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昆明(kunming)から
バスに揺られること7時間。
僕は元陽(yuanyang)にたどり着いた。
ここにやって来たのは
棚田が見たかったからだ。
去年、世界一周の資金集めのために
バイトにあけくれるかたわら
漫画を描くための
資料として入れていたアプリ
fotopedia
の中国版
(なぜか中国だけは異常に充実している)
で見つけた美しい棚田をこの目で
見てみたかったからだ。
ガイドブックや旅ブログによる
ネタバラシ的なその土地の紹介に
反感を持っていなくもない僕は
(まあ人それぞれだよね)
どういうわけか
このアプリで知った元陽の
風景だけは素直に
『見てみたい』
と思えたのだ。
——————–
昆明駅のバスターミナルから
5元で元陽行きのバスが出る
大型ターミナルまで移動し、
そこから前日139元で買った
バスのチケットで
朝の10時20分に出発した。
——–
関係ない話、
ここで僕はある特技を身につけた。
….
….
….
…
とことん寝られる特技だ
いつからだろう?
硬座の列車に繰り返し乗るうちに
そのアホみたいに時間のかかる車内で
やることと言ったら
現地の人に絡むか
本を読むか
外の風景を見るか
(すぐに飽きちゃう)
寝ること
だ。
脳みそが退屈だということを
認識しているからだろうか?
車内での睡眠が
浅いからもあるんだろうけど
トコトン寝れてしまうのだ。
起きてようとしても
またすぐに眠くなってしまう。
これを特技と言わずになんと呼ぼうか?
たぶん僕の前世は
のび太くんだったに違いない。
–
前日ぐっすり寝たはずなのに
この日も僕はバスの中で
うたた寝を繰り返した。
おかげで7時間の
バスの移動もあっという間。
ちょっと勿体無い気もするが
★★
バスは1時間遅れて
夕方6時に元陽、新街(xinjie)の
ターミナルに到着した。
予約したユースホステルまでは
ミニバスを使わなくちゃならない。
ミニバスの出る場所を尋ねたお姉さんが
たまたま英語に堪能だったこともあり
僕はすぐにミニバス乗り場に
行くことができた。
(まぁ歩いて5分の所にあったんだけど)
「ラオジャイまで行きたいんだけど、
いくらかな?」
「100元」
ミニバスの運転手が言う。
とんでもない!
ここまで
139元も払ったのに
そこらへんまで車を走らせるのに
1,600円もかかるなんて!
明らかにボッてきてる。
ここから僕は
値段交渉にはいるんだけど、
おっちゃんは一向にして
値段を下げようとしない。
僕は周りにいた他のドライバーに
浮気をするそぶりを見せたんだけど、
それも効果なし。
それどころか
他のドライバーも似たような
金額をふっかけてきやがる!
さっき道を訊いたお姉さんが
やって来て、
「この時間は遅いから
値段が高くなっちゃうのよ」
と言う。
にしても高ェよ。
僕はなんとか60元(千円)で妥協し、
ホステルのあるラオジャイに向かった。
——————
ミニバスの中から
見える棚田は圧倒的だった。
急な斜面に作られた無数の棚田。
これだけのものを作るのに
一体どれくらいの
年月がかかったのだろう?
そして
ちょいちょい乗り込んでくる
現地の人たちは
一体いくら払ってるんだろう?
運転手のおっちゃんは
「おーい!乗ってくかー?」
と、道ゆく人に尋ねる。
現地の人たちは
「それじゃ
乗っけてってもらおうかしら」
とホイホイ乗り込んでくる。
降りたと思ったら
また別の人が乗り込んでくる。
そして
払ってる金額が
明らかに少ない
『ちがうんだ…
そうじゃない。
僕は60元支払ってこの車を
走らせたんだ。
それを他の人がシェアしても
いいじゃないか…
それに
この距離を
日本のタクシーで走らせたら
千円は超えちゃうんじゃないかな?
うん!
きっとそうだよ。
中国では高い金額だったとしても
これはwin-winの
取引だったんじゃないかな?
…
…
…
…
でも、やっぱり高いよなぁ…
だってユースホステルのドミトリーが
一泊40〜30元だぜ?』
–
モヤモヤした気持ちを抱えて
ホステルのスタッフに
「ここまで
いくらくらいかかるもんなの?」
って訊いたら
「フィフテーンだね」
…
「fifty?
あぁ、50元ね」
「いや、
fifteeeeeeeen」
–
この日の僕の夕食は
インスタントコーヒーと
ひまわりの種
だった。
★★★
山奥だということもあり
元陽の朝は冷える。
僕は布団から出られないまま
朝の10時に目を覚ました。
前日洗っておいた洗濯物を
屋上に干して
棚田が有名なここら辺では
観光地化が進み、
英語表記の看板が立っている。
観光地化されていたとしても
ビレッジ感がちゃんと残ってることに
僕はなんだか嬉しくなった。
–
バイト時代に読んだ世界一周ブログ
「神林一馬の世界一周」
(これはとても
ドラマチックなお話なんだけど、
興味のある人は是非)
の神林くんが
都心よりもビレッジ感の残る場所が
好きだと言っていた気持ちが
よく分かる気がする。
なんだか
こういうところって
落ち着くんだよな。
–
ニコニコして僕を見るおばあちゃん。
「何を織ってるんですか?」
って尋ねたらジェスチャーで
頭につける被り物を
織っているのだと言う。
僕は一眼レフで写真を数枚撮った途端、
おばあちゃんの態度が
豹変した
親指と人差し指をこすりつけるサイン。
お金の要求だ。
–
今後の旅でも
写真を撮ったことに対して
お金を請求されるシチュエーションは
度々あることだろう。
気持ちも理解できる。
自分たちの生活を
観光客に対して
見世物にしているんだもの。
彼らは自分たちの生活の一部を
切り売りしているわけだ。
–
僕はお財布から
1元のコインを取り出して
おばあちゃんに渡そうとした。
「あんた!
寝ぼけたこと言っんじゃないよ!
5元だよ!
5元!」
手のひらを僕の目の前に突き出して
お金を請求してくるおばあちゃん。
さらには
全く関係ない取り巻きの
ガキンチョたちもお金を請求してきた。
「いやいや。
1元でいいでしょ?」
これでもフンパツしているのだ。
1元あれば
中にあんこの入った揚げパンが買えるよ。
(モチモチしてて超うまい)
それに5元って言ったら
僕にとってはその日のメシ代に近い。
7元で食べるラーメン。
6元の朝マック。
5元のスナック。
2元で乗れる市バス。
1元のパン…
たかだか3枚程度の写真に
5元はおかしい。
これが彼らの時間を割いてまで
撮った写真なら話は別だ。
だが、
僕は別におばあちゃんの作業を
中断させたわけじゃないし
1元が妥当な価格だと思った。
–
観光客慣れしたおばあちゃんに
僕は呆れてしまい、
お金を払わず笑ってその場を後にした。
(おばあちゃんは頑なに
1元を受け取ろうとしなかったのだ)
★★★★
しばらくして
ドイツ人の女子二人と
村を散策することになった。
観光地化が進むこのラオジャイ近辺では
棚田を一望できる場所は
チケットがないと入れない。
僕たちは棚田が見渡せる場所を探して
村の中に入って行った。
片方の娘は、僕と同じく
世界一周をしていると言う。
この後、
インドネシア、オーストラリア、
ニュージーランドと
僕とは反対方向に世界を回る。
そうか。
いろいろな国に
世界一周と言う旅を
している人がいるんだね。
一通り村をまわると
僕たちは別れを告げ、
僕はユースに戻ることにした。
★★★★★
昼間のユースには
僕の他に宿泊客はいなかった。
桂林で降られた雨と湿気のせいで
思うように漫画が描けなかった。
場所が変わると
ぺんタッチも変わる。
上達してんのか
下手になってんのかわからないまま
僕は他の宿泊客が戻ってくるまで
漫画を描いたりギターを弾いたりして
過ごした。
そんな元陽ライフ。
明日僕は新街(xinjie)に戻り
ベトナム国境の町
河口(hekou)行きのバスのチケットを買う。
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世界一周ブログランキングに
参戦しております。
「えっ!?シミさん
ラオス行くんじゃなかったの?」
って人はよく覚えてましたね。
ポチしなくてもいいよ。
もちろんしてもいいさ。
「はっ?
そんなこと言ってた?」
ってひまわりの種をかじりながら
ブログを読んでる君、
ポチして行きなさい。
だってさ。
よくよく地図見ると
ベトナム近いんだもん笑。
わざわざ遠回りして
ラオスに入らなくても
ベトナム入っちゃえ!
って、そうなりました。
やっぱり
この「世界一周」っていうお話は
他の誰でもない
おれだけのものだからさ、
自分の旅路は自分で決めたいんだ。
今日も読んでくれてありがとう。
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撮っても盗られないようにね‼‼
>まお
なんかその言葉不吉な予感がするッッ!!
いよいよバックパッカーの序盤とも言える
東南アジアだね。
うん。
気をつけるよ。
それと、中国遍の時は
フェイスブックページの更新
ありがとね。
おれもこれからガンガン更新していくから!
写真ってすぐお金せびられるイメージがありますΣ( ̄。 ̄ノ)ノ
タイいったときも。
私はめんどくさくて、払っちゃいましたけど_| ̄|○
シミさんみたいに断れるよーにならなきゃー
>れーな★ちゃん
まぁ、お金の要求に応えるかは
その時の気分次第っすね。
『おっ!なんかいいかも!』
っていうレスポンスをとる時もあるからね。
路上ライブもそうかな。