「ポートランドへ」

世界一周685日目(5/15)

 

 

人が来る

前に起きなければならなかった。

大体7時になると清掃員がやって来るようだ。

チェックアウトはお早めに。

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僕は6時に起きると、
遊具の置いてあるキッズコートから華麗に退散した。

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Wi-Fiを頂戴しようと、朝のスターバックス前に行くと、
ブローウェイの前にはアコーディオンを持ったホームレスがいる。

時刻はまだ7時過ぎ。

確かに朝のカフェには出勤前のビジネスマンたちが
コーヒーを飲むだろうが、こんな朝早くから彼に
コインを渡す人間がいるのだろうかと考えてしまう。

アコーディオンを持った彼からも覇気が感じられない。
しゃがみこみ、けだるそうにしていた。

 

 

「アコーディオン、いいね」と僕が言うと、
彼は「一カ所壊れていて音が狂ってるだよ」と言った。

ここでじっくり音楽に耳を傾ける人がいない限り、
そんなことはバレやしないだろう。

僕はヒッチハイクポイントまでのルートを調べると
「グッド・ラック!」と言って親指を立てその場を後にした。

 

 

 

 

 

シアトルは大きな街なので、
ヒッチハイクをする場所に向かうためには、
バスに乗って郊外まで出るのがいい。

バス停まで向かう途中、僕は無性にトイレに行きたくなって
スターバックス(別のだ)に駆け込んだ。

「トイレありますか?」と僕が訊くと、
爽やかな店員は

「あるけど、お客さんにしか使わせないんだよ」

と営業スマイルを浮かべて言った。

むしろ

「客じゃないヤツには使わせないんだよ」

と言っていた。
婉曲的でもストレートに伝わる。僕は泣きながら店を後にした。

自分もホームレスだったことを忘れていたのだ。

 

 

結局別のカフェでトイレを借りることができた。

 

 

 

 

 

バスを待つ前に
僕は売店に行き、コーヒーとクッキーを買いに言った。

いつもはコロンビア産のブラックコーヒーに
クリームひとつ分で済ませるのだが、
今日はどういうわけかカプチーノを選んだ。

カプチーノにはたっぷりと砂糖が入っており、
甘い物に甘い飲み物をぶつける形になってしまった。
別の料理に例えるなら1人で食べるフィッシュ&チップスだ。
口に残る甘さ。しかもカフェインは含まれていない。

買ったお菓子はその場で食べ切ることを信条にしている僕は、
そのふたつを胃に流し込んだあと、気持ちが悪くなった。

 

 

 

 

 

 

バスはすぐにやってきた。

3.5ドルを支払って郊外の
“Lakewood”という町まで向かうことにした。

運転手はイギリスなまりのある男性で、
顔なじみと楽しそうに談笑しながら運転していた。

 

 

途中、大柄の黒人が入ってきてなにやら運転手と揉めていた。
優先カードみたいなものを見せて
タダで乗り込もうとしているようにも見えた。

その大柄の黒人は態度がよくなかった。
ネイティヴ同士の会話なので内容はほとんど聞き取れなかった。

黒人側から「はぇっ?人種差別か?」と言うのが聞こえた。
どこか威圧的に「レイシズムか?」と言っていたのだ。

運転手はソイツ1人のために時間を浪費する方が
他の乗客の迷惑になると考えたのだろう。
「もういい、さっさと乗りな」とぶっきらぼうに言った。

 

 

 

『あんたのその態度が
イメージを貶めているのが分からないのか?』

僕はそう思わずにはいられなかった。

 

 

 

大柄の男は座席二つ分を占領する様な形で、行儀悪く座っていた。
コテコテのチンピラみたいなヤツだった。
僕は視線をずらすようにして彼を観察すると、
ため息をついて目を閉じた。

 

 

 

 

だが、どうだろう?

 

 

自分がどんな人種に生まれてくるかなんて分からない。
ついこの間もバルティモアで人種差別を
きっかけにした暴動が起こったように、
まだまだ黒人たちはネガティヴなイメージに苦しめられている。

彼らが、身なりがちゃんとして、スーツやワイシャツなんかを
ビシっと決めて、真面目に働く心優しい人種であったならー、
社会からの評価は得られるんじゃないか?

 

 

と考えたこともあったが、
それができたら格差なんて生まれない。
ギロチンにかけられたアントワネットの考えだ。

一部の黒人がチンピラ化してしまうのは
育った環境選べる人生の選択肢が限られていたからかもしれない。

もし仮に前に座っている黒人の大柄の女のコが
僕みたいにヒッチハイクしたとしよう。

アメリカ人のドライバーは彼女のために止まるだろうか?

いや、止まらないだろうな。きっと。

今僕の目の前にいるチンピラがヒッチハイクをしていたら、
警察を呼ばれてしまうかもしれない。

 

 

そう考えると、人種というのはかなりずるいような気もするし、
見た目というのはシチュエーションにおいて
重要視されてしまうことなのだなと考えた。

 

 

Tacoma(タコマ)という
治安のよくないと言われる町で、彼らは降りた。

 

 

 

 

 

 

 

「Portland」

 

レイク・ウッドに到着した僕は
ファストフード店の前にあるテーブルで行き先を書いた。

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バス停のすぐ近くにハイウェイが続いており、
まさにヒッチハイクにはうってつけの場所だった。

マクドナルドでトイレを済まし、
僕はハイウェイの入り口の前で元気よくボードを掲げた。

交通量は多く、行き先はシアトルへ向かう車の方が多い。

レスポンスはそこそこ。

ただし、車が止まるスペースが微妙。

白線の外側は雨水が流れるように「V」時型に凹んでいる。

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パトカーが見えると、
僕はすぐにボードを茂みに投げ込み、その場から退散した。

そしてパトカーの姿が見えなくなったのを確認して、
先ほどと同じようにヒッチハイクを再開した。

 

 

 

 

 

しばらくすると車が止まった。

駆け寄って助手席のドアをゆっくり開けると、
中にはアジア人の女性が眉をしかめて乗っていた。

 

 

「あなた?こんなとこでヒッチハイクしても
車なんて止まってくれないわよ?
それにヒッチハイクは危険なのよ」

「は、はぁ…」

「私がバスターミナルまで連れて行ってあげるわよ」

「いや、でも、お金ないんで、
ヒッチハイクで行きます」

「ポートランドでしょ?
いくらかしら?私が払うわよ」

 

 

これでいいのだろうか?

 

 

何か違う。

 

 

 

ヒッチハイク自体、
止まってくれるドライバーの親切心に寄るものだが、
彼女からバスのチケットを買ってもらうのは何か違う気がした。

「うわぁ~~~い!あざ~~~っっす!」
と彼女の申し出に甘えれば、苦もなくポートランドに
辿り着くことができるだろう。

でも、それは僕のヒッチハイクじゃない。

このドライバーさんが僕のことを心配してくれているのは分かるけど、
表情や会話から、彼女の親切心にはフレンドリーさが
欠如していることが分かった。

バスチケットを買ってもらったとしても、
僕はちっとも嬉しくないだろうなということが
なんとなく想像できた。

 

 

「ありがとうございます。
でも、ヒッチハイク続けます」

そう断ると車はポートランド方面へ向け走り去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

そしてそこから
わずか30分後に別の車が止まってくれた。

 

 

「ここでヒッチハイクしていたって
車は止まってくれないぞ」

 

 

ドライバーのジャック
先ほどのドライバーと同じことを言った。

 

 

『だけど、
あなたが止まってくれたじゃないですか』

 

 

僕はお礼を言って車に乗り込んだ。

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ヒッチハイクにおいて重要なのはファースト・テイクだ。

ジャックの目的地は本の数マイル先だったが、
僕はそこまでで十分助かった。

 

 

最初はいつもの自己紹介だったのだが、
ジャックは脈絡もなく宗教について僕に尋ねてきた。

宗教を持たない僕は曖昧な返事をすると、
ジャックは自分の神に対する考えを聞かせてくれた。

 

 

「いいか。人間が機械、
君の持っているスマートフォンのような複雑な機械を
創れると思うか?神さまはなぁ、いるんだよ」

 

 

時々自分でも構造がどうなっているか分からない機械を
使い場面を不思議に思うことがある。

日本の好きなバンドの藍坊主が、
電子レンジで物が温まる不思議を唄っていた気がする。
「コイントス」という題名の曲だ。

まさか機械に神が宿るとは僕は思わないが、
「細部に神が宿る」という考え方に通じている気がする。

 

 

 

 

 

 

降ろしてもらった場所は
ハイウェイの入り口でガソリンスタンドがすぐ脇にあった。

道路は急なカーブを描いてハイウェイへと交わる。

そこでは物乞いが段ボールを掲げていた。
信号もあるので、車は一時的に止まるのだが、
彼らが小銭を獲得できるかどうかはわからない。

僕の姿を見ると彼らは
「調子はどうだい?」とフレンドリーに声をかけてきてくれた。

僕は「まぁまぁ」だよと言って、
ヒッチハイクのポジションへとついた。

 

 

 

 

二台目の車は自分でも驚くほど早く捕まった。

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ドライバーにデイヴはアラスカ出身で若い頃、
自分もヒッチハイクでアメリカ国内を旅したと言っていた。

車が止まる時、迷いのようなものは感じられなかった。
目に入ったヒッチハイカーであれば
全て乗せると言った止まり方だった。

車には工具が沢山積まれており、
フロントガラスの斜め上には車の上に積まれた
パイプが揺れているのが見えた。

建物の配水管の工事をしているらしい。

車の振動による工具同士が当たって
ガチャチャ言う音で僕たちは
少し大きな声を出さなければ会話することができなかったが、
いずれにせよ旅人の話は面白い♪

僕はデイヴとの会話を楽しんだ。

 

 

 

 

 

デイヴが降ろしてくれた場所は、交通量の少ない場所だった。

近くにはガソリンスタンドがあったが、
ほとんど車は止まっていなかった。

僕はそこに入ってコーヒーと菓子パンを買った。

 

 

ガソリンスタンドは韓国人の夫婦が切り盛りしているようだった。

レジの奥さんが僕に「どこか来たの?」と訊ねるので、
「日本から」と答えると、「それは分かっているわよ」と言った。

アジア人通し、自分たちがどこの国から来たのかは
なんとなく分かってしまうものだ。
僕も彼らが韓国から来たという確信は持てなかったが、そう感じたのだ。

僕がシアトルからヒッチハイクで
ポートランドに向かっているのだと言うと、
「気をつけてね」と言った。
まるでお母さんが子供のことを心配するような言い方だった。

 

 

 

 

 

 

交通量の少ないハイウェイ脇でヒッチハイクを再会した。
ここでは30分ほど待っていたと思う。

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止まってくれた車の運転手は
気難しい顔をしたルーリーと言うなの老人だった。

ヴィンテージギターを4本も持っているらしく、
ブルースを演るらしい。

車を降りる際に、ヒッチハイクの思い出に
写真を撮らせてくれないかと頼んだのだが、彼はそれを断った。

アメリカに住む人々は写真を撮られることに対して
かなりポジティヴだが、当然のことながら中には
彼のようは人間もいる。

だが、チャーミングなことに、
彼は降りる時にわざわざ僕のギターで
ブルースのコード進行を教えてくれた。
コード進行はかなり簡単なものだったが、すぐに忘れてしまった。

 

そうして僕はヒッチハイクを続けた。

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もうあと一台

乗り継げばポートランドに到着できそうな距離だった。

ランプ(ハイウェイ前の坂道)で僕が親指を立てると、
すぐに車が止まってくれたのだが、行き先が途中までだったので、
僕は一台目を見送り、

二台目も途中までしかいかないと言うので、
お礼を言って車に乗せてもらうことにした。

 

 

スティーヴは愛嬌のある、
頬がほんのり赤く染まったまるっこい中年男性だった。

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聞き上手で僕の話を面白がって聞いてくれ、
降りる際にはマルボロを二本くれた。

会話のほとんどは僕が占めていたような気がする。
いいおじちゃんだった。ありがとう。

 

 

 

車が止まってくれた場所のすぐ隣りには
大手チェーンではないこじんまりとしたガソリンスタンドがあった。

このような個人経営の店のいいところは
食糧が安く手に入るということだった。

わずか99セントでブリトーが売っていたのだが、
お店の若いスタッフが「手羽先などもいかがですか?」
とセールスをかけてきて、曖昧な返事をしたものだから、
危うく8ドル近くの出費をさせられるところだった。

「申し訳ない」とレジのおばちゃんに謝ってブリトーを二本買った。
おばちゃんは愛想良く「ノープロブレム!」と返してくれた。

 

 

 

 

 

ガソリンスタンドから200メートルほど歩き、
ハイウェイ前のランプで僕はヒッチハイクを続けた。
今度こそポートランド行きの車が捕まるだろう。

10分もしないで車が止まってくれる。

 
ドライバーのペアはおしゃべりな女性だった。

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嫌らしい感じではないのだがペタペタとボーディータッチが多く、
会話もそこそこに盛り上がった。

いや、最後の方は彼女の愚痴だったのかもしれない。
税金が高いとか、家族が病気にかかったとか。

行き先は違っていたが、僕をベストなポジションで降ろしてくれるらしい。

 

 

そして降ろされたのが、

 

 

 

 

 

 

 

ハイウェイのど真ん中。

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ってなにそれ?

 

 

いや、さっきも頼んだじゃないですか?

「ハイウェイの中で
ヒッチハイクをするのは

イリーガル(違法)」

だって。

 

 

 

自分の置かれた状況がギャグ過ぎて笑えてくる。

車は時速100km以上だして突っ込んでくる。

確かに車が止まってくれるスペースはあるように思えるのだが、
スピードを出した車が止まるには不十分のようにも思える。

 

 

僕は十数分途方にくれ、マップアプリを確認すると、
なんとか一般道に出る道を発見した。

近くでウサギが跳ねているのを見た。

『車に轢かれるなよ。一瞬でミンチだ』
と僕は心の中でアドバイスをしておいた。

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なんとか

一般道に出た僕は少し疲労感を感じていた。

それでもヒッチハイクは続く。
あと、あと、一台できっとポートランドにつける。

今いる場所は州境のワイントン州、ヴァンクーヴァーという町だった。
カナダだけでなく、同じ名前の町がアメリカにもあるのだ。

ハイウェイ前の道で僕はどこに立つのが一番か考え、
ドライバーが僕を発見して速度を落とし、
止まるスペースを考えた上でヒッチハイクを開始した。

想像力もヒッチハイクには重要なのだ。

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ここではなかなか車が止まらなかった。

車の速度はそこまで出ていないはずなのに、レスポンスは薄い。
ヒッチハイカーの姿なんてまるで目に入っていないように
車はゆっくりと僕の脇を通り過ぎて行く。

だが、出会いとはその時のためにあったようなもので、

止まってくれたロビンさん
僕を迎えに来てくれたように思えた。

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「まぁ!なんてことなの!あなたが日本人だなんて。
しかもこんな場所でヒッチハイクしているだなんて
なんてことでしょう!」

 

 

そう言うロビンさんの義理の娘(つまり息子の嫁)は
日本人でチアキという名前らしい。

カナダで語学留学ののち、就職したそのチアキさんは
もちろん英語が喋れるそうなのだが、
カナダ英語はフランス語訛りが含まれているらしい。

最初ロビンさんはそれにいくらか戸惑っていたらしい。

今では孫もいるそうで、時々日本語と英語が混じるそうだ。
国際結婚した夫婦、その義理の母親から話を聞くのは面白い。

 

 

車のダッシュボードには日本語の教材とCDが入っていた。

ロビンさんは主出すように日本語を披露してくれ、僕を喜ばせてくれた。

また、日本の主要都市を訪れたことがあるらしく、
「またあそこに戻りたいわ」と日本を懐かしんでいた。

日本の料や時間通りに来る電車にかなり驚いたそうだ。

 

 

ロビンさんは僕をダウンタウン行きの
路面電車が止まる場所で降ろしてくれた。

上出来だ。

シアトルからバスで3.5ドル。
郊外からダウンタウンまで2.5ドル。
250kmを6ドルで来れたのだから。

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路面電車は3両編成の綺麗な電車で
自転車が中に持ち込めるようになっていた。

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中に乗っている人たちの服装がお洒落になった気がした。

電車の中からホームレスをチラホラと見かけた。
彼らは橋の下を寝床にしているようだった。

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チャイナタウンで路面電車を降りた。

ここでも浮浪者の姿をよく見かけた。

一瞬僕は戸惑ってしまった。
ここが僕の来たかったポートランドなのか?

どこがアートな町なんだ??!!
過剰な期待が膨らんだだけの幻想にしか過ぎないのか??

 

 

 

町の広場では小さな催し物が開かれていた。

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スターバックスの脇にコンセントを見つけたので、
それを使いながら連絡を取った。

警官がニコニコしてやって来て、
「コンセントは使っちゃダメよ」と注意して立ち去って行った。
ホームレスには優しいらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここにはかつての仲間がいる。

 

 

大学時代、僕が一年間だけ籍を置いた
「ごみゼロナビゲーション」で少しだけ時期が被った
ゆうこがここで暮らし始めたらしい。
今は語学学校に通っているらしい。

ゆうことは特別仲がよかったわけじゃない。
ごみゼロを通して一緒に野外イベントで活動したくらいだ。

一緒に遊ぶことも、飲みに行くこともなかった。
まぁチームメイトのようなものだろう。

僕が世界一周の旅に出てから
何度か相棒のまおを介してやり取りすることがあった。
あれはゆうこが出版社のインターンをしている時だっただろうか?

 

 

今回はたまたま時期があったのだ。

僕がポートランドを訪れるのと、彼女がここで暮らし始めたのと。

 

 

 

 

実際は明日会う約束をしていたのだが、
Facebookのメッセンジャーで連絡すると
ゆうこはすぐに僕に会いに来てくれた。

自転車に乗ってやって来たゆうこはいっちょまえに
ポートランドに染まっているように見えた。

あのフレームの細い自転車。
モッズコートにハーフパンツのファッション。お洒落やん。

 

 

お店の雰囲気も一瞬で漫画家のテンションを
上げてくれるものだった。

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オリジナルの空間がそこには広がっていた。

オススメのバーで「サイダー」とやらを注文する。
日本では飲んだことのないお酒だった。発泡酒とは違うらしい。

テイストはアップル。だがほんの少し濃い。オサレやん。

 

 

「いいよ。今日は私がオゴるよ!」

 

と気前のいいことをおっしゃるゆうこさん。

 

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「カンパ〜〜〜イ!!!」

 

 

 

 

お酒のせいもあり、僕はペラペラペラペラと喋った。

喋り過ぎにならないように気をつけながら、
インタビューするように会話を振りながら。

 

 

「それでゆうこはなんでポートランドを選んだの?」

「一年前に「自由大学」のプログラムに参加して
二週間だけポートランドに来たんだよね。
その時はお店やワークショップに参加するだけだったんだけど、
日本に戻った後もポートランドのことが忘れられなくてさ、
『ここに住んでみよう!』って決めたの。
もちろんずっとじゃないよ?」

 

 

ゆうこは二年間、日本で働いていた。

この「自由大学」というのは、大学ではなく、
ワークショップをするような場所らしい。

ごみゼロの仲間を通じてこの「自由大学」の存在を知り、
ポートランドに行こうと思ったらしい。

ポートランドを選んだのは「たまたま」だとゆうこは言っていた。

もしかしたらブルックリンだったかもしれないし、
シカゴだったかもしれないと。

それならそれで、また違った物が見えたかもしれない。と。

 

 

僕はポートランドがゆうこを呼んでいたような気がした。
旅人は時々そう思うことがある

「町や国が呼んでいる」

と。

それはその場所が、
そこを訪れた人間にぴったしとフィットする感じだ。
僕は未だにインドのことを考えている。

 

 

 

 

 

二軒目はそのまま隣りのバーへと入っていた。

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そこでビールを注文し、会話は日本語から英語になる。

それでも英語で会話できてしまうのだから不思議だ。
まだまだ細かいニュアンスは表現できないけど、
それが新鮮な体験に感じた。

だって日本人通しで英語で会話することなんてないから。

 

 

バーのカウンターの向こうにいる大柄の男は
かなりフレンドリーな男だった。

以前も来たゆうこの顔を覚えていて、
日本語の挨拶を何フレーズか知っていた。

まるでパフォーマンスのようにクルクルとグラスを回し、
ひゅっと宙に投げてキャッチする。

 

 

 

「バーってさ、
誰がそのそこにいるかってのも重要だよね」

そうゆうこは言った。

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ポートランドは日没までの時間が長いが、
21時前の日沈前にゆうこはホームステイ先へと帰って行った。

僕はアップタウンにあるワシントンパークという公園へ
行ってみることにした。

 

 

 

 

ハイウェイに架かる高架線を渡り、
アップタウンにさしかかったところで

酔いが回って来た。

 

 

木片が敷き詰められた茂みに倒れ込む。

僕はどんなに酔っても意識は残る。

 

 

『あぁ、今までで一番
ホームレスに見えるだろうなぁ、おれ』

 

 

そんな自分を嘆いていたわけではないのに、自然と涙がにじんだ。

これ以上動くと胃の中のものが出てくるのが分かる。
だからここから動けない。

 

 

 

 

動けるようになったのは深夜1時半だった。

ワシントンパークの入り口付近の茂みにテントを張り、
中に入ると、テントの中に籠った臭いで胃が刺激され、
さっき食べたナチョスが競り上がってくるのを感じた。

テントから1メートル外に胃の中の物をぶちまける。

痛い様な酸っぱいような、あの嫌な思いを味わう。

 

 

 

くっそ…。下戸は辛いぜ…。

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