「時には孤独を感じ、そして出会いに感謝する」

世界一周日272目目(3/27)

 

今日中にはケリをつける!
僕は昨日と同じカフェへと向かった。

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ブラックコーヒー注文して席に着くと
「Sudden Fiction/超短編集」
のページを繰り、二本短編を読んだ。

テーブルにカッターボードを敷き、
ペンやインクをセットする。

僕の漫画製作現場監督である、
デッドベアのレックスくんを
テーブルの上に置くことを忘れない。

そこからの僕はひたすら
ベタ塗りの作業に集中した。

黒く塗る部分を0.25ミリの
パイロットHI-TEC-Cで塗り、
大きな箇所はプロッキーでざっくりと塗る。

 

 

ベタを塗っている時の僕は孤独だった。

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頭の中では昨日恋文を翻訳してあげた
ソニョンの「その後」が気になってしかたがない。

彼女はラブレターを無事に
渡すことができただろうか?

一体あのラブレターは
どんなストーリーを生んだのだろう?

 

自分が物語を作る人間だからだろうか?

とりとめのない妄想が
頭の中で途切れることなく渦巻いていた。

 

作業を中断されたら、
どうせまたイライラするくせに、
誰かに話しかけて欲しかった。

もしかしたらここで漫画を描いていれば
ソニョンが結果を報告しに
このカフェにやってくるかもしれない。

矛盾した感情が
心どこかを「きゅっ」と締め付ける。

 

 

もちろんカフェにソニョンが
顔を出すことはなかった。

安いタバコの吸い過ぎで
肺が少しぜいぜいしたが、
2ページベタの縁取りを終えるごとに
僕はタバコを吸った。

 

 

3時間かけて縁取りを終え、
筆ペンを使ってベタを塗り始める。

徐々にお客さんが入ってくる。
そのほとんどは英語を喋り、
僕の後ろの席で楽しそうにお喋りしていた。

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流暢な英語はまだまだ聞き取れないけど、
後ろに座ったカップルはメキシコから来たらしい。

隣りのテーブルに座った
別のカップルとお喋りが始まった。

どこに行ったの?
どこそこはよかったよ?
とかそんな話だ。

 

 

改めて気づいたことは、
英語が喋れるということの
アドバンテージは大きいということ。

そしてカフェは「出会い」を
提供してくれる場所だということ。

昨日、僕とソニョンが出会ったように。

見ず知らずの人間同士が
なんのためらいもなく気軽に喋りかけていく。

そしてお互いの旅を共有し合うと
「それじゃあまたどこかで」
と言うように去っていく。

 

 

後ろに座った
メキシコ人のお兄さんが(たぶん僕より歳下だろう)
僕の漫画を見て「Beautiful!!」と言ってくれた。

「これが君の仕事なの?」

「いや、
まだアマチュアだよ。ノーマネー。
でもプロになるのが僕の夢なんだ」

「それはイージー・ドリームだね。
きっとかなうよ。
君に必要なのは出版社なんじゃない?」

 

そういう励ましの言葉が僕には嬉しかった。

 

 

 

 

16:00に僕はようやく
6ページの短編を完成させた。

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疲れた…。

 

旅に出てから描いた短編で一番ページ数が多い。

何軒もカフェを追い出されたり、
ヒマなインド人に邪魔されたり、
描かない期間が空いてしまったため
調子を取り戻すのに時間がかかったけど
いい作品に仕上がったと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宿に戻って

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展示会です。

 


シャワーを浴びた後、
一緒にガンジス川に入ったユウイチ兄さんと
三階の吹き抜けで話をした。

京都に暮らすユウイチさんは
とてもアクティヴな方で、
愛して止まないバイクから始まり、
キャンプからサーフィン、
フライフィッシングまでやっている。

そしてライフスタイルや
「物」に対するユウイチさんのスタンスが、
僕や相棒が考えているそれと
まるっきし同じだった。

そして僕はユウイチさんの話を
聞かせてもらうことによって、
自分の購買行動を見直して
いかなければならない事実を
素直に受け入れることができた。

 

 

ユウイチさんの実家にある、
50年以上使われているという
檜素材のお風呂のふた。

ずっと使われ続ける醤油入れ。

防水性はとっくになくなってしまうというのに、
ずっと使い続けている
コロンビアのナイロンンパーカー。

4万円以上するレッド・ウィングのブーツや
古着で買った自分の体にジャストフィットの
ライダー・ジャケットは
一生使い続けるだろうとユウイチさんは言っていた。

そしていつか自分の子供に
それを託すことが夢なのだと。

 

 

僕は相棒からお勧めされた
パタゴニアのショート・ムービーを見て、
一つの物を大事に使い続けていく生き方が
カッコいいと思えた。

だけど、ユウイチさんは自分で
「物に対する哲学」
を打ち立ててきたのだ。

もちろんそこまで到達するのには
無駄な買い物をいくつも
乗り越えてきたからだと言う。

 

 

「『これだ!』っていう物が
あればいいんだよ。
最終的にはソイツの好きか嫌いかに
なってしまうかもしれないけど、
おれはそんなに沢山の物は
必要ないと思うんだ」

 

銀河鉄道スリーナインの作者、
松本零士の短編集を引用して
ユウイチさんは僕に熱く語ってくれた。

 

 

 

僕はこの人に会うべくして会ったのかもしれない。

僕はユウイチさんの連絡先を訊こうかと思ったが、
パソコンやスマートフォンに
時間が取られることを嫌うユウイチさんは
Facebookのアカウントなど持っていなかった。

だけど、きっと縁があれば
どこかで会える気がした。

 

 

 

下の共有スペースからから
ギターの音と、綺麗な歌声が聴こえた。

宿に泊まっていたタツヤさんとトモミさんが
明日の朝ここを出て行くそうだ。

そのお別れ会と言うわけでもないが、
宿泊客のみなさんんと
宿のスタッフのユキさんも交えて
みんなで遅くまで喋っていた。

トモミさんのウクレレに合わせた
リラックスできる歌声と
タツヤさんの思わず聴き入ってしまう渋い歌声に
僕の顔はずっとニヤけっぱなしだった。

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「これはー、
僕が15年前初めて
タイに行った時に作った歌で
「バックパッカー・ブルース」
っていう曲です」

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詩のひとつひとつが体に染み渡っていく。
僕の旅はまだ続くんだ。

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旅先では色々な出会いがあります。
ほんとうにその一瞬という出会いもあれば、
旅先で何度か再会する出会いもあるでしょう。
日本に帰ってからも続く関係性もあるかもしれません。

そのひとつひとつがごくありふれたもののように思えて、
奇跡に近い宝石のようなものなんだということを改めて感じます。

僕は4年ぶりにインドに戻ってきました。
初めての海外旅行だったインド。
きっかけをくれたインド。

そしてこの国が僕に与えてくれる「出会い」の数々が
僕の世界を以前よりも少しだけ広げてくれるのです。

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