「ニンジン国とダイコン国のお話」

世界一周413日目(8/15)

 

朝ベンチの上で
目覚めることに

なんら違和感を感じなくなってきた。

IMG_3672

 

 

 

モンテネグロ、
首都のポドゴリツァのバスターミナル。

昨日夜のバスでここにやって来て
そのまま一晩を過ごした。

 

 

最初は自分の野宿の場所を自慢する目的で、
毎回自分の寝床を写真に収めていたんだけど、

(ヒッチハイクなんかした時に
その写真を見せると意外とウケる)

今はそれも僕の習慣になりつつある。

 

 

朝起きて、ベンチを写真に撮る。

もしかしたら「世界のベンチから」っていう
写真集ができちゃうかもしれないな。

 

 

そしてその写真を収めたカメラはその後
盗まれてしまったことは、この時の僕には
知る由もない。

IMG_3692

 

 

 

ただ、今回のベンチには167cmの僕が寝ても
長さが足りないくらい短いシロモノだった。

バックパックをベンチの脇にたてかけて、
その上に足を伸ばして寝やすいように工夫したのだが、
朝起きてみるとなんだか足がピリピリした。

これなら床に寝た方がよかったかもしれない。

 

 

とりあえず、外のトイレへサブバッグと
携帯ウォシュレットだけ持って向かう。

モンテネグロは通貨にユーロを使っている国だ。

0.4ユーロ(55yen)はちょっと高いかなぁと思ったけど、
まぁ、他の国に比べれば安い。

 

 

 

 

さてと、そろそろ出発するとしよう。

僕はバックパックを背負って町へと繰り出した。

IMG_3673

 

 

 

旅で訪れた国の首都は
たいていどこも訪れている。

首都といっても国に寄ってその発展度合いは様々だ。

トルコはアンカラが首都だけど、
発展度合いでいったらイスタンブールの方が首都っぽい。

ヨーロッパの首都だと、
かならず観光地がある気がする。

モンテネグロはどうだろうか?

 

 

 

 

バスターミナルを出てすぐに思ったのは、

『全然首都っぽくない』

ってことだった。

空は曇りも様。一層、寂しさが増す。

IMG_3675 IMG_3676

 

 

 

僕はマップアプリで町の中心地へと向かった。

朝の中心地は人の姿がほとんどない。

そしてそんな物悲しい中心地に突然現れたのは…

 

 

 

 

 

ロボット??!!

IMG_3682 IMG_3683 IMG_3684 IMG_3685

 

 

 

ってかなにこれーーーー!!!

英語で「トランスフォーマー」とか書いてあるし!

車の廃品でできた2m以上あるロボットたち。

ポドゴリツァの町は
一瞬にしてテーマパークに変わった。

 

 

しかも一体だけじゃない。

IMG_3686 IMG_3687 IMG_3688 IMG_3689 IMG_3697 IMG_3699

 

 

町のあちこちに
こんな感じのトランスフォーマーたちがいるのだ。

 

 

 

コイツに至ってはポージングが秀逸。

IMG_3694

 

 

この寂しげな首都が
いきなり僕の童心に火をつけてきやがった!

あぁー、分かったよ。

誰かが言ったんだろうね。

 

 

 

 

 

 

 

「”ポドゴリツァ”
って名前がロボっぽくね?」

って!

IMG_3691

 

 

 

 

だってスターウォーズに
そんな名前のロボでてきそうだもん!

なんでモンテネグロにトランスフォーマーたちが
出現したのか、その真相は定かではない。

僕はニヤニヤしながら
トランスフォーマーたちの写真を撮りまくった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポドゴリツァの町には

いくつもカフェバーがあった。

IMG_3703 IMG_3713

 

 

 

どこのお店でもおっちゃんが
暇そうにしている。前にもこんな町あったな。

僕は町をブラブラと散策したあと、
一軒のカフェで漫画の下描きをした。
IMG_3720

IMG_3722

この原稿用紙も盗まれちゃったのさ。

 

 

 

 

 

4時間くらい漫画の下描きをすると、
僕は今度はマーケットが
集まる場所へと歩いて行った。

IMG_3715

 

 

 

 

西日が建物を照らす。

人の姿はあいかわらず少ない。

これなら昨日いたコトルの方が
人の数が多かったかもしれない。

 

 

スーパーでいつものように食糧を買い込んだ。

IMG_3729

 

 

 

スーパーのスタッフたちは
バックパックを背負った
(前にサブバッグ、手にはギターを持った)僕の姿を見て、
興味津々だった。

たぶん、こんなところに観光客なんてこないんだろうな。

IMG_3733アクセサリー売ってお小遣い稼ぎしてた。

 

 

 

 

手に入れた食糧を近くのベンチでほおばる。

この街には、別の国から来たのであろう、
皮膚の浅黒い自転車乗りたちがいた。

みな一様にママチャリに
牛乳配達をしてそうなカゴのついた
自転車を漕いでいる。

僕と目が合うとその自転車乗りたちは
僕に親しげな笑顔をくれた。

きっと外から来た者同士、
何かシンパシーのようなものが
あるのかもしれないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

もう一度、
中心地へと行ってみよう。

 

 

この寂しげな雰囲気の中で
CARAVANを唄ったら最高だろうな。

同じ道を再び引き返した。

 

 

町の中心地は相変わらず人の姿がなかったが、
自動車の立ち入りが禁止されており、
歩行者天国のようになっていた。

そんな寂れたシャッター街みたいな通り。

DESELのショップ前で僕はギターを構えた。

 

 

 

時々家族連れの姿が見えた。

みんながニコニコしながらコインを入れてくれた。

 

 

19時の夕日が夜なくなり、
町の電灯に灯りが灯るころになると
通りには人の数が増えて来た。

こんなところでバスキングするヤツが珍しいんだろう。

みんなそれがごく当たり前のことのように、
僕のギターケースにコインを入れてくれる。

僕もそれに応じていいパフォーマンスをすることができた。

IMG_3736

 

 

 

途中でやって来た、
小学生くらいのガキんちょが、
20セントコインを僕に見せつける。

『ほら、コイン入れますよ?』

みたいな了承を得るように。

彼は丁寧にしゃがみこんでコインを置いてくれた。

ニヤニヤしながら僕の顔を見るので、
僕もニカっと笑返す。

周りにいた仲間たちと一緒に去って行った。

まぁ、笑われるのもパフォーマンスさ。

 

 

 

 

5分もしないでまたさっきにガキんちょがやってくる。

同じようにニタニタしながら、

「ほら、20セントだぜ?」とコインを見せつけて
ギターケースにかがみこむ。

最初はなにやら両替でもしているのかと思ったが、
僕はすぐにコイツが何をしているのかを理解した。

彼にお金を入れるつもりなんてさらさらないのだ。

お金を入れる素振りをして、
それよりも高い価値の1ユーロコインを
くすねていく姑息なガキだったのだ。

せっかく良いパフォーンスができているのに、
ここで怒って台無しにするのは嫌だ。

 

 

「ほらほら、
お前のやってることは分かってるんだぜ?」

とでも言うようにやんわりと
こすいガキを追い払った。

 

 

 

 

 

また、しばらくしてワルガキがやって来た。

僕に被っていたキャップを投げかけて来た。

いらねえし。

「いや、いらねえからさ」

と苦笑いでワルガキに手渡す。

ワルガキはそれを受け取ると、
さっとギターケースにしゃがみ込んだかと思うと、

片手でむんずとコインを掴んだ。

 

 

「おい!」

 

 

反射的にワルガキのTシャツを掴んだ。

わめきながら、体をよじる。

IMG_3737

 

 

 

 

『あ、なんかTシャツ破けちゃいそう』

 

 

 

 

僕が思ったのはそういうことだった。

ついつい手を緩めてしまい、
ワルガキはダッシュで逃走。

近くで見ていたお兄さんが
ミドルキックを繰り出したが、
残念ながらリーチの外だった。

 

 

 

 

 

バスカーのアガリを
かっぱらっていくヤツがいることは知っていた。

僕もそういう時がないわけでもなかったが、
周りにいた人が制してくれたりした。

 

 

被害、という程でもないが、
コイン泥棒にあったのは今回が初めて。

精神的なショックというよりかは、
なんだかやるせない気持ちになってしまった。

 

 

せっかくいいところだったのに…。

 

 

『せいぜい3ユーロくらだろ?
あれはシャバ代だと思えばいいさ。
気持ちを切り替えていこう!
菓子でもなんでも買いやがれ!』

 

 

 

そう考え方を代えても、
しばらく頭はモヤモヤしたままだった。

かがんでコインを入れてくれる人に対して、
ちょっとだけ警戒するようになってしまった。

 

 

 

 

 

それでも、バスキングは楽しい経験を僕に与えてくれる。

 

 

レスポンスはかなり良い方だった。

最後は「日本人なら柔道や空手はできるの?」

みたいなベタな質問をぶつけてくる
学生の子たちとお喋りをして終了。いいバスキングだったな♪

IMG_3740 IMG_3752 IMG_3744 IMG_3743

 

 

 

 

 

 

町の中心にある水道で僕は髪を洗った。

そんな僕の姿を見て
今度は別の学生たちが絡んで来る。

っていうか爆笑。

 

 

「ひゃっはっはっはぁ~~!
おい!見ろよ!アイツ!
あんなところで髪洗ってるぜ~~~!!!」

 

 

いやさ、そりゃ分かりますよ。

ここは君らの住む町で、僕は部外者ですもんね。

僕も地元の公園で髪洗ってる
外国人みたら引きますもん。

でも爆笑って…。

 

 

「どうしてそんなところで頭洗っているの?」
なんて質問をしてくるヤツさえいない。

数人の軍隊にでも入っていそうな
五分刈りカットみたいなヤツが、
喋れているんだかわからない英語で
一方的に会話の成り立たない質問してくるだけだった。

 

 

 

そんな僕の脳裏によぎったのは

「ニンジンの国と大根の国」の話しだった。

小学校低学年向けのお話で、
ニンジンの国にやって来た一人の大根くんを
ニンジン共は体の色が違うと散々からかう。

大根くんはあまりの不快さから自分の国に戻った。
しつこくそれを追うニンジン3人組。

だが、ニンジンたちが大根の国にやってくると
今度は逆のことが起こったのだ。

どっちもどっち。そんな話だった。

 

 

 

物珍しいんだろね。

それは分かるよ。

 

 

そしてそれをバカにするのもまぁ、理解できる。

別に僕は『マジウゼェ~~~!!!』だなんて思わない。

その精神年齢の低さに『やれやれ』と思うだけだ。

 

 

同時にこの小さな国で生まれた彼らが
どんな一生を過ごすのかを想像してしまう。

笑いたきゃ笑えばいいのだ。

どうせ僕は明日の朝に次の場所へと
行ってしまうのだから。

IMG_3757

 

 

 

 

バスターミナルでアガリの集計をすると
47ドル分のユーロがあった。

盗まれたコイン、シャババ代と考えよう、
も含めて50ドルってとこかな。

 

 

ここのキッズたちには僕がバカみたいに唄って、
町の中心地で髪を洗ったことくらいしか
記憶に残らないだろう。

だが、僕はしっかりとここで人々の笑顔と、
確かなコインを手に入れたのだ。

そういうこと。

 

 

好きなだけ笑えばいいさ。

君が満足ならそれでけっこうじゃないか。だろ?

 

 

 

 

昨日と同じようにバスターミナルのベンチに横になった。

小さなスロットコーナーは
何人か入り浸る大人たちの姿があった。

————————————————
★世界一周ブログランキングに参戦しております。

なんだかんだでモンテネグロの首都が
稼げる町だったとはおもいませんでした。
金曜日だからってのもあったかもしれません。

それに人も穏やかな気がします。
ワルガキのイタズラなんてそんなもんか。
自分も同じくらいの年齢にはそれなりに悪さしてましたもん。

他の周辺国もそんな感じなのかなぁ?
やっぱどこまで行っても世界は世界っすね。

 

バナーをポチしてページの読み込みが完了すると
ポイントが入る仕組みです。

にほんブログ村 旅行ブログ 世界一周へ
にほんブログ村

★Facebookページ「旅する漫画家

★Twitter「Indianlion45」
もよろしくね。

今日も読んでくれてありがとう。


6 件のコメント

    • >だいすけさん

      うぅ…

      前回もトルコでメッセージくだすったのに、すいません。

      僕もめちゃくちゃ、
      だいすけさんのカイサドラム聴きたかったです!
      それと、健康トークも笑

      今回は時間的に
      行けないのです。

    • >JOSANさん

      うっ…!
      ここ数日は描いてません。

      目の前にいる人との
      時間を大切にしたいってのも
      あります。
      デスクワークより、
      旅の密度を濃くする。

      かっこつけました。

      いいわけです。

    • >だいすけさん

      うおっ!マジっすか!
      今ドイツっすか!

      このあと
      9/16までケルン、
      それ以降9/18までベルリンに
      滞在予定です!

      Twitterなんかに
      メッセージいただけると
      レスポンスが早いかもです!

      連絡ありがとうございます!

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です