な思いをさせることができたら嬉しいな。

毎日が新鮮。毎日が出会いと別れの繰り返し。
毎日がワクワクとドキドキ。
毎日が冒険。毎日が旅。

 

時に感受性が鈍くなってしまう時もあるけど、
できるだけメモリを上げて、
一瞬一瞬を心のファインダーに収めていきたい。

この先に何が待っているのだろう?

 

外から冷たい風が吹き、ざわざわと木々の葉を揺らす。
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