「インジェラがインジェラに成る」

世界一周587日目(2/5)

 

 

エチオピア

のクソ早い始発の長距離バスに乗らなくてもいいことが、
これほどまでに気分を軽くしてくれるものなのか。

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もちろん今僕が泊まっている宿が比較的新しく、
トイレもシャワーも掃除が行き届いており、
ベッドには虫がいないということも、
気分を明るくしてくれる要因であることは間違いないだろう。

 

 

 

ジンカの滞在二日目。
僕は気持よく一日を始められることができた。

 

 

 

マサは約束の30分前に僕の部屋にやって来た。

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僕は近くで既に朝食を済ませており、
部屋のテーブルでノートに漫画を描いていた。

時刻は10時半。

今日はマサの案内で
ジンカから45km離れた村で行われるマーケット
に行くことになっていた。

 

 

 

 

「それじゃあ、150ブルでいいんだよね?」

「あ、うん。いいよ」

 

 

昨日決めたガイド料を確認すると、
マサはモゴモゴと了承した。

昨日行ったネット屋にいた欧米人に、
個人的にガイドを雇う場合、
大体どのくらいかかるのか訊いておいた。

一ヶ月以上ジンカに滞在してているという女のコは
200ブル(1,187yen)くらいじゃないと言っていた。

 

 

 

僕はマサに200ブルを渡すつもりでいた。

今日のマーケットでいい雑貨が手に入ったら、
「ありがとう」と感謝の気持を込めてマサに渡そう。

そう考えていた。

 

 

彼はどこかから認可を与えられた正式なガイドではない

個人的に僕をマーケットまで案内してくれる男の子だ。

それでも他のガイドと同じ金額が
手に入れば嬉しいのではないだろうか?

 

 

 

 

 

マサの仕事の仕事はジンカのバスターミナルで
マーケットのある村行きのミニバンを見つけ出し、
ローカルの価格で乗車料をまとめることから始まった。
一人40ブル(237yen)。

もちろん交通費は今日も僕持ちだ。

 

 

 

ミニバンの中はかなり狭かった。

本来ならば二人が座る座席に三人が腰掛け、
集金係を含めると三人くらいが入り口近くのスペースに
窮屈そうに身をかがめなければ乗ることができなかった。

 

 

僕も最初のうちはその一人だった。

ジーンズが似合う集金係のお兄さんは、
始め僕のことを女だと勘違いしていた。

紙を結わえているとこういう間違いはしょっちゅうある。

僕が男だと分かると、まるで中学二年生のように
後ろを振り返って僕にちょっかいを出してきた。

それは好きな女のコに手を出してしまうあれ
に似た心境なのかもしれない。

 

 

 

最初は適当に流していたが、
しまいにはお兄さんの大きなおでこに
ツッコミを入れるくらいだった。

マーケットの村までは片道1時間以上かかったが、
僕としては楽しい道のりだった。

あっという間に通り過ぎて行く景色や人々はいつものこと。

移動が楽しめると旅は豊かになる。
エチオピアに来てから僕はまたそのことに気づいた。

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はーい!到着!

 

 

 

 

 

 

 

 

マーケット

のある村は、
ツーリストにもいくらか開けているようで、
カフェやレストランの壁に
「WELCOME」と英語が書かれているのが見えた。

 

 

そして村にはジンカでは
見たことのないような格好をした人たちがいた。

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体にはアクセサリーを身に付け、
男性は、上はタンクトップ、下は極端に短い腰布を巻いている。

女性は頭に光沢を放ったヘルメットのような木の実を被っている。

そしてどちらも頭や首まわりにジャラジャラと
アクセサリーを身につけていた。

ここにはバンナ族とハマル族という部族が暮らしているようだ。

 

 

 

 

 

少し休憩しようと近くのカフェに入った。

カフェの中では大音量でスピーカーから
音楽が流れており、テーブルではハマル族やバンナ族の男性が
コップに入ったオレンジ色の液体を飲んでいた。

昼間っからゆるい感じだ。

 

 

男性たちは、「おう!こっち来て飲もうぜ!」
と僕たちを誘ってくれたが、僕はグビグビ飲みたかったので、
個人的にハニーワインを注文して奥のテーブルについた。

マサの分のコップをもらい、彼の分も注いだのだが、
マサは苦笑いを浮かべた。

 

 

「あれ?どうしたの?」

「いや、これ強いね」

「どういうこと?」

 

 

僕はハニーワインに口をつけた。

そして分かったのは、今回のヤツは
しっかりアルコール分が含まれているということだった。

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アルコールの独特の苦みが口の中に広がった。

僕はてっきり「ハニーワイン」という名のジュース
だとばかり思っていたので、
さすがに一瓶飲むことはできなかった。

 

 

ワインの代わりに、マサには瓶のコーラを注文した。

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僕より歳下とは分かっていたが、
マサの年齢を訊いてみた。彼は15歳だった。

あぁ、無理矢理お酒飲ませちゃ捕まるね(笑)

 

 

飲みきれなかったハニーワインは後から店にやって来た
地元のおっちゃん二人に振る舞った。

おっちゃんは親指を立てて僕たちに感謝の意を示した。

 

 

店から出ると酔いが回った。

 

 

僕はお酒に弱いのだ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩いて

すぐの場所にマーケットはあった。

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大きな広場には沢山の店が出ており、
ブルーシート(日本のホームレスがよく使うあれ)のような
ビニールで簡易的な日よけが作られている店もあれば、
シートの上に商品を並べているものあった。

 

 

ここでは主に生活雑貨が売られていた。

石けんや歯磨き粉、ベルトや服、
きっと食べ物を入れるのであろうずた袋、などなど。

曜日によってラインナップも異なるようだが、
ツーリスト向けのアクセサリーなどは
マーケットの端の方に広げられていた。

いい雑貨を仕入れることができそうだ♪

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相棒と企画している「旅する雑貨屋”Drift”

今回の仕入れ先はアフリカ。エチオピア。
様々な部族が暮らすジンカです。

 

 

 

世界中の雑貨をこうして見てきたわけだけれど、
おかしな話で僕自身はアクセサリーはまったく身につけない。

なぜかと言うと、絵を描く時に邪魔になってしまうからだ。

ちなみにまおくんがドイツに来てくれた時に
僕に渡してくれたボロボロのGショックも
未だにバックパックの中に眠っている。

時計もつけないことに慣れると、
今度は逆に邪魔に思えてくるから不思議だ。

 

 

 

さっそく僕は雑貨を見て回った。

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これはカウベル。ドアにつければドアベル。

 

 

 

ここ売られている雑貨はアクセサリーが多かった。

ツーリスト向けということもあって、
値段はアフリカにしては安くはなかったが、
僕はその”手作り感”が好きだった。

世の中にはかなりの頻度で
「メイド・イン・チャイナ」が溢れているけど、
これこそまさに正真正銘のハンドメイド

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もしかしたらビーズなんかの材料は
中国から仕入れているのかもしれない。

だが、これを作っているのは現地の人たちだろう。

このざっくりした感じがまたいい感じだ。

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花のビーズがかわいいね。

 

 

 

僕は見ているだけで楽しかった。

マサは僕の後ろについて雑貨の値段を店の人に訊いたりと、
ガイドとしての役回りもしっかりしていた。

 

 

店側の人間は英語の喋れる者が多かった。

提示された値段が少し高いように思えるとマサと相談した。

「これ高いかな?」
「うん。そうだね。普通ならもう少し安いと思うよ?」
とそんな感じに。

 

 

 

3週くらいアクセサリーの売られているスペースを見て回り、
10本ほどブレスレットやネックレスを仕入れた。

アフリカン雑貨が好きな人には、これらの雑貨はどう見えるのだろう?

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雑貨を仕入れたあとは、
マーケットをプラプラと歩いて見てまわった。

その間、小さな女のコがずっと僕のあとをついて来た。

僕はいつものように変な顔を作ったり、
おどけて見せたりしたけど、女のコはピクリとも笑わなかった。

この暑い日差しの中、トコトコと何も言わずに、
何も求めずについてくる。服喪ボロボロだった。

 

 

 

「これでジュースでも飲んでよ」

 

 

と10ブルを渡した。

女のコはそれを受け取るとタタタターッと駆けて行った。

ははは。お兄さん、女のコには弱いんだ。

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余談だが、手に入らない雑貨もあった。

もう少し探せば見つけられたかもしれなかったが
(マサはジンカのマーケットで売っていると言っていた)、
部族のおっちゃんが被るニット・ハット
なかなかいい味を出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

存分に

マーケットを楽しんで
僕たちはジンカの町へ戻ることにした。

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ミニバンは既に出発してしまったようだったので、
近くのカフェで僕たちは休憩することにした。

マサはインジェラが食べたいと言うので、
僕は値段を確認してひとつ注文した。20ブル(119yen)だった。

安いインジェラもあるんだなと意外に思った。
町だと大体二倍くらいの値段なのだ。

 

 

出てきたインジェラにはチキンがついてきた。

かなり柔らかく、びっくりするほど美味しかった。

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インジェラは
生地の酸っぱさに勝るソースがあって食べられるものだと思う。
それに毎回そこそこの量なのだ。

だから二人でシェアするくらいが
一番いいのだろうと僕は思った。

 

 

食後にお互い、コーヒーと紅茶を飲んだ。

僕が水が買いたいと言うと、
マサはどこからかよく冷えた水を買って来てくれた。

中の水はいくらかシャーベット状になっていた。

「暑ぃ~~…」と言いながらバスターミナルまで歩き、
ジンカ行きのミニバンに乗った。

 

 

 

 

 

帰りのミニバンの中では座るスペースがあった。

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来る時ほど窮屈な思いはしなかった。

前から二列目には仲の良い老齢の欧米人の夫婦が座っていた。
きっと彼らもマーケットを楽しんで来たのだろう。

 

 

僕とマサは4列目に座っていた。

なんとなく3列目に座っていたおっちゃんの小指が
異様に短いことに僕は気がついた。

きっと脱穀機か何かに巻き込まれて
指が切れてしまったのかもしれない。

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「あれ?」

 

 

僕は何かおかしいことに気がついた。

事故で切断されてしまったのであれば、

 

“爪”は生えないはずだ。

 

 

 

その極端に短い指からは爪が生えていた。

っていうかーーー…

 

 

 

指が6本ある。

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小指の付け根の少し下の方から、
その”第6本目”の指は生えていた。

しかも両手に。

 

 

 

『あれの指をなんて言えばいいのだろう?』

と僕は疑問に思いながらこっそりiPhoneのカメラで写真を撮った。

きっと御利益的なもんだろ。

 

 

6本指のおっちゃんは、途中でミニバンを降りた。

そしてまた新しい乗客が車に乗り込んで来た。

少し窮屈になって、また少しスペースが空く。それの繰り返しだ。

 

 

いいマーケットの訪問だったな。

うん。マサにはちゃんとお礼を言って200ブル払おう。

「ありがとう。いいガイドだったよ。今後も頑張ってな!」
と彼にエールを送ろう。

きっと気持よくお別れできるだろう。

そんな感動的な別れ際を想像して
いい気分になっていた

その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴプッ!!!」

 

 

僕は音を聞いて反射的にマサはの方を見た。

彼は両手を口に当てていた。
漫画で喀血するようなポーズだった。

 

 

だが口から出て来たのは幸いなことに(?)

血ではなかった。

 

 

 

「ゴプッ…

プッ!!!」

 

 

僕はフリーズしていた。

 

 

15秒ほど経って
第二波が来た。

 

 

床一面がマサの口から出て来たもので汚れた。

僕は思わず足を引っ込めた。

 

 

 

『インンジェラが
“インジェラになっちゃった”
よぉぉぉぉ~~~!!!』

 

 

 

もはや笑えない。
ギャグ過ぎて。

 

 

僕は先ほど買った水をと持っていた
ポケットティッシュをマサに渡した。

マサは車内で手を洗い、口を拭った。

あとから分かったことだが、
時折ミニバンの窓は空かないように固定されている場合がある。

マサは窓際に座っていたが、きっと窓が空かなかったのだろう。

 

 

それにしても、一言も言わなかったな…。

「気持悪いから、途中で降りていい?」
と断ってくれればよかったものの…。

 

 

 

 

 

15分もしないでジンカのバスターミナルに到着した。

僕はミニバンの中から転げ降りた。

 

 

「だ、大丈夫?」

「あ、うん」

 

 

ミニバンの集金係の男の子は
すっげ~嫌なそうな顔
をしていた。

 

 

「あのさ、ミニバンの中、
掃除した方がいいと思うぜ?」

「いや、いんだ。
10ブル払って掃除してもらうことになったから」

「そうか。それじゃあ僕は宿に戻るよ。
落ち着いたらガイド料取りに来てくれ」

「悪いんだけど、
ガイド料を今払ってくれないかな?200ブル」

「あ、ああ..。いいよ。
150ブルって約束だったけどね。
うん。いいガイドだったから…さ?
ありがとうね」

 

 

僕はそうやって100ブル札二枚をマサに手渡した。

幸薄な顔が、より一層幸薄に見えた。

最後の最後でヴォミットなんて笑えないよ。

 

 

 

 

 

一気に

くたびれてしまった僕はひとまず宿に戻ることにした。

 

 

宿の近くにはフォトショップがあった。

先日パスポート用の写真の取った場合
いくらかかるのか値段を訊いておいた。

5枚で25ブル(148yen)という破格の料金だった。

持っていた他の写真を見せて、サイズを確認する。

店員のお兄さんはずいぶんと年期の入った
ニコンのカメラで僕の写真を撮った。

店内は薄暗く、お世辞にも写真を撮る場所には
ふさわしくないようの思えたが、
撮った写真をパソコンに取込み、少し編集を加えると、
証明写真はいくらかマシになった。

 

 

店員のお兄さんは別のヤツに現像を頼み、僕を待たせた。

ニヤニヤしながらデスクトップの
画面に映し出されたのは
「鉄拳3」だった。

 

 

「うぉ!なにこれ!日本のゲームじゃん!」

「ふふふふふ♪」

 

 

お兄さんは得意げに笑った。

ムキムキのヨーロピアン空手家みたいなキャラクターを
選択してゲームが始まる。

どいうレシオ設定になっているのかは分からないが、
強パンチ4発で相手が倒せるという笑えるくらい
あっけないゲームだった。

鉄拳ってやったことないけど、そんなゲームなの?

 

 

 

 

パスポート用の写真を手に入れると、
雑貨を仕入れた分のお金をATMから引き下ろし、
昨日のネット屋に足を運んだ。

 

 

今日はかろうじてWi-Fiが使えたため、
今後のルートを少しだけ調べておいた。

ネット屋の外にマサとその友達の姿を見たが、
マサはちゃんと服を着替えていた。

 

 

夕食は近くでフライドポテトやアボガドジュース、
豆と芋のつぶしたもので簡単に済ませた。

そんな風にして今日一日が終る。

 

 

僕は明日の朝、ここを出る。

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★世界一周ブログランキングに参戦しております。

ジンカ。ツアーが苦手な僕も楽しめました。

別にムルシ族に会いに行くだけがエチオピアじゃないさ。

おれみたいな天の邪鬼がいたほうが、
色々な視点でその国が見えるだろ?

そんなクドクドとお届けした僕のブログにおつき合いいただきまして、
誠にありがとうございやす。

マサくんには今後とも精力的に頑張っていただいて
(っていうか彼、四カ国語も喋れるんですよ?マジすごくないっすか?)

バリバリ稼いでもらいたいと思います。
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2 件のコメント

  • シミ君海外で暮らして行くには、その国に「滞在させて頂いて居る。」と言う、気持ちが無いと辛く成ります。

    観光地で多少ボラれても観光税だと思えば気が楽に成り、笑って過ごす事が出来ます、何よりもトラブルを避ける術が無いと、旅は長く続けられません。

    私が海外で20年近く無事に暮らせて来れたのは、この気持ちを持ち続けたからだと思います。

    • >JOSANさん

      そうですね。
      やはり、僕たちはどこまで行っても
      その土地の人間にはなれないし、
      ある意味「部外者(よそ者)」なのかもしれません。

      時々、旅慣れて文化や風習の違いに
      イライラする時もありますが、

      感謝の気持ちは忘れずに
      残りの旅路を行きたいと思います。

      それと笑顔かな?

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    ABOUTこの記事をかいた人

    「旅する漫画家」。世界一周後(2013-2016)、現在は海沿いの町に潜伏中。そろそろ旅がしたいぞ!