「イイヤツばっかで嬉しくなるぜ」

世界一周417日目(8/19)

 

そこが絶好の

立ちションスペースだってことが分かった。

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ブルーシートを畳む時に
地面が誰かの小便で濡れていたことが分かった。

 

 

 

げ、元気だして行こう!

ここはハンガリー、ブダペストのハイウェイ前。
起きてすぐにヒッチハイクできる好立地♪

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「Hitchwiki」によると
ここのマクドナルドが車を捕まえるのに
絶好のポイントだということだ。

隣りにはガソリンスタンンドも併設している。

僕がマクドナルドへ向かうと
そこには既にヨーロピアンバックパッカーたちの姿があった。

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彼らはポーランドから来たようだ。

手には「M7」と書かれた
ボードを遠慮がちに持っている。

フランスのアウトドアメーカー
「ケシュア」のわずか2秒で設営できる
円形状のテントを持っていた。
あれ、かさばるけど、便利そうだよね。

 

 

ちなみに「M7」とはハイウェイの名前のこと。
「国道〇〇号」みたいにね。

彼らの予定はちょっとづつ確実に進んでいくものだろう。

今まで、ヒッチハイクのポイントで
人とかぶることはあまりなかった。

何人かのヒッチハイカーに訊いてみたけど、
みんなこの「Hitchwiki」を参考にしているみたい。

 

 

こういう時ってどうしたらいいんだろう?
順番待ちー、かなぁ?

マクドナルドでカプチーノを注文して、
2階席で昨日買ったパンとトマトを
食べながら時間を過ごした。

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さて、彼らはどうなっただろうか?と
ヒッチハイクポイントに行ってみると
既に彼らの姿はなかった。

20分で車をつかまえるなんてー…やるな!

じゃあここって穴場なんじゃ~ん!

っしゃあ!元気元気!げんきで行こう!

 

 

 

 

テンションを上げてボードを掲げた。

過ぎ去っていった車が
速度を落としやしないかと後ろを振り返ると、
別のヒッチハイカーがいた。

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あはははは。
ここはヒッチハイクポイントなんですねぇ。

笑顔で挨拶する。

 

 

え?もしかして、僕、あとからやって来た?

そんな競争心をむき出しにしても仕方ないので、
挨拶をしておくことに。

 

 

「やぁ、君もヒッチハイカーだ。
どこ行くの?ー、って
ウィーンじゃん!
おれもだよ!」

彼の手には段ボールにグリーンの文字で
「WIEN」と綺麗なレタリングで書かれていた。

 

 

「えっと、こういう時って
順番待ちなのかい?」

「や、一緒にヒッチハイクしよう。
その方が捕まるぜ?」

 

 

そう快く二人ヒッチハイクに応じてくれたのは
ハンガリー人の大学生。

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ハンガリー国内をヒッチハイクで
旅したことがあるという経歴の持ち主で、
なんと今回が初めての海外だという。

警備員のバイトをしてお金を貯めたそうだ。
なんか「初海外」って響きがいいな♪

 

 

二人してボードを掲げて、
元気よく車にアピールした。

だけど、ウィーン行きの車はそう簡単に捕まらない。

走っているのはみんなハンガリーナンバーの
「H」と書かれた車だけだ。当然っちゃ、当然だけど。

 

 

 

あっというまに一時間が過ぎっていった。

その間に、別の男女カップルのヒッチハイカーが
「M7」行きの車に乗り込んでいった。

もう一時間が過ぎようとした時に、
別のヒッチハイカーがやって来て、

A4の紙を二枚に張り合わせた
ボードとも呼べないシロモノを胸の前に
ちょこんと出していた。

彼の目的地はスロバキアの「ブラチスラバ」らしい。

 

 

そして、あとからサングラスをかけた
お洒落な二人組の旅行者もやって来た。

二人の目的地はハンガリー国内の湖。
もうヒッチハイクの激戦区だ!

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僕がいままで見てきた中で一番のオシャレヒッチハイカーだ

 

 

 

 

「ブラチスラバ」行きの
バックパッカーの前の車が止まる。

「オゥッ!シット!」と僕の相方が言った。

ブラチ行きのヤツが僕たちに声をかける。

 

 

「この車ウィーン行くってよ」

いいヤツ!

 

 

だって、途中まで同じ
道乗りなんだぜ?それを譲ってくれるなんて!

 

 

「だけど、
ひとりしか乗れないみたいだ」

おおぅ!

 

 

せっかく2時間も一緒に
ヒッチハイクしてきたハンガリー大学生くん。
どうせなら一緒にウィーンに行きたい。

 

 

「ど、どうする?」

「いいよ。君が乗りな」

いいヤツだぁぁぁぁぁぁあああああ!

 

 

 

「あ、ありがとう!」

僕はありがたく彼らに
順番を譲ってもらうことにした。

君をここに残しておくのはちょっとツラい。

が、頑張れよ。

 

 

少し寂しい気持ちになった。

まぁ、

『僕はここで野宿してたし、
まぁ、優先順位的には上っしょー』

と思ったのもある。

いずれにせよ、ありがとな♪

 

 

 

 

 

 

 

運転手は
フランス人だった。

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オトワンはスイスやイタリアを
ワゴン車で一人旅していた。

「ハンガリーで車の調子が悪くなっちゃってね」

車は時速100km以下でないと走れないようだ。

オトワンは何度かパーキングエリアに入っていって
車のボンネットを開いて点検していた。

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対する僕はあまったハンガリー・フォリントで
お菓子や飲み物を買ってオトワンとシェアした。

いつも思うけど、やっぱり
ヒッチハイクは誰かの親切があって
できることだと思う。

 

 

今回もハンガリー大学生の彼や、
ブラチスラバ行きの彼が僕に譲ってくれてたってのもある。

きっとお金ってこういう時に使うんだろう。

オトワンは「いいよ、いいよ」と遠慮していたが、
1.5リットルの炭酸水を受け取ってくれた。

 

 

 

 

 

車内は特にこれと言って会話はなかった。

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オトワンがそこまで英語を喋らなかったってのもある。

僕はiPhoneからJack Johnsonの
「In Between Dreams」をかけた。

オトワンの持っていたコードを使って、
カーステレオからサーフミュージックを流す。

 

 

2005年のアルバムだ。

黄色い背景色にまるで絵みたいな
シルエットのジャケット。

オトワンは「これ、いいね♪」と言って、
リズムに会わせてハンドルをタップした。

オトワンはこのままオーストリアを
抜けてフランスへ戻るらしい。

 

 

 

 

僕はウィーンの20kmくらい手前で
降ろしてもらうことにした。

ハイウェイの出入り口でマクドナルドを見つけ、
そこでお別れを言った。

荷物を車の外に降ろすと、
オトワンと僕はハグをしてお別れした。

 

 

すごく自然なハグだった。

「いい音楽をありがとうな。
一人だったら寝てたかも」

そんな風にドライバーさんからお礼を言われると、
僕もこの人の車に乗れてよかったなと思う。

マクドナルドで何も注文せずに、
外の喫煙席でタバコを一本巻くと、
バックパックに入ったプラムをかじりながら、
調べものをして、オーストリアのマップを
ダウンロードしておいた。

 

 

 

 

 

さて、またここからヒッチハイクだな。

地図を見ると、少し歩けば駅に行けそうだったが、
せっかくここまできたんだ。
最後までヒッチハイクで行きたい。

ハイウェイ前は車の停まるスペースがなかったので、
僕はマクドナルドの前でヒッチハイクをすることにした。

 

 

 

だけど、車のレスポンスはよくない。

首都のウィーンまで20kmもないのに、
止まってくれそうな気配を感じない。

やっぱり都心に住む人間の心は
プライベート領域の拡大によって、
閉ざされてしまっているのか?

10分が経とうとしていた時に、
マクドナルドのパーキングエリアに
停まっていた車から声がかかった。

 

 

「ウィーンまでだろ?乗せて行ってやるよ」

 

 

そう声をかけてくれたのは、
年期の入ったベンツに乗った
ストリート系のお兄さん、ベンだった。

話てみた感じでも、ちょっと固そうな印象を受けた。

軽く自己紹介をして、自分の旅のプランを話す。

自分は旅する漫画家で、旅を題材にした
漫画が描きたくて色々な国を訪れているのだと。

 

 

「漫画を描くためには
資料として写真が必要なんだけど、
レンズが壊れてしまってね、
新しいものを買わなくちゃいけないんだ。
でも、ハンガリーのバカ高さといったら…」

「あぁ、じゃあおれのいらないレンズを君にやるよ」

っていいヤツ!!!!!

「えっ?はっ?ほっ?
え?くれるの?いいよいいよ!
“買う”よ!どうして必要ないのさ?」

「だっておれはもっと良いの持ってるから」

 

 

 

 

ウィーンの中心地で僕は降ろしてもらった。

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1時間後にベンと同じ場所で待ち合わせをして
ベンは自宅へと戻って行った。

荷物を下ろして急な展開にポカンとする僕。

れ、レンズが手に入る???
それもタダで???

 

 

一体この世の中が
どういう仕組みで回っているのか分からない。

たかだか20分程度のドライブで
乗せたヒッチハイカーにレンズなんて渡すか?

とりあえず時間をつぶすために
ウィーンの中心地を適当にぶらついた。

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ここは立派な観光地だった。

「THE ヨーロッパ」
とでも言っていいかもしれない。

歴史ある建物が観光客のために
綺麗に整備されている。

 

 

なんだかバスキングやったら
稼げそうな気がするな。

とも思わなくもなかったが、
ベンの話によると年々路上パフォーマンスに
対する規制が厳しくなっているそうだ。

許可証がないと演奏できないらしい。
まぁ、ここまで観光地化されているもんな。

 

 

スーパーでいつもの食糧を買い込み、
ベンとの待ち合わせ場所へと向かった。

車に乗ってやって来たベンは
「ここは警察が厳しいから」と
路上駐車できるところまで行き、
そこでレンズを僕に渡してくれた。

Canonのレンズを二本。
30mm~70mmの単焦点と
25mmのズームできないやつ。

どちらも古い型のようだった。

 

 

「あ、ありがとう!
でもタダでもらうのは悪いよ!
お金払うよ。50ユーロ…でいい?」

「何言ってんだよ?
お金はいらないよ。
おれもやっと貰い手を
見つけることができたんだ。
君が嬉しきゃ、僕も嬉しいさ♪」

 

 

ベンの友達はその古いレンズを
誰も欲しがらなかったそうだ。

ちなみにベンは日本で買ったら
15万くらいしそうな一眼レフを使っていた。

そんなベンに僕もお返しで名刺を描いた。

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合計でわずか1時間も一緒にいなかった。

それなのになんで僕は今カメラのレンズを
手に入れることができたんだろう?

 

 

僕出来るのは形だけの感謝だけだ。

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レンズを手に入れた僕はWi-Fiにありつきに
マクドナルドへと向かった。

ここまでお疲れの意味で
巻きたばこじゃないアメリカンスピリットを
7ドル以上も払って買った。

それを吸っても、
日本で吸ったアメスピは思い出せなかった。

 

 

とりあえずカプチーノを注文し、
Wi-Fiを使おうとしたが、
どういうわけかここのマクドナルドは
無料のWi-Fiが使えなかった。

時々考えるよ。
こんなに安い商品を提供して、
タダでWi-Fi使えちゃや
浮浪者とか長く居座るヤツ
出て来るよなぁー…って

 

 

おれだよ。

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キーボードをパタパタ叩き、日記を書いた。

23時になると、マクドナルドを後にし、
カメラの練習をしながら寝床を探した。

 

 

 

どこかの公園でオーケストラと
観客の歓声が聞こえた。

野外映画祭の会場脇にある公園、
そこにあるずらりと並んだベンチが僕の今日の寝床。

ヨーロッパもずいぶんと気温が下がって来た。

歯磨きを済ませると
patagoniaのアウターを着て寝袋に入った。

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