「賑やかし」

世界一周743日目(7/12)

 

 

朝イチに

シャワーを浴びた。

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洗濯物を干し、バックパックを預かってもらえないかと宿の人に訊いた。

宿のオーナーは若い男性で美人の奥さんと小さな息子さんが宿にはいた。
暇な時間帯はテレビを観ている。

昨日の若いスタッフはバイトだろう。
Wi-Fiのパスワードも知らなかったしな。

オーナーは快くバックパックを預かってくれた。
わざわざ別室に鍵までかけてくれたくらいだ。
これなら誰かに盗まれるなんてこともないだろう。

僕は「夜8時には戻るから」と言って
サブバッグとギターだけ持って宿を出た。

 

 

 

ここはメキシコ、ケレタロ。泊まっている宿は「HOSTEL OCOTE 」

今日は日曜日。

稼げる日だ。

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他の町がどうなのかは知らないが、
大きな街であれば土曜日曜は賑やかだ。

日曜日は小さな店がしまることが多い。

だが、その分日曜日だけの出店なんかがあるのだ。みんなが外に出る。

ケレタロの町はそれが顕著だった。
「週末はお祭り」みたいな感じだろう。その分観光客も多いようだった。

水道橋はどこへやらだ。
僕はここへ来た当初の目的なんてすっかり忘れてしまった。

 

 

チェックアウトしたのは宿代150ペソ(1,142yen)を節約するためだ。
今日の夜行バスでメキシコシティまで行ってしまおうと思う。

朝から歌うつもりはなかったので、
それまではカフェで時間をつぶすことにした。

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昨日行ったカフェに僕は向かったのだが、
あいにく昨日のカフェは開いていなかった。
近くにあった別のカフェで僕は作業をすることにした。

 

 

「Don Cafeto」

というチェーン店のようなカフェはカウンター席が6席くらいと
背の高い丸テーブルが2台のこじんまりとしたカフェだった。

木調の内装がどこかリッチな印象を与えてくれた。

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注文したコーヒーはフィルターで濾してカップに注いでくれた。
できることならマグカップの方が美味しく感じるので
僕としてはそっちの方がいいのだが、スペイン語ができないので、
そこまでのニュアンスを伝えることはできなかった。

15ペソ(114yen)のアメリカーノを注文して
僕は外の通りが見えるカウンター席に着いた。

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やることはさして変わらない。溜まった日記を書くことだ。

カフェにはWi-Fiが使えたが、
僕のMacBook Proの調子は依然として悪い。
なんでWi-Fi入んねーのかな?iPhoneは使えるんだぜ?くそぅ..。

日記を書くのにも飽きてくると、
僕はサブバッグからコピー用紙を取り出して
新しい漫画を描くことにした。

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僕の漫画は動きが少ない。

そこのことは自分でも分かっている。
少年漫画のような生き生きとした動作をするキャラクターを
描けるようになるのが僕の課題のひとつだ。

ストーリーなんて度外視でまずはポーズから作った話は
自分でも失笑してしまうくらいにくだらない話しだった。

 

 

思えば「旅する漫画家」とは、
旅を題材にした漫画を描くことでもあり、
旅先の至るところで描く漫画でもあるのだな。

そう思えば、僕はこの二年間
ほんとうにいろんな場所で漫画を描いてきた。

まぁ、そのメインはカフェか宿のどっちかなんだけど、
こうして作るくだらない話でも、
どこで描いたか背景を語ればちょっとしたストーリーになる。

時として旅は付加価値にもなる。僕はそう思う。

旅の最中に作った絵、曲、アクセサリーなんか。
それが旅先で生まれたものだと知れば、
僕はその作品にどこか惹き付けられる。
そこになんらかの旅のエッセンスが詰まっているような気がするからだ。

 

 

しばらく作業していると、オルゴール弾きが移動してきた

賑やかな通りではやかましくも聴こえるあのオルゴールの音も、
場所と合えばどこか風情を感じる。
僕は席を立ちコインを数枚渡して写真を撮らせてもらった。

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店内にはトイレは見当たらなかった。

僕はダメもとで店員にトイレがあるかと尋ねると、
店員は快く従業員用のトイレを貸してくれた。

そればかりでなくテーブルに広げたパソコンなども見ていてくれた。
用を済ませて帰ってくると、チョコマフィンを注文した。
濃厚なチョコチップと弾力のあるマフィン。あぁ、なんか最高だな…。

17時になると、僕はそのカフェを後にした。

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どこで

演奏するかは目星をつけていた。

昨日の最後にやった通りは文句なしにいい場所だった。
周りには他のバスカーは一人もいなかった。

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静かな通りでは日本語の曲も生える。

たぶん、メキシコの人々は日本語の響きのようなものにも
興味を持ってくれてるのだと思う。

優しく旅の歌を唄い上げると、みんな興味を示して、
「いい歌だね♪」とコインを入れてくれる。

 

 

歌っていると、もちろん話しかけてくれる人たちもいる。

写真を撮っていいか?と尋ねられることもある。
目立ちたがりの僕は快く「Sure!!!」と言う。

その響きが好きなのだ。
それに「もちろん!」とスペイン語でなんというのかが分からない。

一人から写真を頼まれると他の人たちも続く場合が多い。
僕は看板を手にちょっとした遊園地のヒーローみたいな気分を味わう。

 

 

英語が話せる人だと会話もそこそこ弾む。
アメリカでSEの職を得たと言うダンは一曲披露してくれた。
恥ずかしがり屋の彼女は日本のカルチャーが好きと言ってくれた。

そういう出会いが路上にはある。

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立ち話を挟み、20時まで演奏して僕はその場を後にした。
今日も満足の行くバスキングだった。

 

 

今日も町は賑やかだった。
至る所でなんらかのパフォーマンスが行われている。
ここはバスカーの街だ。

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ピエロ。

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オケまで!

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そしてタンゴ!え?サルサ?わかんね。

 

 

 

 

帰り道に荷物を預かってくれた宿の家族に
1Lパックのジュースを買っていった。

荷物は朝と同じ状態でそこにあった。
家族も丁度自分たちの家に帰る直前だったので、
僕としてはいいタイミングだった。

お礼を言い、先ほど買ったジュースを渡し、
バックパックを回収すると僕はバスターミナルへと向かった。

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バス

ターミナル行きの
ローカルバスを見つけるのは少々骨が折れた。

ホステルのオーナーに聞いていたバス停からは
目当てのバスが来なかったからだ。

バスターミナルまでの道のりを歩き、
その間にあるバス停で目当ての番号を探したが、
教えてもらった「99」のバスが停まる停留所を
見つけることはできなかった。

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コンビニの前に出ている屋台で
20ペソ(160yen)のブリトーを食べた。

来る時には7ペソでタコスが食べられのを考えると、
この差は一体何なのだと考えてしまう。

 

 

結局バスターミナルへは違う番号で行くことになった。

いつもの片言のスペイン語で
バスターミナルまで行きたいのだと運転手に告げると、
乗客の一人が「このバスならターミナルに行くわよ」と教えてくれた。
運転手は用件を理解していなかったのに。

 

 

 

バスはガタゴトと揺れながらケレタロの中心地を離れる。

僕の顔くらいの高さにある小さな窓開いており、
そこから夜風が吹きこんできた。

 

 

街の明かりを見が目に映った時、僕は思わず息を飲んだ。

オレンジ色の光がいくつも集まり、
その光りの集合体を美しいとさえ思った。

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そこにいたら見えないもの。
遠くから見ると綺麗だと思えるもの。
その逆もしかり。

ケレタロはまさにそんな街だった。

 

 

通り過ぎたバス停のベンチで、
ホームレスが頭からすっぽり毛布をかぶり横になっているのが見えた。
それもまた街のひとつの顔だった。

 

 

 

 

バスターミナルに到着すると、
僕は自分が降りることを伝えるべく大声で
「グラシャス!」と叫んでバスを降りた。

そのままチケットカウンターへ行くと
メキシコシティまでのバスは22時40分であることがわかった。
値段は206ペソ(1,568yen)。4時間ほどの距離なのに少し安い。

 

 

稼いだコインで僕はバス代を支払った。

いちいち10の束を作っていると、
スタッフのお兄さんは

「10の束と同じ高さになれば
わざわざ数えなくてもいいんじゃない?」

と名案を出してくれたおかげで支払いはスムーズに済んだ。

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「とりあえず100ペソだけ払わせて!ごめん手間取って!」
「いや、もう上がるからいいんだ。ゆっくりでいいよ」
『イケメン..!!』

 

 

 

先ほど稼いだアガリを集計すると554ペソ(4,325yen)もあった。

売店のおばさんが150ペソほどを紙幣に両替してくれた。ありがたい。

バスターミナルの外でダイエットコーラを買った。
あまり美味しくはなかったけど、喉に沁みた。

そうしてやって来たバスに乗りこんだ。

 

 

 

 

バスのシートは別の場所から乗ってきた乗客で
半分ほど埋まっていた。

席に着くと、僕は足を伸ばしてケレタロに別れを告げた。

電気の消された車内、一本の映画が終ると、
次に始まったのはサーカスのようなミュージカルだった。

『人間ここまで機敏な動きができるんだろうか?』
とバネのある素早い動きで
衣装を着た人たちが小さな画面の中で幻想的な世界感を作り上げていた。

あれはなんていうミュージカルなんだろう?

一度でいいからそれを生で見てみたいと思った。

 

 

 

 

そしてふと気がついた。

 

 

 

 

『あ..
パンツ干しっぱなしやん…』

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 お気に入りだったのに!!!それに速乾タオルも!
ウチダくんごめん!


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