世界一周727日目(6/26)
「カシュッ!カシュッ!カシュッッ!!!」
「う、うわぁぁぁああああ~~~!!」
昨日は大丈夫だったのに、
何で今日に限って
スプリンクラーが作動しやがる?!
最後の野宿くらい気持ちよく眠らせてくれてもいいじゃねえか!
急いでテントから荷物を出し、
空っぽのテントのてっぺんを持ち上げて
スプリンクラーの水が届かない場所まで移動させた。
近くのベンチにテントを干しているとどこからともなく
清掃車がやってきて、おじさんが
「とっととうせな!」
と僕に言い放った。
くっ…
ここはアメリカ、サンディエゴ。
メキシコへ出発だってのに、朝からコメディだ。
仕方がないので湿ったままのテントをケースに収納し、
マクドナルドへ向かうことにした。
あぁ、思い返してみれば先進国でマクドナルドのお世話に
ならなかったことってないなぁ。いつもありがとう。
コーヒーを注文してテーブル席でWi-Fiにありつくと、
国境までの行き方を調べ、スペイン語の勉強を少しした。
えっと、文法って英語とほとんど同じなのかな?
やっぱ例文って大事だな。
8時になると僕はマクドナルドを後にして
国境まで向かうトロリーに乗り込んだ。
切符は2.5ドル。「ブルーライン」の終点は国境だ。
意外に国境を越えるのは簡単そうだった。
しばらく走ると、紺色の服装をした警察が
トロリーに乗り込んで来た。
そして乗客たちの切符を確認してまわった。
ドイツで無賃乗車をやらかしたのが懐かしい。
あの時は40ユーロの罰金だったっけな?
もう二度とあんなことはやらないだろう。
涼しい顔で切符を提示し外の景色を眺るのを再開した。
国境まではあっという間だった。
GPSマップの点線が国境を表していた。
顔立ちの違う人たちが大荷物を抱えているのが見えた。
僕もバックパックを背負って人の流れに続いた。
終点の駅には免税店の他にマクドナルドもあった。
ふふ。ここからアメリカに入国すると
まずはマクドナルドがお出迎えってか。アメリカらしいな。
若干坂道になっている狭い通路を歩き、
ゲートの上には「MEXICO」の文字が見えた。
何人かはそこで記念撮影をしている。
回転バーの向こう側には銃を持った警備員の姿があった。
そのお気楽とシリアスのギャップを微笑ましく思ってしまう。
ゲートを通過した僕が
まず一番初めてにやらなくてはならないのは、
入国税を支払うことだった。
これは至って簡単だった。
近くのスタッフにどこで入国税を払うのか訊いて、
別室で26ドルを支払えばおしまい。
これで3ヶ月間(180日間)の滞在が認められる。
次にやらなければいけないことは、
アメリカの入国カードをイミグレーションに返却することだった。
ほら、アメリカの入国カードにもしっかり書かれているでしょ?
ネットで情報収集したところによると
サンディエゴから陸路で国境を越えた日本人のツーリストたちは
口を揃えてこれが一番面倒だと書いていた。
イミグレーションのスタッフ数人に
どこでカードを返却するのか訊ねたが、
はっきりとした答えが返ってこない。
仕方がないのでアメリカ入国の列にメキシコ人に混じって並ぶ。
ここで面白かったのは、
その列の外ではタコスや新聞、ちょっとした軽食、
はたまたアクセサリーを売る人がいたことだ。
一気に別の国に来たように感じる。あぁ、たくましいな。
列は少しずつ進んだ。
列を整理しているおっちゃんは
なかなかいい仕事をしているらしかった。
前回もここからアメリカに入国したというメキシコ人は
「この間はここで三時間待ちだったよ」と言った。
どうやら僕は運がいいらしい。
20分ほど列に並び、
アメリカ側の入国ゲートでスタッフに
「カードの返却がしたいのだけど」と尋ねると、
順番を優先して手続きを済ませてくれた。
再びアメリカ側に入国して、さっきの細い路地を通って、
再びゲートをくぐり、これで晴れてメキシコ入国だ。
世界一周51カ国目。
メキシコ。入国。
使い倒している「Maps me」というアプリ。
こんな感じでアメリカを旅して来たんですね。
あっちがアメリカ側です。車の大行列。
国境付近にいたおじいさんに
覚えたてのスペイン語で
「エンセナダに行きたいです。バスターミナルはどこですか?」
と訊ねると、
おじいさんは英語で
「それなら私もバスターミナルまで行くから一緒に行ってあげよう」
とお申し出てくれた。
おじいさんは少し英語を話すことができた。
覚えたばかりのスペイン語をチェックしてもらった。
「〇〇へ行きたい」はスペイン語で
「キエロ イル 〇〇」でいいらしい。
人称とかで活用変化ももちろんあるんだけど、
これさえ覚えておけばバスのチケットを買う時には困らないでしょう!
難しいことは徐々に覚えていけばいいのだ!
一度に一気に覚える実用なんてない。
おじさんにバスターミナルの場所を教えてもらい、
お礼を言って別れた。なんとおじいさん86歳なんだそう。
歩くのもしんどうそうだったけど、いつまでもお元気で!
「ちゃんと撮れてるんだな?」
「もちろん!」
怒っているように見えるけど、ノリノリでした。
メキシコ入国
と同時に助けてもらい、僕は少し意外な気持ちだった。
ティワナと言うのが今いるメキシコ国境の町の名前だ。
調べたところによるとここは治安が悪いらしい。
アメリカとの国境に面する町だ。
麻薬取引が盛んなのかもしれない。
僕はエンセナダという場所までバスで向かうことにした。
ここなら安全らしい。
国境の町ということでバスターミナルのお姉さんの一人は
英語を話すことができた。
エンセナダまで185ペソ(1,446yen)。3時間ほどの距離らしい。
まだ明るい時間帯だったので
ちょっとくらいだったら見てまわってもいいかもな、と僕は思った。
だがバスの出発時間が30分後ということもあり、
僕はティワナの町を見るのを諦めることにした。
近くのガソリンスタンドで2000ペソ(15,617yen)を降ろして、
屋台で100円くらいのタコスを買うだけに留まった。
印象だが、メキシコの物価はそこまで安いようには感じられない。
これならアメリカのファストフード店の方が
ボリュームがあるかもしれない。
もちろん味はジューシーで最高だったけどね。
やってきたバスは驚くほど綺麗だった。
僕はもっとオンボロのバスが来ると思っていたのだ。
座席の間隔は広く、中にはスマートフォンを充電する
USBポートまでついているし、
走行中はWi-Fiも検索出来た(使えなかったけど)
中米の旅がこんな快適でいいのか?と思ってしまう。
ゆったりと僕は外の景色を眺めた。
バスは「バハ・カリフォルニア」と呼ばれる半島を走っていた。
エンセナダに着くまでにいくつか小さな町を通り過ぎた。
どこもビーチがあったが、
そこまで観光地化されているようには思えなかった。
だからと言って治安が悪いようにも思えなかった。
アメリカのパタゴニアストアで
メキシコをサーフトリップしたスタッフたちに会った。
中には野宿やヒッチハイクをして旅をした人もいた。
それができた理由が海沿いの町を見ていると分かるようなきがした。
都市の外はどこも治安がよかったりする。
エンセナダに到着した時は16時だった。
マップアプリで自分の現在地を確認してほっとする。
バスを降りた瞬間からメキシコの旅が始まったような気がした。
まず目についたお菓子を食べた。
そして一番はじめに目についた屋台でタコスを注文した。
1ペソが8円くらいだから12ペソで100円くらい。
注文したのは「フィッシュ・タコ」という名前のタコスで、
小さな魚がまるまる一匹フライされてトルティーヤに挟まれている。
それにお好みでトッピングをする。
食べた瞬間に笑顔になってしまう。それだけ美味かった♪
僕はマップアプリを頼りに宿を探すことにした。
もうさすがにここでは野宿をやることはないだろう。
宿のありそうな場所をウロウロしたのだが、
なかなか安宿は見つからなかった。
町の中心地では200ペソ(1,562yen)というのが
最安値のように思われた。
一度150ペソという宿を見つけたのだが、
そこは残念ながら満室。
その宿のスタッフに別の安宿がないかと
ジェスチャーを交えて尋ねたのだが、
歩けども歩けども安宿なんて見つからなかった。
『おかしい…』
何度も額の汗を拭いながら僕は思った。
メキシコって物価が安いんじゃなかったのか?
これじゃあヨーロッパのホステルの値段と変わらないんじゃないか?
確かにメシは安いように思えるがそれでも
一番安いタコスで100円くらいしてしまう。
スーパーで野菜などを買えばもっと安くはなるのだろうが、
宿も取っていないのに自炊はありえない。
僕は宿を探して中心地をからどんどん遠ざかっていった。
失われた水分を取り戻すようにジュースを飲み、
出費がかさんでいった。
中心地からそこまで離れていない場所で見つけたのは
「バックパッカーホステル」と書かれた宿だった。
僕は嬉しくなって中に入った。
中にはヨーロピアンの若者二人と
英語が喋れるメキシコ人のオーナーがいた。
「ドミトリーってあります?」
「ああ。あるよ。230ペソだね(1,795yen)」
「えっ…」
バックパッカーとか言っている割にはリーズナブルではない。
僕が「考えさせてください」と言うと、
その場にいたヨーロピアンは
「こんなに安いのに?」と少し驚いた顔をした。
「週末だからね。どこも値上がりしているんだよ」
そうオーナーが教えてくれた。
いやぁ~~…、でもさっき200って見たよ?
僕は再び安宿探しを始めなければならなかった。
まったく手がかりがない。
あぁ、こんなことならちゃんと調べておけばよかった。
『野宿する..
か…?』
頭の中にそんな考えが浮かんだ。
体が悲惨なくらいにベトベトしている。
いや、今日野宿したところで明日以降はどうするんだ?
ってかメキシコ高くね?
たまたま見つけたのは靴の修理屋だった。
あ、そうだ。メキシコでブーツを修理しようと思っていたんだ。
一応値段だけ訊いておこう。
ジェスチャーと筆談(イラスト)で
どこを修理して欲しいのかを伝えた。
僕はブーツのソールをまるっと交換して欲しかった。
値段はなんと325ペソ(2,538yen)。
アメリカに比べたら半額以下だ。
だけど、どうしよう?宿がない。
修理に出す場合は「マニャ~ナ(明日)」の受け取りだよと
おじちゃんが教えてくれた。
僕はひとまず修理に出すのを見送った。
宿を探してみて分かったのが、
「モーテル」と呼ばれる車ごと止まれる宿は多いということだった。
メキシコは車で旅をする人が多いのかもしれない。
きっと長距離を車で移動するメキシコ人にも需要があるのだろう。
だが、そのどれも2000円以上はしてしまう。
まず外観からして高そうだ。
いや、日本に比べたら安いのは分かっているんだが、
やっぱ高ぇよっ!
はぁはぁ..、どこに安宿あんねん..
仕方なしにまた待ちの中心地へと戻っていった。
観光地化した通りを歩いていたとき、
お土産品を売っているおっちゃんに声をかけられた。
「エスタビエン(ごめんね~)」と謝る。
ふと足を止めて片言のスペイン語で安宿がないか尋ねると
おっちゃんはすぐそこに
「ホテル・リオ」という安宿があることを教えてくれた。
え?
教えてもらった場所に「ホテル・リオ」は確かにあった。
しかも料金は160ペソ(1,249yen)。
アメリカの野宿が終ったんだ。
もういいかげん泊まってもいいだろう。
僕はここにチェックインすることを決めた。
いわゆる「安宿」と呼ばれるような古く、
汚い宿とはここは違った。
受付の向こうは小さなアパートのように二階建てになっており、
案内された部屋も綺麗だ。
ベッドや備え付けの机はもちろん年季が入っていたが、
それでも快適な空間であることには違いなかった。
何よりホットシャワーが出ることに僕は感動した。
え?嘘!Wi-Fiも入んの?!
思わずもう一泊分の
宿代を支払った。
シャワーを浴び体のベトベトを落とし、今朝方濡れたテントを干した。
洗濯して濡れたままのTシャツを着ると、
僕はブーツを持って先ほど見つけた靴の修理屋に足を運んだ。
17時を過ぎていたが、修理屋はまだオープンしていた。
僕は修理内容をもう一度確認してお金を支払った。
メキシコでブーツを修理すると一体どんな風になるんだろう?
それも少し楽しみだった。
宿に戻り、ギターを持って外に出た。
宿も決まってブーツも修理に出せたので、歌いたい気分だった。
夕方になると涼しい風が吹き込んでくる。
観光地の通りはアーケードになっている場所があり、
歌うのには適しているように思われたが、
通りには車の行き交いがあった。
信号機がないので、車は速度を落としているが、全く音が響かない。
まぁ、いいさ。
20時を過ぎるとバー意外の店はシャッターをおろし、
人通りもめっきり少なくなった。
かわりにオフロード・カーが大集結するイベントが
どこかで開かれていた。
ミニ四駆みたいな車体の車が何台も前を通り過ぎていく。
中にはフルボリュームで音楽を垂れ流すやかましい車もあった。
そうなるとアコギの音なんかじゃ
とてもじゃないが太刀打ちできない。
ポソポソとレスポンスがあり80ペソが集まる。
600円ちょっとか…。
バスもそこまで安くないし、10ドルそこらの宿。
メキシコだしそんなもんなのかなぁ..。
近くの屋台で簡単に食事を済ませて宿に戻った。
たまたま宿にいた韓国人のおじちゃんと少し話して
僕は自分の部屋へと引き上げていった。
そんな風にして
僕はメキシコ第一日目を終えたのだ。
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しみさんのブログおもしろすぎ!
いつも楽しみにしています。
帰国したら是非、報告会をしてください。シミさんの旅話を聞きたいと思っているファンはたくさんいるはずですから。
>hisyさん
うそ〜〜〜ん..?
え、面白いんですか??!!
完全に個人的な日記なのに!!
手前味噌ですが、
自分でも面白いと思ってます(笑)
嬉しくて机の前でニヤニヤがとまりませんね。
報告会なんて対それた真似はできないと思いますが、
(え?ってか誰が読んどんの?)
飲みにいく機会があったら
僕の野宿話を思う存分聞かせてさしあげましょう!
「いいかい?
バルセロナで野宿する場合はだなぁ〜〜..」