「ホームステイは気を遣う」

世界一周709日目(6/8)

 

 

少しだけ

早起きするとパソコンを広げて日記を書いた。

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旅が楽しければ楽しいほど
日記は書けなくなっていく。

いや、僕はすっぱり割り切ってしまっている

 

 

「旅を『楽しい!』と思ったら
日記なんて書かずに楽しんじゃえ」

と。

 

 

まぁ、そんなわけで
今日も日記の執筆に追われる。
誰かに頼まれたわけでもないのにね。

まぁ、書くこと、記憶を留めておくことは大事。

 

 

 

ここはアメリカ、サンフランシスコ

シカゴで会ったジェイ(とその彼女)の家に
居候をさせてもらっている。

 

 

 

今日は朝早くから仕事があるのだというテイラーが
パタパタと支度をしているのが分かった。

「いってらっしゃい」と英語でなんて言うんだろう?
と考えている間にいつのまにかテイラーは家を出ていた。

反対に日曜日の昨日働いていたジェイは休日のようだ。
この日は遅くまで寝ていた。
フリーランスって何やってるんだろう?
訊いてみたけど、イマイチよく分からない。

 

 

「テイラーは働いているからさ、
ちゃんと彼女が帰ってきた時にご飯を作っておかないと
叱られちゃうんだよ?」

と冗談めかして言っている。

 

 

『ヒモか??!!!』

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一瞬そう思ったが、彼はそんなヤツじゃない。

出張が多いのだ。
二日後もロサンゼルスで仕事があるのだとか。

 

 

 

 

 

 

今日はパタゴニアの主催するビーチの清掃に
僕は行ってみることにした。

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ジェイも出張のミーティングがあるのだというので、
12時に家で待ち合わせをして、
僕はビーチ清掃の待ち合わせ場所へと歩いて行った。

家から歩いて3分ほどの距離にある
General Store」という雑貨屋さんの前が集合場所だった。

 

 

参加者は一目で分かる。

みんなそれぞれお気に入りのパタゴニアの服や鞄を
持っているからだ。
そういう僕もパンツにはロゴマークがある。

 

 

 

時間になるとジェネラル・ストアの中庭へと案内された。

テーブルには菓子パンが並べられており、
コーヒーが無料で飲めた。

僕はさっき近くのスーパーでベーグルを食べてきてしまっていた。

コーヒーと各菓子パンを一切れずついただくと
食い意地を張るものだから少し気持ち悪くなった。

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ビーチ清掃のオーガナイザーである
クリスティーンとお喋りをする。

なんと今回がビーチ清掃が行うのが初めてらしい。
ラッキーじゃないか!

 

 

 

時間が経つにつれて中にはへは
参加者がぞくぞくと集まって来た。

テーブルにつき各々に自己紹介して
お喋りを楽しんでいる。

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僕は完全に人見知りの状態にあった。
もう誰と話せばいいのかわからない。

周りを観察して思うことはどれだけ人が集まっても、
喋るのは一対一だし、一度出来上がってしまった既存の輪に入るのは
難しいということだった。

まぁ、今はそれに居心地の悪さを感じる必要はない。

僕の目的はビーチ清掃に参加することだし、
喋るきっかけがあれば喋る。ただそれだけだ。

 

 

『いや、ほら、さ、そうだよ。

ビーチ清掃をきかっけに
楽しいひと時を過ごせるだなんて
最高じゃないか?
これならまた参加したいっていう人もいるかもしれない。
うんうん。素敵じゃないか?』

 

 

最近物事を別の視点からも見れるようになった気がする。
「それもありだよね」って。

この考え方は多様性を認めるのにすごく大事なことだと思う。
想像力がなくてはこの考え方はできないだろう。

 

 

 

 

 

集合時刻から30分が経って、
クリスティーナからみんなへアナウンスがあった。
お喋りに夢中になった人々の注目を集めるのには少し時間がかかった。

ビーチへ歩いて行くとそこにはテーブルが置かれ、
赤いバケツがいくつも積み重ねられていた。

これから1時間かけてビーチ沿いに落ちたごみを拾って行くらしい。

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参加者は各々手袋をはめたり、
サンダルを脱いだりしてビーチを歩きだした。

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少し歩いて僕が思ったことは海岸線にはごみは
ほとんど落ちていないということだった。

僕はおとといジェイと近くを歩いた時に、
茂みにごみが落ちているのを思い出したので、
そちらを攻めてみることにした。

思っていた通り、そこにはダンボールから空き瓶、
飲食物のごみがチラホラと落ちている。
ここで野宿するヤツらが捨てていったのだろう。

ごみを拾い集めているとすぐにバケツの中は一杯になった。

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後ろからやってきたパタゴニアのスタッフの持つ大きなビニール袋に
ごみを移し替えてまた落ちているごみを拾い集めて行った。

時間はあっという間に過ぎた。

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僕はジェイとの待ち合わせの約束があったので
20分前には抜けさせてもらうことにした。

クリスティーナは「参加してくれてありがとうね」と言って
20%割引のクーポン券を僕にくれた。

 

 

 

家に戻るとジェイは先に戻って来ていた。

「よかったら景色のいい場所まで連れて行ってあげるよ?」
と言ってくれていたのだが、僕はひどく眠たかった。

「30分だけ昼寝させて!」とお願いして
1時間以上も寝てしまった。

というか、ジェイもどこか疲れたそうな感じだった。

僕が昼寝から起きるとジェイは今日の予定を僕に訊いてきた。

 

 

「いや、いつもと同じだよ。
サンフランシスコのまだ行ったことのない場所を歩き回るよ。
どこかオススメのカフェとかがあるような場所って知っている?」

「ふむ。それならそこまで来るまで送ってあげるよ。
いいカフェがあるんだ♪」

「ジェイは今日どうするの?」

「おれはそのままサーフィンに行くよ。
今日はいい天気だしね♪」

 

 

 

外に出て3ブロックほど進んだ辺りに
「Worn Wear」と書かれた年季の入ったトラックが停車してあった。
シカゴで会った時とは別の車だ。
助手席に乗り込むと古い車の匂いがした。

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エンジンをかけるのに少し時間がかかり、
ゆっくりとオンボロトラックは走り出した。

窓を開けると気持ちのいい風が中に吹き込んでくる。

あぁ、やっぱり旅っていいな♪

「もしパタゴニアのファンがいたら
『Worn Wearだ!!!』ってびっくりするかもね♪」

なんて冗談を言ってオススメのカフェがある場所まで送ってもらった。
今日も帰るのが遅くなるかもしれないから
21時頃に帰るねと先にジェイには伝えておいた。

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ミッション地区

のバレンシア通りというところに僕はいるらしい。

 

 

目の前の「テイラー・スティッチ」という
カリフォルニア初のアパレル店にはスタイリッシュで
丈夫そうなジーンズやお洒落なカジュアル・ウェアが置かれていた。

しっかりとしたブランドだけあって値段は安くはないが、
日本で買ったらもっとするだろう。

一瞬買おうかと思ったが、
「これが今必要か?」と自分に質問すると、
「今はいらない」とすぐに答えが出て来た。

そうだ。今の僕には必要ない。

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Four Barrels Coffee(フォー・バレルズ・コーヒー)
という隣りのカフェがジェイのオススメのカフェだった。

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カフェというより、また別の空間のように思える。

天井は広く、偽物だとは思うがシカやブタの首の剥製がかかり、
アナログレコードで音楽がかかり、
コーヒーの香ばしい匂いが店内に充満している。
そして店の半分側ではコーヒー豆が焙煎されているのが分かった。

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き、きっと変顔で応えてくれたんだと、思う。

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もちろん一番安いコーヒーで3.5ドルもする。

だけど、こうしてオリジナルのカフェに入るのも勉強の一つだ。

カウンター席でマグに入ったコーヒーをすすりながら日記を書いた。

Wi-Fiがない方が作業が捗る。
15時くらいまでそこで日記を書いて
僕はミッション地区の散策をはじめることにした。

 

 

 

 

 

 

ミッション・ストリート
はメキシコ人地区でもあった。

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メキシコ人だけではなく、中国人や黒人も多く、
先進国にいながらどこか汚く荒っぽい印象を受けた。
東南アジアやアフリカなどの途上国を思い出す。

みんな元気にたくましく生きているのだ。

ここで売られているものは基本的に他の場所よりも値段が低かった。
僕はちょこちょこと買い食いをしているしているうちに
お腹が一杯になってしまった。

 

 

ミッション・ストリートの端まで行き、
引き返すようにして今度はバレンシアストリートを
歩いてみることにした。

ここはどちらかと言えば白人向けのお洒落な店が多い。
ストリートを移っただけでこうも特色が
変わってしまうのは面白い。

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ここで僕が気に入ったのが本屋だった。
ここでも「ZINE(ジン)」が売られていたのだ。

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ZINEとは大手出版社を通さない
個人で出版する本のこと。自費出版か。

手に取って思ったことはさすが、サンフランシスコだ。
ZINEのレベルも高い。
中には40冊以上続いているZINEも売られていた。

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上の写真が40作以上もあるZINE。

 

 

 

本屋の他にも
魔女専門店やインテリアショップが
バレンシア・ストリートにはあった。

雑貨好きにはたまらない。

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僕はジェイの家に戻ろうかどうか迷っていた。

時刻は18時。夕飯に間に合うかもしれないが。
腹は減っていない。

21時には帰ると言ってしまっている。うーーむ。

 

 

 

 

カフェに行くのもお金がもったいなかったので
セーフ・ウェイへ向かった。

併設されるスターバックスの前でWi-Fiにつなぎ
メールをチェックすると、ジェイから連絡が来ていた。

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「悪いんだけど、
テイラーの友達が急に泊まりに来ることになったんだ!
庭にテントを立てておいたから!安心してくれ!」

 

 

はははは…。

 

 

「何を言ってんの!
おれはバックパッカーだぜ?ヨユーだよ!」

とメールを返信したものの、
『どんだけ気を遣ってるんだよ?』と心の中で苦笑いをしていた。
意外と気にしてないかもね。

 

 

セーフウェイの店内にあるテーブル席に何もかわずにつくと、
サブバッグにいつも入れてある「ノルウェイの森」の上巻のページを
パラパラとめくって時間をつぶした。

そして頃合いを見て路面電車に乗ってジェイの家まで帰った。

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「あー、シミ、
やっぱり友達は予定通り明日泊まりにくるそうだ」

「な、なんだよぉ..」

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庭にはちゃんとテントが張ってあった。
白いビニールの軽くて防水性もしっかりしてそうな
ジェイのテントだった。

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今日もジェイたちとお喋りをして夜を過ごした。
外はいくらか肌寒かったので、
室内で寝られるのはありがたかった。

ジェイが製作に協力したという
「PAPER SKY」という雑誌を読ませてもらった。
日本人向けに書かれた雑誌だったが、販売数は少ないらしい。
読んでみるとかなりワクワクさせてくれる雑誌だった。

中に収められていた
エイミー・ベンダーの「アメソカ」という短編集
を読んで寝た。

 

 

今日もいい一日だった。おやすみなさい♪

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2 件のコメント

  • アフリカあたりから読ませてもらっています。カナダ・アメリカとほぼヒッチハイク・野宿で旅したことにしみさんのたくましさを感じます。自分も仕事の合間に短期で旅する、しがないサラリーマンパッカーですが、若い頃に世界一周をしてみればよかったと、後悔しています。まあ、仕事を辞める勇気がないへたれなんですが・・・。
    これから、しみさんが行くであろう中南米は最高に面白いです。特にグアテマラ、メキシコ、コロンビア、エクアドルはセンスのよいカラフルな雑貨が満ち溢れています。(ペルー・ボリビアは観光客用で質があまりよくない印象)人も陽気でラテンののりでバスキングや大道芸もうまくいくと思います。できれば中南米だけで1年ぐらいかけてゆっくりと旅してもらいたい場所ですが・・・
    一点だけ。余計なお世話かも知れませんが、旅行保険には入っておいたほうがいい。中南米は風土病の宝庫ですし、僕自身以前グアテマラでデング熱にかかったことがあるので・・・

    De todas formas, buen viaje!

    • >takashiroさん

      いつも長ったらしいブログに
      お付き合いいただきありがとうございます。

      世界一周は夢、というか義務というか?使命?だったんですよね。
      「旅を題材にした漫画が描きたい」がために経験不足でジレンマを
      抱えていましたから。

      それに
      やらなかったら生霊になって今旅しているヤツらを呪い殺すくらい
      僕は後悔するだろうなって分かってました。

      大学の時はたとえ短期でも旅から帰ってきて
      「東南アジアの〇〇はさぁ〜!」って他の学生を羨ましく思ったものです。
      『おれの方がバイトを頑張っているから!』
      なんて意味のない理由をつけて心の中では自分を肯定化していたけど
      あれほど意味のないものはなかったな。

      もちろん長期の旅はリスキーだし、
      帰国後にどうやって生きて行くのかを考えていかなきゃなりません。
      僕もまだまだ明確には決まってないんですけど、
      やりたいことはけっこうあります!

      あと、そうだ。
      諦めたことはけっこうあります。

      ・長生き:漫画家を志した時点で「60まで生きられれば上等!」って悟りました。
      ・安定:人生一度っきり。漫画家って言った時点でリスキーです笑。
      ・他の人と同じ:である必要はないけど、僕だって結婚だとか仕事や税金が
      どうこう言っている友達を見ると焦ります。時々ですが。

      南米を以前旅されたようで、
      そんな先輩から「最高に面白いところです」などと言葉をいただくと
      非常にワクワクさせられます。

      旅の資金ももう残り少ないので、38万くらいかな?
      何かトラブルがあったらそく終了です!
      (保険も半年前に切れちゃいました)

      あとは運次第です。

      御心配なく。ここからはヒッチハイクも野宿もないと思います♪

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