▷11月12日/ボリビア、ウユニ
ウユニの町にはいくつもホステルがあるが、僕がチェックインした”Marith Histel”はアタリだと思う。
シングル40ボリビアーノ(¥713)。Wi-Fiもあるし、ホットシャワーもある。部屋の居心地のよさもさることながら、スタッフさんたちもフレンドリーだ。いい宿ってのは雰囲気からして居心地がいい。欲を言えば部屋までWi-Fiが飛んできてくれればありがたいのだが…。
ツアーは10:30から始まるので、朝のスタートは余裕があった。
外に出ると町の通りには露店がいくつも並んでおり、ちょっとしたマーケットが出来上がっていた。人通りもある。ウユニにこんな一面があっただなんて思いもよらなかった。
僕は手始めに外の両替屋で$10分だけ両替を済ませて、屋台でニンジンジュースだけ飲んで簡単な朝食を摂った。
10分前にはBrisa Tourのオフィスの前に行くことにした。そこには韓国人の女性が一人だけ待っていた。
時間になってやって来た他のメンバーはカナダ人一人、フランス人女子二人、ボリビア人の老夫婦だった。僕を含めて合計7人。ドライバーはローリーというお兄さんだった。
まず最初に向かったのは「汽車の墓場」という場所だった。
ウユニ周辺の観光スポットはテレビやブログなどでよく見かけた場所だったが、こうして自分が訪れると感じるものが違う。一人ではっちゃけながら、パシャパシャと写真を撮った。
20分ほどの滞在で車は一度ウユニの町へと引き返した。そのタイミングでフランス人女子二人とアルゼンチン人カップルの二人の入れ替えがあった。どういうわけだか分からないけど申し込んだオフィスが異なっていたようだ。フランス人女子は車を降りることにブツブツと不平を漏らしていた。
車は再び町を抜け、20分ほどで次に立ち寄ったのは土産物を売る町だった。僕たちの車の他にも何台もラウンドクルーザーが停まっており、おなじみの土産物が売られた露店を観光客たちは冷やかして回った。
ラパスと比較する限り、ウユニにこれといって珍しい雑貨が売られているわけではない。塩でできたマグネットや置物くらいだろう。付け加えるなら、布の柄が少し違ったくらいだ。
ここも20分ほどの滞在で後にすることになった。
昼食は営業されていない「塩のホテル」で食べることになった。僕は食事をとる前にトイレに行こうと思ったのだが、なんとここでは5ボリ(¥89)を支払わないとトイレを利用することができないのだ。先ほどの土産物を売る町では2ボリでそれでも高いと思ったのだが…
広大な塩湖の上では下水処理なんてできないのだろう。渋々5ボリを支払って用を足した。
昼食は米とサラダと薄い肉のフライだった。ボリビアで野菜が出ること自体が驚きだった。
テーブルを囲んでみんなで話しているとお互いの距離も縮まるような気がした。アルゼンチンのカップルもボリビア老夫婦もいくらか英語が喋れたのがよかった。
一人でツアーに参加したカナダ人はPatagoniaのキャップをかぶっていた。彼はフィッツロイに行きたいと話していた。アルゼンチン人カップルがあれこれと移動手段やオススメの町なんかを挙げる。そういう話を聞いてるだけでも面白かった。
昼食を済ませると、車はどんどん塩湖の中へと走って行った。周りに何もない場所で車は停まった。
辺りは真っ白な大地がどこまでも続いており、その塩の大地が綺麗に六角形に区切られていた。
運転手のローリーは恐竜のおもちゃを使ってトリックアートの写真をを撮ってくれた。さすが何枚も撮っているだけあって慣れた様子だ。写真を撮るのを楽しんでいるのが伝わってきた。
きっと今までに何百枚と同じような写真を観光客相手に撮ってきたんだろう。それなのに、ちっとも飽き飽きしているだとか嫌がっている様子は感じられなかった。写真は一枚だけで終わらず、向こうから「ポーズを変えて!」だなんて指示が飛ぶ。撮ってもらった写真を見るとクスッと笑ってしまうものばかりだった。ベタだけど楽しい♪

そこから一時間ほどかけて向かったのは塩湖に浮かぶ島だった。どうらやここがドライバーたちの休憩地点のようだ。
島には何本ものサボテンが生えていた。「それでは一時間後に集合!」とローリーは言うが、その島の入場料が30ボリ(¥535)もするのだ。貧乏バックパッカーの僕からすると宿代に等しい。それに塩の大地にそびえるサボテン島にはそこまで興味をそそられなかった。アルゼンチン人カップルもそれは同じのようで、僕たちは島の周りをブラブラと歩いて時間を潰した。
夕方になると僕たちは最後のスポットへと向かった。
塩の大地は相変わらずどこまで続いており、もう2〜3ヶ月もすれば辺り一面に水が張るだなんて僕には想像もつかなかった。
車が停まった場所には申し訳程度にいくらか水が張っていた。小高い塩の山ができていた。きっと誰かが辺りを掘って水が溜まるようにしたのだろう。
そこには僕たちの他にもクルーザーが停まっていた。奥の方の一番いいスポットには日本人観光客のグループが既に陣取っていた。
僕たちはプラプラと人口の水たまりの周りを歩いた。まだ日没までにはいくらか時間があった。時間が経つにつれて風が出始め、日が沈む前にアルゼンチン人カップルやボリビア老夫婦たちは車の中へと戻っていった。
僕は夕日が地平線の向こう側に沈むまで辛抱強く待ち続けた。
夕日が地平線にかかると、空は黄金に染まった。あまりの美しさに僕は息を飲んだ。
すかさずローリーが「フォト!フォト?」と僕には尋ねてくる。マジでいいヤツだよ。あとでチップ渡すわ。
撮ってもらった写真を見ると僕は嬉しくて笑顔になった。
自分がそこにいた一瞬を切り取る写真。その一瞬が残ったことが嬉しかった。
夕日が地平線の彼方へ沈んだのを見届けると僕は車に戻った。
車がウユニの町に戻るまでの間、僕はずっと茜色に染まる空を見続けていた。
そろそろ終わりを迎える僕の旅。この二年以上にわたる旅は一体どのようなものだったかを考えた時、それは長い長い映画の中の世界のように思える。こうして今、窓の縁に手をかけ、風に吹かれながら外の景色を見ているこの瞬間も、僕の頭の中では映画のワンショットになっている。
この感覚を漫画にしたい。日本にいる時からそう思っていた。一種の憧れみたいなもので、今でもそれを表現するのは難しいと思う。でも、やる価値はある。日本に帰ったら長い話を描こう。
ウユニの町に戻ると、僕はローリーに「ムーチャス・グラシアス」とお礼をいって10ボリ札を一枚渡した。ローリーは嬉しそうな顔でそれを受け取った。
町のマーケットはまだ賑わいを見せていた。出発は明日だが、コーヒー代くらいは稼いでもいいかもな。
屋台で野菜なしの晩飯を取った後、僕は宿からギターを持って路上に立った。
ラパスと比べ高度が下がったため、自分でも驚くくらいに声が出しやすかった。歌そのものを楽しんでいると、レスポンスが面白いくらいに入った。一時間程度で切り上げるつもりが2時間も歌っていた。アガリはまさかの220ボリ(¥3920)。
宿のスタッフさんに無理を言ってドル紙幣に両替をしてもらった。というのも、ボリビア紙幣はチリ側で両替できないからだ。
ボリビアの滞在は短かった分、密度の濃いものとなった。またいつか来たい。僕にとってはそう思える国だ。
南米旅もラストスパート。次に向かうはチリ。そこからヒッチハイクの旅が始まろうとしていた。
シミくんの今が切り取られている素敵な写真ですね!
文章も良い。
この旅は、きっと良い漫画に繋がりますね。
楽しみにしてます!
>ユキさん
そーっすね。今この僕の頭に描いている感じをいかに100%に近づけて描けるかが課題ですね。
誰かを旅に駆り立てるような、そんな漫画が描きたいっす。
お久しぶりです。
写真のように一瞬を刻める、
漫画楽しみにしてます。
本当にラストスパートに入った感じですね。
いよいよ、フィッツロイですかね?
日記も楽しみにしています。
>たけさん
ふふふふ♪
現在フィッツロイを目指して移動中です。
ヒッチハイクや夜行バス続きで、風呂なし四日目突入なのはここだけの話(笑)
息を飲むような素敵な写真ですね。
涙腺が緩んでしまいましたよ。
>あっきーさん
実はあの写真は「カエルダッシュ」へのオマージュなんです(てっとり早く言えばパクリ)
あと、写真を撮ってくれたローリーがいいヤツだったってのもありますね。自分の想像を軽く超えてきましたもん!
さすがウユニ!
シーズン前でも楽しめました!
最高の写真ですね
いつも心の中で応援してます
毎回のブログ、楽しみにしてます
いつも、ありがとう
これから先も気をひきしめて、旅を楽しんでくださいね
>ひまわりさん
ありがとうございます。その応援届いてますよ〜♪
とりあえず、今は「ツイている」としか思えないです。
まぁ、それはすごくささやかなことで、いいヒッチハイクがいったとか路上パフォーマンスのウケがよかったとかその程度なんですけれど。
旅も終盤です。気持ちよ来る締めくくりたいと思います!
いい写真!
ボリビア楽しめたみたいだね♪
雑貨もかわいい!
残り少しの南米旅、楽しんで!
>まおりさん
はい。もう十分すぎるほど落ちたので、やって来るものは楽しいことばかりでした。
あーーー、できることならもっとボリビア雑貨欲しかったなぁ。ボリビアにはまた来たいですね♪