世界一周799日目(9/6)
山あい
にあるこの町は夜になると冷え込みが激しくなった。
そのくせ支給されたのは薄い毛布一枚。
夜中に寒くて何度か目が覚めた。
めんどくさがらずにバックパックからブランケットを取り出せばよかった。
朝起きると鼻風邪をひいていた。
ここはグアテマラ、チチカステナンゴ。
今日はサンデーマーケットが行われる。
ついでに言うと選挙の投票日でもある。
寒い場所に移動すると夜中にシャワーを浴びるが億劫になる。
だから朝起きてから体を洗うことがあるのだが、
宿の旧式の急騰システムのせいで
最初はなかなかお湯が出て来なかった。
オーナーに言って給湯器をいじってもらわなければ
お湯は使えるようにならなかった。
シャワーをと一緒に洗濯物を済ませ、上の階の日向に干した。
屋上は安全面から立ち入り禁止になっていた。
11時頃になると僕は雑貨をハントしに外へ出た。
町中に柄物の民族衣装を着たぼばちゃんたちで溢れ返っていた。
目立つのはいつもおばちゃんたちだ。
反対にどうして男性はあんな味気ない格好をしているのか気になる。
メルカドの周辺にはいくつか投票状があり長蛇の列ができていた。
それらにカメラを向ける欧米人ツーリストの姿もチラホラ見かけた。
きっと彼らは日帰りでここを訪れたのだろう。
心配していた交通麻痺もないように思われた。
朝食代わりにそこら辺で売られるフルーツの盛り合わせを
5ケツァール(80yen)で買った。
それをつまみながらマーケットを見て回った。
昨日今日と歩いてみて感じたのは、
別に日曜日じゃなくても雑貨は売られているということだった。
ただ、日曜日はいつも以上に賑やかになるという話だ。
まぁ、雑貨目当てでチチカステナンゴを訪れるのであれば、
日曜日がベストということになるだろう。
「サンデーマーケット」と聞いて、
僕はフリーマーケットのようなものを想像していたのだが、
実際はメルカドとその周辺で雑貨が売られているというものだった。
メルカドの周辺では主にアクセサリーや小物を。
メルカドの中では「布」が売られている印象だ。
グアテマラのおばちゃんたちが
日常的に使っている布の柄は実に種類豊富だ。
ここに来る前も『あんなのが欲しいな』と目星をつけていたのだが、
おばちゃんたちがデイリーユースしているのと
全く同じ柄の布というのは見つからないような気がした。
きっとおばちゃんたちの中にもこだわりがあるのだろう。
観光客に慣れた物売りのおばちゃんたちとのやり取りは
なかなかに面白いかった。
そのほとんどの最初の言い値が1.5倍~2倍だ。
ゴネているとスルスルと値段が下がって行く。
「安心してください。穿いてますよ?」
って当ててしまう僕を許して。
ひとつのの場所で値段交渉がまとまって、何かを仕入れると、
歩きながら布を売っているおばちゃんがすかさず営業をかけてくる。
さっきから「おばちゃん」って単語ばかりだな。
だいたい物を売っているのはおばちゃんなのだ。
上下柄物を会わせて、ずんぐりむっくりした体系の
可愛らしいおばちゃんたちなのだ。
このおばちゃんはスリムでしたね。
相棒たちと企画している「旅する雑貨屋”Drift”」だが、
今回は彼らから出資をしてもらった。
おかげで財布の中を気にすることなく、
ガンガンと仕入れることができた。
もちろん値下げ交渉も欠かさない。
いくつか同じ物を仕入れることによって値段を下げてもらうのだ。
値下げが可能なのはここがグアテマラという発展途上国だからだろう。
これがヨーロッパなんかだったら間違いなく表示された金額で
買わなければならない。
もちろん日本で雑貨を売る時は値下げはいたしません。
へへへ。すいませんね♪
僕は三時間ほどマーケットを見てまわった。
期待していたほどポーチはなかったように思われる。
今は雨期だし、雑貨が出回るシーズンみたいのもあるのかもしれない。
ただ、ここで「アツイ!」と思ったのは布だった。
何に使えかなんて考えない。布は使い道が沢山あるし、
そこにあるだけでアクセントになる商品だ。
いくつも布を仕入れる僕は、商業目的と悟られないよう
「友達に頼まれてるんだ」と芝居を打って
和やかなムードで値段交渉を進めた。
ここでは、さも本職の雑貨屋のように書いているが、
本職の人の仕入れはもっと本格的だ。
人によっては現地に発注をかける。
僕のやってることなんて「お遊び」にしか過ぎないだろう。
ただし本気のお遊びだが。
マーケット内をグルグルして仕入れを済ませると、
布やらポーチやら人形やらが詰まったビニール袋で手が塞がった。
僕は雑貨置きに一旦宿に戻った。
『これが女のコだったら
雑貨を買うのに一日はかかるんだろうな』と思った。
男とは雑貨を買うかどうか吟味する時間のかけ方が違うのだろう。
そう考えると、
自分の仕入れた雑貨は他の誰かが手に取ってくれるのだろうか?
と不安になる。
以前会った雑貨屋を開こうとしている日本人の方が
「何が売れるかなんてわかりませんけどね」
と言っていたことを思い出した。
うん。いいと思って買ったんだ。
売れる!
てか、売れてくれ!
宿で
一時間ほど休憩すると、昨日も行ったカフェに足を運んだ。
今日も二階席はがらんとしており、窓が全開になっていた。
投票日で町が賑わっているというのに、すいているだなんて。
地元の人間からしてみても一杯10ケツァールのコーヒーは
高いのかもしれない。
テーブルには四人くらいのグアテマラ人がいた。
きっと投票を終えてきたのだろう。頭には洒落たハットをかぶっていた。
もしかしたらチチカステナンゴの名士なのかもしれないな。
僕はそんなことを思った。
最近旅の活動の内容そのものが薄くなったせいで、
日記がリアルタイムに追いついてきた。
カフェのWi-Fiは今日も遅過ぎて、
ブログのアップなんてとてもできなかったが、
おかげで作業が捗った。
いつの間にか外に雨が振り出し、
マーケットの活気も薄れてしまったように思えた。
19時になると僕はカフェを出た。
「ザーーーーーッッ…」
メルカドで夕食を取ろうと思っていたのだが、
この頃にはほとんどの店が撤収作業に移っていた。
見つけた露店で20ケツァールで定食のようなものを頼んだ。
白米に野菜、厚くてなかなか噛み切れない肉、
最初コンソメのスープか何かだと思って飲んだものは
温かいパイナップルのジュースだった。
グアテマラでは時々この手の
「見かけに反して甘い」食べ物に遭遇する時がある。
こんな国なかなかそうはない。
そりゃ僕だって、メシの前にクッキー喰ったりするけど、
ご飯と一緒に甘い物を食べる(売られている)のは珍しい。
それも功名に隠されているのだ。
口に含むと
『うっわ!何これ!甘ぇ!』
となる。
僕がそのようなリアクションをすると、
近くに座っていた家族がケタケタと笑った。
基本のスタンスは「なんか変なヤツいる~!ウケる~!」
って笑われた方がオイシいと思っている。
出身は神奈川だが、そこら辺は大阪マインドだ。
彼らほどギャグセンスはないですけどね。
夕飯を済ませると、
〆のスナック菓子とマルボロのライトを二本買って宿に戻った。
部屋の外で煙草を吹かしていると、宿のオーナーが
「煙草はキャンサー(癌)になるぞ!お前もキャンサーだ!」
と脅しをかけてきた。
「辞めた方がいいよ」という忠言ではなく8割の脅し。
じゃあこの世は癌患者で溢れているだろうな。
まぁ、30歳までは辞めるつもりだよ。
それにしてもこの町の売店では煙草を扱っている店が
他の町よりも少ないように思えた。きっと嫌煙家が多いんだろう。
テレビでは開票速報のようなことが行われていた。
みていてもつまらなかったのですぐにスイッチを切った。
机の上に置かれたテレビを少し脇にずらすと、寝る前に一本日記を書いた。
日記を書いている間、くしゃみをするか、
鼻水を垂らしているかのどちらかだった。
今日一日でどれだけ”手鼻”をかんだろう?
ずっと鼻水を垂らしていたので、
鼻の下がいくらかかぶれてしまっていた。
鼻風邪ってどう治すんだっけ?と僕は思った。
体調が崩れたら精のつくものを食って寝る。それが僕の健康法だ。
今日はバックパックから寝袋を取り出してそれを使った。
ベッドの上で寝袋に包まっていると
深夜に爆撃のような花火の音が聞こえた。
それはなんだったのだろうか?
グアテマラの政治に対する民衆の決断は、
より良い方向に向かったのだろうか?
その祝砲だったのだろうか?
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シミくん、私もここのカフェ行った〜!
懐かしい…
独立記念日近かったから旗がいっぱいあるんだろうね。
中米横断日記も楽しみにしてるね♪
>まおりさん
チチカステナンゴでカフェって言ったら
ぶっちゃけあそこしかないですよね笑。
あぁ。そうか選挙だけじゃなくて
独立記念日もあったから沢山旗があったのか。
「中米横断編」もお楽しみに☆
まぁ、いつものようにのらりくらりしております。