「まずはホンジュラス!」

世界一周804日目(9/11)

 

 

深夜4時。

一睡もせずに夜を過ごし、余裕を持ってパッキングを終えた。

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部屋の外に荷物を出しているとスタッフが
ちっとも眠くなさそうな顔で部屋の外に出てきた。
きっと夜番でこの時間に行動することに慣れているのだろう。

それにしてもなんでこんな日も昇らぬ朝早くから
出発しなければならないんだろう?

まぁ、その分一日の活動時間が延びるのでいい事はある。
それに車の中でたっぷり寝れるだろう。

 

 

ここはグアテマラ、アンティグア
これからシャトルバス(と言うなのワゴン車)に乗って向かうのは

ホンジュラスだ。

中南米南下計画。第1日目

 

 

 

 

 

バスは10分ほど遅れてやって来た。
どういうわけだか名簿には僕の名前が載っていなかったが、
チケットを見せると運転手はそのまま僕を車に乗せてくれた。

中には欧米人らしき女のコが一人、運転席の後ろの席に座っていた。
僕は後ろの方の席に着いた。

シャトルバスはアンティグアの町をぐるぐると周り、他の客を拾っていった。
同じような町並みなので角を三回くらい曲がると、
今自分がどこら辺にいるのか分からなくる。

アルゼンチン人(たぶんそうだ)のカップルが僕の前の席に座った。
こんな朝早くからイチャつき始めたのを見て、
僕はため息をついた。黙って乗ってろっつーの。

僕はすぐに寝ようと思ったのだが、
どういうわけだかなかなか寝付けなかった。

 

 

 

 

アンティグアの町を出ると車の速度は一気に上がった。

僕はイヤホンを耳に突っ込みMONOEYESを聴いていたのだが、
いつの間にか眠っていた。

そこから起きたり眠ったりを繰り返した。
四時間ほど走って車はどこかのガソリンスタンドで止まった。

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外に出ると気温は一気に蒸し暑くなっていた。

僕は車を降りるとガソリンスタンド併設の売店で
煙草を一本と菓子パンをあまったケツァールで買った。

僕以外の乗客は売店にあるテーブルで各々食事を摂っていた。
みなスペイン語が話せるので言葉には全く苦労していないようだ。

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20分ほどの休憩を挟んでシャトルバスは再び走り始めた。

他の乗客たちは和気あいあいとスペイン語で
ぺちゃくちゃとお喋りをしている。

僕はイヤホンを耳につっこむと
音量をフルボリュームにまで上げて目を閉じた。

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昼頃にグアテマラの国境に到着した。

そこで余ったケツァール三千円分を
ホンジュラス・レンピラに両替しておいた。

出国のスタンプがあっという間に押された。
反対にホンジュラスの入国は地味に時間がかかった。

 

 

自分の順番を待っている間は特にすることがないので、
前にいたアルゼンチン人(仮)の女のコの後ろ姿をずっと眺めていた。

ショートカットで身長は160cmくらい。
下はゆったりとしたパンツにビーチサンダル。
わずかに腰回りの肌が見える短いタンクトップを着ている。
背中に金色の毛が生え、左肩にヤモリ(だと思う)のタトゥーが入っていた。
なんでそのデザインを選んだのか気になる。

彼氏の方は僕よりちょと背の高い短髪のヤツで、Tシャツにハーフパンツ。
彼女と同じようにビーチサンダルといった出で立ち。
二泊三日の小旅行ができそうな大きなデイパックを背負っていた。

その前に今朝方僕より先に車に乗っていた女のコが立っている。
身長は150ちょとだろうか?上はヒラヒラとした服で
デニムのショートパンツといった格好。
『その声どこから出してるんだ?!』と気になるくらいに
高い特殊な声をしていた。
パスポートはロシアで見たような文字が書かれていた。

他の乗客は男二人。
見えていても面白しろくないデニムにTシャツといった格好。
持ち物の少なさから現地人のように思えた。
どちららも180cmくらいの長身。

彼らの話し振りを聞いていると。
本当にスペイン語って色んな国で話されているんだな
ということが分かる。

 

 

やっと自分の番がまわってきた。
入国税にアメリカドルが必要と聞いてきたが、
ホンジュラス・レンピラで金額を提示された。3ドルほど。

 

 

 

世界一周53カ国目。ホンジュラス、入国だ。

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道路は

かなり整った印象を受けた。
車の速度を落とさせるための隆起が時々あるくらいだ。

外に広がっているのは緑豊かな山々だが、
国境をまたいだだけで微妙に印象が変わる。

前のヤツらのお喋りやいちゃつきがうざったいので、
僕は再度イヤホンを装着。

好きになれないヤツっているんだよ。

 

 

今は心にゆとりがない。きっと金がないせいだろう。

自分の計画では1月に南米を出たいと思っていた。
それで月にかかる予算を計算すると
2万五千円という数字が叩き出された。おいおい。
それってかなり絶望的じゃね?だって移動とかもあるんだぜ?
常にバスキングしてなきゃ無理っしょ?

いったい何度

『相棒がポリスレポートを見つけてくれさえいれば..』

と思ったことだろう?

いったい何度

『雑貨に30万も使ったからこんなに貧窮してるんだ』

と思ったことだろう?

そしてほんの少しだけ、
ブログを読んでくれているらしい母親の妹のタイちゃんの
「少しお金出そうか?」という申し出を受けていればよかったと
後悔したことだろう?

いや、バスキングで南米を旅しているヤッケン兄さんは
三万円で旅をスタートさせたんだ。
それに比べたら全然あるじゃないか!

 

 

 

 

 

コパン・ルイナスという国境に近い町が今日の目的地だ。

国境を越えてから一時間で到着した。
調べていた宿まで車が行ってくれたのは有り難かった。

HOSTEL BERAKAH

というのが宿の名前だ。
ドミトリーで150レンピラ(824yen)。
狭いドミトリーに二段ベッドが二台。普通のベッドが一台。
そして扇風機が置いてある。

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ドミトリーのある二階にはハンモックの設置されたあるバルコニー。
Wi-Fiは早い方だった。

宿のおばちゃんは英語の喋れるフレンドリーな人で、
僕が漫画家だというと似顔絵をリクエストしてきた。
「この写真の私を描いて!」
とわざわざ自前の写真で指定してきたのが可愛らしい♪

チップというわけにはいかないが、
次の町までのバスチケットを2ドル安くしてもらった。ふふふ♪

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さっそく僕は外を歩いてみることにした。

ATMでお金を下ろそうかと思ったのだが、すぐにその考えを取り下げた。
手にはギター。やることはひとつしかない。どんな町でも、だ。

 

 

宿からすぐのところに公園があった。
人々が日陰でのんびりとまどろんでいる。

 

 

 

「よし。いっちょやってみるか」

僕は日差しの下でギターを構えた。

 

 

レスポンスは驚くくらいに薄かった。
公園という立地で人の行き交いが少ないということもあった。
目の前を通り過ぎる人は一瞥をくれるがニコリともしない。
これがグアテマラだったら人垣できてんぞ!
ホンジュラス!どうなってんだぁっ?!

レスポンスの薄さに比例するようにここは蒸し暑かった。
まるで日本の八月だ。湿度でここまで不快になるなんて。

ジーンズの内側は気持ちが悪いほどに汗をかいていた。

 

 

5曲目にさしかかるとようやくレスポンスがあるようになった。

英語の喋れるおっちゃんが
「金はないが人を呼び込むことはできるぞ!」
とサクラをやってくれてからは
ウケのいいパフォーマンスをすることができた。

セールスをかけて似顔絵を一枚描いた。
眼鏡のおっちゃんは100レンピラ(549yen)札を入れる代わりに
ガンガンと他の札を抜いていったので、
思わず僕は泣きそうな顔をしてストップをかけた。
大体いつもくらいの値段で売れたってことだろう。

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「はっはっは!これがワシかよ!」って顔は嬉しがってるやん。

 

 

似顔絵を描いたおっちゃんは
「ギターを貸しれくれ!」と頼んできた。
「プリーズ!」とは言っていたものの、口調はかなり強めだった。

眼鏡のおっちゃんはスペイン語でボブ・ディランのカバーをやり始めた。
人垣は依然として残っていた。
僕は足に装着するタンバリンと卵型のプラスチックのマラカスで
合いの手をいれた。

一曲で終るかと思いきや、
おっちゃんはぶっ続けで3曲くらいやっていた。
人前で唄う気持ちよさに酔いしれたのだろう。

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そしてギターが戻ってきたのと同時に
回りの人々はドラゴンボールのように四方に散っていった。
そ、そんな…。

だが、1時間ちょっとのパフォーマンスで得たアガリは
160レンピラ(878yen)だった。

 

 

『これなら中米の旅も行けるのではないか?』

と僅かに希望が見えた気がした。

 

 

 

 

 

僕はバスキングを終えて
コパンの町歩きを再開することにした。

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この町はツアーや遺跡があるようだが、
僕は行かない(行けない)だろう。

歩いてみるとコパンの町はかなりちっぽけだということが分かった。

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奥の子すっげえ体勢で自転車乗ってる!

 

 

体が汗まみれで気持ち悪かったので、
僕はシャワーを浴びに一旦宿に戻った。

二時間ほど昼寝をして涼しくなってきた17時に目を覚ますと
再び先ほどの公園に向かった。

ただでさえ日中は人々があまりいなかったのに、
夕方になると公園は一層寂れた感じになった。

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ギターをポロポロと弾いていると、
片言の日本語が喋れるトニーさんというおじいさんが
似顔絵のリクエストをしてくれた。

何もなしに去ろうとするので泣きそうな顔で
「ち、チップはないんでしょうか?」と尋ねた。
渡されたのは10レンピラ(50yen)。

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髪の毛多めに描いたのに..。

 

 

引き続き唄い続けたがレスポンスは
さきほどの4分の1くらいにしかならなかった。

まぁ、食費が賄えるだけでもありがたい。

 

 

 

 

夕飯は屋台で170円ほどの定食を食べた。

ボンジリ(鳥のしっぽの部分)が
まさかホンジュラスで食べられることには驚いた

味もなかなかだった。

日本帰ったら絶対に串焼き屋行こうと思う。
誰か連れてってくれることを願うばかりだ。

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夜になると人々は外に出てきたがように思えたが、
バスキングをする気にはなれなかった。

これから外で唄う毎日になるのに、声をつぶすわけにはいかない。

それにバーが音楽を流し始めるので唄えそうな場所がなかった。

ガットギターを持ったドレッドヘアの男がいたが、
彼はレストランで唄っているようだった。

 

 

『スペイン語が話せれば..!!』

一日に10回くらいは同じことを思っている。

 

プラプラと辺りをコパンの町を歩いたのだが、
どうせ行く場所も限られている。結局僕は宿に戻った。
そのタイミングでスコールが降り出しので、
引き上げ時だったのだと思う。

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二階の

バルコニーで雨の音を聞きながらハンモックに揺られていた。

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ハンモックも使ってみるとその良さが分かった。
腰に負担がかかるように見えて実はその逆らしい。

目をつむるとハンモックの揺れをかすかに感じる。
ただただじっとしているだけで心地よかった。

 

 

そしてどこか心がギュツとした。

不安なのだ。この先旅を続けていけるか。

 

 

 

ひさしぶりに一人でビールを飲んだ。

30レンピラで150円ほどした。飲みたい気分だった。

アルコールに酔って、あの頭がボワボワした状態になりたかった。

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瓶ビール片手に雨上がりの夜の町をふらついた。

つまみ代わりにおなじく30レンピラのスナック菓子を買った。
なんだかんだで金を無駄につかってしまっている..。

 

 

宿に戻ると日記も書かずにベッドに横になった。

何もする気になれなかったし、明日の早朝にここを発つからだ。

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たぶんそろそろ相棒のまおくんが更新します!


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